8ミリカメラで撮影した「愛」に襲われた空間、甲斐田祐輔監督5年ぶりの新作『砂の影』

「すべては夜から生まれる」で劇場映画デビューを果たし、人々の心のわずかな震えを繊細に描きだすことに優れた甲斐田祐輔氏が、「ラストダンス殺人事件」をモチーフにして書き上げた作品『砂の影』が2月2日よりユーロスペース(東京・渋谷)にてレイトショー上映される。

何かに取り憑かれたかのように行動してしまう人間の底しれない恐ろしさと、儚い愛を見事に捉え、記憶の断片のように構成されていく映像。カメラマン、たむらまさき氏があえて8ミリカメラで捉えた、闇に無数の粒子がうごめく映像世界。

淡々と会社と自分の部屋を往復し、婚約者「玉川」の幻影と影のように暮らすユキエ。2人は抱き合い、唇を重ね、踊る。誰も彼女を邪魔することはできない世界で。ユキエと玉川は、彼が生きている時より、蜜月だった。しかし、そのユキエの頑なさに興味を抱き、ユキエの「部屋」に入ろうとした同僚・真島。真島が現れ、ユキエの世界のバランスが、音を立てて崩れ始めようとしていた…。

自然な佇まいの中で無邪気に愛を求めるユキエを江口のりこ氏、ARATA氏と劇団ポツドールの米村亮太朗氏が彼女を愛する二人の男を見事に演じる。矢吹春奈氏、光石研氏、山口美也子氏らが脇を固め、独特の個性と存在感で彼らの住む「愛」に襲われた空間を際立たせている。

監督とは10年の付き合いであり、デヴィット・シルヴィアンのワールドツアーに参加するなど海外でも高い評価を得ている、COMBOPIANOこと渡邊琢磨氏が手がける音楽も、まるでレクイエムのように切なくも危うい世界に拍車をかけている。

『砂の影』
渋谷ユーロスペースにて2008年2月2日よりレイトショー上映
監督:甲斐田祐輔
撮影:たむらまさき
音響:菊池信之
出演:江口のりこ、ARATA、米村亮太朗
音楽:渡邊琢磨(COMBOPIANO)

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