K-POPの日韓混合企画に注目。日本人4人擁するTREASURE13やJYPの新人企画

BIGBANGを生んだYGエンターテインメントから初の日本人メンバー

BIGBANGや2NE1を生んだ韓国の大手事務所YGエンターテインメントから、初めて日本人メンバーを擁するグループが誕生する。

これまでグループメンバーの多国籍化が進むK-POPの潮流に乗ることなく、YGエンターテインメントが送り出しきたボーイズグループはBIGBANG、WINNER、iKONと全て韓国人メンバーのみで構成されていた。iKONのデビューから4年の時を経て同事務所が送り出す新たなボーイズグループの名は「TREASURE13」。メンバー13人のうち4人が日本人メンバーだ。

YGエンターテインメントが贈る新たなボーイズグループ「TREASURE13」

ハルト、マシホ、ヨシノリ、アサヒの4人が選出。13人組の大型新人「TREASURE13」

TREASURE13は「TREASURE」と「MAGNUM」という2つのユニットの集合体で、少し複雑な成り立ちをしている。彼らは先輩グループと同様に事務所が立ち上げたオーディション番組から生まれた。昨年11月から全10回にわたって放送された『YG宝石箱』というプログラムだ。この番組では日本支社YGエンターテインメントジャパンで練習を積んできた日本人7人を含むYG所属の練習生29人がデビューメンバーの座を巡ってしのぎを削る様子が紹介された。番組は現在もYouTubeの公式チャンネルで日本語字幕付きで視聴することができる。

放送を経て決定された7人のデビューメンバーが、パン・イェダム、キム・ジュンギュ、ハルト、ソ・ジョンファン、パク・ジョンウ、ユン・ジェヒョク、チェ・ヒョンソク。オーディション番組『K-POP STAR』への出演で幼い頃から高い知名度を誇る2002年生まれのパン・イェダムをはじめ、日本人メンバーのハルトも選出されている。彼らは「TREASURE」というグループ名を与えられた。

「TREASURE」の7人。日本人のラッパー・ハルトもメンバーに名を連ねる

さらにTREASUREの発表で終了したかに思えたYGの新人グループ誕生プロジェクトは、これだけでは終わらず、もう1つのグループをデビューさせることを発表して視聴者を驚かせた。

そのグループが6人組の「MAGNUM」だ。ハ・ユンビン、キム・ドヨン、パク・ジフンに加えて、マシホ、ヨシノリ、アサヒの3人の日本人メンバーが名を連ねる。こうしてTREASUREのハルト、MAGNUMのマシホ、ヨシノリ、アサヒの計4人の日本人メンバーを擁する13人組の大型新人グループ・TREASURE13が誕生した。

日本人練習生のマシホ、ヨシノリ、アサヒが選出された「MAGNUM」

5月から7月を目途に韓国でデビューへ

日本人メンバーのプロフィールを簡単に紹介しよう。

TREASUREのハルトは2004年福岡生まれのラッパーだ。『YG宝石箱』の第2話に初登場すると、ロートーンボイスのラップを堂々と披露し、YG代表プロデューサーのヤン・ヒョンソクからのお墨付きを得た。

TREASUREのハルト。2004年生まれ

MAGNUMのマシホ、アサヒは共にボーカル担当。2001年生まれのマシホは甘いビジュアルで番組中から多くのファンを獲得し、パフォーマンスでもボーカルに加えてアクロバットを披露するなど、様々な才能を見せつけた。

ラッパーのヨシノリは2000年生まれ。ヨシノリとアサヒは番組のファイナルステージには残らなかったもののMAGNUMのメンバーに演出された。

ハルトと並んで番組放送当初から人気を集めたマシホ

TREASURE13は今後5月から7月を目途に韓国でのデビューを目指しているという。

BIGBANG、WINNER、iKONなどの先輩グループはメンバーが自ら作曲に携わることで知られるが、TREASURE13のメンバーは楽曲制作に携わることはなく、YGやYGのメインプロデューサーであるTEDDYによる「THE BLACK LABEL」、V.I(BIGBANG)主宰の「YGX」に所属する30人におよぶプロデューサーたちから楽曲提供を受ける。13人のTREASURE13としての活動に加え、TREASURE、MAGNUMの各グループでの活動も並行して継続していく計画だ。メンバーの約3分の1が日本人という編成なので、日本での活動も予定されているだろう。

TWICEを擁するJYPエンターテインメントはソニーミュージックとタッグを組んだガールズグループ企画を始動

韓国の大手事務所による、日本の市場を視野に入れた新人プロジェクトでもう1つ注目したいのが、JYPエンターテインメントがソニー・ミュージックエンタテインメント、ソニー・ミュージックレーベルズとの共同事業として発表したガールズグループプロジェクト『Nizi Project』だ。

日本のソニーミュージックと韓国のJYPエンターテインメントがタッグを組む

2PM、GOT7、TWICEといった日本でも人気のアーティストたちを抱えるJYPエンターテインメント。代表のパク・ジニョンが来日して2月に発表会見を行なった『Nizi Project』では、今夏に日本8か所、アメリカ2か所でオーディションを実施する。そこでデビュー準備組20人を選抜したのち、韓国で半年間のトレーニング期間を経て最終デビューメンバーを選抜し、2020年11月にデビューさせるという計画だ。トレーニングから最終選抜までの過程を映した番組を2020年4月から放送すると予定だという。

このオーディションの応募資格は「15歳から22歳の女性で、日本語を自由に話せること」とされている。『Nizi Project』で誕生するグループが日韓どちらを拠点とするのか、それとも両国で活動するのかは現時点ではわからないが、AKBグループと韓国のオーディション番組がコラボして生まれたIZ*ONEのように両国で注目を集めそうだ。

2019年2月7日に行なわれたパク・ジニョンによる『Nizi Project』発表会見

「GLOBALIZATION BY LOCALIZATION(現地化による国際化)」に基づいた戦略

JYPの『Nizi Project』は、同社の企業ビジョン「JYP2.0」の掲げるテーマの1つ「GLOBALIZATION BY LOCALIZATION(現地化による国際化)」に基づいて立ち上げられたという。この「GLOBALIZATION BY LOCALIZATION」の第1段階は「韓国のコンテンツを海外に輸出すること」、第2段階は「海外の人材を発掘し、韓国のアーティストと組み合わせること」としている。

2008年に同社からデビューした2PMには、タイ人と中国系アメリカ人の両親を持つメンバー・ニックンが在籍する。ニックンと2PMは第2段階の初の事例であり、彼の存在が2PMをよりグローバルなグループに成長させ、様々な国のファンと繋がることのできる助けになったという手応えがあるようだ。

そしてJYPが推進する「GLOBALIZATION BY LOCALIZATION」の第3段階が「海外で人材を育成し、プロデュースして輩出すること」。これを『Nizi Project』で目指していく考えだ。

K-POPの大きな輸出先である日本

「GLOBALIZATION BY LOCALIZATION」という戦略はJYPに限らず多くのK-POPグループがとってきた方針だと言える。K-POPはこれまでも韓国国外の市場を視野に入れて、多国籍なメンバー編成のグループを生み出してきた。また日本では日本のレコード会社から日本限定のオリジナル音源をリリースするという形での「現地化」も以前から行なわれてきた。

日本人メンバーがいるK-POPグループというのは今や珍しい現象ではない。一昨年、昨年と2年連続で『NHK紅白歌合戦』に出演したTWICEに3人の日本人メンバーがいることは広く知られているかもしれないが、TWICEだけでなく、NCT、PENTAGON、ONF、公園少女といったグループにも日本人メンバーが在籍する。

またFTISLAND、CNBLUE、AOAといったグループを送り出してきたFNCエンターテインメントからも日本人メンバーがいる新人ガールズグループCherry Bulletが誕生した。今年1月にデビューした彼女たちは台湾出身のメンバー1人と日本出身のメンバー3人を含む10人組だ。

日本人メンバーのメイ、ココロ、レミや、『PRODUCE48』に出演したヘユンらを擁するCherry Bullet

朝鮮日報によれば、日本に輸出されたK-POPコンテンツは2010年の712億ウォン(約74億円)から、2016年には約3000億ウォン(約311億円)と4倍に増加。欧米からの注目度が上がっているといっても、K-POPにとって日本が重要な輸出先であることには変わりはなく、日本の市場で売り出していくには、日本人メンバーの存在がそれぞれの国を繋ぐ助けになることもあるはずだ。日本の音楽番組に出演しているTWICEを見ていても、日本人メンバーの果たす役割は大きい。

もっとも日本人メンバーの存在が日本の音楽市場で成功する絶対条件でないことは、BIGBANGや少女時代、東方神起、BTSなど多くの人気グループが証明している。世界的に見ても、BTSが韓国語の歌で全米1位に輝き、「現地化」の戦略をとらずともグループと音楽の魅力を国境を超えて響かせることが可能だと体現してみせた。

新たに誕生したYGの大型多国籍グループ・TREASURE13、そして2020年に誕生するJYP発のガールズグループは、日本・韓国の両国でどのように羽ばたき、受け入れられるのだろうか。未だベールに包まれている部分も多い両プロジェクト。今からチェックしておいても遅くはない。



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