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『ミスiD』は女の子の居場所を作る 兎遊&ろるらりが首謀者と語る

『ミスiD』は女の子の居場所を作る 兎遊&ろるらりが首謀者と語る

『ミスiD2019』
インタビュー・テキスト
金子厚武
撮影:田中一人 編集:矢島由佳子

感受性のある人間として生きていければ、お金がなくても、社会不適合者だと後ろ指を指されても、平気な気がします。(ろるらり)

—2人はグランプリに選ばれて、その後にどんな変化がありましたか?

ろるらり:変わったのは……だいぶ生きやすくなりましたね。私、結構内面にめんどくさい部分があるんですけど、そういうところが表立って理解されたおかげで、わりとなんとかなる環境に今は身を置くことができてるなって。

恵まれない覚悟で大学を休学して好きなことをしているのですが、思ったよりもとがめる人はあまり現れず、案外みんなかわいがってくれて……優しさなのか、無関心なのか、呆れているのかよくわからないけど、とにかくビビってます。

小林:ろるらりは「『ミスiD』のグランプリ」というマークがとてもいい感じに効いてるかなと。これ、一種の『グッドデザイン賞』だと思ってるんです。今やってること、これからやりたいことがわかりにくい人にとっては、グランプリを取ることで、少なくともあのオーディションで評価されたというマークがつくから、その後の人生が少し生きやすくなるとは思う。

ろるらり:昔から「意味わかんない」ってよく言われるんですけど、最近はみんな「意味わかんない」を前提で接してくれるから、対面の場などでは楽です。でも、『ミスiD』というわかりやすいマークがついているからって理由で、よくも悪くも対応が変わっちゃう人もいて、難しいなあとも思いますね。

ろるらり、取材中に突然、テーブルの上に置いてあったチョコレートを様々な形に積み始めた

ろるらり、取材中に突然、テーブルの上に置いてあったチョコレートを様々な形に積み始めた
ろるらり、取材中に突然、テーブルの上に置いてあったチョコレートを様々な形に積み始めた

—休学をして、今は金沢から東京に出てきているんですよね。

ろるらり:はい。でも、全然就職する気になれないんです。本当に向いてないなって、よくわかっているので、今はいろんな意味でのフリーのイラストレーターになろうと思って頑張ってます。

自分のなかに譲れないものがあるというか、違和感を感じるとストレスになって、すぐに体調崩しちゃうんですよ。納得いく毎日を送らないと、生きづらいことが判明しちゃったんですよね。なので、今はどうなりたいって明確に決めてるわけじゃないけど、どんなやり方でも、自分にとって重要だと思うところを守りつつ歳を重ねていきたいという思いだけは、変わらないような気がします。

ろるらりによるイラストカレンダー
ろるらりによるイラストカレンダー

小林:ろるらりは環境と運の申し子だと思っていて。植物みたいに風が吹けば倒れるけど、でも1年後にはまた花を咲かせるみたいな、環境に適応して、そのときどきで花を咲かせられる子。

誰も「やれ」とか一言も言ってないですけど、自分から「グラビアもやります」って言って、そういうチェキとかを撮り始めたりして。自分が使えるものは使える範囲でなんでも使って、そのときの環境に応じて出していける。だから適応力とか柔軟性はあるけど、でも絶対に譲れないものもあるんですよね。

ろるらりのInstagramより

ろるらり:最近、自分の体やルックスは「ろるらり」というコンテンツの素材の一部として捉える意識を高めにしているので、性の対象になろうと、絵よりも自撮りの「いいね」の数が多かろうと、特に自分のなかでは無問題と思っています。体はわりとどうなってもいいけど、心は、メンタルだけは、どの業界にも売り渡したくない。

私のようなエゴまみれの者が、社会や企業というハードなコミュニティーのなかで生きる術は、おそらく、自分を殺してサイボーグのように働くか、キャパオーバーで飛び降りるかの2択だと思います。後者はさすがに誰も幸せにならないし、やっぱり就職するのは怖いなあって。社会的にろくな大人とみなされることは一生ないだろうけど、感受性のある人間として生きていければ、お金がなくても、社会不適合者だと後ろ指を指されても、平気な気がします。

ろるらり
ろるらり

山戸結希監督は本当に優しかった。こういう人が映画を作れるんだな、監督になれるんだなって。(兎遊)

—兎遊さんはグランプリを取ってなにか変わりましたか?

兎遊:変わったことはまだわからないけど、体験したことないことを体験できました。たとえば、ミュージックビデオに出演したり。

—Aimerさんのミュージックビデオ(“Ref:rain”)、めちゃくちゃいいですよね。

小林:あれ、初仕事としては相当過酷だったと思うんですよ。山戸結希さん(“Ref:rain”ミュージックビデオの監督)は、本当に女の子が好きで、めちゃくちゃ優しいですけど、絶対に自分の納得できる画を撮りたい人なので、妥協しないし、かなり時間をかけてやる。だから、それに応えてよくやったなと思います。

兎遊:監督は本当に優しかった。涙出る。演技指導のときも、伝え方がめっちゃリアルで、こういう人が映画を作れるんだな、監督になれるんだなって思いました。どついたるねんさんの“アイスクリーム”は、逆にそのまんまの私でいいっていう感じだったんですが、現場はすごく楽しかったです。

—3月に高校を卒業したそうですが、今後についてはどう考えていますか?

兎遊:考え中です(笑)。あ、おうちでミシンを買って、服をデザインして作ろうと思ってるんですけど……本当にやるかどうかわからない。あとはゲーム実況をしたい。

小林:兎遊は……日々やりたいことが変わるので僕もまったくわかりません。スリリングですが、焦らず大きくなってほしいんです。あ、モデルデビューしたんです。選考委員でもある中郡(暖菜)編集長の『bis』(光文社)というファッション誌で。最初のページは、『ミスiD』の先輩でもある多屋来夢と一緒の撮影でした。ちょうどそこに、ろるらりも独自の世界観のあるイラストを描いています。

兎遊、はっきり言ってモデルのポーズが全然できてない。今は器用な子が多くて、初めてでも結構できちゃうのですが、兎遊はそういう器用さがまったくないんです。ただ、それはもはや個性だし、芸術の領域なので、その新鮮さはなくさず、少しずつテクニカル的なことも覚えて唯一無二の存在になってくれればいいなと。自分の世界がとてもある子なので。

兎遊

生まれ持ったものや見た目で差別されない、多種多様な世界になってほしいし、世界は遅かれ早かれ、そこに向かうしかないと思っています。(小林)

—『ミスiD2019』のキャッチコピー「キミがいる景色が この世界」は、どのように決めたのでしょうか?

小林:君がちゃんといて、世界が成り立つ。だから、消えないでいて、そのままでいてっていう、まずは自己肯定。わりと『ミスiD』の根本をシンプルに言葉にしました。ビジュアル撮影には、兎遊とろるらりのほか、撮影日にタイミングのあった、五味未知子、谷のばら、やね、リオという『ミスiD2018』の受賞者と、特別賞ですが、『ミスiD2018』の象徴でもあるドールモデルの橋本ルルにも来てもらって。このバラバラな子たちが、1つの風景になかにいる感じを撮りたかったんです。

『ミスiD2019』メインビジュアル
『ミスiD2019』メインビジュアル(サイトを見る

小林:あと今年初めて、最終面接と授章式のときの映像を使って、エントリーする人のためのティザー動画を作ったんです。保紫萌香という『ミスiD2016』グランプリのナチュラルボーン女優と、オンリーワンモデル・モトーラ世理奈のW主演で『少女邂逅』(2017年公開)という傑作少女映画を撮った枝優花監督が、撮影と編集をやってくれて。それに、『ミスiD2018』で「山戸結希賞」を受賞したあみこが音楽をつけた。これ、素晴らしくエモいので見てほしいです。

曲はRadioheadの“Creep”のピアノ弾き語りカバーです。あみこは、お題を出したその夜に「もうできた」って完成バージョンを送ってきました。すごい才能。こういうふうに『ミスiD』と周りの女子クリエイターだけでなにか作れてしまうのは、ひとつの理想です。男やおっさんはそれを助けてあげるくらいで。

—今日話を聞いて、ある意味では正反対な2人がWグランプリだというのが、『ミスiD』の根本である「多様性」を象徴しているように思いました。それこそが面白いっていう。

小林:とにかく今、世界は多様性に向かうしかないと思うんです。でもその反動で、移民や難民排除、パワハラやセクハラ、ヘイトも差別もどんどん出てくる。きれいごとに聞こえるかもしれませんが、それでも、生まれ持ったものや見た目で差別されない多種多様な世界になってほしいし、世界は遅かれ早かれ、そこに向かうしかないと思っています。そうじゃないと、恐竜のように、本当に人類は滅びちゃう。

まあ、でも、そんな「世界がどうだ」とかなんて関係なく、女の子の日々はやっぱりつらくて厳しい。自分のことなんて特に、ネガティブにしか見えないことが多い。でも、自分が「あの子みたいになりたい」って思ってるように、かわいいあの子だって、きっとそう思ってます。僕だって本当は大谷翔平みたいになりたいんです。でも無理じゃないですか、あと一億回生まれ変わっても(笑)。なので、自分ができることを地味に頑張るしかないんです。自分のいいところを日々なんとか探しながら。

世界はどうせ平等なんかじゃない。でも、自分の居場所すらなくなってしまったら世界は「THE END」なので、自分くらいは自分を肯定しよう、というのが今年のキャッチコピーです。「変わる」って人生のなかで実はそんなに簡単にないことだと思うんです。でも『ミスiD』を受けたことが、ちょっとでもその後の人生が好転するきっかけになってくれればいいなと思います。

兎遊、ろるらり
兎遊、ろるらり

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プロジェクト情報

『ミスiD2019』
『ミスiD2019』

応募受付期間:2018年4月2日(月)〜5月13日(日)

応募方法:ミスiD2019オフィシャルサイト 専用応募フォームから応募
選考委員:
家入一真(株式会社CAMPFIRE 代表取締役)
大郷剛(プロデューサー)
大森靖子(超歌手)
菅野結似(モデル)
岸田メル(イラストレーター)
小林司(ミスiD実行委員長)
佐久間宣行(テレビ東京プロデューサー)
SKY-HI(Rapper/Singer/Producer)
中郡暖菜(bis編集長)
東佳苗(縷縷夢兎デザイナー)
山戸結希(映画監督)
吉田豪(プロインタビューアー)
ほか

プロフィール

兎遊(うゆ)

1999年10月7日生まれ。中華人民共和国出身(インドネシアとのハーフ)。イラストを描くこと、漫画を読むこと、ゲームをすること、ロリータファッションが好き。Aimer“Ref:rain”、どついたるねん“アイスクリーム”MVに主演。ミスiD2018グランプリ。

ろるらり

1996年4月24日生まれ。岩手県一関市出身。イラストレーターを軸に、モデル、女優、グラビアなどできることはなんでもやる系をしている。飽き性で目新しいものや珍しいものに触れないと死ぬ。ミスiD2018グランプリ。

小林司(こばやし つかさ)

講談社第一編集局企画部所属。ミスiD実行委員長。『FRaU』『VoCE』『KING』『FRIDAY』といった雑誌編集や、水原希子や二階堂ふみの本などの書籍編集を経て、2012年オーディション「ミスiD」をスタート。玉城ティナ、金子理江、黒宮れい、水野しず、菅本裕子ら新しいタイプの女子を輩出。4月2日より「ミスiD2019」エントリー中。5月13日まで。

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