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世界にまたがる師弟対談 高野寛×トッド・ラングレン

世界にまたがる師弟対談 高野寛×トッド・ラングレン

インタビュー・テキスト
金子厚武
撮影:田中一人

今年デビュー25周年を迎え、初のカバーベスト『TOKIO COVERS』や、過去作のリマスタリング盤をリリースした高野寛。彼にとってのトッド・ラングレンは、まさに「師匠」というべき存在である。トッドといえば、自らアーティストとして活躍する一方で、XTCの『Skylarking』や、HALL & OATESの『War Babies』など、数々の名盤を手掛けたプロデューサーとしても知られ、65歳となった今もポピュラーミュージック界の第一線で精力的な活動を続ける伝説的人物。そのトッドがプロデュースした出世作“虹の都へ”を契機に、アーティストとして、プロデューサーとして、プレイヤーとして活躍の幅を広げ、今では「日本の音楽シーンに欠かせない人物の一人」とまで言われるようになった高野の歩みというのは、トッドの背中を追い続けた25年のようであり、二人がもともと同じ志を持った表現者であったことを証明するような25年でもあったと言えるだろう。

この対談は、モダンなエレクトロニックミュージックの要素を取り入れた最新作『STATE』を発表し、トッドがツアーのために来日した8月に行われたもの。日米を行き来しながらアルバム制作を行った1990年代初頭の思い出から、宅録を原点に持ち、機材マニアである二人だからこそ説得力のある、デジタル技術の進歩と表現の変遷についてまで話題は尽きない。終始穏やかながらも、鋭い意見の飛び交う対話からは、まるで特別仲のよかった先生と生徒による二人だけの同窓会を見ているような、実に親密な空気が感じられた。

僕にとってはトッドや高橋幸宏さんが最初の先生でしたが、僕も若い世代に伝える年齢になったんだなって。(高野)

―昨晩のトッドのライブ(8月21日「ビルボードライブ東京」の来日ツアー)はいかがでしたか?

高野:びっくりしました。まず声がすごくよく出てて、強いなと思いましたね。ここ何年かはオーセンティックなバンドスタイルのルーツに戻ったような展開だったので、また逆側に振り切りながらも、ちゃんとエンターテイメントになってるのがすごく印象的でした。

トッド:ここ数年は、5、6種類の違ったタイプのツアーを同時にやってるんです。リンゴ・スターとのツアーもありましたし、4人のメンバーと共にフルバンドで回ったり、ストリングスカルテットやオーケストラと一緒にやったりもしました。それぞれに違うゲストを呼んで、違った側面を見せるようにしていますね。

高野寛
高野寛

―新作の『STATE』はエレクトロニックなアプローチの作品になっていますよね。きゃりーぱみゅぱみゅを聴いていらっしゃるという噂を小耳にはさんだのですが、それは本当でしょうか? きゃりーは高野さんも弾き語りでカバーされているのですが。

トッド:“CANDY CANDY”なら知ってるよ(笑)。新作のリサーチのためにYouTubeを見ることも多くて、横に出てくるおすすめからいろんなところに飛んだりしていました。ストレートなポップというよりは、実験的なアプローチのアーティストをよく見たり聴いたりしたんですけど、エレクトロニックな分野で言うとSKRILLEXやBON IVER、フランク・オーシャンとかですね。ただ、そこで知ったアーティストを一生懸命聴きこむことはしません。コピーはしたくないので、自分がやっていることとうまくバランスを取りながら、影響をもらっているという感じですね。

高野:YouTubeの関連動画で音楽を探すのって、今の10代の音楽の聴き方と全く同じですよね。そういうところがトッドのフレッシュな感覚につながってるんでしょうね。

―若い人との交流と言えば、トッドは大学での教員経験もあるんですよね?

トッド:数年前にレコーディングのテクニックを教えたり、最近だとシカゴの大学でもっと音楽に特化した講義をして、自分の曲の演奏の仕方を教えたり、若いバンドと一緒に彼らの曲をレコーディングしたこともあります。でも、今の若い世代って、僕のことを親から聞いて知ってるっていう感じなんですよね(笑)。

トッド・ラングレン
トッド・ラングレン

―高野さんも今大学で教員をやられてるんですよ(2013年より京都精華大学ポピュラーカルチャー学部特任教員)。

トッド:そうなんだ! お互い年を取ったね(笑)。

高野:僕はクリエイティブな発想の仕方を教えてるんですけど、ソングライティングを教えるのはすごく難しいから、それより一人ひとりを見て、プロデュースしていく感じなんですよね。

トッド:うん、ポップミュージックって、すごくインフォーマルなアートフォームだから教えるのはすごく難しいですよね。僕がやったのは、例えば、THE BEATLESの音楽について話すというよりも、それを取り巻くファッションや政治、ドラッグのようなカルチャーすべてを伝えていく感じでしたね。

高野:僕にとってはトッドや高橋幸宏さんが最初の先生でしたが、僕も若い世代に伝える年齢になったんだなって、改めて思いますね。

トッド:そうやって民話のように語り継がれていくものなんだよ(笑)。

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イベント情報

『高野寛 Live Tour「from 1988 to 2013」〜HT debut 25th Anniversary 1st season〜』

2013年10月12日(土)
会場:徳島県 徳島 第二倉庫アクア・チッタ

2013年10月13日(日)
会場:愛媛県 松山 若草幼稚園

2013年10月14日(月・祝)
会場:香川県 高松 umie

2013年10月25日(金)
会場:岩手県 盛岡 カフェ・ポルトボヌール

2013年10月26日(土)
会場:宮城県 仙台 SENDAI KOFFEE CO.

2013年10月27日(日)
会場:栃木県 黒磯 SHOZO 音楽室

2013年11月2日(土)
会場:奈良県 奈良 法徳寺

2013年11月3日(日)
会場:鳥取県 鳥取 カフェ・ダール ミュゼ

2013年11月4日(月・祝)
会場:島根県 松江 清光院下ギャラリー

2013年11月9日(土)
会場:東京都 下北沢 mona records

2013年11月14日(木)
会場:福岡県 福岡 café teco

2013年11月16日(土)
会場:大分県 日田 リベルテ

2013年11月17日(日)
会場:鹿児島県 鹿児島 GOOD NEIGHBORS

2013年11月28日(木)
会場:愛知県 名古屋 TOKUZO

2013年11月30日(土)
会場:兵庫県 姫路 ハルモニア

2013年12月1日(日)
会場:広島県 尾道 やまねこカフェ

2013年12月13日(金)
会場:岡山県 岡山 城下公会堂

2013年12月14日(土)
会場:大阪府 大阪 中之島デザインミュージアム

2013年12月15日(日)
会場:静岡県 浜松 Esquerita68

2013年12月20日(金)
会場:宮崎県 日向 nap cafe

2013年12月21日(土)
会場:熊本県 熊本 長崎書店

2013年12月22日(日)
会場:福岡県 福岡 TAGSTA

『高野寛 Live「2014 to next」〜25th Anniversary 1st season : FINAL〜』

2014日1月19日(日)  OPEN 16:30 / START 17:00
会場:東京都 恵比寿ザ・ガーデンルーム
出演:高野寛(宮川剛[Dr,Per]、鈴木正人[Ba,Key]
料金:5,250円

リリース情報

高野寛<br>
『TOKIO COVERS』(CD)
高野寛
『TOKIO COVERS』(CD)

2013年10月9日発売
価格:3,000円(税込)
SUNBURST / SBST-002

1. Sunshine Superman / ドノヴァン
2. 音楽 / YMO
3. THE DRIFTER / ハーパース・ビザール
4. Revolution / ザ・ビートルズ
5. わたしのにゃんこ / 矢野顕子
6. FAR EAST MAN / ジョージ・ハリスン
7. (I Can't Get No)Satisfaction / ローリング・ストーンズ
8. CUE / YMO
9. Southern jukebox music / ペンギン・カフェ・オーケストラ
10. ワンダーフォーゲル / くるり
11. 終りの季節 / 細野晴臣
12. International Feel / トッド・ラングレン
13. いとこ同士 / ムーンライダーズ
14. Groove Is In / ザ・ビートルズ
16. At last I Am free / シック

高野寛<br>
『tide』(CD)
高野寛
『tide』(CD)

2013年10月9日発売
価格:3,000円(税込)
SUNBURST / SBST-003

1. 新しいカメラ / my brand-new camera
2. フルーツみたいな月の夜に / under the fruity moon
3. 黒焦げ / burn out
4. オレンジ・ジュース・ブルース / orange juice blues
5. Phenix (翼なき僕達に)
6. 皆既日食 / total eclipse
7. 暮れてゆく空 / at dusk
8. Everlasting Blue
9. No word, No think(メディスン・ソング)
10. Bye Bye Television(ボーナストラック)
11. 偽りの中で(ボーナストラック)

高野寛<br>
『Ride on Tide』(2CD)
高野寛
『Ride on Tide』(2CD)

2013年10月9日発売
価格:3,000円(税込)
SUNBURST / SBST-004

[DISC1]
『smooth side』
1. 相変わらずさ(1999.7の月編)
2. 夢の中で会えるでしょう
3. 二十歳の恋
4. フルーツみたいな月の夜に
5. オレンジ・ジュース・ブルース
6. Wailing wall
7. 皆既日食
8. Phenix
[DISC2]
『dynamic side』
1. 夜の海を走って月を見た
2. Bye Bye Television
3. AMBIENT1/1〜 Another Proteus
4. 何も知らないで生まれて
5. 黒焦げ
6. All over, Starting over
7. ベステンダンク
8. 500マイル
9. On & On

トッド・ラングレン<br>
『STATE』国内盤(CD)
トッド・ラングレン
『STATE』国内盤(CD)

2013年5月29日発売
価格:2,580円(税込)
Warner Music Japan / WPCR-15022

1. イマジネーション
2. シリアス
3. イン・マイ・マウス
4. ピング・ミー
5. アングリー・バード
6. スモーク
7. コライド‐ア‐スコープ
8. サムシング・フロム・ナッシング
9. パーティー・リカー
10. サー・リアリティ
11. メドレー:キャン・ウィ・スティル・ビー・フレンズ/アイ・ソー・ザ・ライト/ハロー・イッツ・ミー(ボーナストラック)

プロフィール

高野寛(たかの ひろし)

1988年、高橋幸宏プロデュースによるシングル「See You Again」でデビュー。現在までにベスト / ライブ盤を含む16枚のアルバムをリリース。代表曲は、「虹の都へ」「ベステンダンク」(共にトッド・ラングレンのプロデュース)、「夢の中で会えるでしょう」(坂本龍一プロデュース)など。ソロワークのほか、ギタリスト / プロデューサーとしても多くのプロジェクトに参加。ナタリー・ワイズ、GANGA ZUMBA(ガンガ・ズンバ)、pupa(ピューパ)等、バンドでの活動も精力的に行う。最新オリジナルアルバムは2011年リリースの「Kameleon pop(カメレオン・ポップ)」。デビュー以来、音楽への真摯な姿勢と非凡なポップセンスは、多くの音楽ファンに支持されている。

トッド・ラングレン

1948年アメリカ、ペンシルベニア州出身。1967年、自身のバンドNAZZを結成し、ソロとしてはアルバム『RUNT』でデビュー。その後、ヒット曲「I Saw The Light」を収録した名盤『Something/Anything?』(1972年)や名ライヴ・アルバム『Back To The Bars』(1978年)などをリリース。美しいメロディーを編みだすソロ・アーティストとしてだけではなく、バンドUTOPIAのメンバーとしても活躍。また、Grand Funk Railroad、Hall & Oatesなどのプロデューサーとしても卓越した才能を発揮。1980年代後半から1990年前半にかけてはレピッシュや高野寛などのプロデュースを手掛けるなど、日本における人気と実績はかなりのもの。現在までに23枚のソロ・アルバムを発表し、来日公演も幾度となく行っている。

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Spoon“Can I Sit Next To You”

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