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今、求められる歌の姿とは? 高野寛×ハナレグミの親密対談

今、求められる歌の姿とは? 高野寛×ハナレグミの親密対談

インタビュー・テキスト
金子厚武
撮影:三野新

自由な発想を持ってて、なおかつお互いの音をよく聴けるような、動物的な感じで音に食いついてくれる人って、今も探してるところはあるんですけど、今回一緒にやったブラジルのメンバーは、ホントにそんな感じなんです。(高野)

―一発録りと宅録という、方法論こそ逆になったものの、途中で永積さんがおっしゃっていた「歌って何だろう?」っていうのは、高野さんもここ数年考えていらっしゃることかと思うんですね。実際、昨年からアコースティックツアーがあり、一発録りで『TRIO』を作り、今年後半もまたアコースティックツアーがあるっていうのは、やはり歌そのものを大事にされていることの表れかと思うのですが。

高野:それはその通りですね。というのも、去年「次のアルバムどうやって作ろうかな?」って思って、宅録もいろいろ試したのね。新しい機材を買ったり、ミックスだけ他の人に頼んでみたり、いろいろやったんだけど、僕は宅録をやり過ぎちゃってるから、大体完成予想図が見えてしまうんです。だから、もはや全然ときめかない……。そうなったときに、弾き語りをしてたら、ブラジルの友達のことを思い出して、「この状態で一人でブラジルに行って、あいつらと一緒に録ったら、それでいいじゃん」と思って。

―そのテンションでブラジルに行くっていうのもすごいですよね(笑)。

高野:まあ、阿佐ヶ谷とかだったら近かったんだけど(笑)、たまたま気の合う人がブラジル人だったんですよ。僕がOJASでバタードッグやクラムボンを初めて見たときに、ものすごい自由な発想を持ってて、なおかつお互いの音をよく聴いてるなって印象があったんだけど、僕らの世代にはそういうバンドって見当たらなかったんです。それをずっと羨ましいなって思ってて、そういう動物的な感じで音に食いついてくれる人って、今も探してるところはあるんですけど、今回一緒にやったメンバーは、ホントにそんな感じなんです。

高野寛

「アコースティックだからいい」っていうわけでもなく、打ち込みでも何でも、結局何を込めたいかってことだと思うんですよね。何か「ウワー!」ってなっちゃうような、打ち震えるような、そういうものに僕は共鳴する。(永積)

永積:僕はここ最近昔のブルースばっかり聴いてるんですよ。なんか、ブルースって根源的なものに近いじゃないですか? ジャンルとかアレンジっていうよりも、ホントに1人の人の個人的な衝動っていうか。そこに人が集まって、楽器や声に耳を傾けてる状況って、やっぱりすごいことだなって思うし、僕は本能的にそういうものを欲してしまうっていうか。

高野:プロとして音楽をやってると、知らないうちに流れやルールにのっとってやらざるを得ない部分があって、15年以上やってるとさ、それが染みついてたりするよね。僕も昔の音源をよく聴くんだけど、やっぱり時代を経てだんだんできてきたルールみたいなものは感じることがあって。例えば曲の構成にしても、イントロ、Aメロ、サビとかって、ホントはそうしなきゃいけない決まりなんてなくて、自由にいろんな曲があっていいはずなのに、なんかやっぱりクセになっちゃってるよね。

―その点、『TRIO』は1曲ごとの短さといい、非常に自由な作品ですよね。

高野:セルフカバーだし、間奏とかいらないやと思って全部取っちゃったから、オリジナルより曲が短いの(笑)。ブラジルのスタンダードってすごく短くて、2分台の曲がいっぱいあるんだけど、逆にサンバは1コーラス分のテーマを延々何十分も演奏し続けたりするでしょ? その形式を壊す感じが、自分にとっては新鮮だなって思って。

―昨年高野さんとトッド・ラングレンに対談をしていただいたときに、今は聴き手のリスニング環境が多様化してるから、サウンドやプロダクション以上に、歌や曲そのものが重要な時代なんじゃないかっていう話があったと思うんですね。今のお二人の話とも通じているように思うのですが。

永積:それって、「アコースティックだからいい」っていうわけでもなく、打ち込みでも何でも、結局何を込めたいかってことだと思うんですよね。何か「ウワー!」ってなっちゃうような、打ち震えるような、そういうものに僕は共鳴するので、だからブルースとかに行っちゃうんだと思うんですよ。ライブでも同じ曲がいつもと違って聴こえる瞬間ってあって、その瞬間が一番燃えるんです。やる場所とかオーディエンス、メンバーによっても変わってくるけど、それが上手くハマったときって、ずっと歌ってる曲なんだけど、ものすごく新鮮に響いて、「ウワー!」ってなる。やっぱり、爆発したいんですよね。「いいじゃん! これヤバいぞ!」って言いたい(笑)。

高野:崇は昔からそういう感じするなあ。「喜び」みたいなものがないと、歌が生きないっていうのをどこかで知ってて、そうなるための努力は惜しまないじゃない? だから、レコーディングやリハーサルを見てても、こだわるポイントが僕とは違うんですよ。「気持ちが上がらないと、歌えない」っていうのが強いから、そのためのシチュエーション作りがすごいんです。

左から:高野寛、ハナレグミ

―テクニカルな部分に対する意識も当然あるけど、それよりもそこにどう気持ちを持って行くかが重要だと。

高野:テクニックはもともとあるから、僕とかミトくんとかの間では「崇はずるい」っていうのが定評なんですよ。「あいつが歌えば“鳩ぽっぽ”でもいい曲に聴こえる」って(笑)。だから、もともと目指してる場所が違うというか、僕なんかは単純に「ちゃんと歌いたい」っていう気持ちが未だにあるんですけど、崇の場合はちゃんと歌えるのは当然だから、それ以上のニュアンスとか気持ちに心を砕いてるんじゃないかなって。

永積:……確かにそうかも。さすがです、見抜かれてますね(笑)。

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イベント情報

『高野寛バンドツアー「TRIO」 ~25th Anniversary 2nd season~』

2014年9月27日(土)OPEN 17:00 / START 17:30
会場:兵庫県 神戸 ジーベックホール
料金:前売5,500円 当日6,000円(共にドリンク別)

2014年10月4日(土)OPEN 15:45 / START 16:30
会場:東京都 日本橋三井ホール
料金:前売6,000円 当日6,500円(共にドリンク別)

イベント情報

『高野寛 アコースティックツアー「ブラジルから遠く離れて」~25th Anniversary 2nd season~』

2014年8月22日(金)
会場:鳥取県 ギャラリーそら

2014年8月23日(土)
会場:三重県 radi cafe apartment

2014年9月6日(土)
会場:愛知県 名古屋 TOKUZO

2014年9月7日(日)
会場:広島県 log

2014年9月14日(日)
会場:北海道 札幌 レストランのや

2014年9月15日(月・祝)
会場:北海道 札幌 たべるとくらしの研究所

2014年10月10日(金)
会場:香川県 高松 umie

2014年10月11日(土)
会場:愛媛県 若草幼稚園

2014年10月18日(土)
会場:栃木県 SHOZO 音楽室

2014年10月25日(土)
会場:鹿児島県 GOOD NEIGHBORs

2014年10月26日(日)
会場:福岡県 TAGSTA

2014年11月1日(土)
会場:岩手県 盛岡 大慈清水御休み処

2014年11月2日(日)
会場:宮城県 仙台 SENDAI KOFFEE CO.

2014年11月3日(月・祝)
会場:福島県 いわき burrows

2014年11月8日(土)
会場:奈良県 法徳寺

2014年11月9日(日)
会場:和歌山県 カーヒコ・オ・ケ・アクア

2014年11月21日(金)
会場:広島県 尾道 やまねこカフェ

2014年11月22日(土)
会場:滋賀県 旧大津公会堂

2014年12月20日(土)
会場:岡山県 蔭凉寺

2014年12月21日(日)
会場:大阪府 中之島デザインミュージアム

リリース情報

高野寛<br>
『TRIO』(CD)
高野寛
『TRIO』(CD)

2014年8月6日(水)発売
価格:3,240円(税込)
SUNBURST, inc. / SBST-005

1. Dog Year, Good Year
2. (それは)Music
3. 2つの太陽
4. See you again(RIO ver.)
5. 一分間
6. Morning Star
7. 確かな光(RIO ver.)
8. Mo i Kai
9. いつのまにか晴れ(2014)
10. On & On(& On)
11. 地球は丸い - A Terra é Redonda
12. ないものねだり
13. Free
14. Nectar
15. 美しい星(RIO ver.)
16. Petala - 花びら

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『高野寛 ソングブック~tribute to HIROSHI TAKANO~』(CD)
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『高野寛 ソングブック~tribute to HIROSHI TAKANO~』(CD)

2014年8月6日(水)発売
価格:3,024円(税込)
Ultra-Vybe,inc. / OTCD-3872

1. 夢の中で会えるでしょう / 蓮沼執太フィル
2. hibiki / ハナレグミ
3. やがてふる / 高橋幸宏
4. エーテルダンス / ビューティフルハミングバード & 宮内優里
5. 確かな光 / 畠山美由紀+青柳拓次
6. ベステンダンク / 岸田 繁 (くるり)
7. オレンジ・ジュース・ブルース / anonymass with 湯川潮音
8. KAORI / 有里知花 with 宮川 剛・永見行崇
9. 夜の海を走って月を見た / 山田稔明 (GOMES THE HITMAN)
10. See You Again / アンチモン
11. ベステンダンク / おお雨 (おおはた雄一+坂本美雨)
12. All over, Starting over / 浜崎貴司
13. 虹の都へ / トッド・ラングレン

『We Are Here / 高野寛と素晴らしきラリーの仲間たち』
『We Are Here / 高野寛と素晴らしきラリーの仲間たち』

2014年9月6日(土)発売予定
RALLYE LABEL / RYECD100

1. 高野寛 × 宮内優里
2. 高野寛 × YeYe
3. 高野寛 × sugar me
4. 高野寛 × little moa
5. 高野寛 × CONCERT
6. 高野寛 × milk
7. 高野寛 × 宮内優里
※曲順、曲名は未定

ハナレグミ<br>
『だれそかれそ』(CD)
ハナレグミ
『だれそかれそ』(CD)

2013年5月22日発売
価格:3,045円(税込)
VICL-64024

1. Hello, my friend / 松任谷由実
2. 接吻 Kiss / ORIGINAL LOVE
3. 中央線 / THE BOOM
4. いっそ セレナーデ / 井上陽水
5. 空に星があるように / 荒木一郎
6. オリビアを聴きながら / 杏里
7. プカプカ / 西岡恭蔵
8. いいじゃないの幸せならば / 佐良直美
9. ウイスキーが、お好きでしょ / SAYURI
10. ラブリー / 小沢健二
11. エイリアンズ / キリンジ
12. 多摩蘭坂 / RCサクセション

書籍情報

『RIO』
『RIO』

2014年7月20日発売
著者:高野寛
価格:1,296円(税込)
発行:mille books

プロフィール

高野寛(たかの ひろし)

1988年、高橋幸宏プロデュースによるシングル「See You Again」でデビュー。現在までにベスト / ライブ盤を含む18枚のアルバムをリリース。代表曲は、「虹の都へ」「ベステンダンク」(共にトッド・ラングレンのプロデュース)、「夢の中で会えるでしょう」(坂本龍一プロデュース)など。ソロワークのほか、ギタリスト / プロデューサーとしても多くのプロジェクトに参加。ナタリー・ワイズ、GANGA ZUMBA(ガンガ・ズンバ)、pupa(ピューパ)等、バンドでの活動も精力的に行う。デビュー以来、音楽への真摯な姿勢と非凡なポップセンスは、多くの音楽ファンに支持されている。

永積崇(ながづみ たかし)

1974年東京生まれ。高校2年の頃よりアコースティックギターで弾き語りをはじめ、1997年、SUPER BUTTER DOG でメジャーデビュー。 2002年5月、ソロ名義で、はっぴいえんどのトリビュートアルバム『HAPPY END PARADE tribute to はっぴいえんど』に参加。同年、夏よりバンドと併行して、ハナレグミ名義でひっそりとソロ活動をスタート。ギター片手に単身、全国のライブハウスを廻る。2005年の夏にはSUPER BUTTER DOGの代表曲をタイトルにした竹中直人氏監督映画「サヨナラCOLOR」が公開となり、エンディングテーマとして忌野清志郎氏とのデュエットも披露している他、サントラも担当する。2013年5月にはハナレグミにとって初となる待望のカバーアルバム『だれそかれそ』をリリース。その深く温かい声と抜群の歌唱力を持って多くのファンから熱い支持を得ている。

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