「都市」をテーマとするユーモア溢れる鮮やかな友禅染、石井亨展『都市の時間』

「都市」をテーマに日本の伝統技法を現代美術へと転換した石井亨による『都市の時間』が、10月2日まで東京・中目黒のミヅマ・アクションで開催されている。

石井は1981年生まれ。初期作品は、ヒップホップカルチャーの一要素であるグラフィティに影響をうけたモチーフだったが、イギリスのチェルシーカレッジオブアートアンドデザインへの留学を経て、客観的に日本とそこから紡がれてきた伝統技法と自らの作品を真摯に見つめ直し、友禅染を実用品としての工芸からビジュアルアートへ応用させた。従来の模様とは異なり、ところどころに作家のユーモアが溢れる作風を持ちながら、ポップで大胆な構図や目が覚めるほど鮮やかな色彩は、独特の圧倒的存在感を放っている。

本展では、初めて加賀友禅の古典柄を作品に取り込むなど、伝統の更なる前進を意欲的に試み、軽快かつダイナミックでありながらも細部にまで緻密さを追求した作品群が公開される。今回は、今までモチーフとしてきた現代日本社会の象徴「サラリーマン」からさらに視野を広げ「都市」へとテーマが移り変わり、石井が日常生活を通して見つめた現代社会が反映される。

かつて尾形光琳、葛飾北斎は伝統技法を用いながらも当時の社会を取り込み、過去にない大胆華麗な絵を描くことにより革新的な名作を生み出してきた。日本美術の文脈を築きあげてきた先人達の意思を引き継ぐように、伝統を乗り越え独自の切り口で新しい普遍的な価値を創り出していくことに挑戦する石井の強いエネルギーに満ちた展示だ。

石井亨展
『都市の時間』

2010年9月1日(水)~10月2日(土)
会場:ミヅマ・アクション(東京・中目黒)
時間:11:00~19:00
休廊日:日、月、祝日

(画像上:「地球船都市号」 2010 友禅染、絹、パネル 1650x990mm ©ISHII Toru Courtesy Mizuma Action、画像下:「土工」 2010 友禅染、絹、パネル 990x1650mm ©ISHII Toru Courtesy Mizuma Action)

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