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柴田聡子の言葉の正体。油断せず、心して向き合った先で生まれる

柴田聡子の言葉の正体。油断せず、心して向き合った先で生まれる

柴田聡子『スロー・イン』
インタビュー・テキスト
松井友里
撮影:山口こすも 編集:川浦慧、山元翔一(CINRA.NET編集部)
2020/07/03

柴田聡子は、歌詞を書くとき「油断しないように、心してかかっている」のだと言う。その「油断しない態度」は、彼女が書く歌詞の世界にもまた、当てはまるように思う。隣にいる友人や家族や恋人が、本当にはどんなことを考えているかなんて絶対にわからないし、なんなら自分だって、誰にも見せない顔を持っている。柴田聡子の歌にいつもはっと立ちすくんでしまうのは、私たちを取り囲む世界がいかに親しげであったとしても、いつだって他者であるということ、そして自らも誰かにとっての他者として、ときに世界に対して多かれ少なかれ悪の要素をはらんで関わっている可能性が、愛と明るさと真摯なユーモアをもってあらわにされているからなのだと思う。

そんな柴田聡子による、先行配信の“変な島”を含む全4曲が収録されたチャーミングな新作EP『スロー・イン』。<どうしてひとりにしてくれるの / 私は泥棒かもしれないのに / どうしてなにもかもの蓋を / ちゃんと閉めてないの>と歌う“どうして”にあらわれるような、無防備なまでの生身の感覚や瞬間を、柴田聡子はどのように言葉とメロディでたぐり寄せているのだろうか。『スロー・イン』や、全13回の生配信ライブ、4月にSoundCloudにアップした楽曲“テラハ”などについて言葉を交わしながら、その一端に触れた。

エゴサしても、百のいい意見より一つの辛い意見がいつまでも心にこびりついちゃうんですよね。

柴田聡子(しばた さとこ)<br>1986年札幌市生まれ。恩師の助言により2010年より音楽活動を開始。最新作『がんばれ!メロディー』まで、5枚のオリジナルアルバムをリリースしている。去る10月にはバンド編成「柴田聡子inFIRE」による、初のバンドライブ盤『SATOKO SHIBATA TOUR 2019 “GANBARE! MELODY” FINAL at LIQUIDROOM』をリリースした。2020年7月3日、4曲入りEP『スロー・イン』をリリース。
柴田聡子(しばた さとこ)
1986年札幌市生まれ。恩師の助言により2010年より音楽活動を開始。最新作『がんばれ!メロディー』まで、5枚のオリジナルアルバムをリリースしている。去る10月にはバンド編成「柴田聡子inFIRE」による、初のバンドライブ盤『SATOKO SHIBATA TOUR 2019 “GANBARE! MELODY” FINAL at LIQUIDROOM』をリリースした。2020年7月3日、4曲入りEP『スロー・イン』をリリース。

―新型コロナウイルスの影響で弾き語りツアーが延期になってから、『柴田聡子のインターネットひとりぼっち'20』として生配信を行われていましたね。予定されていた公演のスケジュールにのっとってライブを配信するという取り組みで驚きました。配信はすべて一人でやっているのですか?

柴田:配信の30分前にマネージャーさんにつないでサウンドチェックをするんですけど、基本的に全部一人でやっています。

―背景も毎回、その日ライブ予定だった場所にゆかりあるものに変えていましたね。

柴田:背景用のグリーンバックを友達に貸してもらったんです。私から見えている風景は自宅なんですけど、画面だけ見ると本当にその場所にいるみたいですよね。毎回その土地のことを思いながらやっていました。

『柴田聡子のインターネットひとりぼっち'20』広島風の様子

―見ている方からはどんなコメントがありますか?

柴田:それがですね、演奏中にコメントを見ているとそっちの方が気になって間違えちゃったりするので、演奏が終わったあとの「パチパチパチ(拍手)」っていうコメントしか見られていないんです(笑)。もし地味に傷つくようなコメントがあったら嫌だなとも思うし。エゴサとかしても、百のいい意見より一つの辛い意見がいつまでも心にこびりついちゃうんですよね。

―そうですよね。

柴田:配信では昔の曲も積極的にやっているんですけど、それに気づいてくれる人がいるのは、めちゃくちゃ嬉しいです。自分は何も積み上げてこられなかったのかもしれないと思っていたから。

―それはなぜですか?

柴田:どうしても新しい作品に対する意見の方が目に入ってくるから、昔の曲が誰かに今も大事にされているかどうかってよくわからないんですよね。だんだんライブでもやらなくなってくるし。だからコメントで反応してくれているのを見ると「わあ」って嬉しくなるんですけど、大体は「パチパチパチ」しか見られない(笑)。

柴田聡子
柴田聡子

―弾き語り配信以外では、最近はどんな風に過ごされていましたか?

柴田:自粛期間前から自粛中って感じで、家中心の生活を送っていたので、ライブはなくなったものの、がらっと変わることはなかったんです。家にいて配信の準備をしたり、曲を作ったりしていたら結構時間が経っていて。とはいえやっぱり制作も思うようには進まなかったんですけど。あとは育てている植物と会話したり、散歩や自炊をしていたかな。

―Instagramにも植物の写真をアップされていましたよね。

柴田:事務所で捨てられそうになっていたモンステラをもらってきて、伸び過ぎた部分を切って別の鉢に植えていったら、部屋中モンステラだらけになりました(笑)。すごく元気で、切ったら切っただけ生えてくるから捨てるのも忍びなくて。本当にすごいです。

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リリース情報

柴田聡子『スロー・イン』
柴田聡子
『スロー・イン』(CD)

2020年7月3日(金)発売
価格:1,650円(税込)
PCD-4555

1. 変な島
2. いやな日
3. 友達
4. どうして

柴田聡子『スロー・イン』
柴田聡子
『スロー・イン』(7inch)

2020年7月3日(金)発売
価格:3,500円(税込)
P7-6248/9
2枚組 4曲入 Wジャケット
完全初回限定生産

sideA. 変な島
sideB. いやな日
sideC. 友達
sideD. どうして

プロフィール

柴田聡子
柴田聡子(しばた さとこ)

1986年札幌市生まれ。恩師の助言により2010年より音楽活動を開始。最新作『がんばれ!メロディー』まで、5枚のオリジナルアルバムをリリースしている。去る10月にはバンド編成「柴田聡子inFIRE」による、初のバンドライブ盤『SATOKO SHIBATA TOUR 2019 “GANBARE! MELODY” FINAL at LIQUIDROOM』をリリースした。また、2016年に上梓した初の詩集『さばーく』では現代詩の新人賞を受賞。雑誌『文學界』でコラムを連載しており、歌詞にとどまらない独特な言葉の力が注目を集めている。2017年にはNHKのドラマ『許さないという暴力について考えろ』に主人公の姉役として出演するなど、その表現は形態を選ばない。2020年7月3日、4曲入りEP『スロー・イン』をリリース。

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