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ピアニスト・清塚信也はなぜバラエティ番組に出る?意外な狙い

ピアニスト・清塚信也はなぜバラエティ番組に出る?意外な狙い

清塚信也『SEEDING』
インタビュー・テキスト
黒田隆憲
撮影:豊島望 編集:矢島由佳子(CINRA.NET編集部)
2019/08/14

クラシックピアニストとして確かな実力を持ち、8月16日には日本人男性クラシックピアニストとして史上初の日本武道館ワンマンを実現させるほどの人気を誇る、清塚信也。彼はピアニストとしての確固たる地位を手にしながらも、「クラシック」「音楽」にとどまることなく様々なジャンルの人と交流し、新たな表現を模索し続けている。最近はバラエティ番組にも積極的に出演し、テレビでその姿を見る日も多い。

実は、そうした清塚の活動には「クラシックの裾野を広げ、ファンを増やしたい」というよくある志とは別の、ユニークな思惑があるようだ。「お笑いとクラシックは同じ」「ベートーヴェンはロックである」と言い切る彼の真意とは?

お笑いとクラシックは一緒なんですよ。松本人志さんや東野幸治さんは、ものすごく勉強になります。

清塚信也

―まずお伺いしたいのは、ピアニストである清塚さんがなぜ積極的にテレビに出ていらっしゃるのかということです。しかも音楽番組だけでなく、『ワイドナショー』(フジテレビ系)などにも出演されています。

清塚:もともと僕は「ショー」が好きなんですよね。しかも「お笑い」のレベルに関していえば、日本はトップクラスだと思っているんです。ヨーロッパ文化の代表が「クラシック」なら、日本における芸術的な文化の代表は「お笑い」だと思う。

歴史を紐解いてみても、まあ、能楽は貴族のものでしたが、たとえば歌舞伎や落語は大衆演劇じゃないですか。日本文化は貴族ではなく大衆が生み出してきた。貴族より大衆の方が、文化的に勝利したというか。それが今、受け継がれて高められているのが「お笑い」ではないかと。

テレビに出演すれば、その「お笑い」を間近で見られるわけです。実際、番組内や楽屋などで芸人さんたちとお話ししたり絡んでもらったりすると、もう頭の回転の速さが「芸術レベル」なんですよ。しかも内容も濃い。インテリジェンスに富んでいるというか……正直、アメリカのお笑いって面白くなくないですか?

―(笑)。確かに「大雑把だなあ」と思うことはよくあります。

清塚:「そんなんでいいの?」ってくらいベタなこともありますよね(笑)。対して日本のお笑いは、その先の先くらい進んでいると思う。

そうやって考えてみると、「大衆文化の進化系」であるお笑いに慣れ親しんだ日本人が、「貴族文化の象徴」であるクラシックを簡単に理解できるわけがないなとも思うんです(笑)。海外から音楽だけポンと入ってきても、受け入れられるわけがない。要は、笑わせないと日本人は聴いてくれないということを、割と早い段階から思ったんですよね。

清塚信也(きよづか しんや)<br>1982年11月13日、東京都生まれ。5歳よりクラシックピアノの英才教育を受ける。中村紘子氏、加藤伸佳氏、セルゲイ・ドレンスキー氏に師事。桐朋女子高等学校音楽科(共学)を首席で卒業。国内外のコンクールで数々の賞を受賞。2019年7月17日にアルバム『SEEDING』をリリースした。
清塚信也(きよづか しんや)
1982年11月13日、東京都生まれ。5歳よりクラシックピアノの英才教育を受ける。中村紘子氏、加藤伸佳氏、セルゲイ・ドレンスキー氏に師事。桐朋女子高等学校音楽科(共学)を首席で卒業。国内外のコンクールで数々の賞を受賞。2019年7月17日にアルバム『SEEDING』をリリースした。

―そんな理由だったのですね。てっきり「クラシック音楽の裾野を広げよう」という啓蒙活動が目的なのかと思っていました。

清塚:そう思われている方は多いみたいですよね。もちろん、そういう側面もあります。番組を見て、僕を「面白い」と思ってくれて、それがきっかけとなって、結果的にクラシックに興味を持ってもらうのが一番嬉しい。ただ、そういう効果がなかったとしても、「お笑い」のプロたちが活躍するフィールドに、いつかお邪魔したいという思いはずっとありました。

―たとえば『ワイドナショー』に出て、松本人志さんや東野幸治さんと話してみると、どんなことを思いますか?

清塚:「1秒を逃したらもうウケない」「遅くても早くてもダメ」という、ものすごく繊細な世界で生きている方たちだなと。お笑いとクラシックは一緒なんですよ。「この1音」というのを、的確なタイミングと強さで届けられなければ、もう台無しという。共通のストイックさをものすごく感じますね。

―まさに「時間芸術」ですよね、お笑いも音楽も。

清塚:本当にそう。『ワイドナショー』なんて「セッションだな」と思います。たとえば誰かコメンテーターが話しているときに司会の東野さんが、ほんの一瞬だけ松本さんの方を見て、今どう思っているのかを判断して次の質問を決める。あるいは「ここは他のゲストに振るべきかな」とか。もう、とにかく五感をフルに使っているんですよね。そういう感覚はセッションをするときにも必要なので、ものすごく勉強になります。

―具体的には、バラエティ番組の現場で学んだことをどのように音楽のセッションで活かしているのでしょう?

清塚:セッション中、各々のプレイヤーが「これを出したい」「あれをやりたい」と思っても、ただ出せばいいわけじゃない。出せる流れになって初めて出せるものだし、流れにならないときにはむしろ、こちらで強引に流れを作っていく力技が必要になる。もちろん、力技が上手くいかなくて失敗することもあり得るわけで。その辺りの見極めなどは、テレビで本当に訓練させてもらっていますね。

清塚信也
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リリース情報

清塚信也『SEEDING』
清塚信也
『SEEDING』(CD)

2019年7月17日(水)発売
価格:2,700円(税込)
UCCY-1099

1. Dearest "B"
2. Drawing
3. Inst Heroes
4. Members
5. See you soon
6. ハレナハレ feat. NAOTO

イベント情報

『清塚信也KENBANまつり』

2019年8月16日(金)
会場:東京都 日本武道館

プロフィール

清塚信也
清塚信也(きよづか しんや)

1982年11月13日 東京都生まれ B型/蠍座。5歳よりクラシックピアノの英才教育を受ける。中村紘子氏、加藤伸佳氏、セルゲイ・ドレンスキー氏に師事。桐朋女子高等学校音楽科(共学)を首席で卒業。1996年第50回全日本学生音楽コンクール全国大会中学校の部第1位。2000年第1回ショパン国際ピアノコンクール in ASIA 第1位、2004年第1回イタリアピアノコンコルソ金賞、2005年日本ショパン協会主催ショパンピアノコンクール第1位など、国内外のコンクールで数々の賞を受賞。2019年7月17日に、MBSお天気部 春のテーマ曲“ハレナハレ feat. NAOTO”など計6曲を収録したアルバム『SEEDING』をリリースした。

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