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藤田貴大×又吉直樹×穂村弘 なぜ3人は今再び寺山修司に挑むのか

藤田貴大×又吉直樹×穂村弘 なぜ3人は今再び寺山修司に挑むのか

『書を捨てよ町へ出よう』
インタビュー・テキスト
徳永京子
撮影:西田香織 編集:川浦慧

もし寺山が藤田くん演出の『書捨て』を観たら、結構、喜ぶんじゃないかと思うんです。(穂村)

—今回の再演は、どんな構想がありますか?

藤田:僕は、再演といっても本当にまるまる変えちゃうところがあるんですけど、今回は、きちんと3年前のテイストがあった上で、内部を新しくしていこうと思っています。

—もっと、ディティールを詰めていきたいとお話をされていましたね。

藤田:3年前はコラージュっていうことを強く意識しすぎたと思ってるんですよ。ちょっと雑だったなって思う部分はあったりして。

例えば、ウサギはどうやって死んだのか、とか、それは新宿のどこなのか、とか、映画の原作でも説明されていないことはそれでいいって思っちゃった部分があったんです。だから、端折られているいろんな描写を、もうちょっと僕が補足的に書いていこうと思っていて。そういうところは、丁寧にやっていきたいなと思ってます。

—初演とはだいぶ変わりそうですね。

藤田:そうですね。寺山は、当たり前に気になるところとか知りたいところも雰囲気でやっちゃってるところがあるから。それは、僕が33歳になって思うんですよ。マームとジプシーに対して思うことがあるように、同じく33歳ぐらいの寺山が、思うことややるべきことってあったと思っていて。

寺山さんの仕事について、ちょっと思うところは、いくつもあるんです(笑)。だから、そういうところをもうちょっと僕なりに丁寧にやっていくことで、もっと良くなるんじゃないかなと思っています。

藤田貴大

—それを寺山の個性として、許してはあげないんですか?

藤田:初演の時は、まぁ寺山修司だからオッケーだよね、みたいなところはあった気がします。あのときに十分許した部分はあると思うので、今回は甘やかしすぎないようにしたいと思っています(笑)。

穂村:こんなことを言ったら無責任ですけど、もし寺山が藤田くん演出の『書捨て』を観たら、結構、喜ぶんじゃないかと思うんです。何しろ『書を捨てよ町へ出よう』というメッセージを、捨てるべき本のタイトルにするような逆説的な感性の持ち主ですから(笑)。

藤田くんのハイセンスな作品を見て、激怒するような甘さは寺山にはなくて、受け入れるんじゃないかっていう予測なんですよね。それで怒るような人だったら、とっくに古くなっているだろうし。その方向でさらに超えてくるものを目指すくらいのノリじゃないかなと思うんです。

左から:又吉直樹、藤田貴大、穂村弘
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イベント情報

『書を捨てよ町へ出よう』
『書を捨てよ町へ出よう』

上演台本・演出:藤田貴大(マームとジプシー)
作:寺山修司
出演:
佐藤緋美
青柳いづみ
川崎ゆり子
佐々木美奈
召田実子
石井亮介
尾野島慎太朗
辻本達也
中島広隆
波佐谷聡
船津健太
山本達久
映像出演:
穂村弘(歌人)
又吉直樹(芸人)
佐々木英明(詩人)

東京公演
2018年10月7日(日)~10月21日(日)全16公演
会場:東京都 池袋 東京芸術劇場 シアターイースト
料金:一般前売4,800円 一般当日5,300円 65歳以上4,300円 25歳以下3,800円 高校生割引1,000円

長野公演
2018年10月27日(土)、10月28日(日)
会場:長野県 サントミューゼ(上田市交流文化芸術センター) 小ホール

青森公演
2018年11月3日(土・祝)、11月4日(日)
会場:青森県 三沢市国際交流教育センター

北海道公演
2018年11月7日(水)~11月8日(木)
会場:北海道 札幌市教育文化会館 小ホール

パリ公演
2018年11月21日(水)~11月24日(土)
会場:フランス パリ日本文化会館

プロフィール

藤田貴大(ふじた たかひろ)

マームとジプシー主宰/演劇作家。1985年4月生まれ。北海道伊達市出身。07年マームとジプシーを旗揚。以降全作品の作・演出を担当する。11年6月-8月にかけて発表した三連作「かえりの合図、まってた食卓、そこ、きっと、しおふる世界。」で第56回岸田國士戯曲賞を26歳で受賞。以降、様々な分野の作家との共作を積極的に行うと同時に、演劇経験を問わず様々な年代との創作にも意欲的に取り組む。2016年第23回読売演劇大賞優秀演出家賞受賞。演劇作品以外でもエッセイや小説、共作漫画の発表など活動は多岐に渡る。

穂村弘(ほむらひろし)

歌人。1962年札幌市生まれ。1985年より短歌の創作を始める。2008年『短歌の友人』で伊藤整文学賞、「楽しい一日」で短歌研究賞を受賞。2017年『鳥肌が』で講談社エッセイ賞を受賞。歌集『シンジケート』『手紙魔まみ、夏の引越し(ウサギ連れ)』『ラインマーカーズ』、詩集『求愛瞳孔反射』、エッセイ集『世界音痴』『にょっ記』『絶叫委員会』『野良猫を尊敬した日』、近著に歌集『水中翼船炎上中』。他に対談集、短歌入門書、評論、絵本、翻訳など著書多数。

又吉直樹(またよし なおき)

1980年6月2日生まれ。大阪府出身。高校卒業後、芸人を目指して上京しNSC(吉本総合芸能学院)に入学。2003年、同期の綾部祐二と共にお笑いコンビ・ピースを結成。2010年、キングオブコントで準優勝、M-1グランプリで4位に輝く。芸人活動と平行し、エッセイや俳句など文筆活動も行う。2015年1月、文芸誌『文學界』において『火花』を発表し純文学デビュー、第153回芥川賞を受賞する。2017年3月、小説第二作となる『劇場』を発表した。現在毎日新聞で『人間』を連載中。

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