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cyberMINK、地下アイドルから音楽家になった音楽オタクのギャル

cyberMINK、地下アイドルから音楽家になった音楽オタクのギャル

cyberMINK『Happy Overload』
インタビュー・テキスト
天野史彬
撮影:宇佐美亮 編集:山元翔一(CINRA.NET編集部)
2019/08/21

自分のことを「可愛い」と言っていくことは、ひとつの処世術としてめっちゃ大事だと思うんですよね。

―雛さんがそういう言葉を歌詞に書くのは、どこかで、世の女性たちに対するメッセージ的な部分もあるんですかね?

:“Happy Overload”はちょっと意識して書きました。最近、Twitterとかを見ていると「女がどうこう」っていうのはよく見るから(笑)。ただ、うちは「女には女の地獄があって、男には男の地獄がある」って思っているタイプなので、「女も男も、お互いが思いやれればいいね」っていう感じなんですけど(笑)。でも結局、私には男の気持ちはわからないから、女性目線で立ったときの気持ちについて歌っちゃいますね。

cyberMINK

―人は結局、自分のことしかわからないですもんね。ただ、“Happy Overload”の歌詞は「自分のこと」がより抽象化されているから、曲のなかに聴き手が気持ちを落ち着かせることができることもできると思うんですこともできると思うんです。そういう意味でも、やはりこの曲は「聴き手に語りかける」という側面が強いですよね。<ハッピーが苦手と言うなら 可愛いって口に出した方がいいよ>というラインもありますけど。

:そうですね。前に、元地下アイドルの友達ふたりと、ハロプロのコピーユニットをやっていたことがあって。それは遊びのユニットで、cyberMINKをはじめる直前に最後のライブに出させてもらったんですけど、3人で楽屋に集まったとき、「今日は楽屋の時点でうちらが一番可愛いし、うちらが一番いいライブしてる」って言い合っていたんです。自分たちを「可愛い」って言っていくことはすごく大事なんだなって、そのときすごく思って。

本当に自分のことを可愛いと思えているかというと全然そんなことはないし、この世界を変えることなんてできないけど、でも、自分で自分のことを「可愛い」と言っていくことは、ひとつの処世術としてめっちゃ大事だと思うんですよね。

cyberMINK

―いろいろお話を聞いてきましたけど、雛さんの音楽家としてのアイデンティティーは、ひと言では言い切れない、とても複雑なものですよね。「個」としての濃度が非常に高い方だなって思います。

:簡単に言うと、私は音楽オタクであり、ギャルです(笑)。

―わかりやすい(笑)。でも、すごく独特なスタンスですよね。

:さっき「ダンス部に入っていた」って言いましたけど、中学生の頃は漫画研究会にも入っていて。ギャルの陽キャしかいない部活と、腐女子しかいない部活の両方に並行して入っていたんです。すごく両極端な感じで、それはそれでバランスを取るのが大変だった……というか、私はこれまでの人生でずっと「バランスを取るのが大変」って言っているような気がします。

たぶん、両極端な感性を自分のなかに持っているんですよね。それは音楽的にも、人生的にも。なにかとなにかの間でずっと揺れているし、そのせいでしんどくなることもあって。どこにも居場所がない感じ。そういう感覚が、「ひとり」を歌う歌詞につながるのかもしれないです。

cyberMINK

音楽って、私の一生を使っても聴き切ることはできないし、奥が深い。

―でも、帰属する場所がないからこそ、その人は「自分自身」に帰属していくし、それが個性になっていくと思うんです。これは勝手なイメージですけど、身体的な表現を求めるということは、現実の様々なしがらみを断ち切ったうえでの自由や解放を求めている、ということにもつながると思っていて。雛さんにも、そういう部分はあるのかなと。

:そうですね。あれ、どうしてなんでしょうね? 自由に生きてきたはずだし、「しがらみなんてあったっけ?」っていう感じなんですけど……でも、「自由になりたい」みたいな感覚はあるような気がします。

なにから自由になろうとしているのかすら、わからないですけど。みんな、なにから自由になりたいんでしょうね? まぁ、その感覚も、みんな同じものではないんでしょうけど。

―きっと、そうですね。

:私は子どもの頃から大人しい子どもではなかったし、中高の頃も暴れて休学騒ぎとかもあったりしたんです(笑)。そういうのって、自分のなかになにかがくすぶっていないとできないことじゃないですか。

cyberMINK

:でも今思うと「なににそんなにキレていたんだろう?」っていう感じなんですよね(笑)。当時のあのわけわからないエネルギーって、自分でも上手く説明できない。その衝動の正体は、自分でもわからないんです。

それが思春期のみんなにあるものかと言えば、案外そういうものでもないものじゃないですか。逆に、30歳を過ぎてから、そういうのが表れる人もいるし……とにかく、10代や20代前半の頃は、本当に暴れん坊で。そんな当時の自分にとって音楽は心のよりどころで、なきゃいけないものだったんだろうなって思います。

―今はどうですか?

:いろんなことをやってみて、いろんな失敗もして、自分に必要なものや自分にできることも少しずつわかって余裕ができたからだと思うんですけど、「依存」は抜けて、今は、音楽とは「友達」くらいの関係になれている感じがします。

cyberMINK

―お話を聞いて、雛さんがこの先どんな音楽を生み出していくのか、とても楽しみになりました。ご自身で、この先の展望はありますか?

:目指すべき存在があるっていうわけじゃないんですけど、もう一度大学に行きたいなって思っています。私、第一志望だった東京藝大に落ちて、第二志望だった日芸の音楽科に通ったんですけど、その頃、精神的に幼稚だったこともあり(笑)、中退しちゃったんですよね。でも、ひと通り遊べることは全部遊んだので、もうそんなに悪いことをしなくてもいいし(笑)。

―ははは(笑)。

:今は「やっぱり私は音楽が好きなんだな」って自覚しているし、「自分はこれで生きていくんだな」っていう軸もできたから。これからもっと、聴いたことのない音楽をたくさん聴きたいんですよね。日本にいたら、どうしても日本のチャートを追っちゃうけど、今は世界中のいろんな国のチャートやプレイリストを簡単に見ることができるじゃないですか。そういうのを見ると、「世界って全然違うんだな」って思うんです。

音楽って、私の一生を使っても聴き切ることはできないし、奥が深いし、だからこそ、クラシックでも南米音楽でも、なんでも勉強できる環境にいたいなって思ってます。……まぁcyberMINKとしては、今後もしばらくはあっち行ったりこっち行ったりするんじゃないですかね(笑)。

cyberMINK
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リリース情報

cyberMINK
『Happy Overload』(CD)

2019年8月21日(水)発売
価格:1,080円(税込)
TRGR-1012

1. Happy Overload
2. チルチルミチル
3. D.D.M.P

イベント情報

cyberMINK企画LIVE『サイバードドンパ』

2019年8月29日(木)
会場:東京都 渋谷SPACE ODD
出演:
cyberMINK
KAQRIYOTERRO
ぜったくん
どんぐりず

2019年9月6日(金)
会場:愛知県 名古屋HeartLand
出演:
cyberMINK
KAQRIYOTERROR
ぜったくん

『cyberMINK「Happy Overload」インストアイベント』

2019年8月23日(金)
会場:大阪府 タワーレコード梅田NU茶屋町店

2019年8月24日(土)
会場:愛知県 名古屋PARCO西館1階エントランス

2019年9月1日(日)
会場:埼玉県 大宮アルシェ 1Fイベントステージ

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