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細美武士が語るthe HIATUSの10年。バンドという絆を育てた道のり

細美武士が語るthe HIATUSの10年。バンドという絆を育てた道のり

the HIATUS『Our Secret Spot』
インタビュー・テキスト・編集
矢島大地(CINRA.NET編集部)
撮影:関信行

本当の秘密の場所は人に教えるものじゃない。俺がここで歌ってるのも、そういう意味での秘密の場所なんだよね。

―音にメロディと歌が呼ばれるという点で言うと、ELLEGARDENやMONOEYESの青春性・熱さとも違う、the HIATUSでしか表れてこない自分がいるということですよね。なおかつ、20代の時とは違う成熟した自分を歌う場所としてthe HIATUSがあるというお話にも聞こえたんですが。そういう意味でいうと、the HIATUSでないと歌えない自分とはどんな自分だと思います?

細美:そうだな………あんまり思いやりのない自分かもしれないね(笑)。結局は仲間だけ大事にできればいいって思ってるし、博愛ではない自分が歌に出てきてる。まあもともと博愛ではないんだけどさ。

細美武士

―“Chemicals”では、アルバムタイトルの<Our Secret Spot>という言葉が歌われていて。歌詞も、今はもう戻ってこない<彼ら>(和訳)や、今も残る<傷跡>が綴られている。その最後に<みんなは大して気にしてないこと>と結ばれるじゃないですか。こうして、心の秘境や過去を振り返っていく歌は今の自分にとってどういうものなんですか。

細美:これは質問に答えられてるかわからないけど……俺さ、ドラマとか映画ですごくチープだなと思うシーンがあるんだよ。悲しいことがあった時に主人公がいなくなって、仲間が「きっと、あの秘密の場所にいるよ!」って言って探しにいくでしょ。で、行ったら本当にいるの。でも、探しに行って見つかる場所なんて、秘密の場所でもなんでもないじゃん。

―結局多摩川の土手かよ、みたいなね。

細美:ははははは。そう、それはただの好きな場所でしょ。でも本当の秘密の場所は人に教えるものじゃない。俺がここで歌ってるのは、そういう意味での秘密の場所なんだよ。自分しか知らないことっていうか……たとえば俺らのライブで言っても、Zeppの2daysで5000人。武道館もたくさんの人が見に来てくれた。だけど、茶の間の人は誰もthe HIATUSのことを知らないじゃん。俺達の10年はそこにいるヤツらしか知らないっていうのが最高のことだし、まあ後付けだけど、それも俺の思う『Our Secret Spot』なんだよね。

 

―10年をかけて、自分と仲間だけの大事な場所・音楽を作ってこられたという話とも通ずる話ですよね。今近くにあるものを大事に包んで生きていこうとする歌。

細美:結局、俺はすごくエゴイストなんだよね。どんな人の人生にも終わりがくるし、俺も自分の人生が終わる時に必ず自分が作ってきた作品を思い出すと思うんだけど。その時に、「一度も納得いかないものは作らなかった」って思えないと嫌なんだよね。俺にはダメな一面もあるけど、だからこそ音楽や作品でくらいは自分を真っ直ぐ貫けたらいいなって思うから。

―たとえば“Back On the Ground”では<もう一度ぶちかませ>という切迫したラインがあったり、“Time Is Running Out”でも、過去の景色を起点に、まだまだ生きていくという意志が歌われている。生きていくこと、そしていつか人生が終わるということは、より一層深く意識するようになっていくんですか。

細美:ああ……単純に人生の残り時間が減っていくからね。……そうかもしれないね(笑)。

―そういう気持ちは、ご自身にどういう変化をもたらしますか。

細美:まあ、こういうインタビューだと真面目に話してるけど、実際の俺は超めんどくさがりだし、「一生酒飲んで笑ってたい」っていう人間なの(笑)。なんなら、ひとりでも別に生きていけるし、勝手にやるよって思ってる。だからこそ、人生の中で出会った人や、一緒に音を出してくれるメンバーとか、レコードを出してくれるレーベルの人とか、友達も含めて、一緒にいられる時間を大事にしたいってより一層思うようになった。

 

細美:せめてその人達くらいはね、俺がいることで何かしらのプラスになってくれないかなって思うよね。それにミュージシャンは本当にラッキーな職業で、誰も聴かなくなったとしても、俺がいなくなったとしても、音楽はずっと残り続ける。それは、遺伝子を残すのと一緒のことだから。

―そこで伺いたいのは、ラストの“Moonlight”のことで。賛美歌を思わせる素晴らしい曲なんですが、<僕の地上での時が尽きたら / 君にまた会えるかな>(和訳)という、まさに人生の終わりを思わせる歌がありつつ、<僕の魂が 今夜再び歌い出すといいな>と結ばれる。こういう言葉が出てきたのは、どういうところからですか。

細美:アルバムのクロージングのヴァースだから大きなコーラスを入れようと思って。そうなると曲の場面が変わるじゃん。そしたらその<I want my soul to sing again tonight>っていう言葉が出てきたんだけど。今こうして考えてみると……たとえばさ、俺は輪廻転生を本気で信じているわけじゃないし、信じるも何も、死んだ後のことは今は誰もわからないから、誰しもが物心ついた時から死が怖いわけだよね。

これはエジプトにひとり旅に行った時のことなんだけどーー砂漠に行ったの。砂漠に寝袋で寝て、毛布にくるまって朝を待っててさ。砂漠って、サソリとかキツネはいるにせよ、でも基本的には植物も音も明かりもなくて、言ってみればニアイコール死の世界な感じなんだよね。で、行く前は「死の世界に虚無を感じるのかな」と思ってたら、そこにあったのは、すごくピースな世界だったんだよ。静寂と安定と平穏があった。

生きていたら、いつも平穏を感じていられるわけじゃないよね。だからそこに平穏を感じた時に、ああ、こういう世界に行けるんだったらそんなに悪くねえかもな、って思えたんだよ。だから、そういうフレーズになったんじゃないかと思います。

細美武士

―年齢のことも話していただきましたが、人生を音楽にしていくという意味でも、肉体的・直情的である以上にじっくりと伝わる歌と音楽を掴んだという意味でも、これから先を歩んでいくためにとても大事な作品を作られたんだなと感じます。the HIATUSという場所への信頼と愛が音になっているし、だからこそご自身の内面もより深く歌になった作品な気がしました。

細美:俺は、音楽をやってない時は人に好かれる要素があんまりない人間なので。だから、周りに人がいてくれることが嬉しくて音楽をやってるところは間違いなくあるし、そもそもバンドとライブハウスは、俺の中ではいつまでも「落ちこぼれのセーフティネット」なんだよ。ガキが悩み狂うのはいつの時代だって普遍的なものだし、時代が変わってSNSの時代になろうが、俺達を救ってくれた場所は変わらずそこにあってほしい。そこを守り続けるというより、俺もずっとそこにいたいんだよね。

細美武士
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リリース情報

the HIATUS『Our Secret Spot』
the HIATUS
『Our Secret Spot』(CD)

2019年7月24日(水)発売
価格:2,592円(税込)
UPCH-20519

1. Hunger
2. Servant
3. Regrets
4. Time Is Running Out
5. Chemicals
6. Silence
7. Back On the Ground
8. Firefly / Life in Technicolor
9. Get Into Action
10. Moonlight

イベント情報

『Our Secret Spot Tour 2019』

2019年7月31日(水)
会場:東京都 Zepp Tokyo

2019年8月1日(木)
会場:東京都 Zepp Tokyo

2019年8月6日(火)
会場:福岡県 Zepp Fukuoka

2019年8月8日(木)
会場:広島県 BLUE LIVE 広島

2019年8月21日(水)
会場:宮城県 仙台GIGS

2019年9月3日(火)
会場:愛知県 Zepp Nagoya

2019年9月4日(水)
会場:愛知県 Zepp Nagoya

2019年9月11日(水)
会場:新潟県 新潟LOTS

2019年9月13日(金)
会場:北海道 Zepp Sapporo

2019年9月18日(水)
会場:大阪府 Zepp Osaka Bayside

2019年9月19日(木)
会場:大阪府 Zepp Osaka Bayside

2019年9月24日(火)
会場:香川県 高松festhalle

『the HIATUS 10th Anniversary Show at Tokyo International Forum』

2019年10月1日(火)
会場:東京都 東京国際フォーラム ホールA

プロフィール

the HIATUS
the HIATUS(ざ はいえいたす)

細美武士(Vo,Gt / MONOEYES、ELLEGARDEN、the LOW-ATUS)、ウエノコウジ(Ba / ex-thee michelle gun elephant、Radio Caroline、武藤昭平 with ウエノコウジ)、masasucks(Gt / FULLSCRATCH、RADIOTS、J BAND)、柏倉隆史(Dr / toe)、伊澤一葉(Key)によるロックバンド。2009年に細美武士を中心に活動をスタート。これまでに5枚のアルバムをリリースし、2014年には日本武道館公演を開催した。7月24日に6thアルバム『Our Secret Spot』をリリース。

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