
リンダ&マーヤを取材。N'夙川BOYS活動休止以降、どうしてる?
パルコ「50年目の、新しいパルコ。」- インタビュー・テキスト
- 天野史彬
- 撮影:永峰拓也 編集:矢島由佳子(CINRA.NET編集部)
2016年2月にN'夙川BOYSが活動休止してから、早くも3年の月日が経った。どこかローファイでアングラな匂いのする佇まいとは裏腹に、ドラマ主題歌を担当するなど、大きなポピュラリティも獲得していたN'夙川BOYS。彼らの活動は止まってしまったが、その「ちと? 不安定」な物語は形を変えながらも終わってはいない。
3人のメンバーのうちの2人、リンダdadaとマーヤLOVEは「リンダ&マーヤ」というユニットを結成し、現在活動を行っている(マーヤはKING BROTHERSとしての活動も行っている)。今回リンダ&マーヤが、箭内道彦が監督を務めるパルコ50周年ムービーのテーマソングを担当したということで、直接話を聞くことができた。パルコの今年のコピーは「50年目の、新しいパルコ。」。そしてテーマソングのタイトルは“50'Youth”。変わり続けるパルコ、渋谷、そしてリンダ&マーヤ――。
土のなかに深く伸びる根っこがあるから、木々が太く大きく育つように、人間という生き物もまた、根っこがなければ成長することも変わることもできない。未来へ、新しさへと突き進むのであれば、先を見つめるのと同じくらいの力で、自分の根っこを問わなければいけない。相変わらず「ロックンロール」という言葉を連呼しながら、自らの近況と、変わったことや変わらないことを語ってくれたリンダ&マーヤの2人の話を聞きながら、そんなことを考えさせられた。
俺とリンダでN'夙川BOYSの曲を演奏したんですけど……あれはアカンかったな?(マーヤ)
—この取材は、2人がパルコ50周年ムービーのテーマソングを担当されたことがきっかけで実現したものなんですけど、そもそもの話として、2016年にN'夙川BOYS(以下、夙川)が活動休止して以降の2人の近況が、あまり世に伝わっていないのではないか? という疑念が僕らにはあって。
マーヤ:そうですよね。
—なので、まずは夙川が活動休止して以降の2人の活動についての話から聞かせていただければと思うのですが。
マーヤ:うん、わかりました。
リンダ&マーヤ
2015年に無期限活動休止を発表したN'夙川BOYSのリンダとマーヤが始めたロックンロールユニット。2016年秋活動開始。
—現状2人は「リンダ&マーヤ」というユニットで活動されていますよね。夙川のもうひとりのメンバーであるシンノスケBOYsさんは2013年にKING BROTHERSも脱退されているので、夙川の活動休止以降は表舞台から姿を消している状態でもある。そういうなかで、リンダ&マーヤとして活動していくことは、自然な流れではあったのでしょうか?
リンダ:うん、そうですね。音楽を辞めることはないので。
マーヤ:ただ、2人で活動していくうえで「夙川の曲を演奏することは止めよう」という話はしていて。活動休止してから一度、「夙川のおかげで仲良くなれた」というカップルから「結婚式で“物語はちと?不安定”をどうしても演奏してほしい」とお願いをされたことがあって、そのときだけ、シンノスケくんにも連絡して許可をもらって、俺とリンダで演奏したんですけど……まったくダメで(笑)。あれはアカンかったな?
リンダ:あれは難しかったな。
マーヤ:そのときは、俺がギターを弾いてリンダがドラムを叩いたんです。そもそも、夙川は曲によってポジションが変わるバンドだったので、「2人でも、まぁ大丈夫やろう」と思っていたんですけど、全然できひんかった。ほんまはリンダから歌い始めるのに、俺がいきなり歌い始めてもうて。
リンダ:「それ、うちのパートや!」みたいな(笑)。あれだけ演奏してきた曲やったのになぁ……。
マーヤ:シンノスケくんがいない状態だと、あんなにもバランスが崩れるんやなって。そもそもよくできたアーティストでもない、ギリギリで活動してきた2人で、余計に残念な姿をお客さんに見せるわけにはいかないですからね。それで、2人でやる用の新しい曲を必死に作り始めて、2016年にリンダ&マーヤとして初ライブをしたんです。
—「リンダ&マーヤ」として、目指すべき音楽性などは見えていたのでしょうか?
リンダ:夙川はポップ寄りやったけど、今やっているのは、もうちょっとロックかもしれないね。
マーヤ:最初は、どちらかがドラムでどちらかがギターっていう編成を考えていたんですけど、俺がKING BROTHERSのライブで海外へ行ったときに、打ち込みの音楽で面白い人たちに出会ったんですよね。「これがいいんじゃないか?」と思って、最初、リンダ&マーヤは機械を使った打ち込みの音楽性で始まったんです。
それまでずっと、ライブってぐちゃぐちゃになりながらやるものだと思っていたけど、いざ機械を使うとなったら、押すところを押さないと音が始まらないし、止まりもしない。なので、冷静な判断を常に求められる。人力のバンドだったら、こっちがミスっても、他のメンバーが気を効かせてくれるじゃないですか。でも機械は気を効かせてくれないから、すごく難しくて。最初の方は、2人で途方に暮れながらやってました。
リンダ:そうやね。
マーヤ:それで、2人でやり始めて1年くらい経ったくらいの頃かな。結局、「俺らの曲はバンドの方が向いているんじゃないか?」っていうことになって、今はDMBQというバンドの和田晋侍くんというグレートなドラマーにサポートをお願いしているんです。
でも、和田くんはいろんな活動をされているので、動けないことも多くて。そういうときは、また機械を引っ張り出してきて、俺とリンダの2人でやってます。
サイト情報

- 『パルコ50周年キャンぺーンサイト』
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2019年1月1日からスタートしたパルコの50周年キャンペーン「50年目の、新しいパルコ。」の特設サイト。同サイトでは、インタビュー企画や謝恩企画など、随時情報が更新中。
プロフィール

- リンダ&マーヤ
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2015年に無期限活動休止を発表したN'夙川BOYSのリンダとマーヤが始めたロックンロールユニット。2016年秋活動開始。よくわからないままリズムボックスを垂れ流し、二人でギターを弾きながら歌う、ベースレススタイルで楽曲をハイペースに作曲することに成功、そのまま無理矢理ライブ活動に突入。サポートドラマーを迎えスリーピースで活動中。