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今、求められる歌の姿とは? 高野寛×ハナレグミの親密対談

今、求められる歌の姿とは? 高野寛×ハナレグミの親密対談

インタビュー・テキスト
金子厚武
撮影:三野新

最近は擬似的な感覚が多くて、得も言われぬ不安感に襲われたり、すごいグラグラしちゃうんですよ。そういうときに、ブルースの人たちの声を聴くと、ひっぱたかれるような感じがするっていうか(笑)、「しっかりしろよ」って言われてるような気持ちになるんです。(永積)

―途中で永積さんから「ずっと歌ってる曲でも、ものすごく新鮮に響く瞬間がある」っていうお話がありましたが、今の高野さんにとっては“確かな光”がそういう曲なんじゃないかと思うんですね。最近はすごく頻繁に歌われていて、『TRIO』にもセルフカバーが収録されていますし、トリビュート盤では畠山美由紀さんと青柳拓次さんがカバーされています。改めて、この曲に対する想いをお伺いしたいのですが。

高野:あの曲は9・11の後に作った曲で、あのできごとの後にものすごい悪夢を見たんです。きのこ雲がバーッて上がってる、その夢の風景をはっきりと覚えてて、何とも言えないモヤモヤした気持ちからできた曲で。あと、40代になると、体のコンディションとか変わってくるじゃない? そういう中で、「毎日をちゃんと生きるぞ」って曲だったりもして。ただ、最初はそういう気持ちで書いたんだけど、やっぱり震災後にね、自分でも全然違う意味に聴こえてきちゃって、ライブでやってると自然と新しい気持ちが出てきたんです。前のバージョンもそのときのベストではあるんだけど、今歌うとまた違うものになると思って、今回もやってみたんですけど。

―永積さんが今ブルースばっかり聴いてるっていうのも、やっぱり震災以降っていうのが関係してるかと思うんですね。

永積:それは絶対あると思います。なんだろうな……(ブルースに)何か確かなものを感じてるんでしょうね。一番混じり気がないっていうか、嘘のないものを感じるっていうか。たまに弾き語りでブルースのカバーを歌ったりするんですけど、僕が歌っても、なんか埋まらないんですよ。緊張感とか凄味がないから。実際そうやって歌ったときに「ブルースっていうのは、何て確かなものなんだろう」って思ったんですよね。あそこには個人的な悲哀がものすごく詰まってて、シンプルなメロディーと、繰り返してる「あの子が行っちゃった」っていう少ない言葉って、パッとカバーしただけだと、何も伝わらないんですよ。でも、実際にその曲を聴くとゾクゾクするっていうか、ものすごくギリギリのところで歌ってるんだろうなっていうのがわかって、すごく感動的なんです。やっぱり、人間のそういう部分に触れたいんでしょうね。

―だからこそ、ブルースを聴くんだと。

永積:最近はなにごとにも擬似的な感覚が多くて、確かだと思ってたものが、意外と確かじゃなかったり、言葉だけが先に来て、実体がなかったりとかがあって、得も言われぬ不安感に襲われたり、すごいグラグラしちゃうんですよ。そういうときに、ブルースの人たちの声を聴くと、ひっぱたかれるような感じがするっていうか(笑)、「しっかりしろよ」って言われてるような、そういう気持ちにもなるし。

―震災以降の約3年半っていうのは、社会の不確かさが如実に表れた3年半だと言ってもいいと思うんですね。だからこそ、確かなものに触れたい。その気持ちっていうのは、きっと誰もが感じているものだと思います。

高野:ブラジルには今も貧しい人たちがいて、そういう人たちにとってはサッカーと音楽が生きる糧なんですよね。シューズも楽器も買えなくても、裸足でボールを蹴ったり、何かを叩いて音を鳴らしたりしてる。そういうことがリアルに今でもある国だから、音楽に寄せる気持ちも全然違うんだろうなって。生活必需品というか、歌がないと生きて行けない人たちがいっぱいいて、だからこそ強いものがちゃんと生まれてくるのかなって思うんですよね。やっぱり日本はね、ものとか情報が溢れすぎちゃって、寂しさでさえも紛らわせるシステムができあがっちゃってるじゃないですか? 崇の話聞いてて、俺スマホのSNSのアプリとか削除しようかと思った(笑)。

永積:SNSって何だっけ?

高野:TwitterとかFacebookとか。やってないでしょ?

永積:やってないっすねえ。

左から:ハナレグミ、高野寛

―今の若い子とかは、そういうもので寂しさを紛らわせたりしてますよね。

永積:寂しさとか孤独の質っていうのも、また変わってきてるんじゃないかと思うんです。そういうSNSみたいなものをやりながらも、自分の孤独を客観的に感じてる子もいると思うし、自分もそこはちゃんと感じ続けていたいなって思いますね。

高野:今日崇と話せてよかった。最近結構忙しくて、いろいろ切り替えながら音楽もやってて、一つひとつをゆっくり味わう余裕がなかったんだけど、崇の話を聞いて、いろんなことを丁寧にやろうって改めて思いました。僕もブルース聴いて味わってみよう。

永積:じゃあ、あとでお勧めのブルース送っておきます(笑)。

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イベント情報

『高野寛バンドツアー「TRIO」 ~25th Anniversary 2nd season~』

2014年9月27日(土)OPEN 17:00 / START 17:30
会場:兵庫県 神戸 ジーベックホール
料金:前売5,500円 当日6,000円(共にドリンク別)

2014年10月4日(土)OPEN 15:45 / START 16:30
会場:東京都 日本橋三井ホール
料金:前売6,000円 当日6,500円(共にドリンク別)

イベント情報

『高野寛 アコースティックツアー「ブラジルから遠く離れて」~25th Anniversary 2nd season~』

2014年8月22日(金)
会場:鳥取県 ギャラリーそら

2014年8月23日(土)
会場:三重県 radi cafe apartment

2014年9月6日(土)
会場:愛知県 名古屋 TOKUZO

2014年9月7日(日)
会場:広島県 log

2014年9月14日(日)
会場:北海道 札幌 レストランのや

2014年9月15日(月・祝)
会場:北海道 札幌 たべるとくらしの研究所

2014年10月10日(金)
会場:香川県 高松 umie

2014年10月11日(土)
会場:愛媛県 若草幼稚園

2014年10月18日(土)
会場:栃木県 SHOZO 音楽室

2014年10月25日(土)
会場:鹿児島県 GOOD NEIGHBORs

2014年10月26日(日)
会場:福岡県 TAGSTA

2014年11月1日(土)
会場:岩手県 盛岡 大慈清水御休み処

2014年11月2日(日)
会場:宮城県 仙台 SENDAI KOFFEE CO.

2014年11月3日(月・祝)
会場:福島県 いわき burrows

2014年11月8日(土)
会場:奈良県 法徳寺

2014年11月9日(日)
会場:和歌山県 カーヒコ・オ・ケ・アクア

2014年11月21日(金)
会場:広島県 尾道 やまねこカフェ

2014年11月22日(土)
会場:滋賀県 旧大津公会堂

2014年12月20日(土)
会場:岡山県 蔭凉寺

2014年12月21日(日)
会場:大阪府 中之島デザインミュージアム

リリース情報

高野寛<br>
『TRIO』(CD)
高野寛
『TRIO』(CD)

2014年8月6日(水)発売
価格:3,240円(税込)
SUNBURST, inc. / SBST-005

1. Dog Year, Good Year
2. (それは)Music
3. 2つの太陽
4. See you again(RIO ver.)
5. 一分間
6. Morning Star
7. 確かな光(RIO ver.)
8. Mo i Kai
9. いつのまにか晴れ(2014)
10. On & On(& On)
11. 地球は丸い - A Terra é Redonda
12. ないものねだり
13. Free
14. Nectar
15. 美しい星(RIO ver.)
16. Petala - 花びら

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『高野寛 ソングブック~tribute to HIROSHI TAKANO~』(CD)
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『高野寛 ソングブック~tribute to HIROSHI TAKANO~』(CD)

2014年8月6日(水)発売
価格:3,024円(税込)
Ultra-Vybe,inc. / OTCD-3872

1. 夢の中で会えるでしょう / 蓮沼執太フィル
2. hibiki / ハナレグミ
3. やがてふる / 高橋幸宏
4. エーテルダンス / ビューティフルハミングバード & 宮内優里
5. 確かな光 / 畠山美由紀+青柳拓次
6. ベステンダンク / 岸田 繁 (くるり)
7. オレンジ・ジュース・ブルース / anonymass with 湯川潮音
8. KAORI / 有里知花 with 宮川 剛・永見行崇
9. 夜の海を走って月を見た / 山田稔明 (GOMES THE HITMAN)
10. See You Again / アンチモン
11. ベステンダンク / おお雨 (おおはた雄一+坂本美雨)
12. All over, Starting over / 浜崎貴司
13. 虹の都へ / トッド・ラングレン

『We Are Here / 高野寛と素晴らしきラリーの仲間たち』
『We Are Here / 高野寛と素晴らしきラリーの仲間たち』

2014年9月6日(土)発売予定
RALLYE LABEL / RYECD100

1. 高野寛 × 宮内優里
2. 高野寛 × YeYe
3. 高野寛 × sugar me
4. 高野寛 × little moa
5. 高野寛 × CONCERT
6. 高野寛 × milk
7. 高野寛 × 宮内優里
※曲順、曲名は未定

ハナレグミ<br>
『だれそかれそ』(CD)
ハナレグミ
『だれそかれそ』(CD)

2013年5月22日発売
価格:3,045円(税込)
VICL-64024

1. Hello, my friend / 松任谷由実
2. 接吻 Kiss / ORIGINAL LOVE
3. 中央線 / THE BOOM
4. いっそ セレナーデ / 井上陽水
5. 空に星があるように / 荒木一郎
6. オリビアを聴きながら / 杏里
7. プカプカ / 西岡恭蔵
8. いいじゃないの幸せならば / 佐良直美
9. ウイスキーが、お好きでしょ / SAYURI
10. ラブリー / 小沢健二
11. エイリアンズ / キリンジ
12. 多摩蘭坂 / RCサクセション

書籍情報

『RIO』
『RIO』

2014年7月20日発売
著者:高野寛
価格:1,296円(税込)
発行:mille books

プロフィール

高野寛(たかの ひろし)

1988年、高橋幸宏プロデュースによるシングル「See You Again」でデビュー。現在までにベスト / ライブ盤を含む18枚のアルバムをリリース。代表曲は、「虹の都へ」「ベステンダンク」(共にトッド・ラングレンのプロデュース)、「夢の中で会えるでしょう」(坂本龍一プロデュース)など。ソロワークのほか、ギタリスト / プロデューサーとしても多くのプロジェクトに参加。ナタリー・ワイズ、GANGA ZUMBA(ガンガ・ズンバ)、pupa(ピューパ)等、バンドでの活動も精力的に行う。デビュー以来、音楽への真摯な姿勢と非凡なポップセンスは、多くの音楽ファンに支持されている。

永積崇(ながづみ たかし)

1974年東京生まれ。高校2年の頃よりアコースティックギターで弾き語りをはじめ、1997年、SUPER BUTTER DOG でメジャーデビュー。 2002年5月、ソロ名義で、はっぴいえんどのトリビュートアルバム『HAPPY END PARADE tribute to はっぴいえんど』に参加。同年、夏よりバンドと併行して、ハナレグミ名義でひっそりとソロ活動をスタート。ギター片手に単身、全国のライブハウスを廻る。2005年の夏にはSUPER BUTTER DOGの代表曲をタイトルにした竹中直人氏監督映画「サヨナラCOLOR」が公開となり、エンディングテーマとして忌野清志郎氏とのデュエットも披露している他、サントラも担当する。2013年5月にはハナレグミにとって初となる待望のカバーアルバム『だれそかれそ』をリリース。その深く温かい声と抜群の歌唱力を持って多くのファンから熱い支持を得ている。

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