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売れなきゃかっこ悪いのか? 激動のインディシーン20年を振り返る

売れなきゃかっこ悪いのか? 激動のインディシーン20年を振り返る

ワイキキレコード
インタビュー・テキスト
金子厚武
撮影:豊島望 編集:柏井万作(CINRA.NET編集部)

「これは俺が出さないと!」ってことでもなく、「誰かに頼まれる」ってことが多いんですよ。(サカモト)

―逆に言えばそこが強みになって、ワイキキレコードは20年も続いてるわけですよね。その間、数多くのインディレーベルが活動を停止してしまったわけで、その背景にはCDが昔ほど売れないっていう経済的な理由もあったと思います。でもサカモトさんは、そこが目的じゃないっていう。

サカモト:特にヒットが出たことはないです(笑)。

サンデー:サカモトくんって、イベントを開催するとかより、音源を出してカタログ作ることを大事にしてきたように見えるんだけど、リリースするアーティストはサカモトくんが見つけてくるの?

Sundayカミデ(ワンダフルボーイズ)
Sundayカミデ(ワンダフルボーイズ)

サカモト:いや、「これは俺が出さないと!」ってことでもなく、「誰かに頼まれる」ってことが多いんですよ。

サンデー:リリースしたら、イベントやツアーまで面倒見るレーベルが多いと思うけど、そこまではやらないもんね。

サカモト:「リリースまでは手伝えるけど、それ以外はしませんよ」って事前にいう。それは今もそうで。

小宮山:何その変なこだわりは(笑)。

左から:小宮山雄飛(ホフディラン)、サカモトヨウイチ(ELEKIBASS)
左から:小宮山雄飛(ホフディラン)、サカモトヨウイチ(ELEKIBASS)

サカモト:そこはお互い様というか、バンドが自分でコントロールすべき領域だと思ってますし、そうじゃないとやる方も面白くないと思うんですよ。だから逆に言うと、「うちに入った以上、こういうやりかたでやってもらうよ」みたいなのもなくて。

サンデー:でもそれって、サカモトくんのモチベーションはどこにあるの? 「いい人の音をワイキキレコードから出す」ってこと?

サカモト:モチベーションは結局ELEKIBASSをやることなんです。きっと小山田さんもそうじゃないですか? Corneliusをやりながらトラットリアをやってたわけですけど、憶測ですけど小山田さんがトラットリアのバンドに口を出すことはあまりなかったと思うんですよね。

2019年にリリースされたELEKIBASSの5th EP Album『SEASON OF MINE』より

―ELEKIBASSの存在が第一にありつつも、自分の好きな人たちが好きなようにやれる場所作りをしたかったというか。キュレーターやプロデューサーっていうより、一緒に音楽活動をやってる仲間、みたいな感じなんですかね。

サカモト:そうですね。それが楽しかったらいいなと思ったし、ELEKIBASSの活動にも何らかいい影響はあるのかなと思って始めました。

たぶん当時の社長はそれなりに儲かってたと思います(笑)。(サンデー)

サカモト:雄飛さんって、「インディとメジャーの違い」とかって興味あります?

小宮山:興味は……ないです(笑)。僕もザ・ユウヒーズとしてインディで1枚出してるけど、その後すぐにホフディランでメジャーデビューしたから、「絶対どっちかじゃないと」とかはなくて。

小宮山雄飛(こみやま ゆうひ)<br>1973年東京生まれ原宿育ち。ホフディランのボーカル&キーボーディストでありつつ、ザ・ユウヒーズ、BANK$名義でも常にPOPな作品を発表。ポッドキャスト界では日本最多エピソードを誇る人気番組「こむぞう」を毎日配信しつつ、数多くの番組・企画をプロデュースしている。
小宮山雄飛(こみやま ゆうひ)
1973年東京生まれ原宿育ち。ホフディランのボーカル&キーボーディストでありつつ、ザ・ユウヒーズ、BANK$名義でも常にPOPな作品を発表。ポッドキャスト界では日本最多エピソードを誇る人気番組「こむぞう」を毎日配信しつつ、数多くの番組・企画をプロデュースしている。(ホフディランオフィシャルサイト
2017年10月発売の9thアルバム『帰ってきたホフディラン』収録曲

サカモト:勝手な憶測ですけど、雄飛さんは「インディかメジャーか」とかよりも、「面白いか面白くないか」だと思うんですよ。僕はわりかし「インディ / メジャー」ってカテゴリーに縛られてるところがありまして、サンデーさんには「インディとはこうあるべき」みたいなアイデンティティを感じるんです。

―サンデーさんはいくつかのバンドで活動しながら、大阪でイベント『Love sofa』をずっとやってきてますもんね。でも、ワンダフルボーイズや天才バンドでメジャーデビューもしていて。

サンデー:僕は『Love sofa』をやってきてるから、自分としてはインディっていうよりクラブ界隈のイメージで、「インディ」に関してはサカモトくんと知り合ってから意識し出した気がする。

Sundayカミデ(さんでー かみで)<br>バンド「ワンダフルボーイズ」のボーカル。盟友、奇妙礼太郎との「TENSAI BAND Ⅱ」では鍵盤、ベースとして活動。やついいちろうとユニット「ライトガールズ」を結成。2018年11月には1stアルバム『円山町ロマンチック通り』をリリース。ソロでのピアノ弾き語りも評価が高く10月には上野恩賜公園野外ステージでのワンマンLIVEも決定している。来年で20周年を迎えるイベント『Love sofa』のオーガナイザーでもある。最近では様々なアーティストへの楽曲提供やサウンドプロデュースも手掛ける。
Sundayカミデ(さんでー かみで)
バンド「ワンダフルボーイズ」のボーカル。盟友、奇妙礼太郎との「TENSAI BAND Ⅱ」では鍵盤、ベースとして活動。やついいちろうとユニット「ライトガールズ」を結成。2018年11月には1stアルバム『円山町ロマンチック通り』をリリース。ソロでのピアノ弾き語りも評価が高く10月には上野恩賜公園野外ステージでのワンマンLIVEも決定している。来年で20周年を迎えるイベント『Love sofa』のオーガナイザーでもある。最近では様々なアーティストへの楽曲提供やサウンドプロデュースも手掛ける。(オフィシャルサイト

―でも、インディレーベルからのリリースはしてきていますよね。

サンデー:2003年に、当時やってたA.S.Pってジャズのバンドでインディからリリースしたんですけど、そのときのレーベルオーナーはもともと服屋さんで、「貯金たまったから、A.S.P出してもいいですか?」みたいな感じで。そうしたらすぐ1万枚超えて、その人めちゃめちゃ儲かったんですよ(笑)。途中でメジャーデビューの話にもなったんだけど、「2年間アルバイトしちゃダメ」っていう契約だったからやめたんですけど。

2019年4月発売のメジャーデビューアルバム『We are all』からの先行配信シングル

―2000年代前半は「インディバブル」みたいな時期でしたよね。個人でもCDのプレスや流通、宣伝がある程度できるようになって。

サンデー:そうでしたね。そのレーベルから3枚出したんですけど、どれも平均2万枚くらい売れてたから、たぶん当時の社長はそれなりに儲かってたと思います(笑)。『Love sofa』も最初はすごく人が入って大盛り上がりだったけど、ちょっと上手くいかなくなってきたタイミングでインディバブルがきて、ちょうどクロスオーバーした感じなんですよ。

―クラブイベントが落ち込んできたのはどういう理由だったんですか?

サンデー:クラブカルチャーが下火になってきたのもあるけど、みんな「自分たちでできる」ってなって、個人のイベンターが増え過ぎちゃったのも大きかった。ものすごい素人みたいな人も増えてきちゃって、徐々に人が減っていったんです。

―そうした中でサンデーさんは、ワイキキからリリースをしたことで、次の展開が見えてきたわけですよね。

サンデー:それまでは、ベーシストだったので半分ギャグで。実際ワイキキから初めてCD出したときも、サカモトくんから「ひとつだけ注文していいですか? 歌は練習しておいてください」って言われたんですよ。そもそも「歌を練習しておいてください」っていうようなバンドをよく出してくれたなって(笑)。でも、そこから新しい展開が始まったっていうのは、確かにそうですね。

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イベント情報

『WaikikiRecord 20th Guaranteed to Make You Feel Good!』
『WaikikiRecord 20th Guaranteed to Make You Feel Good!』

2019年9月23日(月・祝)
会場:東京都 渋谷 TSUTAYA O-WEST、TSUTAYA O-nest

出演:
ELEKIBASS
ワンダフルボーイズ
ホフディラン
奇妙礼太郎
Robert Schneider +
John Ferguson of The Apples in Stereo
PARIS on the City!
空中カメラ
尾島隆英
ゆーきゃん
OverTheDogs
徳永憲
SPIRO

DJ:
ヨッシー&ズンドコ・ロッポンギ(TKC)
洞澤&近藤(The Bookmarcs)
菅原潤
長坂(夢見る港)

VJ:
onnacodomo

FOOD:
Lottie

料金:前売4,000円 当日4,500円(共にドリンク別)
※高校生以下は身分証明書提示で入場無料

プロフィール

ELEKIBASS
ELEKIBASS(えれきべーす)

1998年に結成し、強い海外志向を持ち、後にアメリカで人気バンドとなるOf montrealと早くから交流を重ね、現在までに8度のアメリカツアーを実施。一方、国内でも渋谷系の流れを組むバンドとしての評価も獲得。また、自ら主宰するレーベルWAIKIKI REOCRDからは国内外のアーティストの作品を数多くリリースしているサカモトヨウイチ率いる60年代後半のブリティッシュロック、ブルース調のリズム、ミュージックホールメロディー、そして風変わりなサイケデリックさの要素をあわせ持つバンド、ELEKIBASS。2016年8月にアメリカのジョージア州アセンズで開催されている、インディポップミュージックのフェスティバル「Athens Popfest」へDeerhoofやElf Power、DANIEL JOHNSTONらとともに出演。アメリカでの7inchレコードシングルのリリースも決定している。

ホフディラン
ホフディラン

日本が誇る2ピースPOPグループ。1996年『スマイル』でデビュー。1998年には“遠距離恋愛は続く”、“欲望”、“極楽はどこだ”などお馴染みの曲は多数。『FUJI ROCK FESTIVAL』への参加、日本武道館でのワンマンライブを成功させる。約3年半の活動休止後、2006年9月に活動再開。10月18日には「5年ぶり」のニューアルバム『帰ってきたホフディラン』を古巣ポニーキャニオンより絶賛発売中!

ワンダフルボーイズ

OSAKAUNDERGROUNDのPOPMAKER、Sundayカミデを中心にCLUBMUSICをbaseにしたパフォーマンスは常にDANCE and MELLOWでフロアを沸かせている。2019年4月遂にVictor EntertainmentよりAlbum『We are all』でメジャーデビュー。「君が誰かの彼女になりくさっても」「天王寺ガール」などの代表作のイメージとは異なるDANCETUNEの連続で踊るステージは90年代のCLUBCULTUREを彷彿とさせている。

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