失った「食」の感覚を取り戻す新しいフード体験『LOST TONGUES』の見どころとは

「失われた感覚を呼び起こす挑発のディナー」と名付けられた『諏訪綾子展 ゲリラレストラン LOST TONGUES』が、10月9日から3日間にわたり東京・ラフォーレミュージアム原宿で開催。この企画展を諏訪自身のコメントと共に紹介する。

「コンセプトを胃まで届ける」をテーマに、食を通じた新しい表現に挑戦するフードアーティスト・諏訪綾子。大学では広告デザインを専攻し、卒業後はデザイナー・ナガオカケンメイのもとで働き「D&DEPARTMENT」設立にも携わった。

同企画展では、彼女が今まで手がけたフードの写真や映像が楽しめる大規模な展示スペースが無料で入場可能となっている。さらに有料のS席では代表作「感情のテイスト」のフルコース(9品)を着席で、A席ではその中から2品を立食でテイスティングできる。「見た目や匂いや味はもちろんのこと、それがどんなお皿に盛られ、どんな服を着た人が運んでくるのか、どんな空間でどんな音楽がかかっているか。そうした食べるシチュエーションの全てを含めて『フードパフォーマンス』と呼んでいます」。

彼女のフードでもっとも重要視されるのはコンセプトやメッセージであり、それを伝えるためには、必ずしも「美味」は最優先されないという。「たとえば、胡椒が効きすぎていたり甘すぎるとしても、それでコンセプトが伝わるのであれば私にとっては正解」と諏訪は語る。「もちろんこれは私の主観を表現したもの。だから<怒り>の味は誰かにとっては切なさかもしれないし、もしかしたら喜びの味かもしれない。でもそれはそれでいいんです。フードを通じてグルメや美食以外の何かを感じてみる、という経験を楽しんでほしい」。

お金を払いさえすれば安全で美味しいものが楽しめる今、食に対する本能は退化しているのかもしれない。しかし諏訪は「感情のテイスト」を前にしたお客さんの反応を見て、「食への原始的本能は眠っているかもしれないが、まだ残っている」と感じたという。「だいたいの人はまず怪訝な顔をするんですが、好奇心は隠せない。じっくりとフードを眺めて、匂いを嗅いで、ちょっと触ってみて、また匂いを確認して、まずは少しだけ食べる。そうやって興味深く食に向かうことって、今はほとんどなくなってしまいましたよね」。

いつの間にか私たちから「失われた感覚」=LOST TONGUESを取り戻すためにも、アートと食が新たな形でマリアージュした注目の本展に、ぜひ足を運んでみてほしい。

諏訪綾子展

『ゲリラレストラン‘LOST TONGUES’』

2010年10月9日(土)~10月11日(月・祝)
会場:東京都 ラフォーレミュージアム原宿
時間:[展示]11:00~20:00 [フードパフォーマンス]14:00開演 19:00開演
料金:
フードパフォーマンス S席前売5,000円 A席前売1,500円 当日1,800円
※各席日時指定、10月9日(土)14:00公演はA席のみを販売
※展示は入場無料

(画像上:諏訪綾子、画像中:諏訪綾子「感覚で味わう感情のテイスト」作品、画像下:「SWAROVSKI GINZA 1st anniversary」2009年)

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