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トップハムハット狂が半生を語る “Princess♂”のバズを経た胸中

トップハムハット狂が半生を語る “Princess♂”のバズを経た胸中

トップハムハット狂『Jewelry Fish』
インタビュー・テキスト
タナカヒロシ
撮影:木村篤史 編集:タナカヒロシ、矢澤拓

段違いのバズ体験。自身の体験をネタにした“Princess♂”が海外から人気を集めたのはなぜか

―去年発表した“Princess♂”がYouTubeでめちゃくちゃバズって、現時点でMV再生数が1300万を超えています。これまでネット上で活躍してこられた中でも、一段階レベルが違う体験だったんじゃないですか?

THHK:一段階どころじゃなかったですね(笑)。いままで経験したことないくらい段違いでした。海外の視聴者がめちゃくちゃ増えたんですよ。いまYouTubeのチャンネル登録者数は、半分以上が海外の人なんです。この前YouTubeのチャンネル登録者の内訳を見たら、日本人が37%で、次がアメリカ合衆国で18%、その次がロシアで6~7%くらい。これは英語を覚えなきゃいけないかなと感じてます。

トップハムハット狂“Princess♂”

―基本的に日本語でラップしていますけど、どういうところが海外から評価されたと感じてますか?

THHK:アニメーションが大きいと思います。描いてくれたDEMONDICE(カレン)ちゃんは、日本在住のアメリカ人なんですけど、それが海外にうけるテイストだったんじゃないかと。トラックはFAKE TYPE.のDYES IWASAKIが担当しているんですが、エレクトロスウィングにEDMやトラップの要素を足した物珍しいトラックになっていて。僕のラップもあんまり日本語っぽく聴こえないと言われるし、いろんなことがうまく噛み合ったんじゃないかなと思ってます。

それと意図していたわけではないんですが、MVの内容にも反響がありました。かわいい女の子のキャラクターが出てくるんですけど、曲名に「♂」マークがついているから、「女の子なの? 男の子なの?」っていうコメントがたくさん書き込まれて。考察の余地があって、それが話題になったことも大きいと思っています。

“Princess♂”イラスト
“Princess♂”イラスト

―「オタサーの姫」がテーマの曲ですけど、“Princess♂”というタイトルにはどういう意図があったんですか?

THHK:元ネタは僕自身なんですよ。以前僕を巡ってまわりがケンカするっていう経験が何回かあったんですよね。それを客観的に見て「オタサーの姫っぽいな」と思ったので、その経験を誇張して、ファンタジーにして、みんなが楽しみやすい形で曲にできないかなと思って、アニメMVを作ったんです。

―アニメーションの展開も、歌詞にすごく忠実でしたよね。

THHK:依頼する時点から、歌詞に合わせて細かく注文してて。それを自分が思っていた以上の表現力でカレンちゃんが返してくれたんです。いろんなものが噛み合って出来上がった作品だと思っているんですが、正直こんなに聴いていただけるとは思っていなかったですね。

トップハムハット狂

「自分の生み出したものに殺される」バズを経験した心境を面白おかしく表現した新曲“Mister Jewel Box”

―“Princess♂”は公開してすぐ反響があったんですか?

THHK:(2019年10月に公開してから)1か月くらいで100万再生は超えて、そのあとにTikTokでもちょっと流行ったんですけど、12月くらいに尾田栄一郎先生が『週刊少年ジャンプ』の「最近ハマっているものベスト3」というコーナーで、金銀銅の「金」に「トップハムハット狂の“Princess♂”」と書いてくださったんです。

最初、友達から画像が送られてきたんですけど、誰かが合成したイタズラだろうと思ったんですよ。でも、『ジャンプ』を買ってみたら「本当だ!」って。めちゃくちゃビックリしましたね。尾田先生のおかげもあって、さらに広まってくれたんだと思います。

―そのヒットを経て、今年7月には“Mister Jewel Box”を発表されましたけど、これは“Princess♂”の続編というか、後日談的な楽曲になってますよね。

THHK:そうなんです。“Princess♂”のバズを経験した自分の心境というか。それをまた誇張して、ファンタジーにして、面白おかしく表現した曲です。ただ、自分のなかではギャグテイストな感じなんですけど、ちょっと自虐的すぎたのか、公開したら「大丈夫?」みたいな心配するコメントがたくさん来ちゃいまして……。

トップハムハット狂“Mister Jewel Box”

『Jewelry Fish』EPジャケット
『Jewelry Fish』EPジャケット

―<俺というかキャラクターが好きなだけじゃん>という歌詞を読むと、リスナーが心配になる気持ちもわかります。

THHK:自分のなかではめちゃくちゃポジティブな曲なんですよ。だけどコメントを見て、聴いてくれる人は僕が思っている以上にピュアなんだなって。勘違いをされるのは本意じゃないので、すぐYouTubeの固定コメントに真意を書きました。この曲は全然ネガティブな曲じゃないですよ、むしろ心配してくれるくらい曲をしっかり聴いてくれるみんなが愛おしいですって。

―それだけ“Princess♂”の影響が大きかったということですよね。

THHK:MVに出てくる男の子は僕をモデルにしてもらったんですけど、ラストで“Princess♂”の女の子の手で、宝石箱に入れられて、立場が逆転しちゃうんです。自分の生み出したものに殺されるというオチですね。現実でも(自分よりも)“Princess♂”のほうが先行で有名になって、立場が逆転しちゃってるんです。これだけ話題になることは初めてだったので、気づかないところで作品作りに影響を受けていて、何%かはネガティブな気持ちもあるんだと思います。でも、うれしい気持ちのほうがはるかに大きいんですよ。世界中でこんなに曲を聴いてくれる人がいるっていう事実のほうが心を満たしてくれているので。

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リリース情報

『Jewelry Fish』(CD)
トップハムハット狂
『Jewelry Fish』(CD)

2020年9月2日(水)発売
価格:1,980円(税込)
BCSW-1

1. Frisky Flowery Friday
2. Mister Jewel Box
3. Stress Fish
4. La Di Danimal
5. YOSORO SODA
6. Lofi Hanabi

プロフィール

トップハムハット狂(とっぷはむはっときょう)

1988年12月24日生まれ、宮城県仙台市出身。現在は東京を拠点に活動するMC、トラックメーカー。ソロとしてインターネットを中心に活動後、FAKE TYPE.、RainyBlueBell、魂音泉などのユニットでも活躍。2018年のアルバム『BLUE NOTE』から再びソロでの活動を中心に行ない、以降3枚のEPを発表。2019年11月発表の『Watery Autumoon』に収録された“Princess♂”のMVは、YouTubeで1300万回以上の再生数を記録し、海外からも大きく評価される。2020年9月2日に最新EP『Jewelry Fish』をリリースした。

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