特集 PR

ルパン三世・大野雄二が語る物作りの流儀「マンネリを恐れるな」

ルパン三世・大野雄二が語る物作りの流儀「マンネリを恐れるな」

You & Explosion Band『THEME FROM LUPIN III 2019』
インタビュー・テキスト
タナカヒロシ
撮影:鈴木渉 編集:矢澤拓(CINRA.NET編集部)

最初に作ったルパンの歌は、イントロのいちばん大事なところ、リズムを間違えてるの。

―いままでルパンの曲は数え切れないほどありますが、大野さんは全部把握されてるんですか?

大野:いや、あんまり把握してないよ。

―そうなんですね(笑)。あんなに数多いと覚えきれないんじゃないかなと思ったんですよ。

大野:実はね、昔、“ルパン三世のテーマ”で歌詞付きを初めて作ったとき、イントロのいちばん大事なところのリズムを間違えてたの。

―そうなんですか!?

大野:第2シリーズの最初はインストだったでしょ。それに(第27話から)歌がついたときに、タタッタッタタッタのところ(歌が始まる直前の<ルパン・ザ・サード>のコーラス後のブラス駆けあがり部分)のリズムを間違えてた。インストで“ルパン三世のテーマ”を作ってからまだ1年も経ってないときだったのに、もう音符の場所がズレてたの。だから当時は1年前のものすら、ちゃんと聴いてなかったってこと。なんで気付いたかというと、(2019年11月放送のテレビスペシャル『ルパン三世 プリズン・オブ・ザ・パスト』で)松崎しげるが歌うときに、昔のオリジナルはどうなってたかなと思って聴いたら、「あ! 間違ってる!」って。

―めちゃくちゃ最近じゃないですか!

大野:そう。40年越しのミス発見(笑)。

―そうだったんですね(笑)。僕が気になったのは、たとえば“BUONO!! BUONO!!”は第4シリーズが初出の曲ですけど、なんで今回の映画で使おうと思ったんだろうって。

大野:それはね、実は流行らせたかったから。第2シリーズの3年間に出したアルバム以外にも新しい曲をいっぱい書いてるのに、年に1回の2時間スペシャルだとなかなか覚えてもらえないの。それが悔しいわけ。“BUONO!! BUONO!!”は覚えてもらいたい曲だと思ってるから、出せるときはなるべく出すようにしてるんだ。

―ちなみに今回の61曲で、大野さん的にこれだけは新しく覚えてほしいっていう曲はありますか?

大野:それはやっぱり、りんが歌っている“GIFT”だね。今回監督からは“炎のたからもの”を超えるエンディングにしてくれと言われたの。それで自分で作った曲を嫌っていうほど聴いて、そこから影響を受けようとしたくらいだから。

大野雄二

嫌っていうほど努力しないと、本当のマンネリにはならない。

―この先のルパンの音楽は、どうありたいですか?

大野:究極のマンネリ。それをかっこ悪いとか思っちゃダメだね。実はね、嫌っていうほど努力しないと、本当のマンネリにはならない。悪い意味でマンネリって言われるのは、なんの努力もしないで続けてるからつまらない、ってことなんだ。本当のマンネリが、どのくらいに素晴らしいものなのか。それこそルパンなんて究極のマンネリ作品で、マンネリから外れるなら、他でやればいいじゃんって話だから。

大野雄二

―確かに。いままでと違うことをやるなら、ルパンでやる必要がないですもんね。そういう意味で今回の映画は、「これぞルパンだな」って、めちゃくちゃ楽しめました。

大野:違うことをやろうとする気持ちはわからないでもないんだけど、だいたいトンガリすぎちゃう。

―そういう点で大野さんが気をつけてることはありますか?

大野:やっぱりルパンはね、結局は人間力でやってるから、あまりにも無機質になりすぎると似合わないんだ。いまは特にそうだけど、ハイテクに対して、アナログな感じでしょ、ルパンって。アナログ力が大事。いちばん新しいアナログみたいな。だからこそ、最新のものはどんなものかをずっと勉強し続けてないと、置き忘れられちゃう。僕もそういう兼ね合いはずっと意識しているね。

―時代が変わってもルパン像を保つために、日々勉強されてるということですよね。

大野:新しい音楽も聴くけど、こういうのを取り入れたい、とかはあんまり思わないな。昔の人を聴き直して、「おお! こんなにすごかったのか!」みたいな人はいるけど、新しい人を聴いても、なんか熱くないんだよね。

―それは人間味みたいなところですか?

大野:いや。一言で言ったら、最近の人は頭でっかちになっちゃってる印象。特に新しい傾向でなにか作ろうとしてる人は、昔の人より知識がありますとか、テクニックがありますとか、機械がこんなに発達してますみたいなことが多いので、聴いててグッとこない。70年代後半から80年代くらいまでのソウルミュージックなんかを聴くと、もうかなわないよ。あの頃の人たちは、人間の知力みたいなことと、ロマンティックなことと、いろんなことを混じえて、血が騒ぐみたいな感じで音楽を作っていたから。だけどいまは、騒ぐとかっこ悪いみたいになっちゃうでしょう。

―大野さんは、血が騒ぐような音楽を聴きたい?

大野:そう。ディスコミュージックにも、くだらないものもいっぱいあるんだけど、探していくとキャッチーであることに命かけてる感じがよくあるんだ。やっぱりね、僕はキャッチーじゃなきゃダメみたい。

―それもきっと、難しいことをやり尽くして、一周まわってのキャッチーなんでしょうね。

大野:うん。だから究極のマンネリを怖がらないこと。その代わり、説得力がなきゃダメ。よく老舗の味って言うけど、やっぱり老舗は勉強してるから。

Page 4
前へ

リリース情報

You & Explosion Band『LUPIN THE THIRD~THE FIRST~』
You & Explosion Band
『LUPIN THE THIRD~THE FIRST~』(2CD)

2019年12月4日(水)発売
価格:3,300円(税込)
VPCG-83542

1. REMEMBER THAT DAY
2. ESCAPE IN JET BLACK
3. THEME FROM LUPIN III 2019
4. A MUSEUM IN PARIS
5. BUONO!! BUONO!! 2019
6. THE BUBBLE BALL 2019~Catch'n Run
7. LOVE SQUALL 2019~Fuwa Fuwa Rin
8. ZENIGATA MARCH 2019~Kack au Ray
9. SEXY A LA CARTE POUR F 2019~yeah'n
10. SNAKE SIGH
11. THEME FROM LUPIN III 2019~Playback '80
12. DANGEROUS TEMPTATION 2019
13. SNAKE SIGH partII
14. TELL ME EVERYTHING
15. CRIMINAL CONNECTION
16. YOUNG PASSION OF LAETITIA
17. WHAT'S HERE?
18. DANTAI SAMANO OTSUKIDAAAAA 2019 PartII
19. DARK INSIDE 2019
20. BET ON ME
21. MYSTERIOUS DIARY
22. SNAKE NEST
23. ENVY OF LAMBERT
24. LOVE SQUALL 2019~Sweet Invitation
25. CHASING IN THE DARK 2019
26. THE SHADOW OF ADOLF
27. FRAGMENT OF MEMORIES
28. SAMBA TEMPERADO 2019
29. THINKING TIME
30. ZENIGATA MARCH 2019
31. ZENIGATA MARCH 2019~Deren Deren
32. GIFT~Seaside Of Reminiscence
33. GO CROW SUN
34. GIFT~Scene In The Sunset
35. THE MOUTH OF THE CAVE
36. SILENT INVESTIGATION
37. ZERO GRAVITY
38. BLUE EYE MAGIC
39. ENTRANCE TO THE MYSTERY
40. BRILLIANT ROAD
41. A RARA NYANYANYA
42. YOU GO AHEAD
43. I'VE GOT IT
44. THEME FROM LUPIN III 2019~Gotcha!
45. THE END OF A CHEAP TRICK
46. THE NAME IS ECLIPSE
47. FLIGHT TO EVILNESS
48. ZANTETSUKEN 2019
49. WICKED EVOLUTION
50. MICRO BLACK HOLE
51. DEPARTURE OF LAETITIA
52. SHEER INSANITY
53. THE LAST LOVE OF LAMBERT
54. FAITHFUL SERVANT
55. THE EMPIRE FOR ADOLF
56. THEME FROM LUPIN III 2019~All For One
57. FRENZY OF SNAKE
58. LAST COUNTERATTACK
59. THE VAIN LIFE
60. SUPER HERO 2019
61. GIFT feat. 稲泉りん

作品情報

『ルパン三世 THE FIRST』

全国東宝系で公開中

監督・脚本:山崎貴
原作:モンキー・パンチ
音楽:大野雄二
制作:トムス・エンタテインメント、マーザ・アニメーションプラネット
声の出演:
栗田貫一
小林清志
浪川大輔
沢城みゆき
山寺宏一
広瀬すず
吉田鋼太郎
藤原竜也
配給:東宝

プロフィール

大野雄二(おおの ゆうじ)

小学校でピアノを始め、高校時代にジャズを独学で学ぶ。慶應義塾大学在学中にライト・ミュージック・ソサエティに在籍。藤家虹二クインテットでJAZZピアニストとして活動を始める。その後、白木秀雄クインテットを経て、自らのトリオを結成。解散後は、作曲家として膨大な数のCM音楽制作の他、『犬神家の一族』『人間の証明』などの映画やテレビの音楽も手がけ、数多くの名曲を生み出している。リリシズムにあふれた、スケールの大きな独特のサウンドは、日本のフュージョン全盛の先駆けとなった。代表作『ルパン三世』『大追跡』のサウンドトラックは、1970年代後半の大きな話題をさらった。2019年12月に公開された『ルパン三世 THE FIRST』まで、43年に渡りシリーズの作曲家として活躍し、精力的にライブ活動も行なっている。

SPECIAL PR 特集

もっと見る

BACKNUMBER PR 注目のバックナンバー

もっと見る

PICKUP VIDEO 動画これだけは

BIM“Wink”

BIMの新作『NOT BUSY』より“Wink”の映像が公開。ゆるめに結んだネクタイは軽妙洒脱でも、背伸びはしない。どこか冴えない繰り返しのなかで<だって俺らの本番はきっとこれから>と、吹っ切れなさもそのままラップして次へ。BIMの現在進行形のかっこよさと人懐っこさがトレースされたようなGIFアニメが最高にチャーミング。(山元)

  1. 映画『ミッドサマー』に星野之宣、行定勲、人間食べ食べカエルらがコメント 1

    映画『ミッドサマー』に星野之宣、行定勲、人間食べ食べカエルらがコメント

  2. 『リメンバー・ミー』が金ローで放送。歌が繋ぐ家族と「記憶」 2

    『リメンバー・ミー』が金ローで放送。歌が繋ぐ家族と「記憶」

  3. 綾瀬はるか、妻夫木聡、藤原竜也、深田恭子ら12人が「じゃんけんグリコ」 3

    綾瀬はるか、妻夫木聡、藤原竜也、深田恭子ら12人が「じゃんけんグリコ」

  4. 橋本環奈の瞳をカラコンで再現 ロート製薬エマーブル新企画「環奈Eye」 4

    橋本環奈の瞳をカラコンで再現 ロート製薬エマーブル新企画「環奈Eye」

  5. 剣心・佐藤健と縁・新田真剣佑が睨み合う『るろうに剣心 最終章』特報公開 5

    剣心・佐藤健と縁・新田真剣佑が睨み合う『るろうに剣心 最終章』特報公開

  6. スタジオジブリレコーズがサブスク解禁 サントラ23作含む38作を一挙配信 6

    スタジオジブリレコーズがサブスク解禁 サントラ23作含む38作を一挙配信

  7. 『映像研には手を出すな!』実写ドラマ化、4月放送 映画版は5月15日公開 7

    『映像研には手を出すな!』実写ドラマ化、4月放送 映画版は5月15日公開

  8. シェア社会に疲れた入江陽が別府・鉄輪で感じた秘密基地の豊かさ 8

    シェア社会に疲れた入江陽が別府・鉄輪で感じた秘密基地の豊かさ

  9. 菊地成孔が渋谷PARCOでお買い物。買うことは、生きている実感 9

    菊地成孔が渋谷PARCOでお買い物。買うことは、生きている実感

  10. 折坂悠太とカネコアヤノの再会の記録 「歌」に注ぐ眼差しの違い 10

    折坂悠太とカネコアヤノの再会の記録 「歌」に注ぐ眼差しの違い