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クリトリック・リスが愛されるワケ 「ハゲ!」の野次も力に変えて

クリトリック・リスが愛されるワケ 「ハゲ!」の野次も力に変えて

『クリトリック・リス 50th 生誕ワンマン』
インタビュー・テキスト
山田宗太朗
撮影:宇佐美亮 編集:山元翔一(CINRA.NET編集部)

2019年4月20日、ひとりの男が東京・日比谷野外大音楽堂のステージに立つ。彼の名はスギム、49歳。「クリトリック・リス」というスカムユニットとして注目を集めているアーティストだ。ハゲ頭にパンツ一丁という風変わりなスタイルで、1年に200本以上のライブに出演。大阪に拠点を置きながら全国津々浦々を回り続け、2017年にはメジャーデビューも果たしている。

彼はかつて、広告系の会社で部長までのぼりつめたエリートサラリーマンだった。それがなぜ、脱サラして音楽の道へ進んだのか。現在のスタイルにたどり着くまでに、いったいどんな紆余曲折があったのか。そして、50歳を目前にして初の日比谷野音ワンマンに挑む心境とは。

彼の活動を追い続けてきた編集者で音楽ライターの西澤裕郎は、会社員時代にクリトリック・リスのライブを観て衝撃を受け、人生を変えられてしまったという。では、西澤はスギムのどんなところに魅了され、いかにして人生を狂わされたのか。スギムの魅力や日比谷野音ライブに向けた想い、クリトリック・リスという生き方について、ふたりに語ってもらった。

クリトリック・リスのライブは、お客さんが「ハゲー!」とか「金返せー!」とか叫んで発散する場所にもなっていて。スギムさんはそれを受け入れてくれる。(西澤)

—そもそもおふたりは、どのように出会ったのでしょうか?

西澤:僕は以前、会社員をしながら『StoryWriter』というZINEを作っていたんです。2010年に発行した第3号で取り上げたのがSuiseiNoboAz、神聖かまってちゃん、クリトリック・リスの3組でした。そのZINEの取材で会ったのが最初だったと思います。

左から:西澤裕郎、クリトリック・リス
左から:西澤裕郎、クリトリック・リス
クリトリック・リスのライブより / 撮影:RYUTARO SAITO
クリトリック・リスのライブより / 撮影:RYUTARO SAITO

スギム:あの頃、僕はまだサラリーマンで、オシリペンペンズやミドリといった、いわゆる「関西ゼロ年代」の人たちと関わりたいという一心でステージに立つようになったんです。初めて西澤くんと会ったときは、ライブの打ち上げが終わってから深夜にホテルの部屋で取材してくれたよね。

西澤:面識はなかったけど、スギムさんに取材依頼のメールをして、三重県までライブを観に行ったんです。その日、初対面なのに深夜のホテルでふたりきりで話をしましたね。スギムさんがすごく親しみやすかったのが印象的でした。いま思い出したんだけど、僕はそのずっと前にスギムさんのステージを観ているんですよ。

スギム:そうだっけ?

西澤:劔樹人さん(あらかじめ決められた恋人たち、ex.ミドリ)がベースをしていたコドモアーズが、neco眠るや嘘つきバービー、レシーバーズポンポンヘッドといったバンドを東京に集めて2008年に開催したイベントで初めて観たんです。

オールナイトのイベントだったので疲れでウトウトしてたんですけど、朝4時頃にパッと目を覚ましたら、目の前で、スギムさんとプンクボイ(ロマンポルシェ。のロマン優光によるソロユニット)が上半身裸でビンタし合っていたんです。それがもう衝撃的で……そんなきっかけでクリトリック・リスに興味を持ちはじめたので、音楽どうこうよりも「この人は何をやってるんだ!?」という驚きが一番でした。

西澤裕郎(にしざわ ひろお)<br>1982年生まれ。長野県出身。出版社勤務を経てフリーのライター / 編集者に。音楽ファンジン『StoryWriter』編集長を務め、2012年より音楽配信サイトOTOTOYにディレクターとして活動。オルタナ・ロックからアイドル、スカムまで幅広く執筆&編集、ディレクション。2017年、株式会社SW設立。ストリートを愛するカルチャー・マガジン『StoryWriter』の運営、写真家・外林健太による写真集『IDOL』の発行などを行う。
西澤裕郎(にしざわ ひろお)
1982年生まれ。長野県出身。出版社勤務を経てフリーのライター / 編集者に。音楽ファンジン『StoryWriter』編集長を務め、2012年より音楽配信サイトOTOTOYにディレクターとして活動。オルタナ・ロックからアイドル、スカムまで幅広く執筆&編集、ディレクション。2017年、株式会社SW設立。ストリートを愛するカルチャー・マガジン『StoryWriter』の運営、写真家・外林健太による写真集『IDOL』の発行などを行う。

スギム:その日のことは覚えてますよ。2つの会場で開催されたイベントで、同じ時間にメイン会場ではKING BROTHERSがライブをしていたんです。だから全然知名度のないクリトリック・リスのほうに来る人なんてほとんどいなくて、お客さんは4人くらいしかいなかったですね。そのなかの2人が、西澤くんとロマン優光さんだった。

—客層が濃すぎます(笑)。

スギム:お客さんも僕に何も期待していなかったから、ベロベロに酔っ払ったロマン優光さんをステージに上げて、持ち時間延々と思いっきりビンタし合ったんです。ただあの人、めちゃくちゃ力が強いから、口のなか血だらけになって1週間くらいまともに食事ができなかったです。

西澤:それを寝ぼけ眼に見たら衝撃を受けますよ。

スギム:あのライブを観たひとりの女の子が「感動した!」って泣いて、抱いてほしいと言ってきたんですよ。「始発で駅まで行ったけど、やっぱりあなたのことが忘れられないから戻ってきました」って。そんなこと過去に一度もなかったから驚きました。

—抱いたんですか?

スギム:いや抱いてないですよ(笑)。

クリトリック・リス<br>音楽経験のなかったサラリーマンのスギムが、行きつけのバーの常連客達と酔った勢いでバンドを組む。 しかし初ライブ当日に他のメンバー全員がドタキャン。やけくそになりリズムマシーンに合わせてパンツ一丁で行った即興ソロ・パフォーマンスが、「笑えるけど泣ける」と話題となりソロ・ユニットとして活動を開始。過激なパフォーマンスでアンダーグラウンド・シーンの話題を集める。2016年には自身をモチーフとした映画「光と禿」で役者デビューし数々の賞を獲得。2017年47歳にして奇跡のメジャーデビュー。2019年2月20日、自分の表現したい音楽を全力で作り上げるため、完全自主制作の3rdアルバム『ENDLESS SCUMMER』を自身のレーベル・SCUM EXPLOSIONよりリリース。2019年4月20日(土)には、50歳を祝う自身最大キャパでの日比谷野音ワンマンをDIYで開催予定。
クリトリック・リス
音楽経験のなかったサラリーマンのスギムが、行きつけのバーの常連客達と酔った勢いでバンドを組む。 しかし初ライブ当日に他のメンバー全員がドタキャン。やけくそになりリズムマシーンに合わせてパンツ一丁で行った即興ソロ・パフォーマンスが、「笑えるけど泣ける」と話題となりソロ・ユニットとして活動を開始。過激なパフォーマンスでアンダーグラウンド・シーンの話題を集める。2016年には自身をモチーフとした映画「光と禿」で役者デビューし数々の賞を獲得。2017年47歳にして奇跡のメジャーデビュー。2019年2月20日、自分の表現したい音楽を全力で作り上げるため、完全自主制作の3rdアルバム『ENDLESS SCUMMER』を自身のレーベル・SCUM EXPLOSIONよりリリース。2019年4月20日(土)には、50歳を祝う自身最大キャパでの日比谷野音ワンマンをDIYで開催予定。

—ライブスタイルは当時もいまもそこまで変わっていないんですね。

西澤:そうですね。クリトリック・リスのライブは、お客さんが「ハゲー!」とか「金返せー!」とか叫んで発散する場所にもなっていて。スギムさんはそれを受け入れてくれる。愛のある野次と、それを受け入れるスギムさんというのは、正しいあり方だとは思います。

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イベント情報

『クリトリック・リス 50th 生誕ワンマン』

2019年4月20日(土)
会場:東京都 日比谷野外大音楽堂
料金:3,000円

リリース情報

クリトリック・リス
『ENDLESS SCUMMER』

2019年2月20日(水)発売

1. 四番目の女
2. MIDNIGHT SCUMMER
3. エレーナ
4. ちゃう
5. のんちゃん
6. 群青の純情
7. 俺はドルオタ
8. レイン
9. 転生
10. 味噌汁
11. ラストライブ
12. RAVE

プロフィール

クリトリック・リス

音楽経験のなかったサラリーマンのスギムが、行きつけのバーの常連客達と酔った勢いでバンドを組む。 しかし初ライブ当日に他のメンバー全員がドタキャン。やけくそになりリズムマシーンに合わせてパンツ一丁で行った即興ソロ・パフォーマンスが、「笑えるけど泣ける」と話題となりソロ・ユニットとして活動を開始。過激なパフォーマンスでアンダーグラウンド・シーンの話題を集める。2016年には自身をモチーフとした映画「光と禿」で役者デビューし数々の賞を獲得。2017年47歳にして奇跡のメジャーデビュー。2019年2月20日、自分の表現したい音楽を全力で作り上げるため、完全自主制作の3rdアルバム『ENDLESS SCUMMER』を自身のレーベル・SCUM EXPLOSIONよりリリース。2019年4月20日(土)には、50歳を祝う自身最大キャパでの日比谷野音ワンマンをDIYで開催予定。

西澤裕郎(にしざわ ひろお)

1982年生まれ。長野県出身。出版社勤務を経てフリーのライター / 編集者に。音楽ファンジン『StoryWriter』編集長を務め、2012年より音楽配信サイトOTOTOYにディレクターとして活動。オルタナ・ロックからアイドル、スカムまで幅広く執筆&編集、ディレクション。2017年、株式会社SW設立。ストリートを愛するカルチャー・マガジン『StoryWriter』の運営、写真家・外林健太による写真集『IDOL』の発行などを行う。

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