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金閣寺で踊ったs**t kingzが感じた、ダンサーの社会的地位の変化

金閣寺で踊ったs**t kingzが感じた、ダンサーの社会的地位の変化

Dance Dance Dance@ YOKOHAMA 2018
インタビュー・テキスト
鳴田麻未
撮影:鈴木渉 編集:久野剛士、川浦慧

2012年に中学校でダンスが必修科目になってから約6年。ダンスを巡る日本の空気はどう変化したのだろうか? 3年に1度、横浜市内で開催される日本最大級のダンスフェスティバル『Dance Dance Dance@ YOKOHAMA』が、現在の空気を教えてくれるかもしれない。バレエにコンテンポラリー、ストリート、ソシアル、チア、日本舞踊など、ダンスのジャンルはもちろん、国籍、ジェンダー、世代や障害の有無を越えて、どんな人も楽しめる祭典であり、予定プログラムは200超。

そのフェス出演者の中から、今回は三浦大知のバックダンサーとしても著名な、ストリートダンス界のパイオニア・s**t kingz(シットキングス)の4人が登場。彼らが舞台作りで大切にしていること、多忙を極めながらも絶えずワークショップを続けている理由とは? そして、ダンサーの社会的地位の変化やジャンルの広がりについても語ってくれた。

ストリートのダンサーが、いまでは国宝の中で踊ることまで認められる社会になってきたんです。(shoji)

—s**t kingz(シットキングス)は2017年に結成10周年を迎え、今年10月までアニバーサリーイヤーですが、まずはどんな10年でしたか?

shoji:10年前の自分は、まさか10年後、レギュラーラジオ番組の収録を終えたスタジオでインタビューを受けてるとは想像もしてなかったですね(笑)。ダンス面の活動でも、まさか自分たちの公演で7都市を回らせてもらう日が来るとは! クラブで踊るだけの4人っていうスタートから、常に変化し続けた10年だったと思います。

Oguri:初めて舞台をやったのが、チームを組んで6年くらい経った頃で。結成して数年は、まだ自分たちの可能性や視野が狭かったんですね。ダンサーってできることいっぱいあるんだなって、この10年でだいぶ視野が広がりました。

左から:NOPPO、shoji、Oguri、kazuki
左から:NOPPO、shoji、Oguri、kazuki

—確かにs**t kingzは単なるダンサー集団の枠にとらわれない活動で存在感を示してますよね。今年もトークショーで3都市を回ったり。皆さんとしては自覚的にそういう方向に進んできたのでしょうか?

kazuki:いやあ、そんなことはないかな。希望としては、いわゆるダンサーっぽい仕事だけではなく新しい分野に開いていきたいし、変わり続けたいっていう思いはあって。でもそのためになにをしたっていうわけでもなく、いろんな人に目をつけていただいたり誘っていただいたりしたおかげで。なんかさ、昔、スウェーデンの映画館とかサンディエゴのスケーターショップで踊ったことあったよね。

Oguri:ああ、あったね!

kazuki:去年の9月には『金閣寺音舞台』というイベントで、金閣寺でも踊らせてもらって。

shoji:苔の上に立ったら「それ踏まないでください! 重要文化財なので!」みたいな(笑)。

kazuki:「こんなところでも踊るんだ!」っていう経験をいろいろしたんですね。それは自分たちがそこで踊らせてくれって言い始めたわけではなく、そういう機会を与えてくれたからなので。

kazuki
kazuki

shoji:世間のストリートダンスに対する見方も少しずつ変わってきたなと感じていて。僕が大学生の頃は、公園で練習してたら「不良がたむろしてる」って警察を呼ばれたんですよ。そんなストリートのダンサーが、いまでは国宝の中で踊ることまで認められる社会になってきた。

ひとつのエンターテイメントとして認めてもらえて、活動の場所が広がってきたのはダンサーとしてありがたいです。この10年で、そういった社会の変化が自分たちの活動の幅を広げてくれたんだと感じますね。

—昨年11月にはビルボードライブで、Shingo Suzukiさん、関口シンゴさん、Kan Sanoさん、村岡夏彦さん、今村慎太郎さんといったorigami PRODUCTIONSの方々中心の生バンドと共演しましたね。

NOPPO:ビルボードは初めての挑戦尽くしでしたね。自分たちだけで生バンドとやるってことがまず挑戦でしたし、プラスアルファ、4人それぞれやってみたいことも表現できました。

NOPPO
NOPPO

以前は平面的だったダンスが、立体的になったと思います。(Oguri)

—また、次の新作舞台『The Library』(2018年9月12日~11月23日上演)では、音楽プロデューサーにstarRoさん(2016年『グラミー賞』にノミネートされた音楽プロデューサー)、アートディレクターに吉田ユニさん(Perfume『COSMIC EXPLORER』ジャケットなどで著名なアートディレクター)らを起用しました。近年のs**t kingzは、音楽やアート面でセンスあふれるクリエイターとどんどんつながっていますね。昨年11月にアミューズと業務提携したことも一因かもしれませんが、これにはどんな意図や展望があるんでしょうか?

s**t kingz『The Library』PV

shoji:ほぼ10年、いろんな方たちのアイデアを汲み取らせていただいてs**t kingzは活動してきました。これをもっともっと多くの人たちに見てもらいたいと思ったときに、その窓口がほしいっていうのがひとつ。それと、4人でやっていると「これはない」って自分たちの中で決めちゃうこともあって。

アミューズのような、いろんなエンターテイメントに触れている企業とタッグを組んで、彼らの中に所属するんじゃなくて提携という形で一緒に「どういうことをしたら面白いんだろう?」と話し合っていくことで、いままでかけていたリミッターをいい意味で外せるんじゃないかと思いまして。

結果、提携以降、バンドさんばかりの音楽フェスにダンサーとして出演できたり、金閣寺やビルボードみたいな意外な場所でやれる機会が増えて。同時に「そういう場所に来る人たちが楽しいと思えるs**t kingzってどんなものだろう?」と考えることで、表現のバリエーションも増えたんですよね。

shoji
shoji

—なるほど。具体的に、この10年で皆さんのダンス表現はどう変わったと思いますか?

shoji:昔の動画見ると、ただひたすら踊ってるんですよ。曲の頭から最後まで途切れることなく振付が詰まってて、振付と構成だけで見せていくみたいな。でもいまは、曲の緩急だったり、歌と歌の隙間だったりを、「踊り」じゃない身体表現も含めて見せていくことを無意識的にやるようになりました。

1曲踊るとなったとき、昔ほど振付を作らないんですよ。もう少し流れとかを大事にするようになりました。それには、自分たちがそれまで触れてたものよりも幅広いジャンルのコンテンツを見るようになったことが関係していると思います。一時期はミュージカル映画にすごく影響を受けてて、隙間や流れの表現を吸い取っていったり。そういう意味で作品の作り方は変わったのかなと思います。

Oguri:以前は平面的だったんですよね。前から見た絵だけで考えてたものが、立体的になったというか。「ただじっとどこかを見つめてることもパフォーマンス」みたいな見せ方もできるようになったし、自分の作り方も一歩引いて見られるようになった気がしますね。

Oguri
Oguri

NOPPO:自分たちのステージにテーマを持つようになったのも途中からなんですよ。最初は好きな曲を4、5曲つなげてパフォーマンスしてたんですけど、この曲のこの感じを表現したいのに、無理やり違う曲を持ってくるのが自分たち的にしっくりこなくて。

前の曲からガラッと人格を変えることに抵抗が出てきちゃったんですね。だから1曲丸々フルコーラスでやるっていう見せ方が最近増えた。2曲、3曲をつなげられた感覚がいまはもうわからないです(笑)。

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イベント情報

『Dance Dance Dance@ YOKOHAMA 2018』
『Dance Dance Dance@ YOKOHAMA 2018』

2018年8月4日(土)~9月30日(日)
会場:神奈川県 横浜市内全域
出演:
東京バレエ団
近藤良平
東京ゲゲゲイ
コンドルズ
バレエ・ロレーヌ
マチュラン・ボルズ
森山未來
s**t kingz
ほか

s**t kingz
『The Library』

2018年9月13日(木)~9月20日(木)
会場:神奈川県 横浜 赤レンガ倉庫1号館3階ホール

2018年10月10日(水)、10月11日(木)
会場:宮城県 仙台銀行ホール イズミティ21(小ホール)

2018年10月20日(土)、10月21日(日)
会場:愛知県 穂の国とよはし芸術劇場

2018年10月27日(土)、10月28日(日)
会場:広島県 広島JMSアステールプラザ中ホール

2018年11月3日(土・祝)、11月4日(日)
会場:福岡県 ももちパレス 大ホール

2018年11月9日(金)~11月11日(日)
会場:大阪府 サンケイホールブリーゼ

2018年11月21日(水)~11月23日(金・祝)
会場:東京都 東京国際フォーラム ホールC

プロフィール

s**t kingz(しっときんぐす)

2017年10月に結成10周年を迎えたダンス界のパイオニア的パフォーマンスチーム。アメリカ最大級のダンスコンテスト「BODY ROCK」にて、2010年・2011年と2年連続優勝を果たし、世界のダンスシーンから注目を浴びる存在となる。世界各地でパフォーマンスやワークショップを行い、これまでに訪れた国は20ヵ国以上。2013年より舞台公演をスタートし、2016年の単独公演「Wonderful Clunker- 素晴らしきポンコツ- 」では初のロングラン公演を達成。東京・大阪を含む全国6都市での開催を果たし、約20,000人の動員を記録した。

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