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全て曝け出したBLUE ENCOUNT 成功を超えたバンドの葛藤と本音

全て曝け出したBLUE ENCOUNT 成功を超えたバンドの葛藤と本音

BLUE ENCOUNT『SICK(S)』
インタビュー・テキスト・編集
矢島大地(CINRA.NET編集部)
撮影:ヤマダマサヒロ
2019/06/06

これまで曲はできても、そこに何を乗せられるのかっていう部分で薄味になって流れていくものがたくさんあった。

―勇気の要ることをお互いに話したし、嘘をつく必要がもうなくなったということですよね。だからこそこのままじゃ死ねないっていう言葉になったと。

田邊:その次の日に会社で会議して、スタッフさんたちに「皆さんが信じてくれているBLUE ENCOUNTをたくさんの人に伝えたいです」っていう話をして。そのまま1ヵ月で作り終えたのが、『SICK(S)』なんですよ。

田邊駿一

―なにに葛藤してたかって、状況やパブリックイメージに対する不安も、規模に対する「アーティスト」っていう責任感もあったんだろうけど、それ以上に、この先どんなバンドとして人の心になにを残すのか、っていうバンドの在り方が見えないのが大きかったんでしょうね。

田邊:……そういう葛藤を乗り越えて、メンバーそれぞれに弱みも見せて嘘をつかなくていい状態になったからこそ、今回は「BLUE ENCOUNTとは」っていう答えが初めて見えた作品を作れたと思うんですよね。だって、初めて歌詞を書くのが楽しいと思えたんだから。今までは「どんな言葉なら響くかな」とか考え込んでたから、歌詞がとにかく大変だったんだけど。

―“アンコール”の<これからもあなたと歌いたい>っていうのは、お客さんはもちろんだけど、仲間を思い切り信頼して、一番近い人に向けて本心を歌えたところもありますか。

田邊:それは大きいと思う。だから、この『SICK(S)』を作り終えた時に初めて、自分なりに「アーティスト」の定義を持てたの。アーティストって、自分の本当の気持ちを音楽にできるヤツなんだなって。言葉にすると簡単だけどさ、それがずっと辿り着きたかったところだったんだよね。

BLUE ENCOUNT“アンコール”を聴く(Apple Musicはこちら

―さっきも話したように、想いとは別に作曲し続けられる器用な作曲家の部分と表現者の部分が、違う場所で独立している捻れが田邊くんの面白さでもあったと思うんです。でも今の話は、それが合致して塊になった感覚があるということですか。

田邊:そうだと思う。初めて想いと曲が一枚岩になったのが今回で、それがBLUE ENCOUNTらしさの始まりなんだなって思いますね。 器用さの前に、作品と楽曲で自分の気持ちを吐き出すのが一番大事だと改めて思った。自分が思っていたアーティスト像とは違って、こんなにも血の通った存在がアーティストなんだなって理解した感じに近いかもしれない。

これまで曲はできても、そこに何を乗せられるのかっていう部分で薄味になって流れていくものがたくさんあったんだなって。だから説明が必要で、MCが長くなってたんだろうし……。

田邊駿一

―作詞の話もあったけど、ハッキリ言ってしまえば、人の顔色を横目に見て器用に曲を書ける部分もあったじゃないですか。だからこそ、「あの時の自分は本当の自分だったか」と疑って、それをガソリンにして歌でも曲でも自分を探してきた人だと思っていて。その性質は、ご自身のどういう背景から生まれてきたものなんだと思います?

田邊:よく言われるのよ、「本当のお前を見せてくれ」って。でも、これは昔から同じで、自分の中では普通なんだよ。ただ、この俺を形成したものが何かと言ったら、教育かもしれない。

両親がとにかく「外に出た時に恥ずかしくないように」って言う人だったのね。で、7つ上の姉も学校の弁論大会ですごい成績を残すような人だったから、姉にも「ちゃんとしなさい」って言われてきて。親父は飲みに行く先には必ず連れて行ってくれてたし、ずっと大人と一緒にいたのが大きいと思う。人の顔色を窺うというより、人のツボがすぐにわかっちゃうんだよね。

たとえばテストで100点を取って誇らしげに親父に見せた時に、「ふーん」みたいな感じだったの。で、普通だったら「喜ばないなんてショック!」ってなるところが、俺の場合は「この人が喜ぶポイントはそこじゃないんだ」ってやけに冷静に分析してたんだよね。そのあたりから、人が何をしたら喜ぶのかをやけに冷静に見る自分は生まれてたと思う。

田邊駿一

音楽によって自分本位に考えられるようになりたいって思い続けてきたんだよね。俺の場合はずっとそれだった気がする。

―そんな自分が、何より自分を喜ばせるものとして出会えたのが音楽だったんですか。

田邊:そう、まさに一番自分が喜べるのが音楽だった。その時に出会ったのがELLEGARDENで、細美(武士)さんだったの。あんなふうに歌えたら気持ちいいだろうなって純粋に思えて。誰のことも考えず、自分がカッコいいと思う自分になれると思えたのは、音楽が初めてで。だから音楽は諦めず続けてきたし、音楽によって自分本位に考えられるようになりたい、って思い続けてきたんだよね。俺の場合はずっとそれだった気がする。

―実際、今回の歌詞は以前と比べて、歌詞が「誰かの目線に合わせていない」という感じがするんですよね。

田邊:そう、今回の曲は自分のために書いた歌ばっかりで。今までは、どうしていいかわからないけどみんなに光を与えたいっていう歌を歌ってきたと思うのね。

田邊:でも「このままじゃ死ねない」って思ったからこそ、もう着飾る必要はなくて。ただ「こういうことがムカつきます」「こういうことに悩んでます」「なにも諦めたくないです」って書けて、だからこそ「あなたも一緒なら、俺達と来てほしい」って歌えたんだよね。どういうバンドになりたいですか? ってよく聞かれる質問にもやっと答えられる気がしてる。誰かを連れて行きたいなんて今は思わない。遥か向こうで待ってるよ、とも思わない。向こうが見えないからこそ、闇雲にもがいて、一緒に生きませんかって言えるバンドなんだと思う。

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リリース情報

BLUE ENCOUNT『SICK(S)』完全生産限定盤
BLUE ENCOUNT
『SICK(S)』完全生産限定盤(CD+Tシャツ、ピックキーホルダー&ステッカー)

2019年6月5日(水)発売
価格:4,500円(税込)
KSCL-3168

1. PREDATOR
2. ワンダーラスト
3. ハウリングダイバー
4. #YOLO
5. 幻聴
6. アンコール

『SICK(S)』通常盤(CD)

2019年6月5日(水)発売
価格:1,800円(税込)
KSCL-3170

1. PREDATOR
2. ワンダーラスト
3. ハウリングダイバー
4. #YOLO
5. 幻聴
6. アンコール

イベント情報

『HALL TOUR 2019 apartment of SICK(S)』

2019年6月9日(日)
会場:熊本県 市民会館シアーズホーム夢ホール(熊本市民会館)

2019年6月21日(金)
会場:東京都 中野サンプラザホール

2019年6月28日(金)
会場:大阪府 大阪オリックス劇場

2019年7月15日(月・祝)
会場:愛知県 名古屋市公会堂 

プロフィール

BLUE ENCOUNT(ぶるー えんかうんと)

田邊駿一(Vo,Gt)、辻村勇太(Ba)、高村佳秀(Dr)、江口雄也(Gt)よる4ピースロックバンド。2004年に活動開始。2014年9月にEP『TIMELESS ROOKIE』でメジャーデビュー。2015年7月に1stフルアルバム『≒』(ニアリーイコール)をリリースし、2016年10月には日本武道館公演を開催。2017年1月には2ndフルアルバム『THE END』を、2018年3月に3rdフルアルバム『VECTOR』をリリース。結成15周年となる2019年は、バンド史上初のホールツアーを開催する。

関連チケット情報

2020年9月21日(月)
BLUE ENCOUNT
会場:オリックス劇場(大阪府)

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