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21年目の韻シストが語る、目指すは全世代に届くヒップホップ

21年目の韻シストが語る、目指すは全世代に届くヒップホップ

韻シスト『SHINE』
インタビュー・テキスト
金子厚武
撮影:垂水佳菜 編集:川浦慧(CINRA.NET編集部)
2019/08/07

ヒップホップがイロモノじゃなくなりましたよね。(TAKU)

―哀愁とか切なさという意味では、TAKUさんがボーカルを担当した“よあけの歌”も象徴的な1曲ですよね。

TAKU:ヒップホップを生演奏する自分たちのスタイルからするとちょっとシュールかもしれないですけど、いろんな音楽を吸収してきて、楽器ができるやつもいれば、リリックを書けるやつもいる、そのクルーでエバーグリーンな曲というかずっと語り継がれるような曲を作ってみたいと思ったんです。

「みんなのうた」とか、音楽の教科書に載るような、シンプルに詞とメロディーが素晴らしい曲を、ヒップホップバンドでやる。だから、「僕が歌う曲を作りたい」ではなくてみんなで歌いたいし、カバーとかもしてほしいんです。

TAKU

―スタンダードとして、みんなに歌われるような。

TAKU:はい、そういう曲をヒップホップバンドが作るっていうのが……ひょっとしたら自己満足なのかもしれないですけど、そういうスタンスで音楽とかカルチャーに触れることが自分はすごく好きで。そうやって作ったものを誰かが歌ってくれたら、僕としてはすごく嬉しいんです。前々からそういうことがやりたいと思っていて、それを一個形にできた感じはあります。

―あくまでもヒップホップに軸足を置きつつ、自由に好きなことをやる精神性を持ったバンドだと思うので、それが強く反映された1曲だと思うし、さらに言えば、フェスで幅広い世代へのアプローチを始めたこのタイミングで、スタンダード感のある曲が生まれたことには意味があると思います。

BASI:最初はサッコンが歌っていたんです。世の中にはいろんなラッパーがいますけど、こうやって「歌」として成立させられる人ってあんまりいないと思っていて。結果的にTAKUが歌っていますけど、自分たちのやっていることに改めて自信が持てる1曲になりました。

左から:BASI、TAKU

―ある意味では、非常に今のヒップホップ的でもあると思うんですよね。近年の海外のヒップホップって、もはやラップじゃなくて歌だったりするわけで。

BASI:たしかに、タイラー(・ザ・クリエーター)の新しいアルバムとかそうですよね。

―そういう意味では、すごく2019年のヒップホップ的というか。

BASI:本当ですね。それは自分たちでも気づけてなかったです。今って、「これはヒップホップじゃないよ」って言われたところで「かっこよければいいじゃん」とか「パソコンで作ったんすよ、かっこいいっしょ」で成立するもんね。

TAKU:アンダーソン・パークとかもそうですけど、音楽的になってますよね。ヒップホップ自体が多様になってるというか。

BASI:別ジャンルの人でも、「絶対この人ヒップホップ好きやな」とか、わかるもんね。昔は「そんなのヒップホップじゃない! セルアウトだ!」みたいなことを言う人が大半だったけど、今やそっちの方がマイノリティで、「関係あらへんですやん。これがかっこいいですもん」っていう方が圧倒的に多いし。

TAKU:ヒップホップがイロモノじゃなくなりましたよね。前は特殊枠、風変わり枠だったというか、1990年代はまだ「お前ラップ聴いてんの?」って感じがあったけど、今は普通も普通。「市民権を得た」とまで言っていいかわからないけど、ヒップホップカルチャーに対する一般の方の理解度は、僕らが10代のころとは全く変わりましたね。

左から:TAKU、BASI

―途中BASIさんから「基本的に、ヒップホップは若者の音楽」という話がありましたけど、でも今の韻シストはそれを幅広い世代に届けようとしていて、その意識の変化もヒップホップという音楽の一般化と結びついているように思いました。

BASI:これまでは第一に「ヒップホップをやろう」と考えて、音を作ったり、ライブをしてましたけど、今は順序が変わったんです。「子供も大人も楽しめるノリやグルーヴを持ったグッドミュージックを作りたい」っていうのがあって、それを何と呼ぶかっていうと、「ヒップホップです」っていう。だから、順番は逆転してるんですけど、結局やってるのは今もヒップホップだっていう、それ自体は変わってないんですよね。

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リリース情報

『SHINE』
韻シスト
『SHINE』(CD)

2019年8月7日(水)発売
価格:2,000円(税込)
TKCA-74810

1. Shine
2. Come around
3. Just like this
4. SMILE
5. よあけの歌
6. Get out of my head

プロフィール

韻シスト
韻シスト(いんしすと)

生々しく独創的でグルーヴィーなサウンドと極上のライブパフォーマンスが圧倒的な評価を受け続ける、大阪をベースに活動するファンキーグルーヴマスターと称される唯一無二のヒップホップバンド。数度のメンバー・チェンジを経て、2 MC(BASI, サッコン)、Gtr.(TAKU)、Bass(Shyoudog)、Drs.(TAROW-ONE)からなる鉄壁の現メンバーとなる。2019年4月には、超満員の大阪城野外音楽堂で初の主催野外フェス“OSAKA GOOD VIBES”を開催。また、8月には早くもミニアルバム「SHINE」をリリースする。

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