ベッド・インに訊く、二人の関係は?強烈キャラの裏にある素顔

ベッド・インに取材するたびに思うのは、このユニットを成す益子寺かおりと中尊寺まいという二人の女性は、ともにバブリーな衣装に身を包みながらも、実際は、全然違う性格をしているなぁということだったりする。その違いは、それぞれが書く歌詞にもよく表れている。

女性の弱さや痛みを情念豊かに描いたかと思えば、どストレートに前向きなメッセージを投げかける、かおり。どんな悲しみの上に立っても、「それでも生きてやる!」と言わんばかりの泥臭くもパンキッシュなエネルギーを発散させる、まい。この二人はそれぞれがとても強烈な個性を持っていて、そして、この二人の出会いこそが、「ベッド・イン」というユニットの奇跡のように思う。

そんなベッド・インから届けられた2ndアルバムのタイトルは、その名も『TOKYO』。人も文化も金も想いも、あらゆるものが交錯する街・東京。このアルバムは、そんな東京で奇跡的に出会った二人の女性の、夢とエモーションとアイデアと生き様が、パツンパツンに詰め込まれている。やはり、「出会い」は人を変えるし、世界を変える!――そう感じさせる傑作である。

「共感」というより、もっと深いところでの「共鳴」かなって思います。(まい)

—新作『TOKYO』、めちゃくちゃよかったです。前作『RICH』には、1980~90年代のバブル文化に対する憧れとオマージュが、すごくピュアな形で散りばめられていて、だからこそ、今の時代に対するカウンター的な側面があったと思うんですけど、『TOKYO』は、むしろ今の時代に対してメイン感があるというか。今、ど真ん中で鳴らされるべきアルバムだと思いました。

まい(Gt,Vo):きゃーのきゃーの♡ 感じとっていただけてサンクスモニカです! 前作はバブル文化への憧れから始まった私たちの「ボディコンロック」を踏襲した形だったと思うんです。今回はより、「等身大」というか、嘘のないアルバムを作れた感じがするんですよね。それに、「今を一生懸命に生きている人たちの精神的な部分は、今もバブル時代も変わらないんじゃないか」っていうことを、かなり踏み込んだ形で言えるようになったかと。

かおり(Vo):ウチらが伝えていきたいのは、自分自身がどれだけABCDE気持ちに輝けるかを追求する、バブル時代のタカビーな女性の自由な精神で。辛いことも、楽しいことも含めて、人生を謳歌しようとする生き様を通じて、当時の魅力を伝えられたらと思ったんです。

ベッド・イン(左から:益子寺かおり、中尊寺まい)
ベッド・イン(左から:益子寺かおり、中尊寺まい)

かおり:だからこそ、今回はバブル用語をあえて多用することはせずに、より赤裸々に自分たちの実体験やストレートな感情を歌詞にしてみました。なので、当時を知らないナウでヤングな子たちにも、共感してもらえるような作品になったんじゃないかなって。

まい:うん、「共感」というより、もっと深いところでの「共鳴」かなって思いますね。

—今回のアルバムのなかでは、僕は2曲目の“シティガールは忙しい”がすごく好きなんです。この曲は、これまでのベッド・インらしいバブル文化へのオマージュと遊び心に溢れながらも、<やりたいこと やればいいんじゃない?>っていう、すごくストレートなメッセージ性も併せ持った曲で。

まい:そうですね。この曲はバブル時代や文化に対する自分たちの憧れとか、あの時代をキラキラした女性たちへのリスペクトを込めつつ、今の自分たちから、今を生きている人たちへ伝えたいことを言えたらいいねって話していて。遠征先のテルホ(ホテル)で朝までギャーギャー笑いながらカキコキしたんですけど、そういう部分は「秋葉、真剣です!」(『代打教師 秋葉、真剣です!』。1991年、吉田栄作主演で映画化)って感じで♡

かおり:本田理沙さんばりの「本気(マジ)!」でね……♡ 「恋に、仕事に、遊びに忙しい」女の子のキラキラした気持ちは、当時も今も変わらない普遍的なものだと思うんです。1日の始まりに「よ~し、今日もユンケルンバでガンバルンバするゾ!」って、栄養ドリンクみたいな感覚で聴いてもらえたらと思って、ストレートな応援メッージを込めました♡ この曲がアルバムの方向性を決めた1曲でもあるので、ウチらも思い入れがありますね。

好きなことがいっぱいあって、毎日が足りなくて……そういう気持ちを受け止めてくれるのが、東京。(かおり)

—“シティガールは忙しい”の歌詞には、「TOKYO」という言葉も出てきますけど、お二人がこの言葉に向かっていったのはなぜだったんですか?

かおり:東京という街は、私たちが憧れているバブル時代のトレンディドラマの舞台になってたり、実際に自分たちが一番ウォンビーロングに住んできた故郷のような街でもあるので、ベッド・イン独自の視点で表現してみたいと思ったんです。今まで数々の作品で「東京」が描かれてきたように、酸いも甘いも経験できる、とてもドラマチックな街だと思うので。

まい:光があって、影があって、だからこそ輝くものがあると思うんですよね。「東京」ってそういう街だと思うんです。

かおり:あとは何より、東京は、私たちがリスペクトしているバブル文化が栄えた街でもあるので、タイトルを『TOKYO』にしようって決めたんです。

—「東京」が、お二人が憧れる「バブル時代」と、現実に生きている「今」をつないでいるんですね。

かおり:そうかもしれないですね。ウチらがチン善大使(親善大使)になって、このアルバムが、バブル時代と今をつなぐ架け橋のような作品になれたらマンモスうれPですね♡

左から:益子寺かおり、中尊寺まい

—では、東京という街がお二人に与えたものって、具体的に何だと思いますか?

かおり:やっぱり「出会い」ですかね。このアルバムを作るときに、「東京って自分たちにとってどんな街だろう?」って改めてチンキングしてみたんですけど、「今の私たちがあるのは、この街でいろんな人や、好きなものに出会えたおかげだよね」って話になって。WAKU WAKUする出会いを通じて、たくさんの刺激を受けて、生かされている。これはガラスの十代の頃から今もZUTTO変わらないですね。好きなことがいっぱいあって、毎日が足りなくて……そういう気持ちを全部受け止めてくれるのが、東京という街なんです。

まい:うん、多感な時期を過ごした街なので、自分を形成する上ですごく重要な出会いがたくさんあったなぁと改めて思いますね。大人になってからもそうで、メジャーデビューしてからは、私たちが「これをやりたい!」と言ったら、それを何倍にもして返してくれるよき理解者が周りにできたり、人だけじゃなくて、素敵な出会いは後を絶たなくて、今でもドキドキする場所に変わりはないです。

私たち、それぞれの視点や好みは違うんだけど、「カッコ悪い」って思うものが一緒なんです。(かおり)

—なるほど。今思ったのは、ベッド・インの「出会い」の根本って、きっと、お二人が出会ったことですよね?

かおり:あら、私とちゃんまいちゃんの出会いってことですか?

—そうです。お二人の関係性は、ベッド・インを始めた頃から変わらないものですか?

かおり:最初は飲み友達から始まっているんですけど、そういう「友だちんこ」な関係性は今も変わらないですね。ただ、ベッド・インの活動をしていくなかでいろんなチン事を一緒に乗り越えてきたので、今は、プロレスのタッグチームのような感覚も生まれてきましたね! ツープラトン技を二人でキメにいっている、みたいな……♡

まい:私、プロレス全然わかんないんでアレなんですけど(笑)。でも私も、かおりさんのこと戦友だと思ってます。一緒にファイティングポーズをしている感じがあるし、唯一、背中を預けられる人というか。あぶない刑事のタカとユージみたいな感じかな♡

—こうやって取材をさせていただいたり、それぞれの書く歌詞のテイストを見ても思うんですけど、まいさんとかおりさん、性格が全然違うじゃないですか。

まい:そうなんです、似ているようで、実はかなり違うんですよね。

—この二人が出会ってベッド・インを始めたこと自体、傍から見ると、すごく奇跡なんですよね。

まい:そ、そうなんですかね! そんな熱っぽくいっていただけてマン激(感激)です♡(笑)……でも、性格は違うといっても、ベッド・インをヤっているときの感覚は一緒なんですよ。

かおり:そうそう。私たち、それぞれの視点や好みは違うんだけど、「カッコ悪い」って思うものが一緒なんです。

「やらされている感」はすごく嫌。(まい)

—では、お二人が共通して感じる「カッコ悪いこと」って、何でしょうか?

かおり:やっぱり、自分の意思じゃなく、周りに合わせてナニかをヤることだよね。

まい:うん、「やらされている感」はすごく嫌。

かおり:その人が、それを本当に好きでやっているかどうかって滲み出ちゃうし、すぐに伝わってしまうものだと思うんですよ。誰かに言われて嫌々やるっていうことが、私たちが絶対にやりたくないことで。周りに流されたり、「自分に嘘をつく」のが、一番カッコ悪いことだと思っちゃうんです。ウチらは「周りがこうしているから、こうしなきゃいけない」っていう固定観念をぶち壊したくて、ベッド・インの活動を始めたということもあるので。だからこそ、自分の意思をもって、自分の言葉で発信することをすごく大事MANにしているし、ナニかを決めるときもお互いブレないんだと思います。

まい:そうだよね。別に、私は流行に乗っかっていてもいいと思うんですよ。やっぱり、そこに意思があるかどうか? が大事MANなことで。たとえば、アイドルちゃんがスキスキスーなのであれば、それをちゃんと自分の言葉で人に説明できたり、そこに自分の想いがあればいいと思うし、女の子が男性ウケのいいモテ服を着ていても「男の人にモテたいから着るんです、何か?」って言えたり、「自分好みの服がたまたま男の人ウケがいいだけ」って言えるんであればよくて。

「流行っている服を着ていないと浮いちゃう」とか、「周りが好きだから好きにならなきゃ」とか……そういうのが、とにかく嫌なんです。嫌っていうか、悲しくなっちゃうんですよね。それって、誰かに自分を消費されてるってことじゃないですか。

左から:益子寺かおり、中尊寺まい

かおり:そういう考えは、出会ったときから二人とも一致していて。きっと、お互いが出会う前、全然違う場所で育ってきた小さい頃から意識してきたことなんだと思います。たぶん、お互いクラスのなかでは割と浮いているようなタイプだったと思うんですよね……思春期の頃は特に(笑)。

まい:そうかもしれないね(笑)。

かおり:でも、自分がスキスキスーだと思うことを貫くためなら、周りから浮こうがかまわなかった。むしろそれがカッコイイと思っていた節さえありました(笑)。偶然なんですが、二人ともシノラー(篠原ともえの、原色を基本とした個性的なファッションを模倣するファンの呼称)だった時代があるんですよ! ビジュアル系が好きだった時代は、ロリータやゴシック系の服を着ていたり、パンクスの時代があったことも共通点で……。ナニかにZOKKON命になるとそれを貫くがあまり、服装まで体現したくなってしまうタイプだったんですよね。

そんな二人が大人になって出会って、今こうしてバブル文化に辿り着いたという……(笑)。根本的なところは昔から変わらないんです。でも、こんなに共通点が多いって知ったときは、ぶっとびぃ~! だったよね。

まい:そう思うと、SF(すこし不思議)だよね。そもそも、お互いがやっていたバンドの対マンで出会って、バーカウンターで「バブル顔って言われない?」って話をしたところから、何となくノリが合って。「じゃあ、来週飲みに行こうよ」っていう感じで、二人でオケカラに行ってターウーするっていうのも。後にも先にも、かおりさん以外いないと思うわ(笑)。

かおり:その時点で、もう二人ともボディコン着てたもんね(笑)。ボディコン姿でオケカラに行ったら、示し合せたわけでもないのに、歌い分けもチリバツで自然と決めポーズまでしちゃって! その瞬間「一心同体、少女隊」なユナイトっぷりを感じたんです……♡ 一緒に「ねるとん」……いや、合コンとかもしてたよね~(笑)。そこで、この阿吽の呼吸が生まれたのかも……♡

まい:「メンズの趣味が違うから仲良しでいられるね~!」みたいな♡(笑)

左から:益子寺かおり、中尊寺まい

一人ではできなかったことが、今は、二人だからできている。(まい)

—飲み友達の延長といっても、それがベッド・インという、お互いの人生を変えていくユニットに発展していくわけですもんね。

まい:いやいやいや、西田ひかるさん並の!? 人生変えちゃう夏かもね!的な!? そんな大それたことをやろうとしておっ始めてないのでなんだか気恥ずかしいですね(笑)。最初に二人で写真集を作り始めたときも、「楽しそうだからヤってみよう!」っていう感覚だったし、正直言うと今でも「真面目に遊ぶゾ!」って感覚なので。お互いの人生を背負おうとか、いい意味で思ってないですし、お互いほかに楽しいことができればそっちに行くべきだと思うんですよね。あくまでも、ベッド・インは「オトナのお遊び」の延長なんです。

かおり:そうそう、今でも毎日「オトナの文化祭」を繰り広げてる感覚だよね♡ 当時、お互いOLをやりながらバンドもやっていたんですけど、ちょうど二人とも仕事を辞めたタイミングが一緒で。飲みに行ったときに「死ぬまでに憧れのC.C.ガールズさんみたいな写真集、作ってみたくない?」って話になって。

バンド仲間たちと旅行に行く予定があったので「じゃあ、せっかくだし、グラビア撮影しちゃおうよ!」って、自分たちで水着や衣装を探して、友だちんこに恋写してもらったんです♡ 「テルホやバーでも写ルンですしたいよね~♡」って思いついて、別日に改めてロケ撮影しに行って……。その頃から作るものに対しての遊び心やこだわり、熱量は、お互い今と変わらなかったですね。

まい:そうだね。写真も全部、写真屋さんでプリントアウトして、切り貼りしてレイアウト考えたり……うちの実家で(笑)。袋詰めも二人でやったしね。なつかP~! もともと淫ディーズバンドマンだったので、自分たちでモノを作っていく作業は苦じゃなかったし、楽しかったんですよね。逆にいえば、それが普通だったというか。

かおり:いくらお遊びでヤッていることだとしても、お互い好きなものを作るときは、いっさい手をヌケない気質なんですよね。構成とかデザインの細部まで、ほんっと真剣に作ったよね! 赤字覚悟の自腹で8cm短冊シングルCDを自主制作したときもそうだったし。特典にどうしてもVHSをつけたくなって、神保町のお店にダビングしに行って、自分たちでパッケージを夜な夜なセロテープで留めたりネ……(笑)。

別のバンドの活動でもそういうことはしてきたんですけど、バンドリーダーを経験したことがある二人が結束したときのおマンパワー……行動力は、やまだかつてない! って感動しましたね。ちゃんまいちゃんと出会って、二人で同じ目線で物事を考えながら前に進めることは、すごく心強かったし、純粋に楽しかったですね。

まい:二人が同じ目線でいられるからこそ、闘えるのかな。ひとりではできなかったことが、今は、二人だからできているのかなって思います。

—かおりさんとまいさんは、お互いを「補い合っている」という感覚もありますか?

まい:いや、「補い合っている」っていう感覚ではないんですよね。どちらかといえば、「支え合っている」っていう感じだと思います。基本的にはやっぱり、「一人ずつ」なんですよ。「二人でひとつ」ってわけじゃないんですよね。一人ひとりが立っている状態。

かおり:そうそう。ベッド・インはあくまで個々なんですよ。お互いが自立しているので、それぞれの意見もある。だからこその信頼関係が成り立っているし、阿吽の呼吸で闘えるんだと思います。

歌声や見た目にすごくコンプレックスがあって、人の目が怖かったんです。(かおり)

—お二人って衝突することはないんですか?

かおり:これが、衝突したことって、今までないんですよね~! お互いこだわりも強いし、頑固な性格なハズなのに(笑)。私とちゃんまいちゃんは、「カッコ悪い」と思うものが一緒なのと、男の趣味が違うのと……あと、お腹がすくタイミングが一緒なのでR~!!

まい:そう、「それがぁ~一番大事~♪」ってくらいに大事MANだよね! ミーティングで喋ったあと、お仕事のあと、「あ~、お腹すいた~!」って言うタイミングが本当に一緒なんですよ(笑)。

かおり:水着を着る5分前であろうと、ウチらって、お腹がすいたらナニが何でも絶対食べるんです(笑)。でもそういうときに片方が、「水着になるから、私はパス……!」って言い出したら、ガビーン! ってなるじゃないですか(笑)。でもウチらは、時計見て、顔見あわせて「食べる時間あるな……イケる!」って、二人でお店にダッシュするっていう男闘呼(おとこ)っぷり(笑)。だからこそ、一緒に24時間戦えるんだと思います♡

—なるほどなぁ(笑)。闘うときだけではなくて、休む時間も支え合えるのは、すごく大事なことかもしれないですね。先ほど少し話に出た、お二人が出会う前の話も聞きたいんですけど、学生の頃から、お二人とも、自分のやりたいことに一直線な性格だったんですか?

かおり:そうですね、これも偶然なんですけど、お互い10年以上も女子校通いっていう特殊な環境で育ったので、異性の目を気にせずにDAISUKI!なことを好き勝手やれたことも大きいですね。ただ、私自身、学生時代はずっとコンプレックスを持ち続けていて……。特に、小学生の頃から歌に対するコンプレックスがあって、人前で歌うことが怖かったんです。

—今のかおりさんの姿からは想像つかないです……。

かおり:もともとは『アイドル伝説えり子』(1989年~1990年にかけてテレビ東京系列で放映)というアニメの主人公に憧れてまねっこしてみたり、家のピアノで遊んだり、歌うことが大好きな子供だったんです。母親の影響で松任谷由実さんに憧れて「シンガーソングライターになりたい」って思っていたりして……。なんですけど、私が通っていた小学校に合唱団みたいなものがあって、その入団テストに落ちてしまったんです。落選理由は「歌は上手いけど、歌っている表情が暗かった」と……。

子どもながらに「いやいや、おかしいだろ! 歌うスタイルなんて人それぞれでいいじゃないか」って矛盾や憤りを感じつつも、落選したこと自体がその時はすごくショックで……。それからずっと「歌が下手な人」ってレッテルを貼られているような気分になり、人前で歌うことが怖くなっちゃったんです。でも、自分が好きで大切にしてきたものを、こんなことで辞めるのはイヤだったので、お風呂やオケカラではずっーと歌い続けていて。高校でバンドを始めて、ようやく人前で歌えるようになったんです。

—努力によってコンプレックスを克服したんですね。

かおり:でも、やっぱり最初は人前で歌うのが怖くて、パートもギターから始めて。メタルやハードコアがスキスキス―だったので、それをカバーしてみようとしたときに「デスボイスなら、音程を気にせずに歌える!」って気づいたんです(笑)。女の子がデス声で絶叫してるのが珍しかったせいか、認めてくれるバンド仲間が増えたり、メンバーと朝から晩まで夢中になって練習やおギグができることが純粋に嬉しくて、楽しくて。自然と歌うことへの恐怖心が薄れていきました。

あと、今と比べるとガラスの十代の頃は見た目にもすごくコンプレックスがあって、人の目が怖かったんです。写真を撮られることすら嫌だったし、すごく弱かった。それを克服できたのも、バンドのおかげかもしれないです。ステージに上がって、爆音のなかで絶叫して感情を曝け出せば、性別も見た目も関係ない、ナニか別の生き物になれるような気がして、強くなれた。バンドと出会わなければ、今の自分はないですね。

左から:中尊寺まい、益子寺かおり

私も、小さい頃は人前でナニかをするのがとにかく嫌いでした。(まい)

—まいさんはどうですか?

まい:私も、小さい頃は人前でナニかをするのが、とにかく嫌いでした。親戚の子はオケカラで歌えるのに、私は歌えなくてモジモジしてたり。ピアノの習い事でも“かえるの歌”が歌えなくて泣き出すような、そんな子どもだったんですよ。

自分で言うのもなんですが、割と厳格な家庭で育ったのもあって、ずっと親のいいなりで育ってしまって。ピアノもそうだし、水泳に体操、お絵かき教室、英語教室、三味線、お受験のための塾……今までいろんな習い事をしてきたんですけど、そこに自分の意思は全くなかったですね。学校に提出する将来の夢も自分の意思で一度も書いたことがなかったくらい、自己がなかったし、親が望む道を進まなきゃいけないって勝手に思ってましたね。だけど、そんな自分からも、そんな状況からも逃げたくて、逃げ道をずっと探していて。そこで、初めて自分で「ナニかをやりたい」と初めて思えたものがギターだったんです。

—きっかけは何だったんですか?

まい:中学受験をするときに見に行った文化祭で、ステージに立っていた先輩がカッコよかったんです。そのときも「剣道部に入りなさい」と言われていて竹刀まで渡されていたんですけど、「この学校の軽音楽部に必ず入るんだ!」ってこっそり思い続けていて。ギターを持ってからは「武器を得た!」っていう感じで、全然うまくならなかったけど、朝練・早弁して昼休みに練習・放課後練習と、とにかくずっと触ってましたね……サオを♡

女子校だったからギターを弾ける人がほとんどいなくて重宝されたし、面白がってもらえたのも運がよかったかな。そこで出会った仲間とひとつのことを目指せたし、いろんなことを発散できたし、初めて熱中することができたんです。反抗期がなかった分、家庭からの抑圧で内に秘めた怒りとか、どうしていいかわからない感情が湧き出ていたのが、ロックやパンクに出会って解放された気がしたし、すごく強くなった気がします。

まい:昔、大槻ケンジさんがナニかの淫タビューで「みんなバンドやればいい」っておっしゃってたんですが、心底そう思いますね。ダメな自分を吐き出せるんですよ、バンドは。「みんなバンドやろうゼ!」って。そうすれば、自殺も減ると思うし、犯罪も減ると思います、本当に。

—かおりさんもまいさんも、自分自身でいるために武器を持って生きてきた。それが今のベッド・インにつながっていると。

かおり:そうですね……あ、思い出した!私、実はベッド・インの前身? みたいな活動を、中学生の頃にやってまして……。だいぶプッツンなんですけど、当時、自分のことを「宇宙人」だと言い張っていたんですよ(笑)。その名も「ポポリポ星人」……(笑)。

—ポポリポ……。

かおり:当時から「これが好きじゃないとダサい」とか、好きでもないのに同じものを好きと言ったりする風潮に対して、「ゲロゲロ~!」って思ってて。「みんなもっと、はみ出していこ? はみだしチャンピオンになろうよ!」っていう、鬱屈とした気持ちをどうにかして伝えたい! でも、当時はバンドもやってないし、伝え方もわからず、まいっちんぐ益子寺状態で……。

少女かおりは、迷走したんでしょうね……。手作りのロリータ服を着て、鼻でリコーダーを吹くという、謎のパフォーマンスに辿りついたんです(笑)。それを文化祭のステージや、学校の行事とかにエントリーして披露してて……それが「ポポリポ星人」っていうユニットだったんです……うふふ(氷の微笑)。

まい:それ、ユニットなの?(笑)

かおり:うん、クラスの友だちんこと二人で活動してたの(笑)。今思うとトホホ……って感じだけど、私にとってはこれが「ナニかを発信する」ということの始まりだった気がします。バンドを始める前は、絵を描いたり、服を作ったり、創作活動を通じて鬱屈とした気持ちや行き場のない怒りを発散していたし……それがあったから、生きてこれた。だから今、悶々としてる子たちは、バンドに限らず、絵でも、前衛パフォーマンスでも、何でもいいからヤッてみたらモアベターだと思うゾ♡

左から:益子寺かおり、中尊寺まい

ベッド・インは「性戯の味方」。(まい)

—そんなパーソナルな視点から見たとき、今、お二人にとってベッド・インとはどんな存在なんだと思いますか?

まい:そうだなぁ……「性戯の味方」、かな。ぎゃはははははっ!(爆笑)

かおり:なんて骨体! 自分で言って笑ってるわ!(笑)

まい:……でも、最近はお手紙をいただいたり、おツイ(Twitter)で「ベッド・インのこの曲の歌詞に助けられた」って、140文字ギッシリ書いてくれる人がいたり……そういう人たちに対して「私はナニができるんだろう?」って常に考えているんですけど、そもそもベッド・インを求めてくれる声がこんなにも大きくなるなんて本当に思ってもいなかったので夢みたいで。

私、頑固でずっと尖っていたので、嘘のないステージングや生き様がエンターテインメントになればいいと、今までお客さんに歩み寄ることをしていなかったんです。でも、今は「笑ってもらえるんだったら、もっとこうしてみよう」とか、「次、こんなことしたらビックリしてくれるかも」って思ったりして。ベッド・インで初めて「人を喜ばせたり、笑ってもらうことって、こんなに幸せなんだ!」って気づいたんです。「みんなに求めてもらえる存在でありたい」って思っているので、自分にとってもベッド・インは「性戯の味方」なのかなぁ、と。

かおり:性徒諸クン(ベッド・インのファンの呼称)たちからのSNSでのコメントやお手紙を読んでいても「ベッド・インみたいに、私も周りの目を気にせずに、好きなことを好きだと胸はって言いたい」とか「もっと強くなりたい」とか、そういう想いをたくさん書いてくれていて。これって、自分がガラスの十代の頃に感じていたことと同じなんですよね。

だからこそ最近、私が特に思うのは「一緒に闘っていこう!」っていう気持ちで。今回のアルバムの“Conscious~闘う女たち~”という曲の歌詞にもメッセージを込めたんですが、どんなにコンプレックスがあったとしても、それを武器にして、人は何度でも変われる。それを身をもって伝えていけたらと思うんです。淫ディーズ時代、自分たち二人だけで闘っていたところから、今はおチビちゃんから年配の方まで、深く私たちに共鳴してくれる人たちがたくさんいる。ウチらが先陣切って「みんなを桃源郷に連れて行くよ!」って気持ちでいますね。

まい:そうだよね。最初の方にも言いましたけど、私たちは東京っていう街で、「やりたいことをやっていいんだ!」っていう刺激をたくさんもらってきたから。それと同じように、今度はベッド・インが、刺激を与える場所になれたらいいのかなって思います。

かおり:好きなものや、やりたいことがあったとしても、どうしたらいいかわからなくて迷っている子って、きっとたくさんいると思うんです。特に今はSNSの普及のせいか、発言や服装まで周りの目を気にしてしまって、目立つことに臆病になってしまう風潮もあるし。そんな迷える性徒諸クンたちに「ダイジョーブイだよ!」って背中を押してあげたいし、ウチらが少しでも、みんなの気持ちを解放できるような存在になれたらなって。

まい:私たちも、みんなと同じでいろんなことを窮屈に思って生きてきたんです。でも、今、こんなにも楽しく自由に生きることができていて。そういう部分に「共鳴」してくれる子がいるなら、私たちがもらってきた可能性をみせたいし、今、ベッド・インをやることで返せたらいいなって思うんですよね。

左から:益子寺かおり、中尊寺まい

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イベント情報
『ベッド・インTOUR 2018 祝!“TOKYO”発射記念ツアー ~サクセス・ストーリーは突然に…~』

2018年1月20日(土)
会場:北海道 札幌 DUCE
料金:前売4,000円(ドリンク別)

2018年1月21日(日)
会場:北海道 札幌 DUCE
料金:前売4,000円(ドリンク別)

2018年1月27日(土)
会場:岡山県 CRAZYMAMA 2ndRoom
料金:前売4,000円(ドリンク別)

2018年1月28日(日)
会場:福岡県 DRUM Be-1
料金:前売4,000円(ドリンク別)

2018年2月3日(土)
会場:愛知県 名古屋 Electric Lady Land
料金:前売4,000円(ドリンク別)

2018年2月18日(日)
会場:東京都 お台場 Zepp DiverCity Tokyo
料金:前売 1階4,000円 2階4,500円(共にドリンク別)

リリース情報
ベッド・イン
『TOKYO』(CD)

2017年12月6日(水)発売
価格:3,240円(税込)
KICS-3653

1. Kiss Me Kiss Me
2. シティガールは忙しい
3. CO・CO・RO グラデーション
4. GO TO HELL...!
5. 女豹 -PANTHER-
6. Snow Magic
7. 燃えさせてよ
8. Conscious ~闘う女たち~
9. 離れていても…
10. 男はアイツだけじゃない
11. ジュリ扇ハレルヤ

プロフィール
ベッド・イン
ベッド・イン

益子寺かおり、中尊寺まいによる地下セクシーアイドルユニット。日本に再びバブルの嵐を起こすべく、80年代末~90年代初頭へのリスペクト精神により完全セルフプロデュースで活動中。2012年、お互い別のバンドで活動していた二人が、猫も杓子もロリロリ重視の現代のアイドルシーンに殴り込みにイクかと一念勃起。バンド歴の長い二人による、ロック姐ちゃんなライブパフォーマンスと『おやじギャル』的な発言やTwitterが話題となり、日本各地を毎度おさわがせします中!かおりの逞しいドヤ顔ヴォイスと、まいの下心をつん裂くギタープレイによる「ボディコンロック」に酔いしれろ!



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