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田我流が語る、家族と生きるための闘い。クソな社会に音楽で抗う

田我流が語る、家族と生きるための闘い。クソな社会に音楽で抗う

『CROSSING CARNIVAL』
インタビュー・テキスト
天野史彬
撮影:小田部伶 編集:山元翔一(CINRA.NET編集部)

田我流が、3rdアルバム『Ride On Time』を4月24日にリリースした。東日本大震災が起こった翌年にリリースされ、ヒップホップシーンの枠を超えて大きな評価を得た前作『B級映画のように2』から7年ぶりとなる本作。曲ごとに目まぐるしく変わっていくサウンドスケープのなかで綴られるのは、この時代を、この社会を生きる人間としてのシビアな現状認識と、「それでも生きる」という強靭な意思。全16曲を通して、知性とユーモアと技術とロマンが緻密に折り重なりながら綴られていくストーリーは、聴く者の耳と目と心を四方八方から揺さぶりながらも、「これが人生なんだ」というひとつの真理をぶつけてくるようなダイナミズムに溢れている。田我流にしか持ち得ない繊細さと大胆さによって生み落とされた大傑作と言えるだろう。

社会や自然といった巨大なものと対峙し、そのなかで生きるしかない人間の、決して逃れることのできない悲しみと不自由を冷静に受け止める。そんな研ぎ澄まされた観察者としての冷静で謙虚な視線とともに田我流は、それでも人間が「音楽」というアートフォームで描きうる尊さと力強さを、このアルバムで示して見せた。数多の秘密と希望に満ちたこの素晴らしいアルバムの誕生を祝して、本人に話を聞いた。

「ピンチはチャンスに変えるしかない」っていう感じだった。

—アルバム『Ride On Time』、聴いている間に何度も鳥肌が立つ、本当に素晴らしいアルバムだと思いました。とてつもなく濃密で、それでいて風通しのいい作品だなと。

田我流:ありがとうございます。風通しいいよね、このアルバムは。俺としては、ちょっと足りないぐらいなんだけど、飯にしても10割食っちゃうと動けなくなるでしょ? そうならないように、自分のなかで6~7割で留めてる。そういうことができるようになったところが、前作とは一番違うところかもね。今年、俺は37歳になるんだけど、歳がそうさせたんだと思う。ちょっと、考えさせる余地があるぐらいがいいなって思えるようになったんだよね。

田我流(でんがりゅう)<br>山梨県笛吹市一宮町出身。趣味は釣り。尊敬する人は松方弘樹。高校1年でヒップホップに出会い、リリックを書きはじめる。野蛮さと繊細さを兼ね備え、アッパーな楽曲からコンシャス、叙情的な楽曲まで幅広く乗りこなす作詞力と音楽性、ガツガツと畳み掛けるエモーショナルなライブパフォーマンスには定評がある。4月24日には自身の原点回帰を計るべく新しいプロデューサー陣と制作した待望の3rdアルバム『Ride On Time』を発表。初夏には甲府から始まる全国ツアーも予定している。
田我流(でんがりゅう)
山梨県笛吹市一宮町出身。趣味は釣り。尊敬する人は松方弘樹。高校1年でヒップホップに出会い、リリックを書きはじめる。野蛮さと繊細さを兼ね備え、アッパーな楽曲からコンシャス、叙情的な楽曲まで幅広く乗りこなす作詞力と音楽性、ガツガツと畳み掛けるエモーショナルなライブパフォーマンスには定評がある。4月24日には自身の原点回帰を計るべく新しいプロデューサー陣と制作した待望の3rdアルバム『Ride On Time』を発表。初夏には甲府から始まる全国ツアーも予定している。

—前作『B級映画のように2』(2012年)がリリースされてから、7年の月日が流れました。前作をリリースされた頃、ここまでスパンが空くことは想像されていましたか?

田我流:遠回りしたよね。旅に出すぎちゃったかな、とも思う。単純に、小学1年生が中学2年生になる期間っていうことだもんね。でも、7年間なにもやっていなかったかっていうと、そういうわけではなくて。ツアーをやったり、客演をやったり、ライブはほぼ毎週やっているし、バンドのアルバム(2015年発表の『田我流とカイザーソゼ』)も出したし、別名義での活動も結構やっていたから、自分的にはそこまで長い時間が経った気もしていなくて。

この7年間でやってきたことがたくさんあるし、人生的にもいろんなことがあったから。でも、それによって俺も成長できた気がする。物事を客観視できるようにもなった。トリックやスキル……それはラップのスキルだけじゃなくて、もっと全般的なセルフプロデュースのスキルにしても、伸ばすことができた気がするんだよね。

田我流『B級映画のように2』を聴く(Apple Musicはこちら

—今作のトラックメイクは、ご自身の別名義である「Falcon a.k.a. Never Ending One Loop」やEVISBEATSさんに加え、DJ UPPERCUTさんや、Automaticさん、KMさん、VaVaさん、Ace-upさんといったメンツが参加しています。これまで、stillichimiyaで作り上げてきたプロダクションから、サウンドの幅も一気に広がりましたよね。

田我流:アルバムのブックレットにつける制作後記にも書いたんだけど、今回のアルバムは、7年前とはプロダクションが大きく変わった。それは、これまで自分が一緒にやってきた人たちが、仕事で別の場所に行ったりして、ひとりになっちゃったから。ゼロから再スタートを切らなきゃならないっていうところから、このアルバム制作ははじまっていて。ビートの作り方とか、イチからいろんなことを覚え直したりしなくちゃいけなかったんだよね。

田我流“Back In The Day 2”を聴く(Apple Musicはこちら

—それって、かなり大きな出来事ですよね。

田我流:うん、かなりデカい。音楽を作るプロセスの、核の部分がまったく変わったっていうことだからね。家族もいるし……「うわ、やべぇなぁ」って思った。でも、「ピンチはチャンスに変えるしかない」っていう感じだったし、このタイミングで、改めてイチからチャレンジができたことは、結果として大きかったんだよね。そもそも30代半ばを過ぎると、フレッシュさがなくなって、深み深みへといきがちになっちゃうじゃないですか。俺も音楽をやりはじめて結構長いし、実際、音楽に疲れも感じはじめていたところもあったんだよね。

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イベント情報

『CROSSING CARNIVAL'19』
『CROSSING CARNIVAL'19』

2019年5月18日(土)
会場:東京都 渋谷 TSUTAYA O-EAST、duo MUSIC EXCHANGE、clubasia、WOMB LIVE、TSUTAYA O-nest

Analogfish
Amgala Temple(with member of Jaga Jazzist)
eill
Emerald(フィッシュマンズ・トリビュートセット)
[ゲスト:曽我部恵一、崎山蒼志、木暮晋也、HAKASE-SUN]
Enjoy Music Club
OGRE YOU ASSHOLE
GEZAN
C.O.S.A.
Serph
崎山蒼志 feat.君島大空
SIRUP
Spangle call Lilli line feat.ナカコー
田我流
TENDRE feat.SIRUP
TENDOUJI
東郷清丸
Dos Monos
ニトロデイ
Nyantora
nhhmbase
蓮沼執太フィル
パソコン音楽クラブ feat.長谷川白紙
VaVa
BIM
fhána
betcover!!
Homecomings
bonobos
Polaris
ミツメ
MONO NO AWARE
ものんくる
uri gagarn
Yogee New Waves
料金:4,800円(ドリンク別)

リリース情報

『Ride On Time』(CD)
田我流
『Ride On Time』(CD)

2019年4月24日(水)発売
価格:2,484円(税込)
DDCB-19004

1. Wasuremono (Intro)
2. Hustle
3. Broiler
4. Vaporwave
5. Cola
6. Back In The Day 2
7. Simple Man
8. Small Talk From KB (Skit)
9. Ride On Time
10. Hands Up (A Cappella)
11. Deep Soul
12. Wave feat. C.O.S.A.
13. Sign
14. Changes
15. Anywhere feat. NTsKi
16. Takarabako (Outro)

『田我流 Ride On Time Tour』

2019年6月15日(土)
会場:山梨県 甲府 Conviction

2019年6月21日(金)
会場:福岡県 Early Believers

2019年6月22日(土)
会場:大阪府 心斎橋 Sunhall

2019年7月7日(日)
会場:東京都 渋谷WWW X

プロフィール

XXX
田我流(でんがりゅう)

山梨県笛吹市一宮町出身。趣味は釣り。尊敬する人は松方弘樹。高校1年でHiphopに出会い、リリックを書き始める。2004年に地元の幼馴染とラップグループ=stillichimiyaを結成し、2008年にファースト・ソロ「作品集~JUST~」を発表、2012年4月に発表したセカンド・アルバム「B級映画のように2」でその評価を確固たるものにする。2015~16年はバンド・プロジェクト「田我流とカイザーソゼ」として数々のライブをこなす。その頃から更なる音楽性の向上の為、Falcon a.k.a. Never Ending One LoopとしてBeat Makeも始める。野蛮さと繊細さを兼ね備え、アッパーな楽曲からコンシャス、叙情的な楽曲まで幅広く乗りこなす作詞力と音楽性、ガツガツと畳み掛けるエモーショナルなライブパフォーマンスには定評がある。4月24日には自身の原点回帰を計るべく新しいプロデューサー陣と制作した待望のサード・アルバム「Ride On Time」を発表。6月15日の甲府から始まる全国ツアーも予定している。(Photo By Yukitaka Amemiya)

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