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なぜ、やんばるで芸術祭? 金島隆弘×孫遜が語るつながりの世界

なぜ、やんばるで芸術祭? 金島隆弘×孫遜が語るつながりの世界

『やんばるアートフェスティバル』
インタビュー・テキスト
内田伸一
撮影:大城亘 編集:石澤萌(CINRA.NET編集部)

変化を取り入れ続けるシステムを持っているものは、なくならずに残っていく。言ってみれば、変化するということだけは、不変なのです。(孫)

—なぜ芸術祭で居酒屋? という問いから始まり、いろいろな広がりのあるお話でした。地元の人や国内旅行者はもちろん、海外からの観光客も訪れてくれたらよいですね。

:もちろん、誰でも歓迎します。つながりの話をより広げると、私たちの世界は、誰かひとりが亡くなるとそのぶん何かが欠けてしまうようなものだと思います。たとえ遠くの知らない国に住む、直接的には無関係な人であってもです。ヘミングウェイの小説名にもなった、『誰がために鐘は鳴る』という言葉がありますね。誰かが亡くなったときに鳴らすあの鐘の音は、誰のために鳴らしているのか? それは人類すべてのためです。

孫遜

—『誰がために鐘は鳴る』という言葉のオリジネイターである英国詩人、ジョン・ダンの詩には、<人は離れ小島ではない 一人で独立してはいない 人はみなひと続きの大地の一部である>という言葉もありますね。だからこそ鎮魂の鐘はすべての人のために鳴る。孫さんはそうした目に見えない広いつながりと同時に、この世界の無常さを強く意識しているのでしょうか?

:そうですね。常に何かが生まれ、何かが消えていくその連続のなかに私たちの世界があるのは確かです。また、誰でも若いときには未来へと自分の世界を広げていきますが、ある程度の年齢になると、ずっと付き合ってきた家族や友人たちが、ひとり、またひとりと先に他界していくでしょう。そして、最後は自身が亡くなる。

同じように、かつてここに琉球王国が興り、やがてその歴史を終えました。そして今、この場所は小学校ではなくなり、この冬には1日限りの居酒屋になったあと、それも終わりを遂げるでしょう。私はこれらすべてにつながる「無常」の感覚を見いだしています。

—そうした世界観のなかで、人生にどんな意義を求めていますか?

:アーティストは常に新しい自分、新しい世界を再考し続ける存在です。伊勢神宮が20年ごとに本殿を建て替えることで1000年以上も存続してきたように、変化を取り入れ続けるシステムを持っているものは、なくならずに残っていく。言ってみれば、変化するということだけは、不変なのです。

—だからこそ、変化をどう考えるかが大切なのでしょうね。孫さんが今回『YAF』でこのプロジェクトをやる意義も、そこに重なる気がしました。

:私自身、このやんばる地域で作品を作ることを考えるなかで、そうした変化についての感覚がより強く意識されるようになったとも思います。

—また、ここが居酒屋になった日に、ぜひ伺ってお話できたらと思います。

:(流暢な日本語で)「いらっしゃいませ!」(笑)。居酒屋スタイルでお迎えしますから、ぜひ遊びにいらしてください。

左から:金島隆弘、孫遜
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イベント情報

『やんばるアートフェスティバル』
『やんばるアートフェスティバル』

期間:2018年12月15日(土)~2019年1月20日(日)
会場:
沖縄本島 北部地域
大宜味村 大宜味村立旧塩屋小学校(大宜味ユーティリティーセンター)/大宜味村立旧喜如嘉小学校/芭蕉布会館
国頭村 オクマ プライベートビーチ & リゾート
名護市 マリオット リゾート&スパ/カヌチャリゾート/名護市市民会館前アグー像
ほか

プロフィール

金島隆弘(かねしま たかひろ)

1977年東京生まれ。2002年慶應義塾大学大学院政策・メディア研究科修了、ノキア社、株式会社東芝、東京画廊+BTAP、ART iTを経て、2007年よりFEC(ファーイースト・コンテンポラリーズ)設立。FECでは、アーティストの制作支援や交流事業、展覧会の企画等を手掛ける。2014年には一般社団法人芸術と創造を設立し、東アジアの現代美術の調査研究事業を行う。アートフェア東京エグゼクティブディレクター(2010-15年)、アート北京アートディレクター(2015-17年)を経て、現在京都市立芸術大学大学院美術研究科芸術学博士過程に在籍。

孫遜(すん しゅん)

1980年生まれ、中国遼寧省阜新出身。北京在住。2005年に中国美術学院版画学科卒業。翌年、π格動画スタジオを創立。国内外の展覧会に多数参加し、ベルリン映画祭とベネチア映画祭などにも入選。隠喩的な絵、暗黒的手描きスタイル、そして跳躍的なプロットは個性的な視覚的言語である。近年、メディアアートを原点に、視覚的芸術の異なる領域に斬新な試みを始めている。新聞紙、書籍、木版画、水墨、トナー等、違った媒体による効果を探索しつつ、非線形で表す時間、空間概念を自身に対する社会や社会理論の見解と結合し、幻想的且つ現実的な表現を探求している。

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