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Momが現代に鳴らす警鐘。大衆化が進む社会の無邪気さに抱く疑念

Momが現代に鳴らす警鐘。大衆化が進む社会の無邪気さに抱く疑念

Mom『マスク』『ハッピーニュースペーパー』
インタビュー・テキスト
高木"JET"晋一郎
撮影:垂水佳菜 編集:中田光貴(CINRA.NET編集部)
2019/12/10

私小説的な感触の強かったアルバム『Detox』を今年5月にリリースし、自身の新たな側面を明らかにしたMom。内面という、自分のことでありながら、その自分が最も掴みにくく、ともすれば足を取られて溺れてしまいそうになる深部からしっかりと生還し、彼はタイトル通り自身を浄化した。そんな彼が次に打ち出したのは、“マスク”と“ハッピーニュースペーパー”という2曲だった。

サウンド的にはダークな感触のある”マスク”と、明るい聴感のある“ハッピーニュースペーパー”という、対象的な2曲。しかしそのSFチックなストーリー構成や、ある種の「諦念」を抱えた世界観は、2曲共が共通して持っているものであり、単曲でありながらも通じ合う部分は、インタビューでも語られる通り、現在制作中だと話すアルバムによっても、また違った彩りを感じさせるだろう。

今回から制作ソフトをGarageBandからLogic Pro Xに切り替え、制作のスピーディーさに加え、サウンド的な深みを更に強くした彼。足取り軽く、深く世界を描く。

自分のモヤモヤを解消するためだけに音楽をやるのは、今やりたいことではない。

―先日サンリオピューロランドで行われた『SPOOKY PUMPKIN 2019』のライブを昨年に続いて拝見しましたが、昨年よりもMomさんのステージは大きくなり、Momさんを観に来ているお客さんがかなり増えたようにも感じました。そういった事も含めて、この1年で自分を取り巻く環境は変わった実感はありますか?

Mom:そういう部分に関しては、まだネガティブな印象が強いですね。声を掛けて貰う機会が増えたのはありがたいんだけど、自分のパフォーマンスに対しては、まだまだだなと思うことが多いです。

僕のライブは、お客さんに話しかけるような雰囲気もあるんで、そこで上手く意思の疎通が出来なかったりすると、どうしたら良かったのかな、とか1人で勝手に凹む感じですかね(笑)。

Mom(まむ)<br>シンガーソングライター / トラックメイカー。現役大学生の22歳。様々なジャンルやカルチャーを遊び心たっぷりにDIYで混ぜこぜにした、手触り感のある独自のジャンル「クラフトヒップホップ」を提唱。アートワークやMusic Videoの監修も自身でこなし、隅々にまで感度の高さを覗かせる。すべてのトラックをMacBook一台で制作しているにもかかわらず、一度聴くと頭の中を支配する楽曲たちにはサウンド構築の緻密さや、あくまでポップスフィールドからはみ出ないメロディセンスが光る。
Mom(まむ)
シンガーソングライター / トラックメイカー。現役大学生の22歳。様々なジャンルやカルチャーを遊び心たっぷりにDIYで混ぜこぜにした、手触り感のある独自のジャンル「クラフトヒップホップ」を提唱。アートワークやMusic Videoの監修も自身でこなし、隅々にまで感度の高さを覗かせる。すべてのトラックをMacBook一台で制作しているにもかかわらず、一度聴くと頭の中を支配する楽曲たちにはサウンド構築の緻密さや、あくまでポップスフィールドからはみ出ないメロディセンスが光る。
Mom『マスク』を聴く(Apple Musicはこちら

Mom『ハッピーニュースペーパー』を聴く(Apple Musicはこちら

―その意味でも、ライブで大事にしているのはオーディエンスとのセッション性や接続性ですか?

Mom:それはありますね。人間味のあるアーティストが好きだし、それがヒップホップを好きな理由でもあって。「この人がどういう人なのか」という部分が分からないと乗りづらいし、自分自身、少しいびつな音楽をやってるとは思うんで(笑)。自分の人間性が伝わるようなライブを、やった方がいいのかなって思います。

―身体性のあるライブというか。

Mom:生々しさというか。この前、ビリー・アイリッシュのライブを見てたら、歌いながら「歌詞が飛んじゃった」って言ってて、それがリアルに感じたし、それぐらいラフでも良い気がするんですよね。そういう感覚には、とても同時代性を感じました。

―サンリオでステージが大きくなったり、様々なところでMomさんのお名前を聞くようになったのは、『Detox』の完成度も大きかったと思いますが、そのアルバムを作り終わってから現在までの心境は?

Mom:結構ホッとしてる部分が大きいですね。ただ『Detox』をリリースしてからしばらくは、ホワホワした時間というか、自分の中で次はどういう方向性で制作を進めればいいのかなっていうのがちょっと見えづらい、宙ぶらりんな時期があったんですよね。

Mom
Mom『Detox』を聴く(Apple Musicはこちら

Mom『Detox』収録曲

―そこで制作が止まったりは?

Mom:制作自体は僕にとってただの日常だから、なんとなく制作は続けてたんです。けど、なんか……「いま作ってる曲、意味ないな」って。

―それはなぜ?

Mom:なにを伝えたいのかよく分からないし、作ったことで自分はなにも変わらないなって思ってしまって。

―ある種のスランプと言うか。

Mom:『Detox』は自然主義的というか、自分の思いや心の燻りを吐き出していくように作っていってたので、その延長線上で曲を作ると、「自分自身を表現する」というところに意味を求めてしまって。それが自分の中でしっくりこなかったし、足踏みしちゃってた時期はありましたね。

―自己撞着的な、マスターベーションに陥りかねない楽曲だったと。

Mom:自分のモヤモヤを解消するためだけに音楽をやるのは、今やりたいことではないと思ったんですよね。自分としては、もうそういう音楽を作る時期でもないと思うし、曲を出して人に聴かせるってことに、ちゃんと意味を持たせたいなって。

そこで、もっと自分を俯瞰で見たり、独立した物語を書きたいと思ったんですよね。そういうモードになって、ようやく人に聴いて欲しいなと思う曲が作れるようになったんです。

Mom
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リリース情報

『マスク』
Mom
『マスク』

2019年11月6日(水)配信

『ハッピーニュースペーパー』
Mom
『ハッピーニュースペーパー』

2019年11月27日(水)配信

イベント情報

『look forward to science 3』

2019年12月13日(金)
会場:東京都 Veats Shibuya

出演:
Lucky Kilimanjaro
Mom[BAND SET]

プロフィール

Mom(まむ)

シンガーソングライター / トラックメイカー。現役大学生の22歳。様々なジャンルやカルチャーを遊び心たっぷりにDIYで混ぜこぜにした、手触り感のある独自のジャンル「クラフトヒップホップ」を提唱。アートワークやMusic Video の監修も自身でこなし、隅々にまで感度の高さを覗かせる。 すべてのトラックをMacBook一台で制作しているにもかかわらず、一度聴くと頭の中を支配する楽曲たちにはサウンド構築の緻密さや、あくまでポップスフィールドからはみ出ないメロディセンスが光る。2018年初頭よりMomとしての活動を本格化。同年11月、初の全国流通盤『PLAYGROUND』をリリース。2019年5月、1stよりわずか半年のハイスピードで2nd ALBUM『Destox』を発売、タワレコメンに選出。

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