レポート

ZOMBIE-CHANGやニトロデイらの、異なる音楽性、通じ合う美学

テキスト
天野史彬
撮影:伊藤惇 編集:山元翔一
ZOMBIE-CHANGやニトロデイらの、異なる音楽性、通じ合う美学

ニコ動でも活動するボーカルが率いるApollogic。彼らのキャッチーさの裏にあるもの

6月28日、CINRAと音楽アプリ「Eggs」の共同主催による無料音楽イベント『exPoP!!!!!』が、TSUTAYA O-nestにて開催された。

今月のトップバッターを飾ったのは、都内を中心に活動する4ピースバンド、Apollogic。金髪&メガネが印象的なフロントマン・佐々木駿は、「さーさ」という愛称でニコニコ動画のイベントや公式番組にも出演している人物。

Apollogic
Apollogic

さーさ(Apollogic)
さーさ(Apollogic)

そんな彼を中心に鳴らされるのは、抜けのいいポップさを持ったギターロックだ。安定感のあるリズム隊を土台に、どの曲も真っ直ぐに聴き手の耳を捉えるグッドメロディーが放たれていく。

Apollogic

上記したような活動も行っているためか、MCでも人当たりのいいキャラクターを発揮していく佐々木。しかし、そのキャッチーな人物像の裏側にある誠実さや生真面目さが、歌声とパフォーマンスから零れ落ちてくるところも、観ていて興味深かった。

Apollogic

さーさ(Apollogic)

ニトロデイ、不機嫌で混沌とした感情をギターに乗せて吐き出した

2番手に登場したのは、平均年齢18歳の若き4ピースバンド、ニトロデイ。

ニトロデイ

小室ぺい(ニトロデイ)
小室ぺい(ニトロデイ)

彼らが鳴らすのは、1990年代のUSオルタナティブロックの系譜を継ぐ、不機嫌なノイズに満ちたロックンロール。混沌とした感情が、そのまま音として具現化し溢れ出したような、ダイレクトな質感を持ったギターサウンドがフロアに広がっていく。

岩方ロクロー(Dr)と松島早紀(Ba)から成るリズム隊を軸に、耳を焦がすような轟音を鳴らすギタリスト、やぎひろみ。そしてステージの中心に立つフロントマン・小室ぺい(Vo,Gt)の、なにを歌っているか聴き取る必要もないと思わせる叫びに似た歌声は、粘着的な質感を持って耳にこびりつく。

岩方ロクロー(ニトロデイ)
岩方ロクロー(ニトロデイ)

松島早紀(ニトロデイ)
松島早紀(ニトロデイ)

やぎひろみ(ニトロデイ)
やぎひろみ(ニトロデイ)

言いたいことはないし、伝えたいこともない。ただ、叫びたいだけ……そんな衝動的な表現欲求を感じさせるステージング。演奏が終わった後も自分の体に残り続けた痺れるような感覚は、確かなものだと思った。

ニトロデイ

ニトロデイ

迷いも戸惑いもそのまま鳴らす、SEVENTEEN AGAiNの誠実な姿

3番手に登場したのは、SEVENTEEN AGAiN。2000年代半ばより活動をはじめ、その繊細で生々しいリリシズムを研ぎ澄ませ続けている3ピースバンドだ。

SEVENTEEN AGAiN
SEVENTEEN AGAiN

SEVENTEEN AGAiN

踊りながら無限の光のなかに溶けてゆくような多幸感溢れる“Dancing In The Trash”に“COME & THROUGH”、誰もが感じたことがあるであろう苛立ちや悪意が、ポップ&キュートに弾ける“絶対君じゃ嫌なんだ”、正義にも悪にもなれず、天国にも地獄にも行くことができない、全ての不安定な魂に着地する“ファシスト”……等々、本当に名曲が多いバンドだが、その1曲1曲をステージ上の3人は丹念に綴っていく。

SEVENTEEN AGAiN

最後に演奏された“戦争は終わりにしよう”は、5月にリリースされたばかりの新曲。インパクトのあるタイトルだが、この曲で歌われるのは、<僕はただ居場所が欲しかった><僕はただ君を失いたくなかった>……そんなピュアで普遍的な想いだ。

SEVENTEEN AGAiNは、巨大な力を振りかざすようなことはしない。彼らは本当に大事なことに辿り着こうとし、そして、その過程にある全ての迷いや戸惑いも、なかったことにはしない。迷い続けることを肯定する、誠実なバンドによる誠実な演奏。素晴らしかった。

ヤブソン(SEVENTEEN AGAiN)
ヤブソン(SEVENTEEN AGAiN)

SEVENTEEN AGAiN

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イベント情報

『Eggs×CINRA presents exPoP!!!!! volume110』

2018年6月28日(木)
会場:東京都 渋谷 TSUTAYA O-nest

出演:
ZOMBIE-CHANG
Taiko Super Kicks
SEVENTEEN AGAiN
ニトロデイ
Apollogic
料金:無料(2ドリンク別)

『Eggs×CINRA presents exPoP!!!!! volume111』

2018年7月19日(木)
会場:東京都 渋谷 TSUTAYA O-nest

出演:
SIRUP
FALSETTOS
古川麦
Michael Kaneko
Amber's
料金:無料(2ドリンク別)

プロフィール

Apollogic(あぽろじっく)

2013年6月21日結成。前身バンドのメンバーを中心に結成された、都内を中心に活動中のギターロックバンド。2014年下半期は都内のライブハウス『渋谷Guilty』の代表バンドとして、東京おんりぃわん'14というイベントに出演。2016年末には、AbemaTVにて『Abemaスター発掘』という音楽番組に5週に渡って出演。2017年3月、7月には自身初のワンマンライブを敢行しました。Gt.Vo.の佐々木駿はニコニコ生放送にて「さーさ」という名前で活動中。ニコニコ超会議等でMCを務めたり、その他公式番組に多数出演している。

ニトロデイ

ニトロデイは平均年齢18歳ながら、そのサウンドは90年代のオルタナティブに影響を受けた、爆音なオルタナティブロックを演奏する。吐き出すようにシャウトするヴォーカル小室ぺいの独特の語感によって描かれるキャッチーでフックのある歌、初期衝動丸出しのやぎひろみの破壊的轟音なギターサウンド、それを支える屈強なリズム隊。初期衝動は勿論、それだけでは終わらない大きな可能性を秘めた、2018年最も大きな注目を集めているロックバンドである。

SEVENTEEN AGAiN(せぶんてぃーん あげいん)

2000年代中旬からボーカル、ギターのヤブソンを中心に活動を開始。2009年に1stアルバム『Never Wanna Be Seventeen Again』をリリース、2012年には2nd『Fuck Forever』リリース。国内パンク・シーンにヒーロー不在の時期、彼らの世代の価値観でシーンを再構築するようにアンダーグラウンドなコミュニティーのネットワークを独自で広げながら活動。2016年夏にベースの大澤とギターのウシが脱退、2017年1月にex.フジロッ久(仮)のロッキーがベースで加入し新体制で活動再開。そのサウンドはパンクを軸にしながらもギター・ポップ、現行US、UKインディーから日本語のロックまで幅広い射程で捉える。彼らの世代が日常の生活の中で感じる矛盾や喜びや不安、葛藤までもロック・ミュージックとして昇華させるソング・ライティング、ステージでのメンバーのキャラクター、すべてがメッセージとなっている。SEVENTEEN AGAiNの音楽とその活動がこれからのシーンの発火点であり指標となるだろう。

Taiko Super Kicks(たいこすーぱーきっくす)

伊藤暁里(Vo,Gt)、樺山太地(Gt)、大堀晃生(Ba,Cho)、こばやしのぞみ(Dr)により結成。東京都内を中心に活動中。2014年8月、ミニアルバム『霊感』をダウンロード・フィジカル盤ともにリリース。2015年7月、FUJI ROCK FESTIVAL'15「ROOKIE A GO-GO」に出演。2015年12月23日、ファーストアルバム『Many Shapes』をリリース。2017年11月、初のワンマンライブ"KICKS"はソールド、2018年1月20日に渋谷WWWにて自主企画"オープニング・ナイト"を開催する。そして、2月7日には待望の新作アルバム『Fragment』をリリース、初の台湾公演含むツアーを行う。

ZOMBIE-CHANG(ぞんびーちゃんぐ)

メイリンのソロプロジェクト、ZOMBIE-CHANG(ゾンビーチャング)。作詞作曲、トラック、リリック全てを彼女が手掛け、2016年に配信『恋のバカンス E.P.』でデビュー。その後、1stアルバム『ZOMBIE-CHANGE』をリリース。2017年3月には2ndアルバム『GANG!』をリリースし、リリースパーティーを青山のPIZZA SLICEで開催。また、SUMMER SONIC 2017、WORLD HAPPINESS、コヤブソニックなどのフェス出演や、TAICOCLUB主催のサンリオ43周年パーティー、sacaiとUNDERCOVERによるPartyへのライブ出演など、活動範囲は多岐に渡る。2018年からは3ピースバンド体制で始動。音楽プロジェクト以外にも、執筆業、ラジオMCなどとしても活動。ジャンルに捉われないオリジナルティ溢れる音楽性と、独自の世界観を放つライブ・パフォーマンスは中毒性が高く、今最も注目される女性アーティストのひとり。2018年7月に初の全楽曲バンドセットによる待望の3rdアルバム『PETIT PETIT PETIT』を遂にリリース。

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