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新生envyが体現する、国も人種も超えて自由に生きるためのヒント

新生envyが体現する、国も人種も超えて自由に生きるためのヒント

envy『The Fallen Crimson』
インタビュー・テキスト・編集
矢島大地(CINRA.NET編集部)
撮影:浜野カズシ
2020/03/06

envyが2月5日にリリースした『The Fallen Crimson』。ハードコアシーンで産声を上げながらもその域に留まらず、轟音でありながら聴く人を優しく包む深い音響を獲得してきた唯一無二の音楽としての矜持はもちろん、かつてなく瑞々しい歌心とリズムが躍動している素晴らしい作品だ。

バンドのオリジナルメンバーであった深川哲也が脱退したのが2016年。その後サポートボーカルを迎えながら活動を維持していたものの、続けざまに中枢メンバー2人が脱退。河合信賢と中川学2人だけになった時期もあった。しかし2018年に渡部宏生(heaven in her arms)、yOshi(killie)、滝善充(9mm Parabellum Bullet)をサポートメンバーに迎え、深川がバンドに復帰を果たした。

6人体制となり正真正銘の新生envyとして放つ今作が表すのは、メンバーが変わったからこそいつまでも変わらないものを自覚できたenvyの姿だ。上記した唯一無二の音楽性ゆえ世界中にファンベースを持つバンドだからこそ、従来の姿を求める声も各地から大きく挙がったと言う。しかし今作を聴けば、envyが鳴らしてきたのはいつでも「自由に生きるためには自分で居場所を作るしかない」という意志だったと理解できるだろう。変化を果たす勇気、いつだって人は生まれ変わり踏み出せるのだという鼓舞。そういったバンドの意志は一切揺らぐことはなかったのだ。だからこそ過去最も彩り豊かで温かな轟音が解放されている。

envyが自由を希求し、誰も踏み込んだことのない国へ赴き、出会いと旅の中で知っていく愛を叫び続けるのはなぜなのか。「人を笑顔にしたいだけなんだ」と語る心の奥を、全員インタビューで聞く。「音楽は国境を超える」「音楽は世界を繋ぐ」なんて絵空事だと思うか? いやいや、そんな綺麗事を己の身ひとつで現実にしてきたのが、envyなのだ。

初期衝動を大事にしたかった。「5人に戻れ」なんて批判をされてでもやるのなら、潔く新しいenvyをやろうと思ったんだよね。(河合)

―本当に素晴らしい作品でした。サウンド、フレーズともに光量がグッと増したのと同時に、初期を思わせる生々しいサウンドも尖った形で鳴っていて。envyの根幹の部分と、この先の10年を新たに歩んでいく意志とがフレッシュに鳴っている作品だと感じました。まず、皆さんはこの作品にどういう手応えを感じられていますか。

滝(Gt):2018年に私を含めた3人(滝、yOshi、渡部)がサポートとして入ったことで、「新しいenvyを作ろう」という意識を6人で共有できたのが大きかったと思います。ノブさん(河合)が「自由になんでもやってみよう」と言っていて、実際にアイデアの交換を自由に行えたんですね。それが曲の新鮮さに繋がったと思いますし、なおかつ1曲1曲をコンパクトに表現できたのもよかったと思いますね。

Spotifyでenvy『The Fallen Crimson』(2020年)を聴く(Apple Musicはこちら

―曲のコンパクトさを意識したのは、フレッシュな衝動を凝縮したい、みたいな気持ちからだったんですか。

河合(Gt):そうそう。バンドを長く続けてると、得意な作り方が染みついてくることがあるでしょう。俺らで言えば、7分から8分の長尺で展開していく曲が得意なんですよ。でも今回はファーストアルバムのように初期衝動を大事にしたかった。これまでは僕が作曲やアレンジの大半を担当してきたけど、メンバーそれぞれのアイデアをフェアに取り上げることで、これまでの型を取っ払って新たな方向性を示したかった。

これだけ長くやってればこれまでのenvyの特徴も理解してるし、オリジナルメンバー3人が主導でやれば、海外でも「ユニークなサウンドだ」って言われてきた部分も維持できるんですよ。だけど、「5人に戻れ」なんて批判をされてでもやるのなら、潔く新しいenvyをやろうと思ったんだよね。

envy<br>左から:渡部宏生(Dr)、yOshi(Gt)、深川哲也(Vo,Syn)、滝善充(Gt)、中川学(Ba)、河合信賢(Gt)<br>前進のBLIND JUSTICEを経て、1995年に結成。日本ではSONZAI RECORDSを主宰し、世界各国のレーベルからも作品をリリース。北米、欧州、アジア問わずツアーを実施している。ハードコアバンドとして始動しながらも、ポストロックやシューゲイザーまでを消化した深い音響と轟音を特徴とした音楽性を持つ。2018年にyOshi(killie)、滝善充(9mm Parabellum Bullet)、渡部宏生(heaven in her arms)をサポートメンバーとして迎え、2016年に脱退していた深川哲也も復帰。6人編成でリスタートを果たし、現体制で初のアルバム『The Fallen Crimson』を2月5日にリリースした。
envy(えんゔぃー)
左から:渡部宏生(Dr)、yOshi(Gt)、深川哲也(Vo,Syn)、滝善充(Gt)、中川学(Ba)、河合信賢(Gt)
前進のBLIND JUSTICEを経て、1995年に結成。日本ではSONZAI RECORDSを主宰し、世界各国のレーベルからも作品をリリース。南米、欧州、アジア問わずツアーを実施している。ハードコアバンドとして始動しながらも、ポストロックやシューゲイザーまでを消化した深い音響と轟音を特徴とした音楽性を持つ。2018年にyOshi(killie)、滝善充(9mm Parabellum Bullet)、渡部宏生(heaven in her arms)をサポートメンバーとして迎え、2016年に脱退していた深川哲也も復帰。6人編成でリスタートを果たし、現体制で初のアルバム『The Fallen Crimson』を2月5日にリリースした。

―2016年にオリジナルメンバーであったテツさん(深川)が脱退して、ボーカリスト不在という形になった。そしてサポートボーカリストを迎えながらライブ活動をしていた中、2018年に中心メンバーであった関さんと飛田さんが脱退された。そしてその後にテツさんが復帰された。時系列としてはこうですよね。

河合:そうだね。2018年にメンバーふたりが脱退するにあたって僕が新しいメンバー3人を誘ったんだけど――envyを続けていくイメージが湧いたのは、滝との出会いがデカかったんだよね。envyと9mm(Parabellum Bullet)では音楽性は少し違うけど、これだけ面白いギタリストなら、今までになかったものをもたらしてくれそうだなって。で、会ったこともないのに即電話して、はじめましての挨拶のあと、二言目に「俺と一緒に世界に行かないか」って言ってさ。

:それはもう、「やります」って即答ですよね。僕は学生の頃からハードコアが大好きでしたし、その中でもenvyは特に異端でカッコよかったから。

Spotifyでenvy『From here to eternity』(1998年)を聴く(Apple Musicはこちら

―当時の作品を聴いてみても、従来の日本のニュースクールとは全然違いましたし、音響の深さにしても、メロディアスなフレーズがもうひとつの歌を担っている構造にしても、叫びでありながら詩的な歌の在り方にしても、発明でしたよね。

:そうなんですよ。「誰かと一緒のことなんかしねえ」っていう我が道を行くスタイルがカッコよくて。自分にしかなものを貫くこと――私は、そういう価値観において大きな影響を受けましたね。

yOshi(Gt):それは僕も同じです。自分はenvyと近いところでやってきた分、昔はノブさんに噛みついたこともあったんですが、envyの動向は追ってましたし、サポートの話をもらった時は素直に嬉しかったです。ただ、その一方で新しいメンバーが3人入ることで、これまでのenvyの良さを殺してしまう可能性もあったので、そこは凄く意識しましたね。

―バンドにとってメンバーの入れ替わりは「100が70になる」みたいな単純な話じゃないし、今の話は、envyへのリスペクトがあるからこそですよね。

yOshi(Gt):そうですね。envyが築き上げてきたオリジナリティとアイデンティティ――音楽的な面も、DIYで世界規模の活動をしてきたことも、残したいenvy像がありました。ただ、たとえメンバーが変わっても、伝統を守りながら新しいものを生み出していくことが大事だと僕は思っていて。

スポーツにたとえるなら、好きなチームに所属している監督や選手はずっとそこにいるとは限らないし、変わればフォーメーションや戦術も変わっていく。でも、そのチームには長い歴史と伝統があって、そしてファンがいる。自分は、それを大事にしたいしリスペクトしたい。その上で新しい要素をチームに加えて、相互作用が生まれることを目指してます。

渡部(Dr):壊したくない「envyの音像」があっても、結局は一周してシンプルに自分にできることをやるしかない。その結果として新しいものが出てきたのなら、それが今のenvyなんだと考えて僕もやるようにしました。そしたら、10代の頃に見ていたenvyのカッコよさもあるし、実際に新しい面もたくさん入っている作品になったんじゃないかと思います。

envy
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リリース情報

envy『The Fallen Crimson』
envy
『The Fallen Crimson』(CD)

2019年2月5日(水)発売
価格:2,750円(税込)
SZ-008

1. Statement of freedom
2. Swaying leaves and scattering breath
3. A faint new world
4. Rhythm
5. Marginalized thread
6. HIKARI
7. Eternal memories and reincarnation
8. Fingerprint mark
9. Dawn and gaze
10. Memories and the limit
11. A step in the morning glow

プロフィール

envy(えんゔぃー)

前進のBLIND JUSTICEを経て、1995年に結成。日本ではSONZAI RECORDSを主宰し、世界各国のレーベルからも作品をリリース。北米、欧州、アジア問わずツアーを実施している。ハードコアバンドとして始動しながらも、ポストロックやシューゲイザーまでを消化した深い音響と轟音を特徴とした音楽性を持つ。2018年にyOshi(killie)、滝善充(9mm Parabellum Bullet)、渡部宏生(heaven in her arms)をサポートメンバーとして迎え、2016年に脱退していた深川哲也も復帰。6人編成でリスタートを果たし、現体制で初のアルバム『The Fallen Crimson』を2月5日にリリースした。

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