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MINAKEKKEの美学 今を生き延びるため、失われた時代の夢を見る

MINAKEKKEの美学 今を生き延びるため、失われた時代の夢を見る

MINAKEKKE『OBLIVION e.p.』
インタビュー・テキスト
柴那典
撮影:垂水佳菜 編集:山元翔一(CINRA.NET編集部)
2019/10/03

「音楽や映画が逃避させてくれた先で、自分の『コア』となるものを見出して、そうやってなんとか生き延びていく」――。

新作『OBLIVION e.p.』を9月25日にリリースしたシンガーソングライター、ユイミナコによるソロプロジェクト・MINAKEKKE。彼女は、このインタビューのなかで自分とカルチャーとの結びつきについて、音楽や映画がどんなふうに思春期の自分を救ってきたかについて、こう語っている。きっと、思い当たるふしのある人も多いだろう。

『OBLIVION e.p.』は、前作『TINGLES』からおよそ2年5か月ぶりとなる5曲入り。その耽美的な曲調には、ドリームポップ、トリップホップ、アシッドフォークなど様々なジャンルに通じる要素があり、どの曲にも、聴き手の想像力を掻き立てるシアトリカルな美学が共通している。それらは何に由来するのか。対話は、もともと映画やドラマにインスパイアされて楽曲を作っていたという話から、様々な映画、そして2010年代末の時代の空気へと膨らんでいった。

「今は感じられないだけで、どこかに希望がある」というマインドの作品なんです。

―『OBLIVION e.p.』、素晴らしかったです。音楽のジャンルやスタイルからもいろんな語り方ができる作品なのですが、どこか統一した美学のようなものを感じました。まず、完成したときの感触はいかがでしたか?

MINAKEKKE:簡単に言うと、ようやく完成してホッとしました。今回は、どういうマインドの作品を作るべきかを決めるのに、すごく時間がかかったんです。前作の『TINGLES』(2017年)も制作に時間がかかったんですけど、そっちは学生時代の頃から自分がやりたかったことを落とし込んだ作品だったからというのが理由で。

―今作はマインドが大事だった。どういうものに焦点を当てたんでしょうか。

MINAKEKKE:今回はまず、バックグラウンドのストーリーを固めたうえで音楽を作っていったんです。そこで焦点を当てたのは、迷いや葛藤をはじめとしたいろんな感情だったんですけど、最終的には綺麗なことや、いいことも悪いことも全て含めて忘却するということをコンセプトにして。「OBLIVION(=忘却)」というタイトルもそこからきたんですけど、すべて忘れて、そこに希望のようなものが新しく宿るということを描いています。「今は感じられないだけで、どこかに希望がある」というマインドの作品なんです。

MINAKEKKE(みーなけっけ)<br>2011年にライブ活動をスタート。2017年4月、デビューアルバム『TINGLES』をリリース。現在進行形のブリティッシュオルタナティブと地続きに繋がるダークファンタジー。同年7月、『FUJI ROCK FESTIVAL’17「ROOKIE A GO-GO」』に出演。2019年9月25日に、2年ぶりのフィジカルリリースとなる『OBLIVION e.p.』を発表した。
MINAKEKKE(みーなけっけ)
2011年にライブ活動をスタート。2017年4月、デビューアルバム『TINGLES』をリリース。現在進行形のブリティッシュオルタナティブと地続きに繋がるダークファンタジー。同年7月、『FUJI ROCK FESTIVAL’17「ROOKIE A GO-GO」』に出演。2019年9月25日に、2年ぶりのフィジカルリリースとなる『OBLIVION e.p.』を発表した。

―MINAKEKKEの音楽はとても映像的だと思うんです。聴いていると映画のワンシーンが浮かんでくるような感じがある。作っていくときにもそういうイメージはありました?

MINAKEKKE:この作品に限らず、曲作りをするときは映像から思い浮かぶことが多いです。たとえばドラマや映画を見て、この映像に合う音楽を作りたいという気持ちが出発地点になったりするので。今回の作品でも、音声をミュートした映像に自分の作ったデモを合わせて、自分のなかでの答え合わせをする、というようなことをしました。だから映像的というのは特徴としてあると思います。

―いつ頃からそういうふうに曲を作るようになったんですか?

MINAKEKKE:中学生くらいのときです。小学生の頃から詩や日記みたいなものを書いていたんですけれど、そこにメロディーをつけはじめたのが中学くらいのときで。たとえば映画を観に行ったあとに、遊び半分で「もし自分がエンディング曲を作るとしたらこういう感じだな」と思って、歌詞を書いたり曲を書いたりしていました。

―ということは、今やっていることと本質的には変わらない?

MINAKEKKE:そうですね。それが自分のルーツになっていると思います。

MINAKEKKE
MINAKEKKE
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リリース情報

MINAKEKKE『OBLIVION e.p.』
MINAKEKKE
『OBLIVION e.p.』(CD)

2019年9月25日(水)発売
NGCA-1060

1. Luminous
2. Acid
3. Young and Shame
4. Golden Blue
5. Oblivion

プロフィール

MINAKEKKE
MINAKEKKE(みーなけっけ)

2011年にライブ活動をスタート。2012年、アコースティックギター弾語りでメロディ際立つ1st自主制作CD『Nitton!』を、2013年、ループエフェクターを使用したリアルタイム多重独奏で曲の世界を限界まで広げた2nd自主制作CD『TRILOGIC』を発売。弾語りイベントに出演するも浮きまくり、共演者やライブハウス関係者を中心に「変だけどすごい女子がいる!」と話題になる。2017年4月、デビューアルバム『TINGLES』をリリース。現在進行形のブリティッシュ・オルタナティヴと地続きに繋がるダーク・ファンタジー。7月にはFUJI ROCK FESTIVAL’17「ROOKIE A GO-GO」に出演。2018年6月、スモールルームからお送りする自主ライブ企画「Broken Beauties Club」を開催。8月には「Broken Beauties Club Studio Sessions」をYouTubeにてフリー配信。2019年9月25日、2年ぶりのフィジカルリリースとなる『OVLIVION e.p.』を発表。

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