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タフヴァイナルの最先端レコード事業。仕掛け人がビジョンを語る

タフヴァイナル
インタビュー・テキスト
黒田隆憲
撮影:垂水佳菜 編集:山元翔一(CINRA.NET編集部)
タフヴァイナルの最先端レコード事業。仕掛け人がビジョンを語る

1枚あたり、およそ30秒。最先端のレコードプレス現場に潜入

そのWarmToneの「テスト運転」の様子をCINRA.NETでは、神尾、宇都とともに見学することができた。相模鉄道本線・さがみ野駅から徒歩15分ほどの場所にある大きなプレス工場。CDやDVDなどが、大規模なラインに乗って次々と作られていくその一角に、レコードプレスマシンWarmToneはあった。

レコードプレスマシンWarmTone
レコードプレスマシンWarmTone
プレスにあたっての基本的な操作・制御はタッチパネルで行われる
プレスにあたっての基本的な操作・制御はタッチパネルで行われる

前述の通り、ここで行われているのはアナログレコード制作の最終工程である「プレス」だ。すでに「カッティング」と「メッキ加工」を経て、凸版スタンパーとなって送られてきた「音のデータ」をWarmToneに取り付け、次々とレコードがプレスされていた。

 
 
 

材料となるのは粒状の黒い塩化ビニールで、それをホースでWarmTone本体に吸い込み、ヒーターの入った「加熱棟」でドロドロに溶かす。筒状になった「加熱棟」から、トコロテンのように押し出された拳大の塩ビが、凸版スタンバーが取り付けられた台まで運ばれ、上下からプレスされて溝が刻まれる。余った塩ビをカッターでくり抜き、レコードの完成だ。

1枚あたり、およそ30秒。想像していた以上にスピーディーで驚いた。WarmToneのそばには試聴用のレコードプレーヤーが設置されており、できたてホヤホヤのレコードを聴かせてもらったのだが、一連の過程を間近で見たうえで聴くそのサウンドは感動的だった。とはいえ、まだ「テスト運転」の段階。動作の過程で生じる細かい不具合などを、東洋レコーディングのスタッフたちが一つひとつ検証し「本運転」に備えていた。

神尾:とりあえず、テスト盤の音色はとてもよかったので安心しました。システム面での試行錯誤はもう少し続きますが、安定すれば非常に効率よく、低コストで動かすことができるようになると思います。

 

「アップデートされたアナログレコードの世界が今後は広がっていくはず」

今回、神尾がタフヴァイナルの立ち上げを決意したのは、カナダでViryl Technologiesの社長が話した「アナログレコードは50年周期で進化しており、今は次の新しい周期の入口にいる」という言葉が大きかったのだという。

神尾:最初に話したように、僕も宇都さんもアナログのマニアではないし、決して懐古趣味でレコードを求めているわけではないんです。「アナログレコード」というフォーマットを使って、新しい音を生み出す気持ちで取り組んでいるというか。ビンテージのプレスマシンを並べて、昔ながらのやり方を踏襲することも必要ですが、自分たちは新しい技術をどんどん取り入れていきたい。「新しいアナログサウンド=タフヴァイナルのサウンド」となれば最高かなと思っています。

たしかに、ここ10数年の間に再生機器、特にスピーカーやヘッドホン、イヤホンといったモニター環境が著しく進化し、それに合わせて音楽そのもののデザインもアップデートを繰り返してきた。「現代のモニター環境で再生したときに、気持ちよく感じるアナログサウンド」を追求するなら、昔ながらの作り方には限界があるのかもしれない。

神尾:まさしくそうなんです。マシンもどんどん進化しているので、アップデートされたアナログレコードの世界が今後は広がっていくはずです。僕たちも、いろいろ検証してみたいですね。

たとえば今回は、日本コロムビアの優秀なベテランエンジニアさんにカッティングをお願いしたのですが、今は若いエンジニアで「レコードのカッティングをやってみたい」という人も多いので、彼らにも一緒に協力してもらえたらと思ってます。既存のフォーマットや考え方に捉われない、新しい発想で作られたアナログレコードの音を、ぜひ聴いてみたいです。

 

2人の話を聞いていて印象的だったのは、とにかくアナログレコードを一部のマニアのものだけにしたくないという思いがとても強いということだ。Recoz代表の宇都はこう語る。

宇都:僕自身、アナログも聴けば、CDやデータの音も楽しんで聴いています。音ってそれぞれ好みがあるし、アナログにもCDにも、データにもそれぞれの音のよさがあると思うんですよね。音楽との相性もきっとあるだろうし。これからは、「日常のシチュエーション」に合わせて、再生メディアを変えていくことを提案していきたいです。

たとえば、移動中はストリーミングで気軽に聴いて、家でリラックスしたいときにはレコードをかけてじっくり聴く。アナログレコードが「選択肢のひとつ」として加われば、日常がより豊かになると思うんですよね。

宇都孝志(うと たかし)横浜市出身。大学卒業後、大手総合不動産デベロッパーを経て2001年に現 株式会社HOUSE BUILDを設立。同時に音楽好きが高じてミュージックバー「Sun’s cafe」をオープン。ルーツミュージックを中心とした様々なアコースティックライブを行う。2010年には株式会社Recozを設立し、音楽レーベル、マネージメント事業、ブライダル事業等を手掛ける。現在、都市型デザインハウスの開発・分譲事業をはじめ、建築事業、不動産仲介事業など数々のグループ会社を傘下に有する「株式会社HOUSE BUILDホールディングス」の代表取締役CEO。既存のあり方に捉われない総合デベロッパーとして、住む人の豊かで幸せな暮らしをトータルに提案する。
宇都孝志(うと たかし)横浜市出身。大学卒業後、大手総合不動産デベロッパーを経て2001年に現 株式会社HOUSE BUILDを設立。同時に音楽好きが高じてミュージックバー「Sun’s cafe」をオープン。ルーツミュージックを中心とした様々なアコースティックライブを行う。2010年には株式会社Recozを設立し、音楽レーベル、マネージメント事業、ブライダル事業等を手掛ける。現在、都市型デザインハウスの開発・分譲事業をはじめ、建築事業、不動産仲介事業など数々のグループ会社を傘下に有する「株式会社HOUSE BUILDホールディングス」の代表取締役CEO。既存のあり方に捉われない総合デベロッパーとして、住む人の豊かで幸せな暮らしをトータルに提案する。

神尾:僕らはまだ、最初の構想を諦めたわけじゃないんですよ。将来的にはThird Man Recordsのような空間が作れたらいいなと思っています。

これからのアナログレコードは、決して懐古趣味でもファッショントレンドでもなく、技術革新に裏打ちされた、50年先を見据えて今まさに進化している文化である。そんなポリシーに基づき、今後作られるであろうタフヴァイナルによる「アップデートされたアナログレコード」。その音を聴くのが今から楽しみだ。

左から:宇都孝志、神尾元治
タフヴァイナルでは、「制作デスク」を募集中。応募締切日:2019年5月7日(火)
タフヴァイナルでは、「制作デスク」を募集中。応募締切日:2019年5月7日(火)(CINRA.JOBで詳細を見る
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事業情報

『タフヴァイナル』
『タフヴァイナル』

タフビーツは2004年に立ち上げたインディーズレーベルです。2019年、私たちはアナログレコード事業の立ち上げという大きなチャレンジに挑みます!動機はいたってシンプルです。ミュージシャンが求める“理想の音”を追求したいから。始動のために、東洋レコーディング株式会社と組み、彼らの持つ工場でアナログレコードを生産する体制を作りました。海外から新たに導入した最新のプレス機を使い、熟練の技術者と一緒に、今世の中に流通しているレコード以上の美しい音を追い求め、今まさに邁進しています。4月から生産ラインがスタート予定です。どんな音が仕上がるのか、まだ私たちも分かりません。でも、私たちがこれまでに信頼関係を築き上げてきたミュージシャンや、職人と一緒に、未だ聴いたことのない最高の音作りをしていきたいと思っています。
※現在「制作デスク」を募集中。応募締切日:2019年5月7日(火)

プロフィール

神尾元治(かみお もとはる)

有限会社タフビーツ代表取締役。高校を卒業後、渋谷CSVという伝説のレコードショップで働きながらバンド活動を始める。30歳の時に当時のバンド仲間に「神尾くんみたいな人が裏方にいたらミュージシャンが喜ぶと思うよ」という言葉を鵜呑みにし、バンド活動に区切りをつけ裏方への道へ方向転換する。喜納昌吉&チャンプルーズの元ギタリスト、平安隆のマネージャーを務め、その後インディーズレーベルのリスペクトレコードに入社。CD制作やマネージメント等を学び、2004年タフビーツを設立。ロック、ジャズ、ワールドミュージック、民謡とジャンルにこだわる事なく、世界中の良質な音楽を発信し続けている。

宇都孝志(うと たかし)

横浜市出身。大学卒業後、大手総合不動産デベロッパーを経て2001年に現 株式会社HOUSE BUILDを設立。同時に音楽好きが高じてミュージックバー「Sun's cafe」をオープン。ルーツミュージックを中心とした様々なアコースティックライブを行う。2010年には株式会社Recozを設立し、音楽レーベル、マネージメント事業、ブライダル事業等を手掛ける。現在、都市型デザインハウスの開発・分譲事業をはじめ、建築事業、不動産仲介事業など数々のグループ会社を傘下に有する「株式会社HOUSE BUILDホールディングス」の代表取締役CEO。既存のあり方に捉われない総合デベロッパーとして、住む人の豊かで幸せな暮らしをトータルに提案する。

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