今、求められる歌の姿とは? 高野寛×ハナレグミの親密対談

今年デビュー25周年を迎えた高野寛と、ハナレグミこと永積崇。この二人の関係性で思い出されるのは、やはり永積がかつて活動していたSUPER BUTTER DOGの“サヨナラCOLOR”だろう。高野が「僕がこれまで手掛けた曲の中で、トップ3に入ると思う」と語る大名曲は、プロデューサーの高野と、永積をはじめとしたバンドメンバーとの相互作用がなければ、決して生まれなかった一曲だったと言っていいだろう。その後二人は、竹中直人監督の映画『サヨナラCOLOR』のサントラ制作などでさらに交流を深め、今ではプロデューサーとミュージシャンという立場を超えた信頼関係を築いている。

そんな高野の通算18枚目となるオリジナルアルバム『TRIO』は、初のブラジル録音で、さらには25年目にして初めての一発録りを行った意欲作。一方、同時発売される高野のトリビュートアルバム『高野寛 ソングブック~tribute to HIROSHI TAKANO~』にはハナレグミが参加していて、かつてコーラスで参加したことのある“hibiki”をカバー。こちらは逆に、永積が初めての打ち込みに挑戦している。約15年の交流を経て、録音方法が逆転しているというのは面白い話だが、つまりこれは、今二人がスタイルよりも歌や楽曲そのものに目を向けていることの表れだと言ってもいいのかもしれない。そこで今回の対談では、“サヨナラCOLOR”の制作秘話など、二人の関係性を紐解きつつも、現在「シンガー」という立場から二人が歌に何を託しているのかを語り合ってもらった。根源的な力を持つ、確かな歌のありかを求めて。

SUPER BUTTER DOGのプロデュースのオファーをもらって改めてライブを見に行ったときに印象的だったのは、崇がリードボーカルなのに、MCをずっと池ちゃん(現・レキシの池田貴史)がやってたこと(笑)。(高野)

―先ほど写真撮影のときに永積さんが「えー!」って驚かれていましたが、何の話をされていたんですか?

永積:年齢の話です(笑)。

高野:今年(永積)崇が40歳、僕が50歳っていう(笑)。最初に会ったときはいくつだっけ?

高野寛
高野寛

永積:僕24とか25歳ぐらいじゃなかったかなあ?

―最初はどうやって知り合ったんですか?

永積:僕が記憶してるのは、昔六本木に「OJAS」ってクラブがあって、そこにクラムボンや、LaB LIFe、小池アミイゴさんみたいな、面白い人たちがいっぱいいたんですけど、ある日「高野さんが来た」っていう噂が広まって(笑)。

高野:「弾き語りのイベントがあるから」って呼ばれて行ったら、そのバーでバイトしてたのがクラムボンのミトくんで、「今度インディーでミニアルバムを出すんで、よかったら聴いてください」ってカセットをもらって、聴いたらすごく良くて。それからミトくんとかと仲良くなって、OJASにもときどき行くようになったんです。そこにレキシの原型となるユニットも出てましたよね。当時レキシはDJユニットで、池ちゃん(池田貴史)と崇の二人だったの。でも、基本の芸風は今と一緒(笑)。

永積:その頃から歴史モチーフを取り入れたり、確立されてましたね(笑)。

高野:ちょうどその頃、僕がバタードッグ(SUPER BUTTER DOG)と同じ事務所に移籍になって、彼らのプロデュースのオファーをもらったんです。それで改めてライブを見に行って、そのとき印象的だったのは、崇がリードボーカルなのに、MCをずっと池ちゃんがやってたこと(笑)。

僕はバンドのプロデュースをするときは、リハーサルとか曲作りのときからみっちり付き合う主義なので、練習スタジオにも何度も足を運んで、ずっと一緒にやってた記憶がありますね。(高野)

―高野さんのプロデュースワークとしては、やはりシングルの“サヨナラCOLOR”(2001年10月)であり、そのすぐ後に出たアルバム『grooblue』(同年12月)が思い出されますが、その頃はもう親密な仲になっていたわけですか?

永積:いや、まだ今みたいにフランクにいろいろ話せる感じではなかったですね。こんなふうに話せるようになったのは、ハナレグミを始めてから、高野さんが当時やっていたNathalie Wise(TOKYO No.1 SOUL SETのBIKKEとアンダーカレントの斉藤哲也、高野寛が2000年に結成したバンド)と一緒に竹中直人さんの映画(『サヨナラCOLOR』)のサントラをレコーディングしたりとか、そのあたりでどんどん親密になっていった感じです。バタードッグの頃は、まだプロデューサーとミュージシャンって関係性で、高野さんの家に行って、アレンジの相談をしたりしてましたね。

ハナレグミ
ハナレグミ

高野:僕はバンドのプロデュースをするときは、リハーサルとか曲作りのときからみっちり付き合う主義なので、練習スタジオにも何度も足を運んで、ずっと一緒にやってた記憶がありますね。ソロアーティストだともう少しアレンジャーっぽくなるというか、僕が仕切る場面が多くなるんだけど、バンドはやっぱり誰がリーダーシップを取ってるのかを観察して、その中でちょいちょい口を挟むぐらいの感じなので。

―まだ若いバンドにとっては、プロデューサーがいること自体が新鮮な経験だったでしょうね。

永積:そうですね。それまではずっと5人でやってて、ディレクターや事務所の社長が「もっとこうじゃん?」とか言ってくれてたんですけど、音楽的なアイデアをくれるプロデュサーがいるのはそのときが初めてで、「こういうのもアリでいいんだ!」って思ったり、すごく新鮮な経験でした。“サヨナラCOLOR”でストリングスを入れたりとか……あっという間だったんだけど、すごく濃かったイメージがあります。

サウンドプロデュースでいろんな曲に関わってきたけど、たぶん“サヨナラCOLOR”は僕の人生のトップ3に入る曲だと思っていて、それはできあがった瞬間にわかったんです。(高野)

高野:バタードッグは崇がバンドと一緒に歌も録音するっていうスタイルなんだけど、ギターもちゃんと弾くし、ホントにスタジオライブみたいな感じですごいなって思った。

永積:僕の場合、後から録音すると余計に時間がかかるっていう(笑)。なんかね、細かくなっちゃったり、迷っちゃうんですよね。

高野:でも一番バンドらしいやり方だし、実力がないとできないよね。僕の新しいアルバム『TRIO』は、25年目にして初めて、歌とギターをバンドと一緒に録ってるんですよ。崇はもうとっくにやってたことなんだけど(笑)、僕はなかなか踏ん切りがつかなくて、今やっとそれができるようになったんです。

―“サヨナラCOLOR”のレコーディングに関しては、どんなことを覚えていらっしゃいますか?

高野:サウンドプロデュースでいろんな曲に関わってきたけど、たぶん“サヨナラCOLOR”は僕の人生のトップ3に入る曲だと思っていて、それはできあがった瞬間にわかったんです。これは記憶違いかもしれないんだけど、あの曲を録ってるときって、僕が他のレコーディングも同時に入ってて、同じスタジオの上の階でやってたから、「音合わせだけしておいて」って上に行って、また下に覗きに来るみたいな感じだったと思うのね。

永積:そうだったっけ? それ覚えてないなあ……。

高野:それでね、「そろそろ見に行くか」って感じで下に行ったら、もうほぼできてて、結局あのオッケーテイクって、2回録ったうちの2回目だったんだよね。正味1時間ぐらいで全部完成してて、そのラフミックスを僕が持って帰って、その日の夜にストリングスのアレンジを考えて、次の日に1時間ストリングスを録って終わり。その速さもホントに印象的で、僕はレコーディング自体が好きだから、時間かけて作る方に行きがちなんだけど、「時間をかけることにホントに意味あるのかな?」って、ちょっと疑問に思うくらい、衝撃的な現場だったんですよね。

高野寛

永積:僕としては、一番迷いがなかったレコーディングが“サヨナラCOLOR”だったと思うんです。いろいろ考えなきゃいけない部分を補ってくれる人がいたからプレイに集中できたし、あの曲に対しては、自分のモチベーションもすごく高かったんです。今思うと、集中力と気持ちが一番高まってるタイミングだったんだろうなって。

“hibiki”の言葉が今の自分に向けられてるような気がしたんですよね。ここ数年「歌って何だろうな?」っていうことをずっと考えてて、あの歌詞もその答えに向かってる気がするというか。(永積)

―その後、永積さんは高野さんのアルバム『確かな光』(2004年)にコーラスで2曲に参加されてて、その中の1曲である“hibiki”を今回のトリビュートでカバーされていますね。


永積:カバーをするときって、いつも自分が聴いたときに、思い描いたシーンが残ってる曲を選びたいと思ってて。“hibiki”をレコーディングしたときは、事務所が変わったり、映画『サヨナラCOLOR』のサントラのレコーディングがあったり、すごく自分の中でも熱い時期で、その時間があの音に詰まってる感じがするんですよね。

高野:サントラもいいレコーディングだったよねえ。

永積:清志郎さんも来てね。

高野:清志郎さん、腕吊ってたんだよね。自転車でこけて(笑)。

永積:そうそう、そうだ(笑)。あとこの曲って、言葉が今の自分に向けられてるような気がしたんですよね。ここ数年「歌って何だろうな?」っていうことをずっと考えてて、あの歌詞もその答えに向かってる気がするというか。感覚的なんですけど。

高野:『確かな光』は僕がデビュー15年目で出したアルバムだから、当時40歳ぐらいだったんだよね。今の崇の実年齢に近い人が書いてるわけで、だからよりリアルに感じるのかも。

―そうか、ちょうど10年前の作品ですもんね。

永積:うわ、そうだったのか! それ、すごいですね(笑)。

左から:高野寛、ハナレグミ

―ちなみに、今回永積さんがアレンジ、演奏、打ち込みまでをすべてご自身で手掛けられていますが、これは「宅録家=高野寛」へのトリビュートだったりするのでしょうか?

永積:あー、自然とそういう風になったのかもしれないですね。僕はずっとバンドサウンドに重きを置いてて、ソロになってからもそういう形態だったんですけど、1人で音楽を成立させられる人をすごく尊敬してるんです。色を選んで、1個ずつペイントしていくように音楽を作ることを、自分でもやってみたいと思ってて。だから、「どういうスタイルでやろう」とかは全然決めてなくて、歌詞とメロディーを歌いながら、「こういう音が聴こえるな」って、先々で音を探して、ゆっくり積んで行ったんです。『grooblue』じゃないですけど、また高野さんから教わってる感じがあったっていうか(笑)。

―曲を通じて「アレンジってこうやるんだよ」って(笑)。

永積:そう、だからこれまでの自分にとっては新鮮なことを、高野さんの曲をきっかけにやらせてもらったんです。

高野:面白いよね。崇は打ち込み初めてで、僕は一発録り初めてなんだもんね(笑)。

自由な発想を持ってて、なおかつお互いの音をよく聴けるような、動物的な感じで音に食いついてくれる人って、今も探してるところはあるんですけど、今回一緒にやったブラジルのメンバーは、ホントにそんな感じなんです。(高野)

―一発録りと宅録という、方法論こそ逆になったものの、途中で永積さんがおっしゃっていた「歌って何だろう?」っていうのは、高野さんもここ数年考えていらっしゃることかと思うんですね。実際、昨年からアコースティックツアーがあり、一発録りで『TRIO』を作り、今年後半もまたアコースティックツアーがあるっていうのは、やはり歌そのものを大事にされていることの表れかと思うのですが。

高野:それはその通りですね。というのも、去年「次のアルバムどうやって作ろうかな?」って思って、宅録もいろいろ試したのね。新しい機材を買ったり、ミックスだけ他の人に頼んでみたり、いろいろやったんだけど、僕は宅録をやり過ぎちゃってるから、大体完成予想図が見えてしまうんです。だから、もはや全然ときめかない……。そうなったときに、弾き語りをしてたら、ブラジルの友達のことを思い出して、「この状態で一人でブラジルに行って、あいつらと一緒に録ったら、それでいいじゃん」と思って。

―そのテンションでブラジルに行くっていうのもすごいですよね(笑)。

高野:まあ、阿佐ヶ谷とかだったら近かったんだけど(笑)、たまたま気の合う人がブラジル人だったんですよ。僕がOJASでバタードッグやクラムボンを初めて見たときに、ものすごい自由な発想を持ってて、なおかつお互いの音をよく聴いてるなって印象があったんだけど、僕らの世代にはそういうバンドって見当たらなかったんです。それをずっと羨ましいなって思ってて、そういう動物的な感じで音に食いついてくれる人って、今も探してるところはあるんですけど、今回一緒にやったメンバーは、ホントにそんな感じなんです。

高野寛

「アコースティックだからいい」っていうわけでもなく、打ち込みでも何でも、結局何を込めたいかってことだと思うんですよね。何か「ウワー!」ってなっちゃうような、打ち震えるような、そういうものに僕は共鳴する。(永積)

永積:僕はここ最近昔のブルースばっかり聴いてるんですよ。なんか、ブルースって根源的なものに近いじゃないですか? ジャンルとかアレンジっていうよりも、ホントに1人の人の個人的な衝動っていうか。そこに人が集まって、楽器や声に耳を傾けてる状況って、やっぱりすごいことだなって思うし、僕は本能的にそういうものを欲してしまうっていうか。

高野:プロとして音楽をやってると、知らないうちに流れやルールにのっとってやらざるを得ない部分があって、15年以上やってるとさ、それが染みついてたりするよね。僕も昔の音源をよく聴くんだけど、やっぱり時代を経てだんだんできてきたルールみたいなものは感じることがあって。例えば曲の構成にしても、イントロ、Aメロ、サビとかって、ホントはそうしなきゃいけない決まりなんてなくて、自由にいろんな曲があっていいはずなのに、なんかやっぱりクセになっちゃってるよね。

―その点、『TRIO』は1曲ごとの短さといい、非常に自由な作品ですよね。

高野:セルフカバーだし、間奏とかいらないやと思って全部取っちゃったから、オリジナルより曲が短いの(笑)。ブラジルのスタンダードってすごく短くて、2分台の曲がいっぱいあるんだけど、逆にサンバは1コーラス分のテーマを延々何十分も演奏し続けたりするでしょ? その形式を壊す感じが、自分にとっては新鮮だなって思って。

―昨年高野さんとトッド・ラングレンに対談をしていただいたときに、今は聴き手のリスニング環境が多様化してるから、サウンドやプロダクション以上に、歌や曲そのものが重要な時代なんじゃないかっていう話があったと思うんですね。今のお二人の話とも通じているように思うのですが。

永積:それって、「アコースティックだからいい」っていうわけでもなく、打ち込みでも何でも、結局何を込めたいかってことだと思うんですよね。何か「ウワー!」ってなっちゃうような、打ち震えるような、そういうものに僕は共鳴するので、だからブルースとかに行っちゃうんだと思うんですよ。ライブでも同じ曲がいつもと違って聴こえる瞬間ってあって、その瞬間が一番燃えるんです。やる場所とかオーディエンス、メンバーによっても変わってくるけど、それが上手くハマったときって、ずっと歌ってる曲なんだけど、ものすごく新鮮に響いて、「ウワー!」ってなる。やっぱり、爆発したいんですよね。「いいじゃん! これヤバいぞ!」って言いたい(笑)。

高野:崇は昔からそういう感じするなあ。「喜び」みたいなものがないと、歌が生きないっていうのをどこかで知ってて、そうなるための努力は惜しまないじゃない? だから、レコーディングやリハーサルを見てても、こだわるポイントが僕とは違うんですよ。「気持ちが上がらないと、歌えない」っていうのが強いから、そのためのシチュエーション作りがすごいんです。

左から:高野寛、ハナレグミ

―テクニカルな部分に対する意識も当然あるけど、それよりもそこにどう気持ちを持って行くかが重要だと。

高野:テクニックはもともとあるから、僕とかミトくんとかの間では「崇はずるい」っていうのが定評なんですよ。「あいつが歌えば“鳩ぽっぽ”でもいい曲に聴こえる」って(笑)。だから、もともと目指してる場所が違うというか、僕なんかは単純に「ちゃんと歌いたい」っていう気持ちが未だにあるんですけど、崇の場合はちゃんと歌えるのは当然だから、それ以上のニュアンスとか気持ちに心を砕いてるんじゃないかなって。

永積:……確かにそうかも。さすがです、見抜かれてますね(笑)。

最近は擬似的な感覚が多くて、得も言われぬ不安感に襲われたり、すごいグラグラしちゃうんですよ。そういうときに、ブルースの人たちの声を聴くと、ひっぱたかれるような感じがするっていうか(笑)、「しっかりしろよ」って言われてるような気持ちになるんです。(永積)

―途中で永積さんから「ずっと歌ってる曲でも、ものすごく新鮮に響く瞬間がある」っていうお話がありましたが、今の高野さんにとっては“確かな光”がそういう曲なんじゃないかと思うんですね。最近はすごく頻繁に歌われていて、『TRIO』にもセルフカバーが収録されていますし、トリビュート盤では畠山美由紀さんと青柳拓次さんがカバーされています。改めて、この曲に対する想いをお伺いしたいのですが。

高野:あの曲は9・11の後に作った曲で、あのできごとの後にものすごい悪夢を見たんです。きのこ雲がバーッて上がってる、その夢の風景をはっきりと覚えてて、何とも言えないモヤモヤした気持ちからできた曲で。あと、40代になると、体のコンディションとか変わってくるじゃない? そういう中で、「毎日をちゃんと生きるぞ」って曲だったりもして。ただ、最初はそういう気持ちで書いたんだけど、やっぱり震災後にね、自分でも全然違う意味に聴こえてきちゃって、ライブでやってると自然と新しい気持ちが出てきたんです。前のバージョンもそのときのベストではあるんだけど、今歌うとまた違うものになると思って、今回もやってみたんですけど。

―永積さんが今ブルースばっかり聴いてるっていうのも、やっぱり震災以降っていうのが関係してるかと思うんですね。

永積:それは絶対あると思います。なんだろうな……(ブルースに)何か確かなものを感じてるんでしょうね。一番混じり気がないっていうか、嘘のないものを感じるっていうか。たまに弾き語りでブルースのカバーを歌ったりするんですけど、僕が歌っても、なんか埋まらないんですよ。緊張感とか凄味がないから。実際そうやって歌ったときに「ブルースっていうのは、何て確かなものなんだろう」って思ったんですよね。あそこには個人的な悲哀がものすごく詰まってて、シンプルなメロディーと、繰り返してる「あの子が行っちゃった」っていう少ない言葉って、パッとカバーしただけだと、何も伝わらないんですよ。でも、実際にその曲を聴くとゾクゾクするっていうか、ものすごくギリギリのところで歌ってるんだろうなっていうのがわかって、すごく感動的なんです。やっぱり、人間のそういう部分に触れたいんでしょうね。

―だからこそ、ブルースを聴くんだと。

永積:最近はなにごとにも擬似的な感覚が多くて、確かだと思ってたものが、意外と確かじゃなかったり、言葉だけが先に来て、実体がなかったりとかがあって、得も言われぬ不安感に襲われたり、すごいグラグラしちゃうんですよ。そういうときに、ブルースの人たちの声を聴くと、ひっぱたかれるような感じがするっていうか(笑)、「しっかりしろよ」って言われてるような、そういう気持ちにもなるし。

―震災以降の約3年半っていうのは、社会の不確かさが如実に表れた3年半だと言ってもいいと思うんですね。だからこそ、確かなものに触れたい。その気持ちっていうのは、きっと誰もが感じているものだと思います。

高野:ブラジルには今も貧しい人たちがいて、そういう人たちにとってはサッカーと音楽が生きる糧なんですよね。シューズも楽器も買えなくても、裸足でボールを蹴ったり、何かを叩いて音を鳴らしたりしてる。そういうことがリアルに今でもある国だから、音楽に寄せる気持ちも全然違うんだろうなって。生活必需品というか、歌がないと生きて行けない人たちがいっぱいいて、だからこそ強いものがちゃんと生まれてくるのかなって思うんですよね。やっぱり日本はね、ものとか情報が溢れすぎちゃって、寂しさでさえも紛らわせるシステムができあがっちゃってるじゃないですか? 崇の話聞いてて、俺スマホのSNSのアプリとか削除しようかと思った(笑)。

永積:SNSって何だっけ?

高野:TwitterとかFacebookとか。やってないでしょ?

永積:やってないっすねえ。

左から:ハナレグミ、高野寛

―今の若い子とかは、そういうもので寂しさを紛らわせたりしてますよね。

永積:寂しさとか孤独の質っていうのも、また変わってきてるんじゃないかと思うんです。そういうSNSみたいなものをやりながらも、自分の孤独を客観的に感じてる子もいると思うし、自分もそこはちゃんと感じ続けていたいなって思いますね。

高野:今日崇と話せてよかった。最近結構忙しくて、いろいろ切り替えながら音楽もやってて、一つひとつをゆっくり味わう余裕がなかったんだけど、崇の話を聞いて、いろんなことを丁寧にやろうって改めて思いました。僕もブルース聴いて味わってみよう。

永積:じゃあ、あとでお勧めのブルース送っておきます(笑)。

イベント情報
『高野寛バンドツアー「TRIO」 ~25th Anniversary 2nd season~』

2014年9月27日(土)OPEN 17:00 / START 17:30
会場:兵庫県 神戸 ジーベックホール
料金:前売5,500円 当日6,000円(共にドリンク別)

2014年10月4日(土)OPEN 15:45 / START 16:30
会場:東京都 日本橋三井ホール
料金:前売6,000円 当日6,500円(共にドリンク別)

イベント情報

『高野寛 アコースティックツアー「ブラジルから遠く離れて」~25th Anniversary 2nd season~』

2014年8月22日(金)
会場:鳥取県 ギャラリーそら

2014年8月23日(土)
会場:三重県 radi cafe apartment

2014年9月6日(土)
会場:愛知県 名古屋 TOKUZO

2014年9月7日(日)
会場:広島県 log

2014年9月14日(日)
会場:北海道 札幌 レストランのや

2014年9月15日(月・祝)
会場:北海道 札幌 たべるとくらしの研究所

2014年10月10日(金)
会場:香川県 高松 umie

2014年10月11日(土)
会場:愛媛県 若草幼稚園

2014年10月18日(土)
会場:栃木県 SHOZO 音楽室

2014年10月25日(土)
会場:鹿児島県 GOOD NEIGHBORs

2014年10月26日(日)
会場:福岡県 TAGSTA

2014年11月1日(土)
会場:岩手県 盛岡 大慈清水御休み処

2014年11月2日(日)
会場:宮城県 仙台 SENDAI KOFFEE CO.

2014年11月3日(月・祝)
会場:福島県 いわき burrows

2014年11月8日(土)
会場:奈良県 法徳寺

2014年11月9日(日)
会場:和歌山県 カーヒコ・オ・ケ・アクア

2014年11月21日(金)
会場:広島県 尾道 やまねこカフェ

2014年11月22日(土)
会場:滋賀県 旧大津公会堂

2014年12月20日(土)
会場:岡山県 蔭凉寺

2014年12月21日(日)
会場:大阪府 中之島デザインミュージアム

リリース情報
高野寛
『TRIO』(CD)

2014年8月6日(水)発売
価格:3,240円(税込)
SUNBURST, inc. / SBST-005

1. Dog Year, Good Year
2. (それは)Music
3. 2つの太陽
4. See you again(RIO ver.)
5. 一分間
6. Morning Star
7. 確かな光(RIO ver.)
8. Mo i Kai
9. いつのまにか晴れ(2014)
10. On & On(& On)
11. 地球は丸い - A Terra é Redonda
12. ないものねだり
13. Free
14. Nectar
15. 美しい星(RIO ver.)
16. Petala - 花びら

.A.
『高野寛 ソングブック~tribute to HIROSHI TAKANO~』(CD)

2014年8月6日(水)発売
価格:3,024円(税込)
Ultra-Vybe,inc. / OTCD-3872

1. 夢の中で会えるでしょう / 蓮沼執太フィル
2. hibiki / ハナレグミ
3. やがてふる / 高橋幸宏
4. エーテルダンス / ビューティフルハミングバード & 宮内優里
5. 確かな光 / 畠山美由紀+青柳拓次
6. ベステンダンク / 岸田 繁 (くるり)
7. オレンジ・ジュース・ブルース / anonymass with 湯川潮音
8. KAORI / 有里知花 with 宮川 剛・永見行崇
9. 夜の海を走って月を見た / 山田稔明 (GOMES THE HITMAN)
10. See You Again / アンチモン
11. ベステンダンク / おお雨 (おおはた雄一+坂本美雨)
12. All over, Starting over / 浜崎貴司
13. 虹の都へ / トッド・ラングレン

『We Are Here / 高野寛と素晴らしきラリーの仲間たち』

2014年9月6日(土)発売予定
RALLYE LABEL / RYECD100

1. 高野寛 × 宮内優里
2. 高野寛 × YeYe
3. 高野寛 × sugar me
4. 高野寛 × little moa
5. 高野寛 × CONCERT
6. 高野寛 × milk
7. 高野寛 × 宮内優里
※曲順、曲名は未定

ハナレグミ
『だれそかれそ』(CD)

2013年5月22日発売
価格:3,045円(税込)
VICL-64024

1. Hello, my friend / 松任谷由実
2. 接吻 Kiss / ORIGINAL LOVE
3. 中央線 / THE BOOM
4. いっそ セレナーデ / 井上陽水
5. 空に星があるように / 荒木一郎
6. オリビアを聴きながら / 杏里
7. プカプカ / 西岡恭蔵
8. いいじゃないの幸せならば / 佐良直美
9. ウイスキーが、お好きでしょ / SAYURI
10. ラブリー / 小沢健二
11. エイリアンズ / キリンジ
12. 多摩蘭坂 / RCサクセション

書籍情報
『RIO』

2014年7月20日発売
著者:高野寛
価格:1,296円(税込)
発行:mille books

プロフィール
高野寛(たかの ひろし)

1988年、高橋幸宏プロデュースによるシングル「See You Again」でデビュー。現在までにベスト / ライブ盤を含む18枚のアルバムをリリース。代表曲は、「虹の都へ」「ベステンダンク」(共にトッド・ラングレンのプロデュース)、「夢の中で会えるでしょう」(坂本龍一プロデュース)など。ソロワークのほか、ギタリスト / プロデューサーとしても多くのプロジェクトに参加。ナタリー・ワイズ、GANGA ZUMBA(ガンガ・ズンバ)、pupa(ピューパ)等、バンドでの活動も精力的に行う。デビュー以来、音楽への真摯な姿勢と非凡なポップセンスは、多くの音楽ファンに支持されている。

永積崇(ながづみ たかし)

1974年東京生まれ。高校2年の頃よりアコースティックギターで弾き語りをはじめ、1997年、SUPER BUTTER DOG でメジャーデビュー。 2002年5月、ソロ名義で、はっぴいえんどのトリビュートアルバム『HAPPY END PARADE tribute to はっぴいえんど』に参加。同年、夏よりバンドと併行して、ハナレグミ名義でひっそりとソロ活動をスタート。ギター片手に単身、全国のライブハウスを廻る。2005年の夏にはSUPER BUTTER DOGの代表曲をタイトルにした竹中直人氏監督映画「サヨナラCOLOR」が公開となり、エンディングテーマとして忌野清志郎氏とのデュエットも披露している他、サントラも担当する。2013年5月にはハナレグミにとって初となる待望のカバーアルバム『だれそかれそ』をリリース。その深く温かい声と抜群の歌唱力を持って多くのファンから熱い支持を得ている。

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