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『バジーノイズ』むつき潤とカムラ ミカウが語る、人間関係の葛藤

『バジーノイズ』むつき潤とカムラ ミカウが語る、人間関係の葛藤

カムラ ミカウ『ENVY』
インタビュー・テキスト
天野史彬
撮影:西槇太一 編集:矢島由佳子(CINRA.NET編集部)

僕の中心にあるのも、「自分が救われたらいいな」という感覚です。(カムラ)

カムラ:漫画を描くのも、曲を作るのも、感覚的には似ているのかもしれないですね。もちろん僕は自分の作った曲で楽しんでほしいっていう気持ちもあるけど、でも、歌詞を読んで「この人は、こんなことを思っているんだ」って気づいてほしいという気持ちも強いんです。

2曲目の“狼”なんかは顕著ですけど、「なんの不自由もなく生まれた。だけど満たされない」っていう感覚……「心の中にある、この歪なトゲはどこからきたんやろう?」という気持ちを描いていて。もし、この曲を聴いて「気持ちがわかる」って思ってくれる人がいるのなら、それを確認したいし、なにより自分のこの感覚を知ってほしい。それが、曲の歌詞には全部出ていますね。

カムラ ミカウ

―カムラさんの曲を聴いて「わかる」と思う人は、もしかしたら、カムラさんの曲によって救われている、と言えるかもしれないですよね。そういう聴き手との関係性は、カムラさんから見てどうですか?

カムラ:「僕の曲を聴いた人が救われたらいいな」と思いますけど、それはあくまで副産物ですね。僕の中心にあるのは、あくまで「自分が救われたらいいな」っていう感覚です。

―カムラさんは、どこまでいけば満たされるんですかね?

カムラ:最近それについて考えるんですけど、どこまでいっても満たされないような気がしていて。去年EPを出して反応があって、ミュージックビデオにも反応があって、めちゃくちゃ嬉しかったんですよ。でも、その喜びは段々と慣れるんですよね。そう思うと、「この先にゴールなんかあるのかな?」って思ってしまう。このまま満たされないのであれば、40~50代くらいになって、音楽以外の別のものに価値を見出して生きていくしかないのかなって思ったりもします。止まっていると、昔の自分と比べてしまうと思うから。

―やっぱり、ずっと寂しい人っているんですよね。

カムラ:そうですよね……今の一言は、ちょっとグサッときました(笑)。前にマツコ・デラックスさんがテレビで「人間は一生孤独」って言っているのを見たとき、「あぁ、やっぱりそうなんや」って思ったんです。「この孤独は、一生感じ続けるものなんか?」って、すごく不安になって。

自分の感覚って、どこまでいっても自分しか感じることができないじゃないですか。だから、どれだけ「大丈夫だよ」って言われても、この「満たされなさ」は結局、自分しか感じることができない。だから僕の場合は「ひとりが怖い」っていう感覚が曲になるんですよね。音楽というアウトプットがあって、まだよかったなって思いますけど。……(むつきに向かって)寂しいんすよぉ。

むつき:そうかぁ(笑)。カムラくんはきっと、人が好きなんやろうね。僕はカムラくんほど、人に興味を持てないような気もする。

むつき潤

―今作『ENVY』は、カムラさんにとって初の全国流通盤でもありますからね。この先どうなっていくんでしょうか。

むつき:カムラくん、『バズリズム』で紹介されたときにTwitterで「宅録ミュージシャンが『バズリズム』のランキング入ったったぞ!」とか呟いてたよね?

カムラ:はい(笑)。それこそ『バジーノイズ』にも、SNSの発信力はあるけど、曲を作ることができないアーティストを「器」のように扱って消費しようとする人たちが出てきたじゃないですか。ああいうのって実際にあると思うんですけど、そういう状況に対しても「見とけよ、自分で曲を作って自分で歌うやつがのし上がったるからな!」っていう気持ちがあるんですよ。こういう野心は、ちゃんと出していこうと思っています。

むつき:いいことやね。

カムラ:やっぱり、僕は嫉妬心をガソリンにして音楽を作っているので、自分がいろんなことを考えながら作ったものが世に出て評価されると達成感があるし、それを感じていかないと、この先も音楽を続けることはできないやろうなって思うんですよ。「ただ作るだけ」だと、僕はどこかで終わってしまう。「自分はこれや!」っていうものを更新していくことで、自分は先にいけるんだと思います。

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リリース情報

カムラ ミカウ『ENVY』
カムラ ミカウ
『ENVY』(CD)

2019年8月7日(水)発売
価格:1,728円(税込)
DDDPCD-00433

1. scandal arts
2. 狼
3. ふしだらにさよなら
4. dance dance dance
5. バルカロール
6. kitsune pride

書籍情報

『バジーノイズ』
『バジーノイズ』

著者:むつき潤
発行:小学館

プロフィール

カムラ ミカウ
カムラ ミカウ

1994年生まれ。from 大阪。電子音楽、ロックに特に影響を受け、作詞、作曲、編曲、トラックメイク、プログラミング、ミックスまで行うシンガーソングクリエイター。アンビエントやエレクトロニカなどの電子音楽の影響下にある浮遊感に満ちたトラックに、温かみのあるギターと繊細に言葉を紡ぐ歌声が特徴。2016年より現スタイルで本格的に活動スタート、1st E.P『ペトリコールと産声』をリリース。2018年4月にYouTube上で発表したミュージックビデオ“はるたちのぼる”が、早耳リスナーの間で注目を集め、同年9月に同楽曲が収録された2nd E.P『chaouen』をリリース。フジテレビ系音楽番組『Love music』番組スタッフイチオシのニューカマーを紹介する「Come music」での紹介、日本テレビ系『バズリズム 02』新春企画「これはバズるぞ2019」にランクイン。さらには「myblu」テレビCM「新しい選択」篇の楽曲制作・歌唱を担当するなど、様々なCMへの楽曲制作・歌唱抜擢でも注目を浴び始めている。

むつき潤(むつき じゅん)

マンガ家。兵庫県出身。大学時代に新人賞を2度受賞。大学卒業後、新聞社でバイトをしながらマンガを描きつづけ、2015年『週刊ビッグコミックスピリッツ』に掲載された『ハッピーニューイヤー』でデビュー。2018年5月から『週刊ビッグコミックスピリッツ』で初の連載マンガ『バジーノイズ』を執筆中。自身がプロデュースする漫画と音楽の融合ライブ『BUZZY NOISE LIVE』を開催し、好評を博す。

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