レビュー

陵辱リベンジ映画の金字塔、呪われた映画が33年ぶりの劇場公開

CINRA.NET編集部
2012/06/14
陵辱リベンジ映画の金字塔、呪われた映画が33年ぶりの劇場公開

陵辱リベンジ映画の金字塔として、現在も根強いファンを持つ1978年製作のアメリカ映画『発情アニマル』が、禁断の初回公開から33年の時を経て、リバイバル上映される。日本では過去に別タイトルで一度DVD化されたものの、すぐに廃盤となり、コレクターズショップでは高値で取引されている幻のカルト映画だ。

©MCMLXXVIII Cinemagic Pictures,Inc. ©1978 Cinemagic Pictures,Inc. ©1978-2012 by Meir Zarchi.All Rights Reserved.
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『13日の金曜日』のショーン・S・カニンガム製作、『エルム街の悪夢』のウェス・クレイヴン監督の手によって1972年に作られたホラー映画『鮮血の美学』は、町のチンピラ連中に愛娘を虐殺された両親が、不良どもに血の制裁を加えるという内容で陵辱リベンジ映画の原点として知られている。公開当時は、観る者に激しいショックを与えると共に、インディペンデント映画製作者には「陵辱リベンジものは金になる!」との気勢を上げさせた。2匹目のドジョウとして、イタリアでは1975年に『暴行列車』が製作され、本国アメリカでは1978年に『発情アニマル』が作られたが、今作品がその内容と公開までの紆余曲折エピソードをとっても、右に出るもののない究極の陵辱リベンジ映画となっている。

小説執筆のために都会から田舎町の別荘にやってきたジェニファーは、都会からやってきた軽い女との偏見から、町の男たちにボコボコにされ、陵辱されてしまう。命からがら逃げ延びた彼女は、自分を滅茶苦茶にした男たち全員を殺すべく、武器と知恵を持って、復讐の鬼と化していく。

ストーリーは単純明快だが、低予算映画特有のドキュメンタリー風の荒々しい演出と、インディペンデント映画ならではの、倫理感を優に超えてしまう表現の数々は現在でも再現不可能。ジェニファーを殴りつけ、足蹴にし、暴力的に犯し、全身傷だらけの血まみれ姿で森をさまよわせ、その先でまた待ち構えて犯す。喜劇王バスター・キートンの姪であるジェニファー役のカミールが、茫然自失になりながら、全裸姿で森をユラユラとさ迷う様を客観的に捉えた映像からは悪意がみなぎり、本物を目撃したかのような後ろめたさを感じさせる。また別荘の電話を求めてうつろな表情で床を這うその姿は、映画『リング』の貞子が井戸から這い出てくる映像より100倍グロテスクであり、陰湿だ。

©MCMLXXVIII Cinemagic Pictures,Inc. ©1978 Cinemagic Pictures,Inc. ©1978-2012 by Meir Zarchi.All Rights Reserved.
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初めての日本公開時には、その内容から配給がどうしたらいいのかわからずポルノ映画として公開。何も知らずにスケベ心丸出しで見に行った当時の観客は度肝を抜かれたに違いない。テレビ放映では『女の日』とタイトルを変え、1980年代のホラー映画ブームの際には『悪魔のえじき』としてビデオ発売された。日本での混迷した紹介ぶりは、本作が持つ禍々しさの証明でもある。この呪われた映画には根強いファンも多いと見え、アメリカでは2010年に、映画『アイ・スピット・オン・ユア・グレイヴ』としてリメイクされた。オリジナル版をリスペクトしつつ、残酷な特殊メイクにも力が入っていたが、本作の要ともいえる陵辱シーンはさすがに再現できず、マイルドな描写に終始。その分血の量を増やしたものの、結果はオリジナル版の足下にも及ばぬ凡作となった。そもそも1970年代当時はもとより、現在も『発情アニマル』は作られてはならない作品だったのである。33年ぶりにスクリーンに蘇った狂気を観るには、相当な覚悟が必要だろう。

映画情報

『発情アニマル』

2012年6月16日(土)より、シアターN渋谷にて2週間限定レイトショー
監督・脚本:メイル・ザルチ
製作:ジョセフ・ズベタ
撮影:ユーリー・ハビブ
特殊効果:ビル・タスガル、ベリオ・ピカード
出演:
カミール・キートン
エロン・タボール
リチャード・ベース
アンソニー・ニコルズ
ガンダー・クリーマン
配給:『発情アニマル』上映委員会

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