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柴田聡子の言葉の正体。油断せず、心して向き合った先で生まれる

柴田聡子の言葉の正体。油断せず、心して向き合った先で生まれる

柴田聡子『スロー・イン』
インタビュー・テキスト
松井友里
撮影:山口こすも 編集:川浦慧、山元翔一(CINRA.NET編集部)
2020/07/03

最大の悩みは、作っているときに何を考えているか、まったく覚えていないことなんです。

―そうした感覚が歌によってとどめられている部分はありますか?

柴田:結果的にそうなっているかもしれないけれど、歌を作るのは、メロディや言葉に対する原始的な欲望からきているので、自分の思想や思考の代わりだけではないと思います。音楽も言葉も、もっと大きなものの中にあって、自分はそれを取り出す一つのフィルターみたいなものです。それくらい、言葉や音楽があるということを尊敬しています。

私の最大の悩みは、作っているときに何を考えているか、まったく覚えていないことなんですよ。書きながら「これはだめだな」とか考えているのは覚えているんですけど、何を基準にだめだと思っているのかは、全然わからないんですよね。何かしら自分の中で納得して書いてるんだとは思うんですけど。だから「柴田メソッド」がひとつも作れないんです。かといって「言葉が降りてくる」みたいなことではなくて。

―以前のインタビューでも歌詞を書くときの感覚について「芋掘り」とおっしゃっていましたものね(参考:柴田聡子を紐解く5通の手紙。音楽も詩も、子どもが戯れるように)。

柴田:言葉を使いこなせたという自覚を持ったことがないからかもしれないけど、いつも油断しないように、心してかかっているような感じです。どんな風に作っているかがわかれば、もっと曲を作れるような気がするんですけどね。

―「柴田メソッド」が確立したら作品も変わってきそうですね。

柴田:ずっと、「当たって砕けろ」状態で書いてきているから、きっとまた違う何かが出てきそうな気がします。もっといろんなことを想像させられるような幅を持たせた書き方ができるんじゃないかなって。いまはちょっと凝り固まっている気がするし。……いや、そんなに考えてないか(笑)。

柴田聡子

―今後のことでいうと、ツアーの振替日程が決まりましたね。

柴田:無事にやれるといいですねえ。自然のことだからどうなるかわからないですけれど、共存したいです。

―ウイルスもそれ自体は善でも悪でもないものですしね。

柴田:「悪さしてやるぞ」って思っているわけじゃなく、ただそこにいるだけですからね。みんな、自分にとってのいいことを行なって生きているだけなんだよな、と思います。そんななか、家で育っていく植物を見てると、ただただ育っていくって大事だよなと思います。ただただ生きるとか、ただただ書くとか、ただただ歌うとか。植物を見習っていこうって、勇気付けられます。

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リリース情報

柴田聡子『スロー・イン』
柴田聡子
『スロー・イン』(CD)

2020年7月3日(金)発売
価格:1,650円(税込)
PCD-4555

1. 変な島
2. いやな日
3. 友達
4. どうして

柴田聡子『スロー・イン』
柴田聡子
『スロー・イン』(7inch)

2020年7月3日(金)発売
価格:3,500円(税込)
P7-6248/9
2枚組 4曲入 Wジャケット
完全初回限定生産

sideA. 変な島
sideB. いやな日
sideC. 友達
sideD. どうして

プロフィール

柴田聡子
柴田聡子(しばた さとこ)

1986年札幌市生まれ。恩師の助言により2010年より音楽活動を開始。最新作『がんばれ!メロディー』まで、5枚のオリジナルアルバムをリリースしている。去る10月にはバンド編成「柴田聡子inFIRE」による、初のバンドライブ盤『SATOKO SHIBATA TOUR 2019 “GANBARE! MELODY” FINAL at LIQUIDROOM』をリリースした。また、2016年に上梓した初の詩集『さばーく』では現代詩の新人賞を受賞。雑誌『文學界』でコラムを連載しており、歌詞にとどまらない独特な言葉の力が注目を集めている。2017年にはNHKのドラマ『許さないという暴力について考えろ』に主人公の姉役として出演するなど、その表現は形態を選ばない。2020年7月3日、4曲入りEP『スロー・イン』をリリース。

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