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一見サイケな集団? 音も絵も画も手がける空中カメラの正体

一見サイケな集団? 音も絵も画も手がける空中カメラの正体

空中カメラ『COMMUNICATIONs』
インタビュー・テキスト
天野史彬
撮影:山口こすも 編集:矢島大地(CINRA.NET編集部)

ヒップホップとかに対してアンチではないけど、「ハーモニーが豊かなものを聴きたい人だっているでしょ?」とは思う。(田中)

―情報を詰め込むっていうのは、自分たちの作品作りにおいて大事なポイントですか?

:そうですね。今回の『COMUNICATIONs』でも、参照点や引用もとは沢山あるんです。例えば、“SPACE RANGER”とかのスペーシーなサウンドは、ELOをもとにしていたり。

空中カメラ『COMMUNICATIONs』を聴く(Apple Musicはこちら

田中:あと、“My silly friend”は、曲の構成はJellyfishっぽくして、ギターソロはQueenで、とか。あと、フリッパーズ・ギターからの影響を受けた曲もあるし、大瀧詠一さんの影響を受けた曲もあるし。好きだから自然に出てきたものもあるし、敢えて記号として入れている部分もあるんですけど、そうやって自分たちが影響を受けてきた要素を曲の中に入れていくことで、聴いた人がニヤリとしてくれたら、それもコミュニケーションとして楽しいのかなって。

左から:牧野岳、田中野歩人
左から:牧野岳、田中野歩人

寒川:空中カメラがやっていることって、この世にあるいろんな情報とか、これまでの時代にあった自分たちが「いいな」と思ったすべてを、創作物として結晶化させるっていうことだと思うんですよ。そして、「これが、自分たちの体に流れているものだ」っていうものを作り上げて、世の中に提示したいんですよね。

田中:今、世の中的に主流の音楽は完全に音が減っていく流れにあるけど、僕らは、隙間があれば音を詰め込みたいと思ってしまうので。別に、今流行りのヒップホップとかに対してアンチな態度をとりたいわけではないけど、「メロディが強くて、ハーモニーが豊かなものを聴きたい人たちだっているでしょ?」とは思うんですよね。僕もそのひとりなんですが。

―「ハーモニー」って、空中カメラの音楽性を語るうえで大きなポイントだと思うんですよね。それこそ、皆さんが好きだったというThe Beatlesやたまだって、ハーモニーに魅力がある音楽だったわけで。何故、空中カメラはハーモニーに惹かれるのでしょう?

寒川:原体験的なものじゃない?

:そうだね。僕らが小学校の頃に『ハモネプ』が流行ったんですよね。その頃に、隼が家で多重録音をして、ひとりでアカペラを作り始めたりしたので、僕もそれを真似したりしていて。そこから、The Beatlesを聴くようになっていったっていう。それが今でも、自分が曲にコーラスを入れたがる理由かもしれないです。

左から:中村竜、中村隼、寒川響
左から:中村竜、中村隼、寒川響

ノベルティソングの面白さに、大瀧詠一さんの存在を知ることで気づいた。そこが出発点なんですよね。(牧野)

―なるほど。いくら「ハーモニー」と言っても、竜さんの中には、「ひとりで作りだすもの」という感覚がはじめはあったんですね。

:そもそも、父は学生時代に音楽をやっていて、父が作った多重録音のテープを聴かせてもらったりもしていたんですよね。それに、家にベースやピアノもあったし、学校を休んでいる間に楽器を触る時間も多くて。

その頃からギターのコードをピアノに移して音を録って、「これが和音か」って。そうやって音楽を始めた当時、山下達郎さんや斉藤和義さん、桑田佳祐さん、奥田民生さんみたいに、ひとりで全部できてしまう人たちがカッコいいと思ったんですよ。そこに対する憧れもあったので、いろんな楽器を練習し始めて。

―そういう光景を、当時隼さんは見ていたわけですよね?

:そうですね。竜くんは「勘違い」が上手いというか。自分が好きなことに対しては、「自分は絶対にこういうことができる」って思い込めるんですよね。好きなことに対して真っ直ぐというか。だから、楽器を練習するのも「練習する」っていう感覚じゃなくて、ひたすら自分の好きなように楽器を楽しんでいるっていう感覚なのかなって思います。

:そこから、高校1年生くらいの頃に僕がMTRを買って、ふざけたCMソングを作ってみたんです。それを田中に聴かせたら、「いいじゃん、曲を丸々作ろうよ」っていう話になって、バンドが始まっていったんですよね。

寒川:最初はシャンプーのCMソングだったよね?

:そう、「シャンプーは夏の贈り物」みたいな(笑)。

空中カメラ『Dr.KIDS LIFE』を聴く(Apple Musicはこちら

―最初がノベルティソングって、かなり特殊なバンドの始まり方ですよね(笑)。

牧野:でも、ノベルティソングの面白さって、後から大瀧詠一さんの存在を知ったりすることで気づいていった感じもあって。「俺たち、正しかったんだ」みたいな。だから、意外とそこが出発点なんですよね。

空中カメラ

:そこから10年くらい、よく続いてるよねぇ。

田中:確かにねぇ。例えば大学とかで結成されたバンドだと、「形にならなかったら就職しよう」とか、「売れなかったら辞めよう」みたいな意識が芽生えたりもすると思うんですけど、僕らの場合はそういう意識が生まれる前から続いているから。

寒川:それぞれ、違う大学には進んだけど、結局、このメンツでつるんできたもんね。小学生の頃って、誰かの家が溜まり場になるじゃないですか。「あいつの家にはゲームがある」みたいな理由で。空中カメラはずっとそういう場所なんですよね。

田中:子供の溜まり場だよね。「あいつの家には『こち亀』が全巻あるから行こう」みたいな。

寒川:一生これか? 老人ホームに入っても、結局、竜のいるホームに集まる、みたいな(笑)。

:なんでだよ!(笑)

空中カメラ
空中カメラ
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リリース情報

空中カメラ『COMMUNICATIONs』
空中カメラ
『COMMUNICATIONs』

2019年5月29日(水)発売
価格:2,592円(税込)
VMAN-082

イベント情報

『空中カメラ主催「シャッターチャンス」』

2019年6月30日(日)
会場:東京都 渋谷HOME
ゲスト:ayU tokiO

『空中カメラ ワンマンライブ』

2019年8月2日(金)
会場:東京都 渋谷O-nest

プロフィール

空中カメラ(くうちゅうかめら)

中村竜(Vo,Gt)、田中野歩人(Key,おもちゃ&その他)、牧野岳(Ba,Cho)、寒川響(Gt,おもちゃ)、中村隼(Dr)の5人からなるバンド。幼、小、中、高校の同級生(1992~93年生まれ)とその兄で構成される。宅録ユニットとしてスタートし、徐々にライブ活動を開始。1960~1970年代英米ポップ・ロックのフィーリングと、1980年代ニューウェイブのエッジ感と、J−POPのメロディ感覚が絶妙に混ざり合った、大ポップワールドを展開中。ビデオ、デザイン、イラストレーション、ウェブサイト、漫画までメンバーが手掛ける。

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