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TENDREインタビュー 自然体で人を惹きつける、河原太朗の魅力

TENDREインタビュー 自然体で人を惹きつける、河原太朗の魅力

TENDRE『NOT IN ALMIGHTY』
インタビュー・テキスト
天野史彬
撮影:池野詩織 編集:山元翔一
2018/10/26

心地いいだけの音楽にしたくはなかったし、音楽という表現のうえで言葉を使うことの重みに、ちゃんと向き合いたくて。

—河原さんは、以前からバンド「ampel」でも活動されていましたし、他のアーティストのサポートなどもされてきていて、プロミュージシャンとしてのキャリアは長いですよね?

河原:プロなんて言うのはおこがましいですけどね。僕は今年30歳なんですけど、大学を卒業してからバンドと並行する形で、メジャーアーティストのバックでベースを弾くっていう仕事もはじめさせていただきました。

—今作『NOT IN ALMIGHTY』が、河原さんにとって初のアルバム作品ということになると思うのですが。

河原:そうですね。やっと、自分に対しての意思表示ができたというか、スタートラインは作れたかなって思います。つまり「自分はこうあるべきだ」ということを、完璧ではないけど、提示できたのではないかと。もちろん、TENDREとしては去年、EP(『Red Focus』)を出した時点でスタートはしているんですけど、このアルバムを作り終えたことで、ようやく浄化できたものがあったんですよね。

—浄化、ですか。

河原:「言葉」をちゃんと曲として表現できたという意味で、浄化できたというか。今回のアルバムのテーマだったのが、「パーソナルな言葉に向き合う」ということだったんです。心地いいだけの音楽にしたくはなかったし、音楽という表現のうえで言葉を使うことの重みに、ちゃんと向き合いたくて。

TENDRE

河原:制作中に周りの仲間と話をしていても、「太朗の言葉って何なの?」っていうことをよく言われたりしたんですよね。自分自身がこれまでに経験した出来事や、感じたことを純粋に、忠実に言葉にしないといけないなって思いながら、このアルバムを作っていました。結果として、自分が音楽をやるうえで紡ぐべき言葉を、ちゃんと紡ぐことができた実感はあります。たとえば、“GIVE”という曲は、母に宛てた曲なんですよ。

—そうだったんですね。“GIVE”は、他の曲に比べてシンプルな曲調ですけど、それゆえに言葉も強く入ってくる曲ですよね。<いなくなっても 血を滾らせて 筆を尽くすのさ そんな男になったみたいだ>というラインとか、人生が滲むフレーズだなと思いました。

河原:恥ずかしいですけどね、こんなこと歌っちゃうのも。母も、亡くなっているわけではないですし。“GIVE”に関しては、耳障りがよくて語呂のいい言葉を並べるのではなくて、純粋に自分のなかから出てきた言葉を一つひとつ置いていって、メッセージとしてちゃんと歌詞を書けた実感があって。そういう意味で、“GIVE”はアルバムのなかでも一番強い曲になったのかなって思います。サウンド的にも、この曲はどうしてもビートものではなくて、ピアノ1本で完結できるものにしたかったんですよね。

TENDRE“GIVE”を聴く(Apple Musicはこちら

このアルバムでやっと、あのときの母の気持ちを想像できるようになった気がします。

—振り返ってみても、河原さんにとって「言葉」は、音楽を作るうえで常に重要なポイントでしたか?

河原:いや、このアルバムを作るまで、僕は音像のことばかり考えて音楽に向き合ってきたんです。「こういうビートが気持ちいい」とか、「この楽器の音がいい」とか、そういうことばかりを追いかけてきたので、言葉はいつも後回しにしていたんですよね。

大学生のころに音楽を作りはじめたときも、自分で作った音楽に歌を乗せることはなかったんです。歌を乗せるようになってからも、辞書を引いて「この言葉は響きが面白いから使おう」みたいな感じで歌詞を書いていて。

TENDRE

河原:ずっと歌詞を書くのは苦手だったし、そもそも、本を読み漁ったりするタイプでもなかった。そのころの自分にとっての音楽作りって、日記的なものというか、そのとき、自分がどれだけ音楽に向き合っているかを意思表示するためのプロセス、みたいな感じだったと思うんですよ。

—そこから、今作で河原さんが「言葉」を重視した作品作りに向かったのは、音楽に対する向き合い方の変化を表してもいるわけですよね。この意識の変化が起こったきっかけって、そもそもどういったところにあったのだと思いますか?

河原:根本的な部分に遡ると、それもやっぱり、母の影響は大きいと思います。両親はCDを自費出版していたんですけど、父が作った曲に乗せて、母が初めて日本語詞を書いた曲があって。その曲は家族の1人に向けられたものだったんですけど、その衝撃が大きかったんです。

言葉数は多くなかったんですけど、言葉や比喩の一つひとつが、すごく沁みたんですよね。母は英語詞のスタンダードナンバーを歌うことが多かったので、母の言葉で歌われたものを聴いたのも、その曲が初めてだったんです。

TENDRE

河原:結果としてそれは、日本語詞が響いた初めての体験になったし、それ以降、自分を表現するための日本語詞への憧れが生まれてきました。でも、言葉って恥ずかしくなってしまうものでもあるから、なかなか上手く書くことができなくて。このアルバムでやっと、あのときの母の気持ちを想像できるようになった気がします。

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リリース情報

『NOT IN ALMIGHTY』
TENDRE
『NOT IN ALMIGHTY』(CD)

2018年10月24日(水)発売
DDCR-7104

1. RIDE
2. DOCUMENT
3. SKIN
4. LOOPNESS
5. LATELY
6. TIME SLIP
7. SYMPATHY
8. NEED
9. GIVE
10. HANASHI

アイテム情報

「TENDREマグカップ」
「TENDREマグカップ」

河原太朗の書き下ろしイラストによるTENDREのオリジナルマグカップ

価格:1,944円(税込)

イベント情報

『TENDRE「NOT IN ALMIGHTY」release tour』

2018年11月3日(土・祝)
会場:愛知県 名古屋 CLUB UPSET

2018年11月15日(木)
会場:大阪府 心斎橋 CONPASS

2018年11月17日(土)
会場:宮城県 仙台 LIVE HOUSE enn 2nd

2018年11月20日(火)
会場:福岡県 the voodoo lounge

2018年11月22日(木)
会場:東京都 渋谷 WWW

料金:各公演 3,500円(ドリンク別)

プロフィール

TENDRE
TENDRE(てんだー)

ベースに加え、ギター、鍵盤やサックスなども演奏するマルチプレイヤー、河原太朗のソロ・プロジェクト。Yogee New Waves、KANDYTOWN、sumikaなど様々なバンドやアーティストのレコーディングに参加する他、RyofuのEP『Blur』では共同プロデュースも務めるなど、その活動は多岐に渡る。数年前よりソロでの楽曲制作を始め、昨年12月にTENDRE名義での6曲入りデビューEP『Red Focus』をリリース。同作がタワーレコード“タワレコメン”、HMV“エイチオシ”、iTunes“NEW ARTIST”、スペースシャワーTV“it”に選ばれるなど、各方面より高い評価を獲得。続いて、配信限定でリリースしたシングル『RIDE – SOFTLY』からのリード曲「RIDE」はJ-WAVE“TOKIO HOT 100”にて最高位12位を記録するなどスマッシュヒット。また、FUJI ROCK FESTIVAL、Sweet Love Shower、Sunset Liveなど国内の様々なフェスへの出演を果たした他、CHARAや、SOIL&”PIMP”SESSIONSのダブゾンビ、パスピエの露崎義邦、andropの前田恭介がそのライブ・パフォーマンスをSNS上で言及し話題となるなど、サポートメンバー4人を迎えたバンド編成でのライブの完成度も高い評価を集めている。

関連チケット情報

2020年7月18日(土)〜7月19日(日)
SLOW DAYS
会場:服部緑地野外音楽堂(大阪府)
2020年7月26日(日)
CHOICE33
会場:味園 ユニバース(大阪府)
2020年8月3日(月)
Yogee New Waves
会場:BIGCAT(大阪府)
2020年9月5日(土)〜9月6日(日)
GREENROOM FESTIVAL’20
会場:赤レンガ地区野外特設会場(神奈川県)

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