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『おおいた大茶会』で振付家・穴井豪が目指す、異文化間の架け橋

『おおいた大茶会』で振付家・穴井豪が目指す、異文化間の架け橋

『第33回国民文化祭・おおいた2018/第18回全国障害者芸術・文化祭おおいた大会「おおいた大茶会」』
インタビュー・テキスト
島貫泰介
撮影:鈴木渉 編集:久野剛士
身体は、言葉よりも雄弁にその人を語るときがある。言葉が嘘をついたり、謙遜して誤解を与える一方で、仕草や癖、表情などの身体の動きからは、その人の感情や歴史が色濃く表れるときがある。そうした身体の個性に強く惹かれているのは、ダンサー・振付家・演出家の穴井豪である。

彼の故郷・大分県の全域で10月6日から始まる『おおいた大茶会』。毎年いずれかの都道府県で行われている『国民文化祭』と『全国障害者芸術・文化祭』の2つをメガフェスティバルとして一体化した。その幕開けを告げるオープニングステージ『ヨロコビ・ムカエル?』で、芥川賞作家の小野正嗣の脚本をダンス、芝居、太鼓、音楽、伝統芸能を融合したパフォーマンスに組み立てるのが穴井だ。『スーパー歌舞伎Ⅱ ワンピース』などの振付を手がける気鋭のアーティストである彼は、『ヨロコビ・ムカエル?』の演出を通じて、身体についてなにを考えたのか。

チャンスを失ったことも。人気振付師が上京して感じた、大分県民ならではの謙虚さ

東京から飛行機で約1時間半をかけ、筆者が2度目の大分を訪れたのは今年の2月のこと。東北で生まれ、関東で育った筆者にとって、九州、そして大分は親戚もいないなじみのない土地だ。

けれども、ここ最近の大分がアート、カルチャー面で意欲的な試みを続けていることはよく知っている。2009年から2015年まで続いた国際芸術祭『混浴温泉世界』や、老舗遊園地「別府ラクテンチ」をまるごと温泉化してしまった2017年の「湯~園地」プロジェクトなど、ネットやメディアで話題になった催しは数知れない。

そんな大分で開催される『おおいた大茶会』の幕開けを告げるオープニングステージ『ヨロコビ・ムカエル?』のリハーサルを見るために筆者は足を運んだ。この演目の演出を担当するのはダンサーで振付家の穴井豪。大分で生まれ育った彼は、幼い頃からダンスに打ち込んできたわけではない。ダンスへの好奇心はずっと持ち続けていたものの、どこに行けば学べるのか、どんなダンスが自分と合っているのかはわからず、進学した高知の大学のダンスサークルでようやく道を見出した。

穴井豪
穴井豪

穴井:僕が最初に取り組んだのは、ロックダンスやブレイクダンスでした。そこからストリートダンスやヒップホップ系をひとしきり体験して、次第にモダン、ジャズ、バレエをやってみたんです。その中で、やっぱり自分はダンス・振付をずっとやっていきたいんだという確信を得て、東京に上京しました。

北村明子さんが主宰するコンテンポラリーダンスカンパニー「Leni-Basso(レニ・バッソ)」に参加して、そのあとはPVやコンサートなどエンターテイメント系の振付にも関わるようになりました。

近年は人気マンガの歌舞伎化で大きなニュースになった『スーパー歌舞伎Ⅱ ワンピース』の振付を担当するなど、穴井は着実に振付家としての経験を積み上げてきた。だが、上京当初は悩みも多かったという。その理由のひとつは、大分出身である彼自身の性質だった。

穴井:これは大分県民の特徴だと思っているんですが、自分の思いをストレートに表現しないところがあるんです。変化球的な言い回しをしたり、感情とは違う言葉を思わずしゃべってしまったり(苦笑)。

ダンスの現場でも、自分になんらかのチャンスが回ってきたときでも「自分にはそんなことできません」と、まず謙遜から入ってしまう。だけど、東京のような競争の激しい場所では、そのひとことでチャンスを失ってしまうこともある。そんな自分の言葉で後悔することが何度もありました。

穴井がレッスンを行っている、ダンススタジオ
穴井がレッスンを行っている、ダンススタジオ

「ついつい謙遜してしまう」という、大分の県民性。でも、大分県民ではない筆者からするとそれはちょっと意外に思える。たとえば「別府観光の父」として知られる油屋熊八(明治から昭和まで活躍した実業家)は、温泉やレジャースポットとしての可能性を別府に見出し、旅館経営、奇抜な広告宣伝、ゴルフ場と温泉地の融合など、さまざまなチャレンジに挑んだ、豪快な人物だ。別府駅前には、マント姿に両手を高く掲げたバンザイポーズで有名な熊八像があるが、こんな銅像を遺せる人はそうはいないだろう。

穴井:実は面白いアイデアを持っている人はとても多いんですよ。でも、それを外に出そうとすると途端にシャイになってしまうのが大分なんです。もちろん、そうでない人もいますし、大分県民だけではないかもしれません。でも、東京に出てきて、大分にはシャイな人が多いと感じるんです。その照れの壁を突破して、自分の感情をストレートに表現できる人はすごく大きなことを成し遂げる。そのことを僕が認識したのは、東京に来てからでした。

穴井豪
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リリース情報

『第33回国民文化祭・おおいた2018/第18回全国障害者芸術・文化祭おおいた大会「おおいた大茶会」』

2018年10月6日(土)~11月25日(日)
会場:大分県全域

プロフィール

穴井豪(あない ごう)

大分県出身。19才からダンスを開始。24才の時に当時の日本を代表するコンテンポラリーダンスカンパニー「Leni-Basso」のメンバーとして4年間で17ヶ国のステージに立つ。2014年にはオフブロードウェイミュージカル『アルターボーイズ』の振付でエンターテイメントの振付デビュー。2015,2016年にはスーパー歌舞伎Ⅱ『ワンピース』の振付を担当し話題になる。2018年に大分県で開催される国民文化祭のオープニングでは総合演出、振付を担当。最近では金田あゆ子とKKA DANCE DESIGNという振付チームを作り、WSや振り付けに全国を飛び回る日々をすごしている。

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