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Kvi Babaが歌う、「死にたい」でしか表せない「生きたい」

Kvi Babaが歌う、「死にたい」でしか表せない「生きたい」

Kvi Baba『Kvi Baba』
インタビュー・テキスト・編集
矢島大地(CINRA.NET編集部)
2019/09/27

とてつもない才能だ。

ここ数年で広く認知されるようになった「SoundCloudラップ」と呼ばれるシーンと共鳴する、1990年代のオルタナティブロックを飲み込んだサウンド。ラップと歌の間を流麗に泳ぐ、熱く重みのある声。巨大な闇を広げるトラックを貫く、まるで赤子の泣き声のようなギターの音色。さらには、死のギリギリ手前に立つからこそ湧き出る生への渇望をくっきりと映したリリカルなメロディが、心の一番奥の部屋へと染み渡る。どこを切り取っても、死と生、絶望と喜びの間で揺れることでしか心のありかを認識できない人間の一番切実な部分が鳴っている。

誰にも理解し得ぬ深い闇の中で蜘蛛の糸を手繰り寄せるように自己問答を繰り返し、そしてその重暗い闘争が、絶望と諦観に沈む今のユース世代の輪郭を克明に映し出す。だからこそ、ラップミュージックとして以上に、現代の若者のリアルとして音楽シーンを横断する可能性を持った存在。それがKvi Babaだ。

2枚のEPを経て、ファーストアルバム『KVI BABA』をリリースしたKvi Baba。ここに彫られた絶望は本当に絶望なのか? ここにある叫びはどこから生まれるのか? なぜ彼の歌は死と絶望に生きる実感を求めないといけないのか? その深奥を覗いたインタビューだ。

僕は他の誰かになれなかったし、自分を探し続けないと死んじゃうと思うんですよ。

―『KVI BABA』というご自身のお名前を冠されている通り、生い立ちも、背負ってきた悲しみも、今抱いている希望も、非常に生々しく、かつ美しい歌で表現されたアルバムだと思いました。ご自身ではどういう作品ができたと思われていますか。

Kvi Baba:自分の名前を作品タイトルにした通り、人間として以上に音楽で「自分ができた」と思える作品ですね。自分自身でも気に入ってるし、やりたいことができたと思います。

―「音楽で自分ができた」とおっしゃいましたけど、元々ラップをやりたくてラップを始められた方なのか、音楽で自分を表現するための方法としてラップが自分にフィットしたのか、どういう感じだったんですか。

Kvi Baba:ラップもやりたいし、音楽で自分も見せたいし、その両方だったと思いますね。たとえばラップだからヒップホップなのかって言ったら、きっと上の世代の人は僕の音楽を「ヒップホップじゃない」って言うと思うんですよ。だけどそれは自分にとって大きなことではなくて、音楽と歌がただ「自分にできること」なので。それをやるだけだっていう感じですね。

―自分を表現する方法はたくさんある中で、それが音楽だったのはなぜなんだと思います?

Kvi Baba:うーん……音楽が好きだったから。あとは、自分を直接表現できる一番早い方法が音楽だと思ったので。

Kvi Baba(くゔぃ ばば)<br>大阪府・茨木出身。1999年生まれの20歳。2017年よりSoundCloud上で立て続けに楽曲を発表し音楽活動をスタート。トラップ、オルタナティブロックを飲み込んだ音楽性を持つ。2019年2月に1st EP『Natural Born Pain』を、同年3月に2nd EP『19』を立て続けにリリース。そして2019年9月25日に1stアルバム『KVI BABA』を発表した。
Kvi Baba(くゔぃ ばば)
大阪府・茨木出身。1999年生まれの20歳。2017年よりSoundCloud上で立て続けに楽曲を発表し音楽活動をスタート。トラップ、オルタナティブロックを飲み込んだ音楽性を持つ。2019年2月に1st EP『Natural Born Pain』を、同年3月に2nd EP『19』を立て続けにリリース。そして2019年9月25日に1stアルバム『KVI BABA』を発表した。

―歌と音って、解釈より速く人の心に届きますもんね。

Kvi Baba:僕は、自分みたいなヤツがいるって誰かに知ってほしい欲求がずっとあったんですよ。だって、僕は他の誰かになれなかったので。憧れたアーティストもいますけど、そういう人たちにはなれなかったんです。だから僕は僕を表現するしかないし、自分を探し続けないと死んじゃうと思うんですよ。

―生きる意味や自分の形が掴めないと、そこには死しか残らない?

Kvi Baba:そうですね。間違ってるかもしれないけど、自分がどんな存在なのか理解できないと、生きていけないと思うんです。自分が本当の意味でわからなくなった瞬間に僕は本当に死ぬんだろうなって。そう思うんです。

1st EP『Natural Born Pain』収録

―それは、大事なものがぶっ壊れて何もなくなることの怖さを知っているからこその言葉ですか。

Kvi Baba:……誰からも自分の存在を認められなかったし、たとえ誰かから「君はこういう存在だよ」って言われても、納得できなかったんですよ。だから自分は自分で探さなきゃいけないと思っていて。

それから明確には言えないことなんですけど、自分の家庭に問題があったのは確かで。まあ、自分が恵まれていたのか恵まれていなかったのかを話してもしょうがないんですけど……でも、そこで僕は何もできなかったっていうのはありますね。それが嫌だったんです。

―Kvi Babaさんの音楽を聴いて一番胸を掴まれたのは、歌そのものの切実さなんです。リリックの中には痛みも悲しみもたくさんあるけど、死んでしまいたいっていうギリギリのところで「生きたい」が響いてきて。そこがグッとくるんですよ。ご自身は、自分の歌とラップに滲んでくるのはどういうものだと思われてますか。

Kvi Baba:歌は全部、自分が自分をどう思うかっていうことだけ考えて書いてるんですよね。鏡の前に立ってレコーディングしてる、みたいな。誰かのためにっていう部分もあるけど、でもそれは、自分の人生を提示することの結果として誰かに響くものだと思っているので。僕に似て「自分を探さないと死んでしまう」っていう考えを持ってる人とか、あるいは真逆の考え方の人にも、僕が何かを吐き出すことで伝えられることがあるんじゃないかなって思ってますね。

Kvi Baba

―たとえば1990年代のオルタナティブロック / グランジの音色をエスカレートさせたようなギターが終始鳴っていたり、その上で歌われる言葉の数々も、歪んだ音色にフィットするようにして自分の虚無や悲しみを吐くものが多いわけですけど。ご自身が音楽という表現に惹かれたのは、どういう経験からだったんですか。

Kvi Baba:きっかけとしては、大阪の西成に知り合いがいて。そのツレのスタジオに遊びに行った時に、「やってみなよ」って言われて、瞬発的にリリックを書いて歌ったんですよ。そしたらできて。

―そこでどう思ったんですか。

Kvi Baba:俺にもできることあるじゃん、って思いましたね。いいこと言えんじゃん、って。自分にもできることがあるし、自分にしかできない音楽がある。すなわち自分にも価値があるって初めて思えたのがその時だったんですよ。ラップなら俺にもできるって。

元々音楽は好きで、ポップスもEDMもヒップホップもレゲエも、それこそオルタナティブロックも好きだったんですけど。それで、音楽が誰かとコミュニケーションを取れるものだとは知ってたんですよね。だから、それが自分にもできるとわかって嬉しかったんです。

2nd EP『19』収録

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リリース情報

Kvi Baba『KVI BABA』
Kvi Baba
『KVI BABA』

2019年9月25日(水)発売
価格:2,268円(税込)
KVB-003

1. Crystal Cry
2. Life is Short
3. Rusty Man feat. 鋼田テフロン
4. Nobody Can Love Me
5. Cheat on Me
6. Humanity
7. Decide
8. Hope
9. All Things are Fate

プロフィール

Kvi Baba
Kvi Baba(くゔぃ ばば)

大阪府・茨木出身。1999年生まれの20歳。2017年よりSoundCloud上で立て続けに楽曲を発表し音楽活動をスタート 。トラップ 、オルタナティブロックを飲み込んだ音楽性を持つ。2019年2月に1st EP『Natural Born Pain』を、同年3月に2nd EP『19』を立て続けにリリース。そして2019年9月25日に1stアルバム『KVI BABA』を発表した。

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