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『Reborn-Art Festival 2019』作品ガイド。震災から「8年」を考える

『Reborn-Art Festival 2019』
テキスト
島貫泰介
編集:矢島由佳子(CINRA.NET編集部)
『Reborn-Art Festival 2019』作品ガイド。震災から「8年」を考える

東北の街・石巻に、『Reborn-Art Festival』が帰ってきた。音楽プロデューサーの小林武史らが実行委員長を務める異色の芸術祭は、企画発表当初こそ「音楽プロデューサーがアート?」といったさまざまな賛否にさらされたが、東日本大震災以降の課題にアート、音楽、食、暮らしのための実践を通じて向き合った真摯な作品・キュレーションは、多くの人々からポジティブな反応を持って迎えられた。

初開催から2年。震災から8年目を迎えた石巻で、同芸術祭はどんな2度目の「リボーン(再生・復興)」を目指そうとしているのだろうか? 8月3日よりオープンしているフェスティバルの地を訪ねた。

今年はエリアごとにキュレーターを立てる「マルチキュレーター制」を導入

今回の『Reborn-Art Festival 2019』(以下、『RAF』)の特に大きな変更点は、地域ごとに複数のキュレーターを立てる「マルチキュレーター制」を導入した点だ。前回はワタリウム美術館の和多利恵津子と浩一がアートを、小林武史が音楽面のディレクションを担当する体制だったが、今回は両者も含めた7組が各地域を担当し、それぞれの個性が際立つかたちになった。事前に行われたプレスツアーではすべてのエリア・作品を観ることはかなわなかったが、印象に残ったものを抜粋しながら、紹介していこうと思う。

『REBORN-ART FESTIVAL 2019 OFFICIAL GUIDE BOOK』より
『REBORN-ART FESTIVAL 2019 OFFICIAL GUIDE BOOK』より(PDFで見る

石巻駅前エリア(キュレーター:中沢新一)

街のターミナルである「石巻駅前エリア」を担当したのは、文化人類学者の中沢新一。彼は、シンガポール在住のアーティスト、ザイ・クーニンを中軸に据え、港町である石巻を遠い外海へと広げるようなイメージを試みた。

ザイ・クーニン、大崎映晋、山内光枝、中沢新一『海に開く』(撮影:NAKANO Yukihide)
ザイ・クーニン、大崎映晋、山内光枝、中沢新一『海に開く』(撮影:NAKANO Yukihide)

会場のひとつ、明治期に建てられた百貨店をリビルドした旧観慶丸商店の2階に靴を脱いで上がると、床いっぱいに水で満たされた茶碗が並んでいた。その水面には、鋭い眼差しをこちらに向ける無数の「眼」が浮かんでいる。

ザイ・クーニン『茶碗の底の千の眼』(撮影:NAKANO Yukihide)
ザイ・クーニン『茶碗の底の千の眼』(撮影:NAKANO Yukihide)
ザイ・クーニン『茶碗の底の千の眼』(撮影:矢島由佳子)
ザイ・クーニン『茶碗の底の千の眼』(撮影:矢島由佳子)

中沢:ザイ・クーニンの『茶碗の底の千の眼』は、たくさんの人たちから提供していただいたもの、津波に流されて持ち主がわからなくなったものなど、約1600個のお茶碗を使っています。ごはんをよそって食べるお茶碗は、人の生活に欠かせないもっとも日常的なもの。そして、水もまた重要なものです。これは私の解釈ですが、水は人の内面、人のあり方を意味しているように思っています。

石巻駅前エリアのキュレーター、中沢新一
石巻駅前エリアのキュレーター、中沢新一

中沢は、土木や建設などのハード面の復興に比べ、人々の心や暮らしといったソフト面の快復はけっして順調とは言えず、まだまだ「閉ざされている」のが現在の石巻ではないか、と語る。それを開いていくための手がかりとして、彼はシンガポール在住で海洋民にルーツを持つアーティストを招き、遠い海のむこうにあるもうひとつの港町シンガポールと石巻を結ぶことを願ったのだ。それは黒潮という海の道を介した、想像のネットワークと呼べるものだろう。

茶碗に浮かんだ眼を、ザイは「HOPE(希望)」と呼ぶ。謎めいた表現だが、人々の生活に使われた小さな器は、社会の不条理に閉ざされることのない未来の海路 / 回路へとつながっているのかもしれない。

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イベント情報

『Reborn-Art Festival 2019』
『Reborn-Art Festival 2019』

2019年8月3日(土)~9月29日(日)
会場:宮城県 牡鹿半島、綱地島、石巻市街地、松島湾

[ART]
参加作家:
島袋道浩
青葉市⼦
石川⻯一
野⼝里佳
吉増剛造
名和晃平
今村源
野村仁
村瀬恭子
WOW
淺井裕介
在本彌⽣+⼩野寺望
坂本⼤三郎+⼤久保裕子
志賀理江子
津田直
堀場由美子
有⾺かおる
Ammy
⼤槌秀樹
鹿野颯⽃
工藤玲那
後藤拓朗
是恒さくら
渋⾕剛史
シマワキユウ
白丸たくト
SoftRib
ちばふみ枝
富松篤
根本裕子
halken LLP
久松知子
古里裕美
ミシオ
守章
⻘木俊直
石巻劇場芸術協会
オザワミカ
たなか亜希夫
八重樫蓮
ヤグチユヅキ
浅野忠信
アラン
石毛健太
伊藤存+⻘木陵子
梅⽥哲也
⼩宮⿇吏奈
ジョン・ルーリー
バリー・マッギー
BIEN
フィリップ・パレノ
真鍋⼤度+神⾕之康研究室
持⽥敦⼦
ロイス・ワインバーガー
⼤崎映晋
ザイ・クーニン
中沢新一
⼭内光枝
アニッシュ・カプーア
草間彌生
久住有生
SIDE CORE
ジェローム・ワーグ
中﨑透
パルコキノシタ
深澤孝史
増田セバスチャン
松岡美緒
村田朋泰

[MUSIC]
『四次元の賢治 -完結編-』
2019年9月22日(日)、23日(月・祝)
会場:宮城県 塩竈市 杉村惇美術館
脚本:中沢新一
原案:宮沢賢治
音楽:小林武史
出演:
満島真之介
Salyu
コムアイ(水曜⽇日のカンパネラ)
ヤマグチヒロコ
ほか
声、歌の出演:
太田光(爆笑問題)
櫻井和寿
青葉市子
安藤裕⼦
細野晴⾂

[FOOD]
参加シェフ:
⽯井真介(シンシア / 東京)
石松一樹(マルタ / 東京)
川手寛康(フロリレージュ / 東京)
⼩林寛司(ヴィラ アイーダ / 和歌⼭)
佐藤剛(ファットリア カワサキ / 宮城)
浜田統之(星のや東京 ダイニング / 東京)
樋口敬洋(サローネ トウキョウ / 東京)
松岡英雄(割烹 まつおか / 京都)
松本圭介(オリーノ / 宮城)
ほか

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