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全て曝け出したBLUE ENCOUNT 成功を超えたバンドの葛藤と本音

全て曝け出したBLUE ENCOUNT 成功を超えたバンドの葛藤と本音

BLUE ENCOUNT『SICK(S)』
インタビュー・テキスト・編集
矢島大地(CINRA.NET編集部)
撮影:ヤマダマサヒロ
2019/06/06

BLUE ENCOUNT・田邊駿一は心底めんどくさい表現者だ。本当の自分を曝け出せる場所を音楽とバンドに求めながら、その居場所のなさ自体を器用に音楽にできる作曲脳も持つ。そんな器用さを自分で嫌い、自分を疑い、曲ごとに過去のイメージにカウンターを打つ。そしてまた心からの表現を探し求めては喚き、そのカオスと喚きこそがブルエンの代表曲の数々となってきた。彼の音楽の原風景であるELLEGARDENから連なる2000年代~2010年代の日本のロックを次々に喰らうミクスチャーな音楽性も、そんな脳内カオスを抱える田邊の性質が呼んだものだと言えるだろう。

そうして「ジャンルに縛られない」ことこそを真ん中に据えてきたのがBLUE ENCOUNTだ。しかし彼らが6月5日にリリースしたミニアルバム『SICK(S)』は、上述した歩みと逆行するように、過去の代表曲を裏切っていない王道感だけがズバリと突き抜ける作品だ。バンド4人を繋ぐ原風景であるELLEGARDENへの憧憬を否定しない疾走感の上で、これまで喰ってきたオルタナティヴロック、ギターロック、メロディックパンク、ラップメタルが曲の筋肉となって躍動している。居場所のなさ自体を音楽にしてきたBLUE ENCOUNTが、今こそBLUE ENCOUNT本来の姿になったと掲げる金字塔。そこに至るまでの全部を唾を飛ばしながら語り合うインタビューをここに贈る。なお、今回はBLUE ENCOUNTチームとの取り組みで、インタビューの様子を収録した動画も同時に公開した。動画はオフィシャルサイトにて閲覧可能。赤裸々な語録を、テキストと動画でがっつり浴びてほしい。

「俺はアーティストじゃなくちゃいけない」と思った1、2年がキツかった。

―『SICK(S)』というミニアルバムがリリースされます。この作品を作り終えた今、田邊くん自身はBLUE ENCOUNTをどういうバンドだと捉えられています?

田邊:そうだな……この作品を作ってみて、やっと「アーティスト」になれたっていう気がします。これまでは「アーティスト」っていう言葉が嫌で、「自分はアーティストだ」って言うのも嫌だったんだけど。

BLUE ENCOUNT(ぶるー えんかうんと)<br>田邊駿一(Vo,Gt)、辻村勇太(Ba)、高村佳秀(Dr)、江口雄也(Gt)よる4ピースロックバンド。2004年に活動開始。2014年9月にEP『TIMELESS ROOKIE』でメジャーデビュー。2015年7月に1stフルアルバム『≒』(ニアリーイコール)をリリースし、2016年10月には日本武道館公演を開催。2017年1月には2ndフルアルバム『THE END』を、2018年3月に3rdフルアルバム『VECTOR』をリリース。結成15周年となる2019年は、バンド史上初のホールツアーを開催する。
BLUE ENCOUNT(ぶるー えんかうんと)
田邊駿一(Vo,Gt)、辻村勇太(Ba)、高村佳秀(Dr)、江口雄也(Gt)よる4ピースロックバンド。2004年に活動開始。2014年9月にEP『TIMELESS ROOKIE』でメジャーデビュー。2015年7月に1stフルアルバム『≒』(ニアリーイコール)をリリースし、2016年10月には日本武道館公演を開催。2017年1月には2ndフルアルバム『THE END』を、2018年3月に3rdフルアルバム『VECTOR』をリリース。結成15周年となる2019年は、バンド史上初のホールツアーを開催する。

―これまでは自分と「アーティスト」をどう位置づけていたから、アーティストっていう言葉を嫌ってたんですか。

田邊:基本的に世の中の人が思うアーティストって、理想の楽曲を作るためのゴールに向けて時間をかけていたりする、「完全無欠で唯一無二で人を連れて行ける存在」だと思ってて。でも俺はそうなりたいと思って音楽を始めた人間ではなくて。

ただ、メジャーで5年間頑張ってきて、武道館やアリーナでもやれるようになって、「俺はアーティストじゃなくちゃいけない」って思ったことがあったのね。「アーティストだからこういうことを言います」みたいなフィルターをかけて言葉を発する必要があるんじゃないかって。それがこの1、2年だったんだけど、やっぱり結構しんどくて。でもここまでの1年くらいに紆余曲折があって、『SICK(S)』を作れたことで、自然体でアーティストになれたんじゃないかなって思う。

―自然体で、というのは、『SICK(S)』はこれまでで一番素直に曲を作れたとか、自分らしさを掴めた感覚があるとか、そういう話なんですか。

田邊:うん、うん。そうだと思う。

BLUE ENCOUNT“ハウリングダイバー”を聴く(Apple Musicはこちら

―自分達の立ち位置を決めず自由でいたいからこそ、田邊くんが生きてきた2000年代から2010年代を網羅した、ロック全方位的な音楽性だったと思うんですね。でも今回は、直球と王道だけをズバリと鳴らしている作品だと思ったし、だからこそBLUE ENCOUNTとはどんなバンドなのか、という質問から始めたんです。そのあたり、自分で思い当たることはありますか。

田邊:言ってもらった通りで。『SICK(S)』を作り始めて1曲1曲の断片が見えてくるにしたがって、今「王道」って言ってくれたような作品にしたい気持ちになっていって。この作品に至るまでの1年くらい、自分にとってのアーティスト像も含めて、「どうしたらいいかわかんない」って感じでキツかったし、それを乗り越えられたからこそ作れた作品だと思っていて。

BLUE ENCOUNT『SICK(S)』ジャケット写真
BLUE ENCOUNT『SICK(S)』ジャケット写真(Amazonで見る

「熱血」みたいな自分達のパブリックイメージを壊したくて『VECTOR』というアルバムを作った。

―そのキツさっていうのは?

田邊:場数は踏んできてるし、言ってくれたように曲のバリエーションもある。だからどんな場所でもやれる自負はあるのね。ただ、できることが増えるのと反比例して、自分がなにをしたいかがわからなくなっていったところがあった。だからこそ、その時に自分達の持っている引き出しを確認してひとつの作品にしたのが2018年3月に出した『VECTOR』だったし、間違いなくベストを尽くせたアルバムだったと思うんだよ?

ただ、『VECTOR』の曲をツアーで歌っている時がキツくて。自分の中で違和感になっていたのが――自分達4人の持っているものを磨いて作れた作品ではあったけど、結局は「CD容量をギリギリまで使って幅を全部見せよう」っていうところから始まってた作品な気がして。で、それはなぜかって考えたら、自分達のパブリックイメージを壊して、イチから作りたかったからなんだよね。

BLUE ENCOUNT『VECTOR』を聴く(Apple Musicはこちら

―パブリックイメージとは、熱血とか、涙を流すMCとか、その過剰性で語られるっていう部分? それが枷になっていたと。

田邊:そう。俺がMCで泣いていた部分とか、とにかく熱血、みたいなところが変に切り取られて伝わることは未だにあって。だったらBLUE ENCOUNTのイメージをイチから作り直して「自分達とは?」っていうことの答えを出そうと葛藤していたのが『VECTOR』の時期だったと思うんだよね。

田邊駿一

―はい。

田邊:でも結局「BLUE ENCOUNTとは」っていう答えはなかなか言葉にならなかったし、ラストに“こたえ”っていう曲もあったけど、あそこでも結局は<なにが正しいかわからない>って歌ってたんだよね。正攻法の曲を作ったはずなのに、その正攻法がなんなのかが全然わからないままだったから。

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リリース情報

BLUE ENCOUNT『SICK(S)』完全生産限定盤
BLUE ENCOUNT
『SICK(S)』完全生産限定盤(CD+Tシャツ、ピックキーホルダー&ステッカー)

2019年6月5日(水)発売
価格:4,500円(税込)
KSCL-3168

1. PREDATOR
2. ワンダーラスト
3. ハウリングダイバー
4. #YOLO
5. 幻聴
6. アンコール

『SICK(S)』通常盤(CD)

2019年6月5日(水)発売
価格:1,800円(税込)
KSCL-3170

1. PREDATOR
2. ワンダーラスト
3. ハウリングダイバー
4. #YOLO
5. 幻聴
6. アンコール

イベント情報

『HALL TOUR 2019 apartment of SICK(S)』

2019年6月9日(日)
会場:熊本県 市民会館シアーズホーム夢ホール(熊本市民会館)

2019年6月21日(金)
会場:東京都 中野サンプラザホール

2019年6月28日(金)
会場:大阪府 大阪オリックス劇場

2019年7月15日(月・祝)
会場:愛知県 名古屋市公会堂 

プロフィール

BLUE ENCOUNT(ぶるー えんかうんと)

田邊駿一(Vo,Gt)、辻村勇太(Ba)、高村佳秀(Dr)、江口雄也(Gt)よる4ピースロックバンド。2004年に活動開始。2014年9月にEP『TIMELESS ROOKIE』でメジャーデビュー。2015年7月に1stフルアルバム『≒』(ニアリーイコール)をリリースし、2016年10月には日本武道館公演を開催。2017年1月には2ndフルアルバム『THE END』を、2018年3月に3rdフルアルバム『VECTOR』をリリース。結成15周年となる2019年は、バンド史上初のホールツアーを開催する。

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