『東京国際映画祭』のコンペ部門に『喜劇 愛妻物語』『ばるぼら』出品決定

『第32回東京国際映画祭』のコンペティション部門に出品される邦画2作品が決定した。

10月28日から11月5日まで開催される『第32回東京国際映画祭』。コンペティション部門は、今年1月以降に完成した長編映画を対象に、世界115の国と地域、1804本の応募作品の中から審査を経て選出される。今回選出が発表されたのは足立紳監督の『喜劇 愛妻物語』と手塚眞監督の『ばるぼら』。

『百円の恋』で『第39回日本アカデミー賞』最優秀脚本賞を受賞した足立紳は、自身初の自伝的小説『喜劇愛妻物語』を原作に、自ら脚本、監督を務め『喜劇 愛妻物語』の映画化を果たした。セックスレスに苛まれる売れない脚本家・豪太とその妻チカのもとに「ものすごい速さでうどんを打つ女子高生の話」を脚本にしないかという話が舞い込み、取材旅行に出かける中、豪太はスマートフォンに夢中で娘のアキの姿を見失ってしまうというあらすじだ。キャストは濱田岳、水川あさみ、新津ちせら。

手塚眞は父・手塚治虫が1970年代に発表していた『ばるぼら』を「芸術とエロス」「スキャンダル」「オカルティズム」などの様々なタブーに挑み映画化。同作は手塚治虫の生誕90周年を記念して初めて映像化された。撮影監督はクリストファー・ドイルが担当。人気小説家の美倉洋介がホームレスのような酔っ払った少女ばるぼらと出会い、家に連れて帰るが、彼女と暮らすことで不思議と美倉の手は動き出し、新たな小説を創造する意欲がわき起こるというあらすじだ。稲垣吾郎、二階堂ふみ、渋川清彦、石橋静河らがキャスティングされている。

選出の知らせを受け、足立紳監督、手塚眞監督がコメントを寄せている。また『東京国際映画祭』プログラミングディレクターの矢田部吉彦が選定理由について明かしている。

足立紳監督のコメント

この映画に出てくる柳田夫妻は、他人から見ればなぜ一緒に居続けるのか理解に苦しむような夫婦かもしれない。別れればいいのにと思われるかもしれない。罵り合いながら無理矢理一緒に居続けているような未熟な夫婦だ。でもそんな未熟な夫婦の無理矢理な絆というのも、もしかしたら強靭な絆なのかもしれない。夫婦という一対一の面倒くさい人間関係を諦めず、しつこく幸せになることを追い求める彼らの姿は滑稽で生命力に溢れていて、映画で描きたいと思った。そして近頃の日本の社会は未熟で不完全な人たちに不寛容すぎるから、許すことはもちろんのこと、許してもらおうとすることも大切だとこの夫婦を通して描きたかった。

手塚眞監督のコメント

第32回東京国際映画祭に参加できることを光栄に思います。手塚治虫生誕90周年に念願の作品を映画化できたのは、まさに芸術の女神(ミューズ)が微笑んでくれた奇跡です。「ばるぼら」は手塚治虫の異色作と言われていますが、ぼくにはストライク・ゾーン。一筋縄ではいかない悪魔主義的な物語は、麗しい稲垣吾郎さんと二階堂ふみさんの身体を張った競演にクリストファー・ドイルさんの美学が絡まり合って、魅惑的な夢に変容しました。アートとエンターテインメントの境界を揺らぎつつ、その融合を目指した映画です。耽美的な愛と狂気の寓話をどうぞ味わってください。

矢田部吉彦のコメント

・選定理由について
『ばるぼら』は手塚眞監督が父・手塚治虫の原作を現代に映画で蘇らせ、稲垣吾郎と二階堂ふみという強力な俳優たちの姿をクリストファー・ドイルのキャメラで鮮烈に切り取るという、様々な点で非常に贅沢で幸福な作品である。耽美で幻想的、魔術的でエロティックな世界観の独創性が、近年の邦画において際立っている。手塚監督の到達点とも呼べる作品であり、コンペへの招聘が祝福となることを期待したい。『喜劇・愛妻物語』は足立紳監督の2作目であるが、脚本家として積み上げたキャリアを自虐すれすれのところで笑いに昇華させる技術に感服し、そして水川あさみと濱田岳のコンビからキャリアハイのド迫力演技を引き出した演出に敬意を表したい。シリアスな作品が多いコンペの中で台風の目となりうるコメディであると信じている。

イベント情報

『第32回東京国際映画祭』

2019年10月28日(月)~11月5日(火) 会場:東京都 六本木ヒルズ、EX THEATER ROPPONGI、東京ミッドタウン日比谷 日比谷ステップ広場ほか
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