アーティスト2人の独自の美学で貫かれた表現の妙、アジア初の大規模個展

「日常」をテーマに共同制作を続けるアーティスト2人による『ペーター・フィッシュリ ダヴィッド・ヴァイス』展が、石川・金沢21世紀美術館で9月18日から開催される。

ペーター・フィッシュリとダヴィッド・ヴァイスは、ともにスイス・チューリヒ生まれで同地在住の現代美術を牽引するアーティスト。1979年にソーセージやハムで日常を再現し写真に撮った風景画『ソーセージ・シリーズ』、1981年には、自らネズミとクマに扮し社会システムの矛盾を暴くことで自らの秩序を構築しようとする映像作品『ゆずれない事』、冊子『秩序と清潔さ』を制作。写真、立体、映像など様々なメディアを柔軟に操り、身近な光景や事物に真摯な眼差しを向けることで、意味のずれや解釈の多様さを綿密な計画と偶然性によって提示し、皮肉とユーモアを織り交ぜながら人間社会の本質を浮き彫りにしてきた。2003年には、ベネチア・ビエンナーレで発表した『無題(質問)』で金獅子賞を受賞している。

本展は、2人によるアジア初の大規模個展。約90点の粘土がかたどる大小様々なこの世の出来事が織りなすパノラマの傍らには、世界各地の空港の風景が浮遊し、ネズミとクマは街に繰り出し芸術や哲学を通して人間社会の不条理を見つめ、身の回りの物たちは危ういバランスを保ち佇む。彼らの作品は、平穏で何気ない日常に満ちている驚異と混沌、悲劇と喜劇、憂鬱と虚無を表現する。今回の展覧会では、世界的に名を馳せることとなった1981年発表の作品『不意に目の前が開けて』の新バージョン(2006年制作)も展示される。

独自の美学に貫かれた彼らの表現の妙と百科全書的世界をぜひ楽しんでみてほしい。

『ペーター・フィッシュリ ダヴィッド・ヴァイス』

2010年9月18日(土)~2010年12月25日(土)
会場:金沢21世紀美術館(石川県金沢市)
時間:10:00~18:00(金・土曜は20:00まで)
休場日:月曜(9月20日、10月11日、11月22日は開場)、9月21日、10月12日、11月24日
料金:一般1,000円 大学生・65歳以上800円 小中高校生400円

関連イベント

『ペーター・フィッシュリ ダヴィッド・ヴァイス「アーティストに質問する」』

2010年9月18日(土)
会場:金沢21世紀美術館 レクチャーホール
時間:15:00~(16:00終了予定)
料金:無料
定員:70名(当日午前10時よりレクチャーホール前にて整理券を配布いたします)
※事前に展覧会をご鑑賞ください

『学芸員によるギャラリー・トーク』

2010年10月22日(金)18:30 ~19:30
2010年11月27日(土)16:00 ~17:00
2010年12月23日(木・祝)14:00 ~15:00
集合場所:金沢21世紀美術館 レクチャーホール
料金:無料(ただし、当日の本展観覧券が必要)

(画像上:《ゆずれない事》1980-81 16ミリフィルム 29分 フィルム・スチル camera: Jürg V. Walther、画像中:《ピラミッドの秘密》(「均衡」より)1984/85 写真、画像下:《ファッション・ショー》(「ソーセージ・シリーズ」より) 1979 カラー写真、24 x 36 cm、画像すべて:©The artists. Courtesy The artists; Galerie Eva Presenhuber, Zürich; Sprüth Magers Berlin/ London; Matthew Marks Gallery, New York)

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