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VIDEOTAPEMUSICが「教えて」と歌った背景。問題意識も語る

VIDEOTAPEMUSICが「教えて」と歌った背景。問題意識も語る

VIDEOTAPEMUSIC『The Secret Life Of VIDEOTAPEMUSIC』
インタビュー・テキスト
天野史彬
撮影:前田立 編集:山元翔一(CINRA.NET編集部)
2019/07/26

VIDEOTAPEMUSICの4作目のフルアルバム『The Secret Life of VIDEOTAPEMUSIC』は、全11曲中9曲にゲストボーカルを招いた「歌」のアルバム。横山剣や高城晶平、折坂悠太といった国内のシンガーたちを始め、韓国、台湾、フィリピンといった日本国外で活動するシンガーたちも参加した、世代も国境も言語も超えた重層的な作品に仕上がっている。本作に関してVIDEOTAPEMUSIC自身が発表したコメントには、「自分がまだ知らないことへの好奇心(と恐怖と謙虚さ)を胸に、ただひたすら真面目に作り上げた」という言葉があったが、「好奇心(と恐怖と謙虚さ)」という言葉がまさに、彼がどのようにして他者の「歌」に向き合ったのかを物語っているといえるだろう。

詳しくは本文にゆずるが、本作におけるテーマのひとつに「身体性」があったという。「身体」というのはつまり、人の「孤独」そのものなのだと僕は思う。なぜなら、身体とはひとりがひとつしか持つことができないもので、他者と決してわかちあうことができないものだから。この『The Secret Life of VIDEOTAPEMUSIC』には、数多の孤独が集まっている。そしてそれらの孤独が、とても美しく、凛と響き合っている。過去最高に魅惑的な「謎」をはらんだこの傑作について、本人にじっくりと話を聞いた。

第三者と一緒に作品を作ることで、自分にはない考え方、他者のなかにある謎の部分に向き合おうとした。

―新作『The Secret Life of VIDEOTAPEMUSIC』は、これまでのVIDEOさんの作品のなかで最も「謎に満ちた作品」という印象を僕は受けました。これまでの作品はコンセプトを受け止めることによって理解できる部分が多かったですが、今作は、どれだけ聴いてもわからないものがあるというか。

VIDEO:それ自体が、このアルバムの重要なテーマではありましたね。「わからないもの」へどう向き合っていくのか、「知らないもの」をどう取り入れていくのか。「知っていること」ではなく「わからないこと」を共有していく。それは、このアルバム全体を作るうえで考えていたことです。

VIDEOTAPEMUSIC(びでおてーぷみゅーじっく)<br>地方都市のリサイクルショップや閉店したレンタルビデオショップなどで収集したVHS、実家の片隅に忘れられたホームビデオなど、古今東西さまざまなビデオテープをサンプリングして映像と音楽を同時に制作している。2019年7月、アルバム『The Secret Life of VIDEOTAPEMUSIC』を発表。同作には、横山剣(クレイジーケンバンド)や高城晶平(cero)、折坂悠太といった国内のシンガーたちをはじめ、韓国、台湾、フィリピンといった日本国外で活動するシンガーたちが参加している。
VIDEOTAPEMUSIC(びでおてーぷみゅーじっく)
地方都市のリサイクルショップや閉店したレンタルビデオショップなどで収集したVHS、実家の片隅に忘れられたホームビデオなど、古今東西さまざまなビデオテープをサンプリングして映像と音楽を同時に制作している。2019年7月、アルバム『The Secret Life of VIDEOTAPEMUSIC』を発表。同作には、横山剣(クレイジーケンバンド)や高城晶平(cero)、折坂悠太といった国内のシンガーたちをはじめ、韓国、台湾、フィリピンといった日本国外で活動するシンガーたちが参加している。

―「わからない」ということを決して悲観するのではなく、むしろポジティブに受け止めたうえで作られた作品ということだと思うんですけど、そうしたテーマが生まれたきっかけは、なにがあったのでしょうか?

VIDEO:自分にとってわからないもの、未知のもの……言うなれば、他者、異文化、異世代ですよね。そういったものに対して音楽や映像を通してどう向き合っていくのか? というのは、自分の一貫したテーマではあるんです。

今までもVHSやレコードのような記録メディアのなかから自分と違うものを見つけてきて、それに向き合いながら作品を作ってきたし、前作『ON THE AIR』(2017年)は「土地」という観点から、自分にとって未知のものや異文化を抽出した作品だったので。

VIDEOTAPEMUSIC『ON THE AIR』を聴く(Apple Musicはこちら

VIDEO:今回は、その対象が「人」になったっていう感覚なんです。ゲストボーカルという第三者と一緒に作品を作ることで、自分ではコントロール不可能なことや、自分にはない考え方、他者のなかにある謎の部分に向き合おうとした、というか。

―前作以降、VIDEOさんが見つめる対象が「人」に至った流れはどのようなものだったのでしょうか?

VIDEO:前作をリリースしてから、海外でライブをやったり作品をリリースする機会もあったし、クレイジーケンバンドのライブでVJをやらせてもらったり、自分のバンドにエマーソン北村さんが加わってくれたりもして、国や世代が違う人たちと共同作業をすることが増えてきたんです。

もともと僕にとっての音楽制作は「個人的なもの」っていう意味合いが強かったけど、音楽を通じて、普通に生活していたらコミュニケーションをとれなかったような人たちとコミュニケーションをとることができるようになってきた。そういう実感が、前作以降の自分にはあって。

VIDEOTAPEMUSIC“南国電影(feat. 横山剣)”を聴く(Apple Musicはこちら

VIDEO:前作ではグッとパーソナルな部分にフォーカスしたぶん、「次は思いきり、音楽という言語を使って様々な人と、共同作業してみよう」っていうモードになっていったんです。それこそ海外でライブしたときとかに、音楽という言語を使うことで、言葉が通じない相手とも会話できることがあるんだっていうことを、身をもって知った……こういう言い方をすると非常に恥ずかしいんですけど(笑)。

―いやいや(笑)。

VIDEO:国境間や世代間でも、もっと単純に他人同士でも、どうしても超えられない壁があったときに、音楽が先回りして仲よくなってくれているなっていう実感が僕にはあって。そういう体験から得たもので、作品を作ってみようと思ったんですよね。

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リリース情報

VIDEOTAPEMUSIC『The Secret Life Of VIDEOTAPEMUSIC』
VIDEOTAPEMUSIC
『The Secret Life Of VIDEOTAPEMUSIC』(CD)

2019年7月24日(水)発売
価格:3,024円(税込)
DDCK-1061

1. 教えて
2. 南国電影(feat. 横山剣)
3. Stork(feat. 折坂悠太)
4. ilmol(feat. Kim Na Eun)
5. ネペンテス
6. 連絡船(feat. ロボ宙)
7. PINBALL(feat. 髙城晶平)
8. You Drive Me Crazy(feat. Murky Ghost)
9. Faster Than The Sun(feat. カベヤシュウト)
10. Cocktail Moon(feat. Mellow Fellow)
11. Summer We Know(feat. mmm)

イベント情報

『“The Secret Life of VIDEOTAPEMUSIC” Release Tour』

2019年8月24日(土)
会場:大阪府 246ライブハウスGABU
ゲスト:折坂悠太

2019年8月25日(日)
会場:愛知県 名古屋 CLUB QUATTRO
ゲスト:折坂悠太

2019年8月31日(土)
会場:東京都 キネマ倶楽部

プロフィール

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VIDEOTAPEMUSIC(びでおてーぷみゅーじっく)

地方都市のリサイクルショップや閉店したレンタルビデオショップなどで収集したVHS、実家の片隅に忘れられたホームビデオなど、古今東西さまざまなビデオテープをサンプリングして映像と音楽を同時に制作している。VHSの映像とピアニカを使ってライブをするほか、MV制作、VJ、DJ、イベントのオーガナイズなど活動は様々。ライブにおいては、クラブシーンからインディペンデントシーンまで幅広く活動。ダンスミュージックとしての下地に、近年盛り上がりを見せつつあるムード音楽やラウンジミュージックの文脈から繰り出すポップでメロウなメロディは絶妙であり、映像のセンス含め、まさに洒脱な音楽を作り出している。カクバリズムからは、2015年にロングセールス中の2ndアルバム「世界各国の夜」を、2017年10月には3rdアルバム「ON THE AIR」をリリース。映像のみならず音楽との双方向でゆらゆら踊れる夜を演出する、そんな素敵な男がVIDEOTAPEMUSICである。

関連チケット情報

2020年12月18日(金)
cero
会場:仙台Rensa(宮城県)

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