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佐藤涼子&キミノオルフェ対談 一流歌手の秘訣、上手く歌うコツ

佐藤涼子&キミノオルフェ対談 一流歌手の秘訣、上手く歌うコツ

キミノオルフェ『君が息を吸い、僕がそれを吐いて』
インタビュー・テキスト
矢島由佳子(CINRA.NET編集部)
撮影:田中一人

これまで1000人以上のアーティストを指導し、過去10年間に『紅白歌合戦』に出場したボーカリストの数は50以上という実績を持つ、ボイストレーナーの佐藤涼子。バンド「蟲ふるう夜に」として活動していた頃から佐藤のレッスンを受け、現在は佐藤の教室で作詞レッスンの講師を務める、「キミノオルフェ」の蟻。このたび、2人の対談が実現した。

「りょんりょん先生」という愛称で、UVERworld・TAKUYA∞、SKY-HI、ゲスの極み乙女。・川谷絵音、UNISON SQUARE GARDEN・斎藤宏介、May J.、Superfly、SEKAI NO OWARI・Fukase、Mr.Children・桜井和寿など、大勢の一流アーティストから信頼を置かれている佐藤の教えのポイントは、ただテクニックを磨くだけでなく、「心・技・体」の3つを高めること。「売れたい」と思っているアーティスト、「歌が上手くなりたい」と思っているボーカリスト、さらには「カラオケで上手く歌いたい」と思っている人にとっても、必読のテキストとなった。

佐藤との出会いによって歌い方はもちろん、生き方や性格もガラリと変わったという蟻の言葉、そしてキミノオルフェとして6月4日にリリースしたアルバム『君が息を吸い、僕がそれを吐いて』の楽曲は、佐藤が重んじる「心の健康」を保つために優しく手を差し伸べてくれる。

「ネガティブ」はいいんですよ。でも、ちょっと「いい人」を足さないとダメなんです。(佐藤)

—りょんりょん先生のボイストレーニングは「心・技・体」を軸にされているとのことですが、具体的には、どういう指導なのでしょうか?

佐藤:ボイストレーニングって、ほとんどの人が「ピッチをよくしたい」「高音を楽に出せるようになりたい」とか、技術的な部分だけを求めて来るんです。でも、たとえば桜の木だって、根っこ、幹、そして枝葉があって、やっと桜の花が咲きますよね。

ボイストレーニングでいうと技術だけを鍛えようとするのは、枝葉だけを育てるのと同じで、それだけやってもダメ。根っこのところから、ちゃんと桜が咲く木にしていきましょう、と教えるのが私のやり方です。「ただ上手く歌う、ということじゃないんだよ」ということですね。

左から:蟻(キミノオルフェ)、「りょんりょん先生」こと佐藤涼子
左から:蟻(キミノオルフェ)、「りょんりょん先生」こと佐藤涼子

—「技」が枝葉だとしたら、「心」「体」が根っこや幹であると。

佐藤:だからまず、その人の心身を健康にする。おもてなしの気持ちもない人がステージに立っても、誰も素敵だと思わないでしょう? 好きになってもらわない限り、聴いてくれる人なんて集まらない。「ライブはデートである」ということがわかって、「聴いていただく」という礼儀が先にないとダメなんです。

—ライブは、デート?

佐藤:お客さんは「その作品を作っているアーティストがすごい」って心を奪われているわけで、ライブは「好きな人に会いに行く」ということがほとんどなんです。200点満点のライブをする人たちは、クールとホットを使い分けたデートをするし、最後には感動、夢、希望、浄化、恋心なんかをプレゼントしてあげているんですよね。

佐藤涼子

—りょんりょん先生が思う「健康な心」というのは、どういうものですか?

佐藤:「ネガティブ」はいいんですよ。それこそがパワーになるし、やっぱりいい曲って、ネガティブなものから生まれてくるから。逆に「もう幸せいっぱいでなにも問題がないわ」という子は、歌詞が全然よくないんです。恋愛の歌しか書けない(笑)。

だけど「ネガティブだけ」というのはダメ。ネガティブばかりで、人に対する礼儀ができてなくて、周りから可愛がられないのであれば、スターにはなれない。どれだけ「売れたい」と言っていても、近くの人に愛されない人が、全国の人に愛されるわけがないんだから。

作品を作るときはネガティブ満載で書いてもらっていいし、ステージの上では、そういう自分の素直な気持ちや表情を全部歌に出してもらいたい。でもそれ以外は、ちょっと「いい人」というのを足さないとダメなんです。

—りょんりょん先生が関わってきた、歌で一流にまで昇り詰めた方たちは、いい心を持っている方、人間力が素晴らしい方が多い?

佐藤:そう。一流の人たちは、やっぱり礼儀もできているんですよね。なのでレジェントには、かえって望まれたテクニックのレッスンだけをやります。

佐藤涼子

—りょんりょん先生は、いろんなアーティストの全国ツアーにも同行されていますよね。そういった現場では、どういう役割をされているんですか?

佐藤:発声練習をするだけだと思われているんですけど、そうではなくて。日頃から俳優陣に対するしゃべり方の指導とかもやっているんですけど、ライブのMCだって抑揚、アクセント、間、スピードによって全然変わるから、そういう指導もしますし、パフォーマンスについても引き出しを増やせるようにアドバイスをします。ライブって、「演奏と歌だけよければいい」というわけではなくて、いい雰囲気、MC、パフォーマンスがあって、素晴らしい演奏と歌がくるんですよ。

だから、ステージに出たときの最初の「楽しませるために来たよ!」「よく来てくれたね!」というテンションや表情が大事。そこに持っていくために、本番までに整えます。

—具体的には、どういう整え方をされているのでしょうか?

佐藤:たとえば、頭寒足熱が健康な状態なのですが、過度のストレスや緊張によりそれが逆になって、頭がのぼせたり真っ白になりやすいので、熱を下ろす意味でも下半身の運動や腹筋や腹圧運動をやります。そうすると、ライブのときに、脳がすっきりして地に足が着き、喉や首や肩に力が入らずリラックスして歌えるんです。

もちろん発声や歌のアドバイスもやります。リハーサル中にステージ前にはりついて、ジェスチャーでアドバイスを伝えたり、今日の大事なポイントをライブ前に紙に書いて渡したり、筋肉疲労が起きないようにアミノ酸をよきところで渡したり。なので「歌の総合病院」と言われてます(笑)。

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リリース情報

キミノオルフェ『君が息を吸い、僕がそれを吐いて』
キミノオルフェ
『君が息を吸い、僕がそれを吐いて』

2018年6月4日(月)配信

1. 君が息を吸い僕がそれを吐いて廻せこの星を
2. 蜃気楼
3. マイナー調のBGMがいい曲に聞こえた
4. uncommon
5. 光速スピードシューター
6. バックパック
7. air
8. 星の王子さま
9. 虫ピン
10. おやすみまた明日

イベント情報

キミノオルフェ
『半径3メートルのキミへ』

2018年7月15日(日)
会場:東京都 恵比寿 ザ・ガーデンルーム
料金:A-PREMIUM券6,000円 前売3,500円(共にドリンク別)

レッスン情報

『Ryon2's Voice Farm Pace』

佐藤涼子(りょんりょん)が認めた直弟子が講師としてレッスンを行っている。蟻は「作詞と言葉のレッスン」の講師を務める。

プロフィール

キミノオルフェ
キミノオルフェ

バンド「蟲ふるう夜に」のボーカルを務めていた「蟻」による、ソロプロフェクト。キミの物語を紡ぐ吟遊詩人(=オルフェ)を意味する。2016年2月6日にバンドが活動停止し、そのわずか4か月後の2016年6月4日、「キミノオルフェ」として初ライブを開催。ディレクターに数々のトップアーティストを手がける山口一樹を迎え、「大切な友人(ファン)の抱えている悩みや喜びを歌(詩)にして昇華する“あなたのための吟遊詩人”」というコンセプトの下、蟻の高いボーカル力と作詞能力を活かしたポエトリーポップとでも呼ぶべき独自の音楽性を生み出す。2年間の制作期間を経て、2018年6月4日、ついに1stアルバム『君が息を吸い、僕がそれを吐いて』を配信リリース。7月15日には、恵比寿ガーデンルームでワンマンライブ『半径3メートルのキミへ』を開催する。蟻は現在、ボイストレーナー・佐藤涼子の第二教室で、「作詞と言葉」のレッスン講師を務める。また、イラストも得意とし、自身のミュージックビデオの監督も自ら行うなど、マルチなクリエイティビティーを発揮している。

佐藤涼子(さとう りょうこ)

1963年生まれ。山形県庄内町出身。国立音楽大学声楽科卒業。二期会オペラスタジオ32期生として学び、オペラやミュージカルの舞台で活躍後、クラシック音楽の枠を越えて活動の幅を広げ、レコーディング、TV、ライブ、CM音楽に、ゴスペルコーラスとして参加。現在、「心技体」すべてを重んじる独自の「歌道~りょんりょん流~」のボイストレーニングを、数多くのプロのアーティスト(歌手、声優、俳優、タレント)に行っている。基礎を固め、個性は守り、声力と歌唱力を上げ、表現力のバリエーションをも広げるレッスンには定評があり、音楽関係者や芸能関係者より絶大なる信頼を得ている。過去10年間でNHK紅白歌合戦に出場したアーティストは、50人以上にものぼる。今年でボイストレーナー歴29年目であり、これまでに1000人以上を指導。2009年より直弟子がレッスンを担当する第二教室「Ryon's voice farm Pace」を開校し、一般の方からデビュー前の育成・プロのアーティストまで幅広く歌唱指導活動を展開している。

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