展覧会『工芸とデザインの境目』が、2017年3月20日まで石川・金沢21世紀美術館で開催されている。
プロダクトデザイナーの深澤直人が監修を務める同展。「プロセスと素材」「手と機械」「かたち」「経年変化」といった観点から工芸とデザインをあえて対立させ、その境目を浮き彫りにするという試みだ。さらに最先端技術の発達によって多様化が進む両者の新たな可能性を考察している。
深澤直人のコメント
工芸とデザインの違いを解く人は多い。ものづくりとして捉えればそこに境目はあるのだろうか。作者自身の手で作るものを工芸と言い、デザインもその工程に含まれる。デザインはものをデザイナー自身では作らない。工芸は「作品」と言いデザインは「製品」と言ったりもする。工芸を生み出す手の技はデザインの機械の精度と比べても仕方ないがそこに価値の違いが現れる。生み出そうとする気持ちは同じであっても工芸とデザインは相入れようとしない。そこに境目はあるのか。それともそれは「デザイン」なのかあるいは「工芸」なのか。
問うてもしょうがない問いをあえて突きつけてみようとするのがこの展覧会の目論見である。