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未知の楽器・ダクソフォンって知ってる? 内橋和久インタビュー

未知の楽器・ダクソフォンって知ってる? 内橋和久インタビュー

インタビュー・テキスト
黒田隆憲
撮影:相良博昭
2014/04/30
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「ダクソフォン」という非常に珍しい楽器がある。さまざまな幾何学デザインの木片を小型のマイクボックスに取りつけ弓で擦ることによって、まるで人の声色のように自在な音色を奏でるものだ。惜しくも2011年に亡くなったドイツの音楽家ハンス・ライヒェルが開発したこのダクソフォン。ハンスが制作したダクソフォンは世界でたった数台と言われており、日本では即興音楽の第一人者でありハンスの朋友・内橋和久が、唯一その「名器」を引き継いでいる。

そして今年5月、横浜市民ギャラリーあざみ野にて『ハンス・ライヒェル×内橋和久 Listen to the Daxophone』と銘打った企画展が開催されることになった。ハンスが自作したダクソフォンやギター、さらには内橋の演奏による17チャンネルスピーカーを使ったサウンドインスタレーションなどが展示されるという。

これまで即興音楽家とポピュラーミュージシャンとのコラボレーションの重要性を説き、自ら積極的にそれに取り組んできた内橋。彼にとってダクソフォンとはどんな楽器なのか。また、ハンスとは一体どんな音楽家だったのか。自身の即興音楽についての思いも含め、語ってもらった。

ハンスはミュージシャンでありながら、デザイナーでもあり、さらには楽器も全て自分で作ってしまうインヴェンター(発明家)でもあったんです。

―今回、ダクソフォンの開発者であるハンス・ライヒェルさんと、内橋さんによるコラボレーションともいえるような企画展が開催されることになった、そもそもの経緯を教えて頂けますか?

内橋:ハンスは2011年11月に62歳で亡くなったんですが、彼が残してきた作品を展示する回顧展は、すでにドイツやルーマニアで行われていたんです。というのも、彼はミュージシャンでありながら、デザイナーでもあり、さらに楽器も全て自分で作ってしまうインヴェンター(発明家)でもあり、いろんなことをした人だったんですよ。

ハンス・ライヒェル ©Hans Reichel
ハンス・ライヒェル ©Hans Reichel

―楽器は、全て自作だったんですか?

内橋:そう。チェロもギターも全て自作。演奏家からすれば、楽器から全部自分で作って演奏するというのはある意味、理想的なんですね。理想の音を追究できるし、他にその音は存在しないわけだから。で、彼が亡くなった翌年にドイツで回顧展をやろうという話になって、Sparkasseという大きい銀行の展示スペースで展覧会を開催しました。ハンスは生前もそこで展覧会をしたことがあったんです。その回顧展に、横浜市民ギャラリーあざみ野の担当者も来てくれて、「日本でもこういった展示が出来ないか?」っていう話はその頃からしていたんですよね。

―ということは、内橋さんはハンスさんの回顧展に「スーパーバイザー」的な形で関わっているのですか?

内橋:そうですね。一応、彼が残した楽器に関しては全て任されている形になっているので、何かあるときは責任持って関わっています。今回は「ハンスと僕のコラボレーションで展示したい」というお話だったので、喜んで引き受けました。

内橋和久
内橋和久

―今回の日本での展示はどのようなものになりそうですか?

内橋:ハンスの部屋と僕の部屋で大きくわかれていて、ハンスの部屋では彼のさまざまな分野での功績や、ダクソフォンのプロダクトデザインを展示する予定です。僕の部屋では、ダクソフォンだけを使って多重録音した音源を17チャンネルのサラウンドスピーカーを使って鳴らそうと思っています。

―17チャンネルもですか!? 巨大なサウンドインスタレーション作品のようなものなんでしょうか?

内橋:ええ。2005年に山口情報芸術センター[YCAM]で、UAや藤本隆行、古堅真彦、真鍋大度らと一緒にインスタレーティブコンサートというのをやったことがあって、そのときに23チャンネルによるサラウンドスピーカーのシステムをYCAMのスタッフと一緒に開発したことがあったんですよ。せっかくなので、今回もそのシステムを使ってみよう、と。曲のタイトルは、“ダクソフォンの森”がいいかなと思っています。まるでダクソフォンの音の中に迷い込んだような音楽にしたいというのが由来の1つ。それと、ハンスは木や森が大好きで、ダクソフォンも含めてさまざまな木製楽器を作っていたということもあります。

左:UA、右:細野晴臣
左:UA、右:細野晴臣

―そのUAさんとは、6月8日に同会場にてスペシャルライブを行なうそうですね。

内橋:はい。「ダクソフォンを愛するミュージシャンの共演」ということで、UAと細野晴臣さんに出演してもらう予定です。内容はこれから話し合うのですが、当日は2人にもダクソフォンを演奏してもらおうかなと思っているんですよ(笑)。

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イベント情報

『あざみ野コンテンポラリー vol.5 ハンス・ライヒェル×内橋和久 Listen to the Daxophone』

2014年5月31日(土)~6月15日(日)
会場:神奈川県 横浜市民ギャラリーあざみ野 展示室1
時間:10:00~18:00
料金:無料

内橋和久ソロライブ
『Listen to the Daxophone #1』

2014年5月31日(土)17:00~17:30
会場:神奈川県 アートフォーラムあざみ野 1階エントランスロビー
出演:内橋和久
料金:無料(申込不要)

スペシャルライブ
『Listen to the Daxophone #2』

2014年6月8日(日)OPEN 14:30 / START 15:00
会場:神奈川県 アートフォーラムあざみ野 1階レクチャールーム
出演:
内橋和久
スペシャルゲスト:
細野晴臣
UA
料金:4,000円
※チケット購入方法などの詳細はオフィシャルサイトにて要確認

ワークショップ
『ダクソフォンを弾いてみよう』

2014年6月14日(土)14:00~16:00
会場:神奈川県 横浜市民ギャラリーあざみ野 3階アトリエ
講師:内橋和久
対象:小学5年生以上
定員:15名(要申込、応募多数の場合抽選)
料金:1,500円

プロフィール

内橋和久(うちはし かずひさ)

ロック、ジャズ、現代音楽、ポップミュージック、あらゆる音楽シーンを無尽に横断、即興演奏とコンポジションの融合を図るギタリスト、作・編曲家、プロデューサー、日本唯一のダクソフォン演奏家。舞台芸術では1980年代から維新派の音楽監督を務めるほか、アンサンブル・ゾネ、東野祥子、鈴木ユキオ、宮本亜門、河原雅彦、Lukas Hemlebらとの共同作業で知られる。自身のバンド「アルタードステイツ」は今年で結成24年になる。また、共演歴も世界各国の即興演奏家はもとより、高橋悠治、UA、細野晴臣、くるり等、現代音楽家からポップミュージシャンまで幅広く、ヨーロッパと日本のみならず、アジア諸国での演奏活動など、活動は多岐にわたる。ベルリン在住。

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