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アイドルらしからぬビート感。今、語るべきロッカジャポニカの音

ロッカジャポニカ『教歌SHOCK!』
テキスト
天野史彬
編集:飯嶋藍子
アイドルらしからぬビート感。今、語るべきロッカジャポニカの音

アイドルとは「このクラスで一番の美人」だった

教室には、いろんな人がいる。女の子も男の子も、ガリ勉もスポーツマンも、オタクもヤンキーも。大人になり、学生時代が遠い過去になればなるほど、「教室」という空間がいかに特別な場所だったのかを知る。まったく違う価値観を持つ者同士が、なんとかお互いやりくりしながら存在した「教室」は、まるで世界の縮図だった。

ポップミュージックの歌詞表現において「教室」や「学校」というモチーフが登場するのは、その音楽を聴くほとんどの人が「学校教育を受けている」という前提があるからだ。それは社会的な「豊かさ」の証明であり、「豊かさ」は多様な価値観を受け入れる土壌にもなる。たとえば、1974年にリリースされたフィンガー5の大ヒット曲“学園天国”の歌詞を思いだそう。作詞は阿久悠だ。

二枚目気取りの秀才や
あのいやな悪党番長も
胸はずませ待っている
どの席になるか(フィンガー5“学園天国”)

あまりに秀逸な歌詞。「席替え」という学生にとっての一大行事のもと、「秀才」と「番長」という全くかけ離れた存在であるはずの二人が、等しく胸をはずませている。両者が目指すのは<クラスで一番の美人の隣>だ。そして、かつてのポップミュージックの世界において、この「クラスで一番の美人」を体現していたのが、「アイドル」という存在だったのではないだろうか。

ヒャダイン、ショウサカベらの個性が噴出した音像で描かれる「5教科」

今年、キングレコード内のレーベル「EVIL LINE RECORDS」からメジャーデビューした5人組アイドルユニット・ロッカジャポニカの2ndシングル『教歌SHOCK!』を聴いて頭をよぎったのが、前述のフィンガー5“学園天国”の歌詞だった。もちろん、昨今の一般的なアイドル像とは、もはや<クラスで一番の美人>的な存在ではなく、むしろ内面的な物語の共有やライブでの一体感を重視するロックバンドに近い。だが、彼女たちの存在には、少なからず現代のアイドル像から過去のアイドル像への揺り戻しを感じる。その根拠になるのが、このシングル。本作はタイトルに示されるように「教科書」――大きく言えば「学校」をモチーフに作られているのだ。

シングル『教歌SHOCK!』は、表題曲と、「国・数・理・社・英」5科目それぞれをモチーフにした5曲のカップリング曲、つまり計6曲で構成される(リリース形態は様々)。制作陣も多種多様で、フリーキーでありながら王道感も忘れないポップトラック“教歌SHOCK!”は、ももいろクローバーZへの楽曲提供も行っているinvisible mannersが担当。マッシヴなビートのうえを、琴や尺八、三味線などを思わせる「和」の音色が彩る「国語」曲“吾輩は乙女(ひと)である”は“マル・マル・モリ・モリ!”を作った宮下浩司が作詞・作曲、Tom-H@ckが編曲を手掛ける。中東風の耽美でエキゾチックなメロディーやコーラスが面白い「数学」曲“アブラカタブラ アルジェブラ”はヒャダインこと前山田健一が、幾何学的なリズムとドラマチックで開放感のあるメロディーが印象的なエレクトロポップ「理科」曲“全力大実験!”は、嵐の“monster”を作曲したCHI-MEYが作詞・作曲、大久保友裕が編曲を担当している。

さらに、この豪華布陣の中で異彩を放つのが、杏窪彌の翔として活動する元SISTER JETのショウサカベが作詞・作曲した「社会」曲“世直しタイムスリップ”。日本特有のお祭り感をエレクトロニックにアレンジし、聴き手を鼓舞するような強烈なビートを打ち出し、歌詞では<今年は世直りええじゃないか>と歌い、<一揆! 一揆!>と繰り返す、言わば「民衆蜂起ダンスパンク」。参議院選挙を目前に控えたタイミングでリリースされた楽曲としては、かなりメッセージ性の強いラジカルな一曲だ。

□□□三浦康嗣がビートに乗せたアイドルたちの「対話」とは?

そして、□□□(クチロロ)の三浦康嗣が作詞・作曲・編曲を担当した「英語」曲“NEW CROWN”について。この曲は、本シングルの「もうひとつの表題曲」と言っても過言ではないだろう。他の楽曲がそれぞれの教科を全面的に象徴しているのに対し、“NEW CROWN”は、メンバー五人の対話を通して、人々の多様性が認められた「教室」という空間を再現してみせる。

まず耳をひくのが、フィリーソウル風の流麗なメロディーの背後で鋭利に打ちつけられる、ジューク / フットワークを昇華したビート。ゲットーハウスの進化形であり、ダンスバトルと共に発展したジューク / フットワークとは、規則的な四つ打ちトラックのように不特定多数の人々の「一体感」を巻き起こすものとは違い、むしろ、その不規則さの中で、身体同士の「対話」を生み出すことに長けている。実際、この曲においても重要になっているのは、メンバー五人の「対話」なのだ。

メンバーの対話、テスト返却の場面を通して明らかになるのは、それぞれの「苦手科目」。五人が声を揃えての<そっか みんな得意不得意あるんだな>という呟きから、ソウルフルなメロディーに乗せて<Sometime She's shining / Sometime She's crying>と歌うサビに突入する瞬間にこそ、このシングルの最大のカタルシスがある。

誰もが決して完璧ではなく、しかし誰にでも良いところがある。輝く瞬間があれば涙を流すときだってある。そんな別々の個人が寄り合うことのできる豊かさを、「アイドル」と「学校」の接続という伝統的な手法で伝えているのが、この『教歌SHOCK!』というシングルなのだ。ある種の貧しさや、そこから生まれる精神的な切迫感が排他的な状況を生んでしまう、そんな時代だからこそ、本作が提示する「違い」を受け入れる豊かさは、とてもかけがえのないものに思えるのだ。

リリース情報

ロッカジャポニカ『教歌SHOCK!』国・数盤
ロッカジャポニカ
『教歌SHOCK!』国・数盤(CD+Blu-ray)

2016年7月6日(水)発売
価格:2,000円(税込)
KIZM-425/6

[CD]
1. 教歌SHOCK!
2. わが輩は乙女(ひと)である
3. アブラカタブラ アルジェブラ
4. 教歌SHOCK!(off vocal ver.)
5. わが輩は乙女である(off vocal ver.)
6. アブラカタブラ アルジェブラ(off vocal ver.)
[Blu-ray]
・教歌SHOCK! Music Video
・メイキング映像

ロッカジャポニカ『教歌SHOCK!』理・社・英盤
ロッカジャポニカ 『教歌SHOCK!』理・社・英盤(CD)

2016年7月6日(水)発売
価格:1,500円(税込)
KICM-1674

1. 教歌SHOCK!
2. 全力大実験!
3. 世直しタイムスリップ
4. NEW CROWN
5. 教歌SHOCK!(off vocal ver.)
6. 全力大実験!(off vocal ver.)
7. 世直しタイムスリップ(off vocal ver.)
8. NEW CROWN(off vocal ver.)

ロッカジャポニカ『教歌SHOCK!』国語盤
ロッカジャポニカ
『教歌SHOCK!』国語盤(CD)

2016年7月6日(水)発売
価格:1,000円(税込)
KICM-1675

1. 教歌SHOCK!
2. わが輩は乙女(ひと)である
3. 教歌SHOCK!(off vocal ver.)
4. わが輩は乙女である(off vocal ver.)

ロッカジャポニカ『教歌SHOCK!』数学盤
ロッカジャポニカ
『教歌SHOCK!』数学盤(CD)

2016年7月6日(水)発売
価格:1,000円(税込)
KICM-1676

1. 教歌SHOCK!
2. アブラカタブラ アルジェブラ
3. 教歌SHOCK!(off vocal ver.)
4. アブラカタブラ アルジェブラ(off vocal ver.)

ロッカジャポニカ『教歌SHOCK!』理科盤
ロッカジャポニカ 『教歌SHOCK!』理科盤(CD)

2016年7月6日(水)発売
価格:1,000円(税込)
KICM-1677

1. 教歌SHOCK!
2. 全力大実験!
3. 教歌SHOCK!(off vocal ver.)
4. 全力大実験!(off vocal ver.)

ロッカジャポニカ『教歌SHOCK!』社会盤
ロッカジャポニカ
『教歌SHOCK!』社会盤(CD)

2016年7月6日(水)発売
価格:1,000円(税込)
KICM-1678

1. 教歌SHOCK!
2. 世直しタイムスリップ
3. 教歌SHOCK!(off vocal ver.)
4. 世直しタイムスリップ(off vocal ver.)

ロッカジャポニカ『教歌SHOCK!』英語盤
ロッカジャポニカ
『教歌SHOCK!』英語盤(CD)

2016年7月6日(水)発売
価格:1,000円(税込)
KICM-1679

1. 教歌SHOCK!
2. NEW CROWN
3. 教歌SHOCK!(off vocal ver.)
4. NEW CROWN(off vocal ver.)

プロフィール

ロッカジャポニカ
ロッカジャポニカ

ももいろクローバーZや私立恵比寿中学などが所属する、スターダストプロモーションが満を持して送り出す特殊部隊、3B junior(スリービージュニア)総勢26名の中から飛び出したアイドルユニットで、内山あみ、内藤るな、椎名るか、高井千帆、平瀬美里の5人組。「ROCK A JAPONICA」という名前の通り、JAPONICA(日本固有の)をROCKする(揺り動かす、刺激する、感動させる)という意味が込められており、アイドルに限らず日本の音楽シーン、またそれ以上に日本全体を刺激すべく活動をスタート。

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