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クリトリック・リスが愛されるワケ 「ハゲ!」の野次も力に変えて

クリトリック・リスが愛されるワケ 「ハゲ!」の野次も力に変えて

『クリトリック・リス 50th 生誕ワンマン』
インタビュー・テキスト
山田宗太朗
撮影:宇佐美亮 編集:山元翔一(CINRA.NET編集部)

自分の本当にやりたいことって何だろうと考えた結果、スギムさんの顔が浮かんだ。(西澤)

—今回の日比谷野音ワンマンは、西澤さんが会場を押さえたんですよね。マネージャーというわけでもないのに、なぜそこまでできるんでしょう?

西澤:僕はOTOTOYという音楽配信サイトから独立して2017年に会社を作ったんですけど、自分の本当にやりたいことって何だろうと考えた結果、スギムさんの顔が浮かんだんですよね。スギムさんの自伝本を作りたいと思った。

そういう話をスギムさんにしたら、「50歳になるタイミングで野音ワンマンをやりたい」という話が出てきたんです。でも野音は東京都の施設なので、抽選で当たらないと借りる権利が得られなくて、しかも応募できるのは法人だけ。じゃあ僕が応募してみますと。そしたら倍率約500倍を1発で当ててしまって。こうなった以上は、自分が野音に向けて盛り上げなきゃいけないなと。

西澤裕郎

—野音はこれまでクリトリック・リスが主戦場としてきたライブハウス以上に規制が厳しいので、スギムさんにとっては不利ではないですか? たとえば、ステージからフロアに降りることは禁止されていますよね。

スギム:サブステージを作ろうと考えていたんですけど、野音のスタッフの方にダメだと言われました。「他のバンドはやってましたよ」って言ったら、「だってあなたパンツ一丁じゃないですか」って。信頼されてない(笑)。もしやるなら服を着てくださいと。

西澤:でも、「服を着たらあなたのスタイルに反するんじゃないか?」とも言ってくれましたよね。

スギム:もう肌色のタイツかパンストかぶるしかないよ。でも僕のライブは、基本的にお客さんの熱量で動かされるんです。今回は僕のために相当な人数が集まってくれるので、その人たちの気持ちをもらうだけでいいライブができる自信があります。

クリトリック・リス

—その一方で西澤さんには、成功したらしたでスギムさんが変わってしまうかもしれないという危惧もあるんですよね。

西澤:たくさんのお客さんに祝福されて最高のライブをしたら、満足してしまうかもしれないと思ったんです。思い返してみれば、僕はスギムさんの抑えきれない衝動やエネルギーのぶつかり合いに惹かれてきました。ZINEのために取材したSuiseiNoboAz、神聖かまってちゃん、クリトリック・リスの隠れた共通項は「ほとばしる」ということだったんです。

自分で音楽を作ることはできないかもしれないけど必死に表現しようとする姿。「何かしたいんだ」とこぼれ出るエモーション。それが49歳のいまも続いている。そういう人が満足してほとばしりがなくなってしまったら……ということは考えます。おそらく杞憂に終わるでしょうけど。

スギムさんが得た信頼のおかげで、多くの人々が一世一代の大勝負に協力してくれている。これはお祭りなんです。(西澤)

スギム:でもホンマに、西澤くんがおらんかったら野音なんて実現してないよ。そのためにアルバムを作ってプロモーションも協力してもらって。だから絶対に成功させたい。

クリトリック・リス『ENDLESS SCUMMER』(Apple Musicはこちら

西澤:これまで培ってきたノウハウと人脈のすべてを今回の野音に注ぎ込んでいますからね。ただ最近、スギムさんがメジャーレーベルにいたときよりもメディアに出ているから「裏に誰かついてるんじゃないか?」って誤解されるんです。でも実際は、少ない予算で完全に個人でやっている。これまでの活動を通してスギムさんが得た信頼のおかげで、多くの人々が一世一代の大勝負に協力してくれているだけ。だからこれはお祭りなんですよ。みんなスギムさんを神輿に上げようとしている。

スギム:メジャーレーベルにはすごくお世話になったけど、DIYでもメジャーに負けないくらいの訴求ができると思っています。ただ、正直に言うと、野音の成功が何なのかが自分でうまく定義できていないんですよね。集客だけではないと思っているし、とにかくいいライブをしたいけど、お客さんの出方が全然見えないし……。

西澤:スギムさん、Oasisの“Don't Look Back In Anger”でライブを締めることが多いじゃないですか。さすがに今回はやめてほしいですね。人の曲だし。

スギム:うっ……なるほど……。

西澤:困ったらやろうと思ってたでしょ。

スギム:いや、あれは客が求めてくるんですよ! 僕のステージはセットリストの曲をやり終わった時点で完結してるのに、客が欲しがるからああなるだけで。そういう意味では、「クリトリック・リスのライブでは何かが起きる」という期待はみんな持ってくれていると思う。初めて観に来てくれる人を満足させつつも、そうした期待に応えたいですね。……でも今日、西澤くんと話して、ある程度自分の出方を決めて野音に臨まなければいけないと感じました。

西澤:そうですよ。お客さんとのかけ合いで1000回以上もライブをやってきたのに、おそらく今回はそれだけだとうまくいかない。だからクリトリック・リスにとって本当に特殊な、いつもと違うライブになると思います。50歳の節目にして、クリトリック・リスを定義するライブになるんじゃないかな。次の10年を左右するかもしれない。

スギム:60歳で武道館やるよ。

西澤:でも、日本武道館は個人では押さえられないでしょ。

スギム:それまでに西澤くんが会社大きくしてよ。

西澤:パンイチで武道館は断られそう。

スギム:やっぱり肌色のタイツかパンストが必要やな。

左から:クリトリック・リス、西澤裕郎
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イベント情報

『クリトリック・リス 50th 生誕ワンマン』

2019年4月20日(土)
会場:東京都 日比谷野外大音楽堂
料金:3,000円

リリース情報

クリトリック・リス
『ENDLESS SCUMMER』

2019年2月20日(水)発売

1. 四番目の女
2. MIDNIGHT SCUMMER
3. エレーナ
4. ちゃう
5. のんちゃん
6. 群青の純情
7. 俺はドルオタ
8. レイン
9. 転生
10. 味噌汁
11. ラストライブ
12. RAVE

プロフィール

クリトリック・リス

音楽経験のなかったサラリーマンのスギムが、行きつけのバーの常連客達と酔った勢いでバンドを組む。 しかし初ライブ当日に他のメンバー全員がドタキャン。やけくそになりリズムマシーンに合わせてパンツ一丁で行った即興ソロ・パフォーマンスが、「笑えるけど泣ける」と話題となりソロ・ユニットとして活動を開始。過激なパフォーマンスでアンダーグラウンド・シーンの話題を集める。2016年には自身をモチーフとした映画「光と禿」で役者デビューし数々の賞を獲得。2017年47歳にして奇跡のメジャーデビュー。2019年2月20日、自分の表現したい音楽を全力で作り上げるため、完全自主制作の3rdアルバム『ENDLESS SCUMMER』を自身のレーベル・SCUM EXPLOSIONよりリリース。2019年4月20日(土)には、50歳を祝う自身最大キャパでの日比谷野音ワンマンをDIYで開催予定。

西澤裕郎(にしざわ ひろお)

1982年生まれ。長野県出身。出版社勤務を経てフリーのライター / 編集者に。音楽ファンジン『StoryWriter』編集長を務め、2012年より音楽配信サイトOTOTOYにディレクターとして活動。オルタナ・ロックからアイドル、スカムまで幅広く執筆&編集、ディレクション。2017年、株式会社SW設立。ストリートを愛するカルチャー・マガジン『StoryWriter』の運営、写真家・外林健太による写真集『IDOL』の発行などを行う。

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