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betcover!!の苛立ち ロックシーンへの愛憎入り交じる想いを語る

betcover!!の苛立ち ロックシーンへの愛憎入り交じる想いを語る

『NEWTOWN 2018』
インタビュー・テキスト
天野史彬
撮影:前田立 編集:山元翔一

明日死んでしまうかもしれないような気持ちで芸術を作っている芸術家はたくさんいると思う。僕はそういう人に向けて音楽を作りたい。

—先ほど、ヤナセさんは仲間を探していると言っていましたけど、それでもやはり「ひとりでやっている」というのは、ヤナセさんにとって重要なポイントになっていますよね。

ヤナセ:そうですね。結果的に「バンドじゃない」っていうのは強みになっているのかもしれない。バンドはやりたいんですけどね。バンドって、それだけで「一個体」っていう感じもするし。

でも、「シーンで頑張っていこう!」みたいなのはイヤなんですよ。いくら個々の存在が魅力的でも、「みんなで頑張っていこうぜ!」になっちゃうと、「楽しそうにやってんね~」って、他人事になっちゃう。でも、ひとりでやっていると、攻撃もされるけど、支持もされる。

ヤナセジロウ(betcover!!)

ヤナセ:ただでさえ今の世の中はネットワークでつながれて、世界中がグループのようになっているわけで。そのなかでコミュニティーを持たずに「ひとり」でいる存在は珍しいですよね。よくも悪くも、病原菌になりえる。だから、僕はシーンを作らずやっていきたいなって思う。仲いいバンドと一緒になにかやってもいいけど、少なくとも、楽しそうにしちゃダメだなって。

—「楽しそうにしちゃダメ」って、最高ですね。

ヤナセ:そもそも、フォークやパンクの「立ち向かう」精神に憧れはありますからね。ライブでも、お客さんの反応が悪いほうが気分いいんですよね(笑)。前に対バンが酷いバンドのときがあって、そのバンドのファンがいっぱいいる会場で“セブンティーン”とかを熱量込めてやっても、みんなポカーンって感じなんですよ。そのとき、超テンション上がりましたもん(笑)。「ウェーイ!」みたいな。……すっごい引かれましたけど(笑)。

—ははは(笑)。

ヤナセ:もちろん、不安になることもあるんですよ。僕が言っていることは的外れなんじゃないか? って。だって多数決で言ったら、明らかに僕の言っていることは正しくないから。数で言えば、周りや時代のほうが正しい。それなのに、僕はこうやって発言したりすることで、人に自分の考えを押しつけようとしているわけで……。

「それってどうなの?」って、不安になることもあるんです。そもそも、僕は精神力が強くないですからね。むしろ過敏性胃腸炎なんですよ。神経質だから、精神的な理由でお腹を下しちゃう。それで学校にも行けなくなっていたくらいなので。やっていることに精神力が見合っていないんです(笑)。

—でも、「数」の原理では回収しきれない「自分」の存在がある。そこに対する確信が、ヤナセさんのなかには強くあるわけでしょう? それこそが、ヤナセさんの表現の原動力になっているような気がします。

ヤナセ:そうですね。誰しもが、「自分が一番正しい」と思っていますよね。僕も、自分の考えていることは正しいと思う。それに対する自信を、僕は人よりも持っていないぶん、人よりも自分を持っていると思う。そりゃあ、みんな「音楽が好きだ」って言いますよ。誰でも言いますよね。でも僕、音楽が好きなんですよ。本気で好きなんです。だから、頑張りたいんです。

ヤナセジロウ(betcover!!)

—ヤナセさんの優しさを必要としている人って、僕は絶対にいると思います。

ヤナセ:じゃがたらのDVDに書いてあったんですけど、「もし、江戸アケミが生きていたら、こんなものは作る必要はなかった」って。じゃあ、なぜDVDを出したのかと言えば、江戸アケミが死んだことによって価値を見出しているようなヤツらに向けているのではなく、何十年先かはわからないけど、江戸アケミが生きているうちに出会えなかった仲間たちに向けて作ったんだって。心ではつながっている、まだ見ぬヤツらに、江戸アケミの存在を届けるための映像なんだって。

……今の時代だって絶対にいるんですよ。それはテレビやネットでは見つけられないかもしれない、でも、明日死んでしまうかもしれないような気持ちで芸術を作っている芸術家はたくさんいると思う。僕はそういう人に向けて音楽を作りたい。そして、「お前の作品はクソだ。俺のほうがいいからこっちを聴け!」って言ってくる人がいれば、そんな人と一緒に音楽をやりたい。

ヤナセジロウ(betcover!!)
今回の取材を実施した多摩ニュータウン・旧三本松小学校を舞台にしたカルチャーイベント『NEWTOWN 2018』が11月10日(土)、11月11日(日)に開催。betcover!!は11日、体育館で行われるライブ企画に出演する
今回の取材を実施した多摩ニュータウン・旧三本松小学校を舞台にしたカルチャーイベント『NEWTOWN 2018』が11月10日(土)、11月11日(日)に開催。betcover!!は11日、体育館で行われるライブ企画に出演する(サイトはこちら
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リリース情報

『平和の大使 / セブンティーン』
betcover!!
『平和の大使 / セブンティーン』(7inch)

2018年11月10日(土)、11月11日(日)よりNEWTOWN先行販売
価格:1,620円(税込)
TYO7S1009

[Side A]
1. 平和の大使
[Side B]
1. セブンティーン

イベント情報

『NEWTOWNジャム・コンサート』
『NEWTOWNジャム・コンサート』

日程:2018年11月10日(土)、11月11日(日)
会場:東京都 多摩センター デジタルハリウッド大学 八王子制作スタジオ(旧 八王子市立三本松小学校)
出演(五十音順):
[10日]
阿部芙蓉美
おとぎ話
キイチビール&ザ・ホーリーティッツ
クレモンティーヌ
柴田聡子
寺尾紗穂
七尾旅人
ロロ×EMC
[11日]
カネコアヤノ
折坂悠太(合奏)
曽我部恵一
betcover!!
Homecomings
眉村ちあき
ROTH BART BARON

プロフィール

betcover!!
betcover!!(べっとかばー)

betcover!!こと1999年生まれ多摩育ちのヤナセジロウのプロジェクト。幼い頃からアースウィンドアンドファイアなどブラックミュージックを聞いて育ち小学5年生でギター、中学生のときに作曲を始め2016年夏に本格的に活動を開始。2017年12月に10曲入り1st ep「high school !! ep.」を発売。収録楽曲「COSMO」がスペースシャワーTVの「it!」に決定。2018年5月にはサニーデイ・サービスの新作リミックスアルバム<the SEA>のリミックスを1曲手掛ける。同年8月に2nd ep「サンダーボルトチェーンソー」を発売、Apple Musicが選ぶ今最も注目すべき新人アーティストを毎週1組ピックアップし紹介する企画「今週のNEW ARTIST」に選出されるなど注目を集める。

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(山元)

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