
indigo la Endが語る、日本語ポップスの歌詞。歌詞展を巡りながら
indigo la End『濡れゆく私小説』- インタビュー・テキスト
- 金子厚武
- 撮影:山川哲矢(Showcase) 編集:矢島由佳子(CINRA.NET編集部)
11月9日と10日の2日間にわたって、indigo la Endが『濡れゆく私小説展』を目黒CLASKAで開催した。これは最新作『濡れゆく私小説』に紐づく展示会で、川谷絵音が「二人の日々」を撮り下ろした写真展や、歌詞の朗読ムービーなどによって、アルバムの世界観を立体的に表現。9日にはハイタッチ会も行われ、ファンとの交流を楽しんだ。
多方面で才能を発揮している川谷は、やはり作詞家としてのセンスにも非凡なものがある。特にindigo la Endではそのバンド名通り「終わり」=「失恋」をテーマに、女性 / 男性それぞれの目線で繊細な感情を描写してきたが、『濡れゆく私小説』ではその表現の幅がさらに広がり、川谷自身も「これまでの書き方はここまで」と集大成的な位置づけをしている。
また、『濡れゆく私小説』は山下達郎や松任谷由実といった日本語ポップスの系譜と改めて向き合った作品でもある。ストリーミングを通じて、日本の音楽が徐々に海外でも聴かれるようになってきた今、日本語の可能性を改めて問い直すことは意味があると言えるだろう。『濡れゆく私小説展』の開催中に、メンバー四人と「歌詞」について語り合った。
自分で言うのもなんですけど、いい歌詞だなって思いました。(川谷)

『濡れゆく私小説展』のエントランスにて。
indigo la End(いんでぃご ら えんど)
左から:佐藤栄太郎、後鳥亮介、川谷絵音、長田カーティス
2010年2月川谷絵音を中心に結成。2014年8月に後鳥亮介が加入。2015年に佐藤栄太郎が加入し現在の体制となる。歌とギターのツインメロディとそれを支えるリズム隊、それらが絶妙なバランスで重なり合う。10月9日に最新アルバム『濡れゆく私小説』をリリースした。
―まずは今回歌詞をフィーチャーした『濡れゆく私小説展』を開催することにした経緯を話してもらえますか?
川谷(Vo,Gt):いい作品ができたから、アルバムに紐づいたなにかができないかなと思ったときに、今回は言葉が強いので、言葉と写真の展示みたいなことができたらいいなと思って。実際は思ってたより大がかりなものになって、それはスタッフさんが考えてやってくれたことでもありつつ、アルバム自体に拡張性があったから、ここまでになったのかなとも思いました。
後鳥(Ba):歌詞って歌で聴くと音で入ってきますけど、朗読や文字にすると、また伝わってくるものが違うんですよね。
長田(Gt):淡々と朗読してるんだけど、ところどころ感情を入れるような読み方をしていて、そういうのもいいなって。
―“はにかんでしまった夏”のミュージックビデオに出演しているモデルの國貞彩花さんが写真展の被写体になっていて、朗読もされてるんですよね。
川谷:舞台女優とかもやってる子なので、発音もしっかりしていてよかったですね。朗読って、棒読みだと「ん?」ってなっちゃうと思うけど、そうはなってなかったし、自分で言うのもなんですけど、朗読で聴いても恥ずかしくない、いい歌詞だなって思いました。
佐藤(Dr):朗読はとってもよかった。後鳥さんも言ってたように、今まで音とリズムで覚えてた歌詞を、ああやって伝えられると、また別の側面を見れた感じがしました。
―ハイタッチ会もありましたね。indigo la End(以下、インディゴ)としては珍しいのでは?
川谷:聴いてくれてる人とあの距離で接することってないので、面白かったですし、改めて「こういう人が聴いてくれているんだ」というのがわかって、いい機会でした。男性も結構多くて。男四人で、恋愛の歌詞を歌ってるバンドって、あんまり男のお客さんはいないイメージじゃないですか? でもインディゴは、ライブも結構男子の割合が多かったりして。
長田:下手したら男女トントンくらいだったよね。
後鳥:年齢層も結構幅広くて。
川谷:ハイタッチ会って、バンドなのにアイドルっぽくなっちゃうこともあると思うんですけど、「曲が好きです」って言ってくれる人が多くて、それも嬉しかったです。
イベント情報
- 『濡れゆく私小説展』
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2019年11月9日(土)、11月10日(日)
会場:東京都 目黒 CLASKA The 8th Gallery
イベント情報
- 『ONEMAN HALL TOUR 2019「心実」』
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2020年1月30日(木)、1月31日(金)
会場:東京都 中野サンプラザ
リリース情報
- indigo la End
『濡れゆく私小説』初回限定盤(CD+DVD) -
2019年10月9日(水)発売
価格:4,400円(税込)
WPZL-31658[CD]
1. 花傘
2. 心の実
3. はにかんでしまった夏
4. 小粋なバイバイ
5. 通り恋
6. ほころびごっこ
7. ラッパーの涙
8. 砂に紛れて
9. 秋雨の降り方がいじらしい
10. Midnight indigo love story
11. 結び様[DVD]
『全国ワンマンツアー「街路樹にて」東京追加単独公演「abuku」』at 日比谷野外大音楽堂 ライブ映像収録
1. 夜明けの街でサヨナラを
2. ハートの大きさ
3. はにかんでしまった夏
4. 彼女の相談
5. 花をひとつかみ
6. 見せかけのラブソング
7. スウェル
8. 名もなきハッピーエンド
9. 想いきり
10. 幸せな街路樹.
11. 心ふたつ
12. 夏夜のマジック
13. 幸せが溢れたら

- indigo la End
『濡れゆく私小説』通常盤(CD) -
2019年10月9日(水)発売
価格:3,300円(税込)
WPCL-131031. 花傘
2. 心の実
3. はにかんでしまった夏
4. 小粋なバイバイ
5. 通り恋
6. ほころびごっこ
7. ラッパーの涙
8. 砂に紛れて
9. 秋雨の降り方がいじらしい
10. Midnight indigo love story
11. 結び様
プロフィール

- indigo la End(いんでぃご ら えんど)
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2010年2月川谷絵音を中心に結成。2014年8月に後鳥亮介が加入。2015年に佐藤栄太郎が加入し現在の体制となる。歌とギターのツインメロディとそれを支えるリズム隊、それらが絶妙なバランスで重なり合う。