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内山拓也監督が語る、Uru、平井堅、King Gnuの話題MVの裏側

内山拓也監督が語る、Uru、平井堅、King Gnuの話題MVの裏側

Uru『オリオンブルー』
インタビュー・テキスト
黒田隆憲
撮影:小田部伶 編集:矢島由佳子(CINRA.NET編集部)

美しくスタイリッシュな映像と、受け手の想像力を掻き立てるストーリー、リアルで魅力的な人物描写によって、まるで1本の映画のような余韻を残すミュージックビデオを発表している映像作家の内山拓也。今彼が世間から注目を浴びている事実は、手掛けたミュージックビデオの再生回数からも如実に伺うことができる。

スタイリストから転身し、フリーター時代に撮った初の長編映画『ヴァニタス』で『PFFアワード2016』の「観客賞」を受賞。その後内山が生み出す作品は、ジャンルや手法こそ違えど、常に「人」とその「関係性」にフォーカスを当てているのが特徴だ。「どんなジャンルの映画だろうと、大半は結局のところ青春映画だと思っている」と言う彼の定義する「青春映画」とは、一体どのようなものだろうか。

今回CINRA.NETでは、内山拓也の名を世に知らしめたKing Gnu“The hole”や平井堅“#302”、そしてドラマ『テセウスの船』の主題歌としても話題になったUru“あなたがいることで”のミュージックビデオを本人と共に紐解きながら、そのクリエイティビティに迫った。

※この取材は東京都の外出自粛要請が発表される前に実施しました。

スタイリストを志していた学生が、その夢を捨て、映画・映像にのめり込んだ理由

内山拓也(うちやま たくや)<br>1992年5月30日生まれ。新潟県出身。高校卒業後、文化服装学院に入学。在学当時から映像の現場でスタイリストとして携わるが、経験過程で映画に没頭し、学院卒業後スタイリスト業を辞する。その後、監督・中野量太(『浅田家!』『湯を沸かすほどの熱い愛』など)を師事。23歳で初監督作『ヴァニタス』を制作。同作品で初の長編にして『PFFアワード2016観客賞』を受賞。近年は、ミュージックビデオの他に中編映画『青い、森』、長編映画『佐々木、イン、マイマイン』を監督。
内山拓也(うちやま たくや)
1992年5月30日生まれ。新潟県出身。高校卒業後、文化服装学院に入学。在学当時から映像の現場でスタイリストとして携わるが、経験過程で映画に没頭し、学院卒業後スタイリスト業を辞する。その後、監督・中野量太(『浅田家!』『湯を沸かすほどの熱い愛』など)を師事。23歳で初監督作『ヴァニタス』を制作。同作品で初の長編にして『PFFアワード2016観客賞』を受賞。近年は、ミュージックビデオの他に中編映画『青い、森』、長編映画『佐々木、イン、マイマイン』を監督。

―もともとはスタイリストを目指していた内山さんが、映画の世界へ飛び込んだのはどうしてだったのでしょうか?

内山:スタイリストになるつもりで文化服装学院に入って、在学中からアシスタントなどをしていたのですが、授業である講師から「スタイリストになったら寝れないし、金ないし、食えない」と言われて(笑)。

それでも絶対になりたかったから、寝られないことも、金がないことも、食えないことも全て「当たり前」にしてしまおうと思ったんです。たとえば「食えない」なら、毎日ご飯とコロッケだけで食いつなぐのを当たり前にしてしまう(笑)。同じように「寝れない」も、学生時代から睡眠時間を2時間くらいにしてしまえばなんとかなるだろうって。

―すごい理論ですね(笑)。

内山:毎日、授業に行って、アシスタントの仕事やバイトをやって、帰宅してから課題をやると、大体夜中の2時とか3時で。そこで寝てもある程度睡眠時間が取れちゃうから、就寝までに毎日1本映画を見ようと決めていたんです。

この時期は年間1200本くらい見ていたんですけど、気づいたら「映画、めちゃめちゃ面白いな」となってて(笑)。それまでは、そんなに映画を見るタイプじゃなかったんですよ。地上波で見たり、彼女と恋愛映画を観に行ったりするくらい。

で、あるとき、某映画の撮影現場でスタイリストのアシスタントをする機会があって。現場に行ってみたら、「映画の現場、超面白い!」と思ってますます好きになってしまった。それで21歳の頃にスタイリストを辞め、フリーターをやりながら映画の世界を目指すことにしました。

この日はミュージックビデオの絵コンテも持ち込んで、話を聞かせてくれた
この日はミュージックビデオの絵コンテも持ち込んで、話を聞かせてくれた

―『湯を沸かすほどの熱い愛』(2016年公開)の中野量太監督に師事していたと聞きました。そこで映画制作のメソッドを学んだのですか?

内山:「学んだ」というよりは、色々なところを見させてもらった感じですね。フリーターをやっていた2年くらいは、とにかく誰かに会うたびに「映画やりたい」と言って回っていたんです。

それであるとき、中野さんが劇場にいらっしゃるのを知って、いてもたってもいられず履歴書を書いてアポなしでいきなりご挨拶して渡したんです。そのときは「申し訳ないけれど今は現場がない」みたいに言われながらも、優しく受け取ってくれて。そのあと、中野さんがゴールデン街のお店で1日店長をされているのを見て、また突撃したら、その場にいた制作部の方を紹介していただいたんです。それで制作のお手伝いをしながら、監督が脚本を書いている現場にも立ち合わせてもらっていました。

その頃は、自分が映画の世界でなにがやりたいのかよくわかってなかったんですけど、『湯を沸かすほどの熱い愛』の制作が始まり、演出部で参加させてもらったときに、「そうか、俺は監督がやりたいんだ」とようやくわかって。制作部や演出部でいるのではなくて、監督になればやりたいことがより表現できるんだと。そこから自主映画を撮る道に進むことにしました。

―そうして初めて撮った長編映画『ヴァニタス』で『PFFアワード2016』の「観客賞」を受賞したのは、快挙ですよね。

内山:ありがたいとしか言いようがないですね(笑)。スタイリストも辞めたしバイトしかしていない、なにもない状態だったので。あの賞がなかったら映画は辞めていたかもしれないです。

とにかく映画を見まくったことが、自分の財産になっていると思います。このときは脚本とか支離滅裂だし、フォーマットもちゃんとしてない。映画の撮り方なんてよくわかってないけど、「あの映画の、あのシーンのように撮りたい」みたいな感じで作っていったものでした。

―ちなみに、内山さんが影響を受けた映画監督というと?

内山:映画にのめり込んだきっかけになったのは、19歳くらいの頃に見たスタンリー・キューブリック監督の『時計じかけのオレンジ』(1971年公開)。見たら、もう、衝撃的で。暴力的なのにファニーでもあるし、音楽の使い方や早回しの映像など、とにかく自由過ぎて「映画ってなんでもありなんだ!」と思わせてくれました。

今の自分に影響を与えていると思うのは、エドワード・ヤンやポール・トーマス・アンダーソン、『幕末太陽傳』(1957年公開)の川島雄三監督……ジャンルはバラバラですが、「カット」ではなく「ショット」を撮っている監督が好きですね。最近だと濱口竜介監督もそうですが、人が生き生きとしていて、それをたまたまカメラが捉えていたみたいな。人さえ映っていればジャンルとかは関係ないし、場所が宇宙空間でも、部屋の一角でもいいんですよね。

内山拓也

人生のターニングポイントとなった、King Gnuとの出会い

―内山さんの名を世に広く知らしめたのは、やはりKing Gnuの“The hole”だと思うのですが、これはどんなふうにオファーがあったのですか?

King Gnu“The hole”ミュージックビデオ(2019年5月公開)

内山:(常田)大希とはちょっと前に知り合っていて、確か年始くらいに、“The hole”の音源だけ送られてきたんですよ。「これ、いいと思ってるんだよね」って。そのときは「いいじゃん」みたいな話で終わったんですけど、『Sympa』(2019年1月16日発売。“The hole”が収録されているアルバム)をリリースしてすぐくらいに、「MV(ミュージックビデオ)興味ある?」って連絡があって。それまでMVは撮ったことなかったんですけど、「やろっか」みたいな軽い気持ちで引き受けました(笑)。

そのとき大希は、“The hole”を「映画っぽく撮りたくて」って言ってましたね。リファレンスで送られてきたのが、ホージア“Take Me To Church”のMVだったのかな。そのリファレンスの意図としては、ストーリーだけを伝える映像ではないということだったと思います。物語の奥行きがあるというか。結果、僕の中で目指したのはストーリーだけが先行しすぎない、新しい物語と人物を生み出すことでした。雰囲気やディテールは、映画よりは写真集や画集などを大希と一緒にディグりながら、「こんな感じがいいよね」みたいに確認し合いましたね。

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ウェブサイト情報

『20年代映画の幕開け! 内山拓也監督最新作「佐々木、イン、マイマイン」製作応援プロジェクト』
『20年代映画の幕開け! 内山拓也監督最新作「佐々木、イン、マイマイン」製作応援プロジェクト』

クラウドファンディングプロジェクトの支援募集は、2020年4月30日(木)23:59まで。

リリース情報

Uru『オリオンブルー』初回生産限定盤(映像盤)
Uru
『オリオンブルー』初回生産限定盤(映像盤)(CD+Blu-ray)

2020年3月18日(水)発売
価格:5,000円(税込)
AICL-3840~1

[CD]
1. プロローグ
2. 今 逢いに行く
3. あなたがいることで
4. space in the space
5. marry
6. 願い
7. Don't be afraid
8. 頑な
9. いい女
10. PUZZLE
11. Scenery
12. 横顔
13. remember
14. Binary Stay [Special Track]

[Blu-ray]
「MUSIC VIDEO」
1. プロローグ
2. 願い
3. あなたがいることで
『Uru Live「 T.T.T 」@東京・TOKYO DOME CITY HALL』
1. The last rain
2. いい男
3. ごめんね。
4. 君を忘れない(松山千春)
5. remember
6. アリアケノツキ
7. 娘より
8. プロローグ
9. フリージア
10. 奇蹟

Uru『オリオンブルー』初回生産限定盤(カバー盤)
Uru
『オリオンブルー』初回生産限定盤(カバー盤)(2CD)

2020年3月18日(水)発売
価格:4,000円(税込)
AICL-3842~3
※初回盤三方背BOX仕様

[Disc1]
1. プロローグ
2. 今 逢いに行く
3. あなたがいることで
4. space in the space
5. marry
6. 願い
7. Don't be afraid
8. 頑な
9. いい女
10. PUZZLE
11. Scenery
12. 横顔
13. remember
14. Binary Stay [Special Track]

[Disc2]
1. 3月9日(レミオロメン)
2. カムフラージュ(竹内まりや)
3. 白日(King Gnu)
4. このまま君だけを奪い去りたい(DEEN)
5. Funny Bunny(the pillows)
6. Pretender(Official髭男dism)
7. 若者のすべて(フジファブリック)
8. 雪の華(中島美嘉)

Uru『オリオンブルー』通常盤
Uru
『オリオンブルー』通常盤(CD)

2020年3月18日(水)発売
価格:3,000円(税込)
AICL-3844

1. プロローグ
2. 今 逢いに行く
3. あなたがいることで
4. space in the space
5. marry
6. 願い
7. Don't be afraid
8. 頑な
9. いい女
10. PUZZLE
11. Scenery
12. 横顔
13. remember
14. Binary Stay [Special Track]

イベント情報

『Uru tour 2020 「Orion Blue」』

2020年4月25日(土)
会場:東京都 昭和女子大学人見記念講堂

2020年5月2日(土)
会場:愛知県 名古屋市公会堂

2020年6月5日(金)
会場:大阪府 NHK 大阪ホール

『Uru Live「Precious One day ~Uru-u Year 2020~」』

2020年5月8日(金)
会場:東京都 東京 中野サンプラザ

プロフィール

内山拓也
内山拓也(うちやま たくや)

1992年5月30日生まれ。新潟県出身。高校卒業後、文化服装学院に入学。在学当時から映像の現場でスタイリストとして携わるが、経験過程で映画に没頭し、学院卒業後スタイリスト業を辞する。その後、監督:中野量太(『浅田家!』『湯を沸かすほどの熱い愛』など)を師事。23歳で初監督作『ヴァニタス』を制作。同作品で初の長編にして『PFFアワード2016観客賞』を受賞。近年は、ミュージックビデオの他に中編映画『青い、森』、長編映画『佐々木、イン、マイマイン』を監督。

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